俺の友達が美少女になったから凄くマズい。   作:4kibou

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最初に言っておきます。いつも低いクオリティが更に酷いことになってます。


オンナノコってやつだよ。

「む……」

 

 久々に目覚ましの音を聞いた。ぱっちりと目を開けて確認すれば、時刻は七時前。もうそろそろ起きなければ時間的に余裕がなくなる。ちょっとした違和感を感じながら体を起こして、ぐっと伸びをする。ぼーっとしていた意識も覚醒してきた。何がいつもと違うのか。少しの間考えて、直ぐ様その答えに行き着く。

 

「……一夏がいない」

 

 別に変な意味じゃなくて、ただ単純に一夏がいない。TSしてから約一ヶ月と少し。既に春の陽気が夏の熱気へと移り変わろうとしているこの時期まで、件のイケメン美少女が朝飯を作りに来なかったことは一度も(・・・)ない。分かるか? 一度もだ。びっくりするだろ。休日まで飯作りに来るんだぜ。しかも気付けば放っておいた洗濯物まで片付ける始末。お前は俺の何だ。母親か、とツッコミたくなった俺は悪くない。でも世話されてる立場で言うのもなんだからサンキューとだけ伝えるチキン。いい笑顔で慣れてるからいいよとか言われても今の僕には理解できない。

 

「……風邪か? いや、あいつに限ってそれは」

 

 ないな。うん。ない。ないない。あの織斑一夏が風邪なんてひいた暁には、千冬さんが薬局の一つや二つ潰しにかかる。あと病院も数件ほど機能停止する。おいおいやべぇな、患者さんの命がマジで危なくなってんじゃねーか。まぁ、千冬さんなら頑張れば蘇生術とかも使えそうだけど。だってあの人化け物だもん。人間やめてるもん。ニンジャか何かじゃないの? アイエエエエ!? チフユ!? チフユナンデ!?

 

「……行くときに少し寄ってみるか」

 

 なんか心配だし。それに、いつもの生活リズムを崩されるとなんか調子狂うだろ。携帯を確認してもメール一つ送られてない。嫌な予感は別にしないけど、どうにもただ事じゃない気がして仕方無い。

 

「とりま飯は……パンとコーヒーでいいな」

 

 一夏の作る飯は確かに上手いが、こういう朝飯もたまには良い。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 ノックしてもしもぉ~し。ちなチャイム。数秒して戸が開くと、一夏が此方を覗き込むようにひょっこりと頭を出した。

 

「……蒼? なんで?」

「なんでって……もう学校行く時間だろ」

「え……あ、本当だ」

 

 ポケットから取り出した携帯の画面を見て呟く。おいおい大丈夫かこいつ。明らかに様子が違うじゃねえか。本当に風邪でもひいてたり? そう思って顔を見てみるが、別段熱を持っているようにも見えない。ここで見に徹するのが俺。ひたいをピットリくっ付けて確認するのがイケメン。つまり俺はイケメンじゃないってことですね。はは、ワロス。

 

「……大丈夫かよお前。学校休むか?」

「ううん、大丈夫だよ。ちょっと色々あって」

「色々?」

「うん。…………女の子の、アレ」

 

 あっ……(察し)。なんとなくというかうっすらというかおおよそ想像はついた。流石は天災。そこら辺も完璧に女の子にしてる訳ですか……。つーか以前まで男だったのに、その、アレとかあるんですね。初めて知ったよ。一夏もこれが初めてらしい。けど残念かな。この問題に関して言えば俺は役に立たない。男が役に立つ訳ない。

 

「千冬さんには言ったのか?」

「きっちり電話越しに説明されたよ」

 

 さすが千冬ネキ。だてに女の子(世界最強)やってないよあの人。ホント良かったな一夏。身内にあの人居なかったらやばかったぞ。色んな意味で。先ずTSしたところからやばい。やっぱ千冬さん最高やな! あんたが一夏の姉でマジ良かったよ。だからいつもマトモで居て。それだけが願いです。

 

「……すまんな。手助け出来なくて」

「仕方無いよ。まぁ、そう思うなら今日ぐらいちょっと優しくして欲しいけど」

 

 おk。優しくすればいいんですね。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 という事があって今現在。学校帰りに二人で買い物に来たわけだが、いつも一夏に頼りきりなのを思い出して今日はソロプレイでした。一夏ちゃんには外のベンチで待ってもらってます。毎回あっちから率先して買い物カゴ片手に歩いていくからなぁ。俺はその後ろから手ぶらでついていくだけという。駄目な男ですね。はい。自覚はあるんだよ勘弁してくれ。

 

「ま、俺もやれば出来るってことよ」

 

 今晩作る飯の材料込みで様々なものが入れられたレジ袋を片手に、若干の早歩きで店内を移動する。別にイケメンだから気にしないとは思うけど、ほら、なんつーか長く待たせるのも悪いじゃん。あれでも大切な昔ながらの友人だもの。ぼくだって罪悪感はちゃんと感じるんですよ。例え相手が女になっていたとしても。

