もしも箒ちゃんがおっぱいの魅力に目覚めたら   作:束桜

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おっぱいは何の為に! よんっ!!!!

 合宿二日目。

 午前から夕方までずっとISの各種装備試験運用、データ取りなどに追われる一日だ。一夏以外、国家所属である専用機持ち(代表候補生)達は自国から送られてきた装備を試験運用しなければいけないため、一般生徒とは異なった場所で運用試験を行わなくてはいけない。

 

「はぁ、ようやく集まったか」

 

 そんな時間が押されている一日なのだが、しかし、IS学園1年1組(鬼の管理下)にしては珍しく遅刻者が一名いた。

 

「幸い私は遅刻者を気にする余裕がないほどに疲れている。特別だ、ISのコアネットワークについて私の代わりに説明できたら見逃してやろう」

「は、はい。ISのコアネットワークとは……」

 

 そんな遅刻指導を受けているラウラを見つつ、箒は周りの生徒に気が付かれないように欠伸をした。

 専用機など持っていない箒にとって今日はISスーツを身に纏った生徒を舐め回すように眺める日だ。普段からISスーツを纏っての授業はあるにはあるが、ソレはソレ、コレはコレなのだ。周りを森に包まれた場所で使い慣れない装備を持って真面目に授業を受ける。銃器などであれば完璧だ。構える際に胸元で構えるものだから胸が潰れて輝かしい景色になる。

 

「ああ、篠ノ之は別行動だ」

「はぁ!? どういうことですか!? 私は一般生徒です、だから訓練機組に回されるはずです!」

「どうしてお前はそんな元気があるんだ……まあいい、理由ならコイツが説明してくれるだろう」

 

 そう言って千冬は近くに置いてあった小さめのコンテナを箒の方へ蹴りつける。その際、中から「ぎにゃ!? ふっうっ!?」などといった不思議な音が聞こえてきた。

 ちなみに箒の周りにいた生徒は箒の近くから離れている。

 

「……コレは?」

「開いてみろ」

 

 人が3人は入れる大きさの鉄製コンテナを蹴りで移動させた鬼教師、もとい鬼はそれからは何を言うこともなく、一般生徒を誘導し始める。

 仕方なしにコンテナのトビラに手を掛けるも、嫌な予感がして開こうと思えない。

 

「…………」

 

 箒が開けるまで指示なしに動くなと織斑先生に言われたのか、専用機持ち達は箒の動向を見守っている。

 そんな状況の中で、箒は意を決してトビラを勢い良く開け中を覗くと、ソコには眼を回した篠ノ之束(自分の姉)が居た。

 

「気絶している……? よし、」

「待って待って箒ちゃん! 気絶してない! 私気絶してないから何もしなくていいよ! オーケイオーケイ、その手を収めようじゃないか!」

「ッチ」

「舌打ち!? 箒ちゃんが厳しいよぉ!! 助けてちーちゃん!」

「知らん、私は忙しい」

「助けていっくん!」

「あー、えーっと、すみません」

 

 コンテナの中で箒から逃げるようにドタバタと音を立てながら、外にいる知人に助けを求めるも、誰にも助けられることは無い世界最高峰の科学者であった。

 

 

 

「さて、何でこんなところに私が居るのかというとね……」

「一人称崩れてますよ姉さん」

「誰のせいなのさ!?」

「さあ?」

 

 あの後、しばらく悲鳴が聞こえた後にツヤツヤとした顔で出てきた箒をみんなは引きつった顔で見て、一夏は束を助けにコンテナに入り、ぐったりとした束を連れ出すというというカオスが広がっていた。

 

「で、だね。何で箒ちゃんがここに呼ばれたのかというとね、コレを渡すためだよ……」

「テンションが低い姉さんなんて久しぶりに見たな、で、コレのせいで私は天国から追放されたのか?」

「え、何その顔怖いんだけど私なにか悪いことしたっけちーちゃぁぁん……」

「いや、今回はお前に同情するぞ」

「だったら助けてよぉ……」

「すまん、ソレは無理だ」

「ひどい!?」

 

 友人の手のひら返しに対して「ほろろ……」などと口ずさみながら目元に両手を当てて、数秒。

 

「それじゃ、コレのお披露目としようか」

 

 意識を切り替えたのか、先程よりもほんの少しだけ真面目な表情で話を始める。

 

「まずはコレを見てもらうよ」

 