 

「どっか行ってなけりゃいいけど」

 

 あいつに限ってそれは無いか。なんだかんだで真面目な奴だし、トラブルさえ持ってこなかったらただのいい人だし。TSしてからはガッツリその方向性がプラスに振られましたけど。立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花ってか? いや、むしろ歩いたら百合の花が咲く。まさに童貞殺しならぬ同性殺し。ホモセクシュアルキラーの一夏とか呼ばれたりすんのかね。つまり一夏はホモ。あれ、一夏がホモってことはそれ百合にな……いや、精神面で言えばノーマル……? これもうわかんねぇな。

 

「……ん? あれは……」

 

 ふと見えてきた一夏を座らせたベンチだが、何やらその周りにいくつかの人影が。なんだかいやな予感。

 

「あのさぁ……君、俺らと遊ばない?」

「い、いえ、結構です」

「ええやん、ちょっとくらい、な?」

「あの、人を待ってるので」

「そう言わず、どうかオナシャス!」

 

 ……なんだこれはたまげたなぁ。この御時世に命知らずが居たもんだ。ナンパしたのが一夏でお前ら本当良かったな。そこらの女性なら通報されて冤罪吹っ掛けられて一発KOスリーアウトチェンジですよ。一夏も一夏で戸惑わずにちゃんと返事しろやオイ。そういう弱気な態度じゃ駄目に決まってんだろJC。間違えたJK。ただ、一夏に声をかけた気持ちは分かる。見た目だけで言えばかなり可愛い方だし。ぶっちゃけすれ違ったら振り返るくらいの美少女だし。仕方がない。仕方がないんや。でもすまんな。今日は優しくする約束をしてるんや。

 

「いいだルォ? なぁ、オイ……」

「え、いや、駄目です」

「頼むわ、ほんまに」

「えぇ……(困惑)」

「アイスティーくらい奢りますよ?」

 

 てかあの人達めっちゃガツガツ行ってんな。目が獲物を見付けた野獣なんだけど。一夏の何にそんな引かれるものがあったのか。いや、ナニとか言っちゃ駄目だ。今の一夏は女の子。つまり一夏にナニはない。良かった、ホモ的展開なんて無かったんや。良くない。ナンパされてる女の子助けるとかハードル高すぎィ! ちくしょう。織斑一夏。なぜ、女なんだ。

 

「……立ち往生しててもしゃーない……か」

 

 うん。覚悟完了。こういうのは良く考えない方が上手くいく。策を弄すれば策に溺れる。頭良くない奴が策士気取ってもろくなことにならない。俺みたいな馬鹿なんてその通りだ。本当の策士ってのは次に相手が喋る言葉さえ予測する。次にお前は、一夏ちゃん可愛いと言う! 一夏ちゃん可愛い……ハッ! 当たり前だぜ、織斑家の遺伝子をなめんじゃねぇぞッ!! さて、早速行動開始。スタスタと歩くスピードを上げて一夏に近付き、群がる男共三人の間を堂々とすり抜ける。がっしと実に女の子らしい手を一掴み。

 

「ちょ、やめ……、あっ」

「さっさと帰るぞ。ったく、面倒持ち込みやがって」

 

 ぐいと引っ張りそのまま全力疾走。後ろからなんか言ってくるけどスルー。無視だ無視。気にしてたら駄目なんだよ。残念なことに俺はあんな奴等と多対一で立ち回れる自信が無いからね。逃げたことを許してほしい。ある程度まで駆け抜けたところでスピードを緩め、そっと手を離して振り返る。ふぅ、キツい。一夏の方もちょっと辛かったのか息を荒くしていた。

 

「その、サンキューね」

「別に。これくらい当然じゃないっすかね」

「……素直じゃない奴」

「うっせー馬鹿。ナンパされるとか何してんだ」

「知らないよ。気付いたら居たんだし」

 

 なにそれ怖い。どこからでも沸く虫か何かかよアイツら。独特な雰囲気だったし、出来るなら今後一切会いたくないですなー……。

 

「お前だけでも追っ払えただろうに」

「いや、元男だから、その……ね?」

「分からんでもないが、自分の身くらいは自分で守れ。助けるのは今回だけだぞ」

「そうだね……うん。今日は、ちょっと疲れた……」

 

 ちなみにその後、時折起きる一夏へのナンパ行為を毎回助けたのはお約束。いや、日本人として友人の危機は見逃せませんし。




かゆ……うま……(白目)感想欄で御祝儀送られて草。早くケーキ入刀ならぬ蒼くんの雪片弐型も入刀した方がいいんですかね(混乱)ダメだ、まともな思考が出来ない……イチャラブセックス……うっ……頭がっ……





ふぅ……、世界平和について考えよう。

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