 束が空間投影ディスプレイ(コンソール)を開いて、秒速20程だろうか。素早いキータッチで何やらを操作すると、近くにあったコンテナが開いた。

 

「これは……?」

「赤いISね」

甲龍(シェンロン)と被ってるじゃない!」

「お前のはどちらかと言うとマゼンタじゃないのか?」

「ソレもそうね」

「ええいうるさいぞ君たち! せっかくの紅椿(あかつばき)の登場シーンなんだ少し黙ってて!」

 

 そのコンテナから姿を表したのは、真紅のISであった。そのIS本体横の壁にはその機体の武装だろうか、日本等が二振り固定してある。

 ソレらを誇らしげに見ながら、束は話そうとするも、邪魔が入ったため、仕切りなおす。

 

「むっ、んっ……これは紅椿、現行の全ISを上回る性能を秘めているオンリーワンでパーフェクトな機体だよ!」

「ふむ、してどうしてコレを?」

「……箒ちゃん誕生日でしょ?」

「……まあ、そういうことなら受け取っておきましょう」

 

 口ではしぶしぶ受け取っているように言っているが、ほんのだけ綻んでいるその頬を見るに、恐らく本心では嬉しいのであろう。

 その箒の姿を見て満足したのか束は数回首を振った後に、箒にISに乗ることを促す。箒は促されるままISへ。

 

「さて、ある程度は先行してデータをコアに入れているから、すぐに動けるよー」

「ねえねえ篠ノ之さんがISなんて手に入れた暁には欲望の赴くままに学園を制覇しそうじゃない?」

「怖い……」

 

 離れたところから、箒を恐れる声が聞こえてくる。ソレを聞きながら、箒は今までの自分の行動を振り返った。

 ……うむ、何もおかしいところは無いな!

 存在自体がおかしいのだ。その歪みに気づくことは恐らく当分先のことだろうと思われる。

 

「ふっふっふっ、安心し給え女子生徒諸君。この天才科学者である束さんが何も考えていないわけ無いだろう!?」

「な、ナンダッテー」

「箒ちゃんが紅椿に乗り込んだ瞬間、生体同期が開始される」

「つまり……?」

「紅椿と一蓮托生、一生を過ごしてもらうことになる」

「え、むしろ悪いことなんじゃ……」

 

 珍しく、というか初めてとも言える自分の姉と一般人(クラスメイト)との絡みを見て、箒は自分の乗っているISに細工がしてあるのかと疑った。ふと隣を見ると、織斑先生も一夏も唖然としているではないか。

 とにかく、ナニカが起こっていることは間違いがない。しかし、情報もない。一時はこの瞬間を見ることしか出来ないのだ。

 

「悪いことじゃないよ。紅椿と同期したってことはね、視界も何もかもをISに預けているってことなんだ。つまり、視界操作が可能」

「……まさか!」

「そう、その通り! 箒ちゃんがやらしいことを思った瞬間に、特定の電気信号を拾った紅椿は自動で空間偽造をしてくれるんだ! つまり箒ちゃんの被害者がいなくなる!」

「そんな事、ほんとにできるんでしょうか!?」

「なに、この四半期に私自身が実験したから間違いないよ! 大丈夫、コレで世界が救われたんだ!」

 

 その話を聞いて、箒は急いでISを解除して飛び降りる。無駄だと半ばわかっているが、しかし、そのようなことが現実にならないように祈っての行動だ。

 しかし、その祈りは神には届かない。

 

「ふっふっふっ、箒ちゃん。そんな事をしても無駄だよ……そのISは私がどうぞと言っても解除できないものなんだから……」

 

 自分の姉改め敵を睨む。しかし、その敵は自分の背後を指差して高笑いしているではないか。

 何を指差して高笑いしているのだろうか、背後には自分が降りたISがあるはずだ。あってもらわなければ困る。

 思い込み、自己暗示、自己催眠。そのあらゆる限りを尽くして事実を捻じ曲げようとするも、ソレは不可能なことだった。背後には何も無かったのだ。

 

「残念だったね箒ちゃん、私のこの十数年の願い、成就できたよ」

「ねが、い……?」

「私はね、箒ちゃんが心配だった。幼いうちから異常な性癖に目覚め、暇さえあればおっぱいおっぱい。このままじゃ警察に捕まっちゃう。でも可愛い箒ちゃんにそんな苦労をさせたくない」

「ふむ、幼い頃から束は篠ノ之を気にかけていたな」

「でね、思いついたんだ。ISという物を開発して、私が逃げれば箒ちゃんは国に保護される。確かに安全の為に軟禁生活だろうけど、刑務所よりはマシなんじゃないかと。その後考えたの。私が創りだしたISで箒ちゃんをどうにかできないか」

 

 束の口から語られる真実。ソレは箒を思っての事だった。しかし、箒としては余計なお世話そのものであり、何も言えずに呆然と立っている。その間にも話は続いていく。

 

「で、結局はこんな事になったんだけどね。しかし大変だったよ。箒ちゃんをどうにかできないか一生懸命考えていたせいで周りとのコミュニケーションも取れなくなったし……あ、でも逃亡生活は楽しかったな! それと……」

 

 暫く呆然としながらも話を聞いていた箒は、いつの間にか意識が闇の中に沈んでいた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「……ふむ、夢か」

 

 箒は()()()()()で眼が覚める。今回特別にクラスメイトとの同室が認められたのだが、恐らくみんな先に行ったのであろう。布団は綺麗に一箇所にまとめてあり、箒は自分が昨晩寝ていた場所で起きた。

 

「それにしても、最悪の夢だったな」

 

 げっそりとした顔で布団をたたみながら、独りごちる。事実最悪の夢だったのだ。生きがいというものを奪われる夢、ソレは果たして悪夢以外に何と言えようか。

 頭の中で夢に出てきた自分の姉に呪詛を送りながら、何時の日か胸を好きなだけ揉んでやると心に近いながら、部屋を出て食堂へ向かう。昨晩揉んだ者が何を言っているんだという声が聞こえてきそうだが、ソレはきっと幻聴だ。

 

「あ、起きたね箒ちゃん」

「篠ノ之、なんというか……」

「……? どうしたんですか?」

 

 食堂に着くと、何故か()と織斑先生が立っていた。姉はなんともせずにニコニコとしており、織斑先生は同情するような顔つきでこちらを見てくる。

 

「いや、なんでもない。ソレよりも集合だ」

「集合? 何かあったんですか?」

「なに、日本政府からの無茶振りが来てな」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が、専用機を持つからには織斑先生の指示に従わなければ痛い目に会う。

 

「了解です、すぐに向かいます」

 

 そして、そのまま自分が何をしに食堂へ来たのかを忘れ、集合場所に向かっていく。朝食だったか、昼食だったか、今の箒にはワカラナイ。

 気付いたら姉の姿は消えていた。廊下に生徒が一人もいない。一人、独り、ヒトリ。文面だけであればそのまま世界にヒトリだけの様に見えるのだが、周りに気配がある。箒は自分が夢だと思っていたことを思い出すことなく、自分の都合のいいように────忘れた。

 

「織斑先生、来ました」

「ああ、篠ノ之か。集まったな、これから(みな)にはアメリカ軍で暴走したISを────」

 

 

 

 それから話は機体スペック、撃墜手段、などなど一夏と自分と織斑先生()()()()()部屋で伝えられた。

 話によると、アメリカの試験的に作られていた軍用機が暴走したようだ。その捕獲に自分たちが選ばれたらしい。

 

「それでは織斑先生、出撃は二人でいいんですね?」

「……ああ、それでは織斑、篠ノ之両名に銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)撃墜任務を命ずる。くれぐれも失敗はしないように。その他は待機だ」

「了解」

「よし、ソレじゃ箒。早速行こうぜ」

「ああ、そうだな」

 

 所々に挟まれるまるでダレカがが居るような言葉に疑問を抱きながらも、気のし過ぎであろう、と聞こえた気がしたので気にしないようにした。

 

 

 廊下を歩き、砂浜へと続く道を歩き続け、気づけば紅椿を装備していた。夢遊病の気でもあるのだろうか。自分が自分でないような感覚がして不快感に襲われる。

 

「なあ箒、大丈夫か?」

 

 不快感が顔に現れたのか、白式の設定を操作していた一夏が話しかけてくる。確かに大丈夫ではないが、ソコまで問題にすることでも無い。

 

「ああ、大丈夫だ。それともアレか? 私が戦闘を前に慢心でもすると思ったか?」

「ああ、いや、そういう訳じゃなくてだな……」

 

 流石に本人を前にどストレートにそのことを伝えることはできないのであろう。わかっている、という態度で機体の体制を操作して、背面に白式が乗れるスペースを作り出す。

 

「作戦通りだ。私の背後にお前が乗り、目標に近づいたら零落白夜で一撃、簡単だろう?」

「あ、ああ。本当に大丈夫なのか……?」

 

 ISというのは本人の技術────体術などが一般的だが、ソレらとイメージが絡みあうことによって動きは決まる。幸いなことに、私は技術はあるので後はイメージだけだ。イメージならいくら、でも……あれ、何故私は技術を磨いたのだろう……。

 

「……ぅき! おい、箒!」

「え、あ、ああ。なんだ一夏」

「お前ほんとうに大丈夫なのか? なんだったら今回の作戦をセシリアに変更するか?」

「いや、ソレはいい。私が行こう」

「お前……」

「そんなことより、速く背中に乗り込め」

 

 変な夢を見た後から身体の調子が悪い……あれ、夢……? どんな夢だったか。

 

「……アンカー設置完了、行けるぞ箒」

「よし、紅椿、出るぞ」

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 海上、ソコには白寄りの銀、そう白銀の閃光が疾走っていた。その白銀の閃光に近づいてくる閃光がもう一つ。ソレは奇妙な閃光だった。

 下は紅、上は白という奇妙な組み合わせ。やがて、白銀に近づくソレラは上下に分離した。

 

「すまない一夏! 私には銀の福音が視認できない!」

「クソッ、こういう時に故障かよ!」

 

 言い合いをしながら分離したソレラ、正確には白の閃光は白銀の閃光にまっすぐに向かっていく。ソレに対し、紅の閃光は白とはまた別の方向へ。

 

「当たれえええええ!!!!」

 

 白の閃光(白式)は肩部の浮遊ユニットのブースターを限界まで稼働させ、時速数百km、いや、四桁に乗るような速度で白銀(銀の福音)に衝突する。

 その際、手に持つ刀は開き、長大な熱の刃が開放される。

 零落白夜──相手のシールドエネルギーを膨大な熱量で焼き切り、対象(搭乗者)を直接攻撃することによって絶対防御を強制的に発動させる武装だ。その膨大なエネルギーを出すためには自身のシールドエネルギーすらも犠牲にしなければならない。そのため、継続的な戦闘力は皆無とも言えよう単一機能(ワンオフアビリティー)だ。

 これだけだと、ただシールドエネルギーを薪に出力を上げただけのビームソードと取られるかもしれないが、しかし、IS本体を覆うシールドバリアーのエネルギーはどれだけ膨大なものか、どれだけのエネルギー出力を誇っているか。学園のアリーナにもシールドバリア―が張られているが、ソレを展開する為に施設一つが必要だといえばその意味はわかってくれるだろうか。

 その膨大なエネルギーが数mの刀身に圧縮してあるのだ。その威力は並のISであれば一撃必殺足り得る物だ。

 

 そして、その一撃は、銀の福音に────命中した。

 

「当たったか!? 箒!」

「くっ、何がなんだかわからんが……!」

 

 第六感、一般的には感と呼ばれる不確定要素を信じて箒は一夏が浮かんでいる場所の下に素早く移動し、手を大きく開く。そして受け止めることができたのであろう、腕に衝撃が走る。

 その際、ナニカ柔らかいものが腕に触れた瞬間、自分の中でナニカが広がり変わっていく感覚が──。

 

 

「箒? 何をしてるんだ箒?」

 

 一夏は銀の福音の搭乗者であろう女性を抱えて固まっている箒を見て、嫌な予感がした。

 今朝、箒は胸に関する何もかもを封じられ、まるで精神が崩壊してしまったかのように見えた。セシリアや鈴、山田先生などが視覚的に見えなくなり聴覚も働いていないのか、何をしても反応しない。

 束さんが簡単に言ったことでは、想定外のことが起こっているらしい。

 

「おい、箒。撃墜したならその人を連れて島に帰るぞ」

「ふ、ふふっ」

「箒……?」

 

 暫く動かない為、心配になり箒の肩を叩いて島に帰るように促す。すると、箒は小さく笑い始めた。

 

「そうか、そうか……アレは夢でも何でも無いんだな……覚えてろよあのウサギィ……!」

「おい、どうしたんだ箒! 口調が崩れてるぞ!」

「ええい、黙れ! あの妹の人生を壊そうとした姉を私は滅ぼさなくてはならないのだ!」

 

 箒は、銀の福音の搭乗者を放り出して、島の方へ最大出力で向かっていく。

 その場に残された一夏は、数秒呆然とした後、慌てて銀の福音のパイロットを拾いに行くのであった。

 

 そんな一夏を尻目に、箒は島に到着してから瞬時にISから降りて束捜索を始める。箒からしたら、いや、周りから見ても精神崩壊と言えよう状態を自分の姉は妹に叩きつけたのだ。やり返しをされても文句は言えないであろう。

 幸いな事に、銀の福音のパイロットである女性の胸を偶発的に触れたことにより、何故か視覚的な異常などは見当たらなくなったのだが。

 

「あ、篠ノ之さんだー」

「さっきは荒んでたね―、女の子の日?」

「アンタ、デリカシー無いわね」

「何よ織斑くんもいないし大丈夫じゃない」

「ソレはない」

 

 廊下でスレ違った生徒達のスリーサイズが視界に投影される光景を見て、なんとも言えない表情になり自分の姉を探す。流石の箒でも本人たちが隠しているスリーサイズなどはあまり知りたい物でもない。この若干の気まずさは全てはあの人が悪いんだ。悲しいことに、全ては己の性癖に起因することを彼女は気づいていない。

 そして、音なく歩き作戦開始前に集合した会議室に到着した箒は、ゆっくりとそのトビラを開く。

 

「作戦は完遂しました」

「……搭乗者を放り投げて来なかったか?」

「……何のことですか?」

 

 すっとぼけ、織斑先生からの指摘を軽く受けながした箒は、自分の姉を探すべくその部屋から出る。いや、出ようとした。

 

「……姉さん、そこにいますね?」

 

 機材の端から見慣れたウサ耳を確認したので、話しかける。

 

「……えーっと、現在束さんは通信状況が悪いため反応ができません。ピーっと鳴りましたらメッセージをどうぞ」

「…………」

 

 いま現在もふざけた調子の束は、箒が変化(戻った)ことに気がついていないのであろう。そして、可哀想なことに箒もソレに気がついている。

 

「ピーッ」

「すべてが戻りました。アナタヲユルサナイ」

「ははは箒ちゃんそんな旧世代の探偵アドベンチャーゲームみたいなことを言ってって戻ったぁ!?」

 

 出入り口の前に立たれ、追い詰められた環境で束はようやく自分の状態を知ることが出来た。追い詰められていたのだ。

 

「えーっと、どうやって戻ったのかな?」

「気付いたら戻ってましたけど?」

「……ほんと、どうやって戻ったのさぁ……」

 

 自分の人生を賭けたその行動が無に終わった事を知り、束は少しだけ涙目になってしまう。

 

「ちなみにISが補助してくれているのか、動体視力も上がってるみたいですね」

「もしかしてコア人格を染めたの!? 人間じゃないでしょ!?」

 

 当初、新規製造されたコアの人格である()()は、他のISコアがいる環境での経験値フィードバックが原因か、己の形というモノが曖昧であった。

 その曖昧であった彼女は束の祈りである、箒ちゃんの性癖を治したいというモノを受ける。己の形を創造主にて形付けられたコア人格は、遂には意識誘導(洗脳)まで行い始めたのだ。

 箒は寝込みを襲われたせいなのか、それとも何か他に原因があったのか。ソレに見事に引っかかり、真人間になってしまう。

 だが、しかし、篠ノ之箒(おっぱい亡者)がそんな事をそのままにしているはずがない。確かに、他のモノが見えなくなった。確かに、他のモノが聞こえなくなった。だが、箒は(変態)だ。三つ子の魂百までも、その()()が変わることなど、何よりも箒自身が許さない。故に、自我(本性)が少しでも出てきた際にコアを染め上げたのだ。

 

「ちょっとやり過ぎましたね、姉さん」

「えーっと……その手は?」

「聞きたいですか?」

 

 世界を揺るがすような事件のシメは、乳を揺らす女性の悲鳴(嬌声)であった。




コア人格「おっぱい」

 実は、最終回に掛けてくぅ疲ネタを差し込もうとしたのですが、他の有名ドコロの方が先にやられていたようなので、ナシになりました。
 と、言っても最終回と言えば最終回なのですが、気が向けば夏休みのイベントなども投稿する可能性があります。多分、そう、きっと。

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