俺の友達が美少女になったから凄くマズい。   作:4kibou

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しっくり来ない……(´・ω・`)


あおいろの感情。

「しかし、『こんなこと』……ねぇ?」

「なんだよ」

「その『こんなこと』で助けられた人は誰だったかなー? んー?」

「うっ……」

 

 言葉に詰まる一夏。こいつ頭良さそうに見えて意外と馬鹿っぽいところがあるんだよね。だから我が中学での俺たちの俗称が四馬鹿スクエアなんだよ。ちくせう。他の三人はまだしも俺は馬鹿じゃねえ。少なくとも学力だけなら結構高いくらいなんだ。だというのに何故四馬鹿でくくられるのか。そこが分からない。

 

「……ごめん」

「別に謝れとは言ってねえけど」

「…………ごめん」

「だから、謝罪なんざいらねーって」

 

 謝られたところで何になると言うのか。此方が得することなど一つもない。頭下げられてもこいつの髪の毛サラッサラだなーくらいしか思わないし。むしろ謝るだけ時間の無駄だと思います。悪いのは突っ込んできた車であって一夏ちゃんは何も悪くないからね。故に謝罪なんていらない。無駄。無駄無駄ァ! あの時にワールド使えてたらどれだけ良かったことか……。

 

「でも、その……やっぱごめ──」

「ああもううるせぇ。謝んなコラ」

 

 ぐいっと顔を近付ける。こう言う時は目を見てきちんと話した方が良いっておっとさんが言ってた。今ちょっと視力が凄く悪くなってるぽいからね。一夏は俺の目を見れても俺はこの距離ぐらいじゃないと一夏の目が見えないのだ。うん。これ絶対黒板とか見えねーよな。日常生活で困り果てる未来しか見えない。どうにかして早く慣れねば。いや、もしかして治療したら直せる可能性が微レ存……? 確かに出来そうだけども。

 

「オイ一夏。お前、なんか忘れてないか」

「……え?」

「人に助けてもらったら、謝罪よりも前に言うことがあんだろ。それともなんだ? お前の姉はそんなことも教えてくれなかったのか?」

 

 煽っていく煽っていくゥ! 蒼だけに煽っていくゥ! いいキレ具合だな。今日もマイブレードはキレッキレだぜ。OLFAより切れそう。なにそれ凄えな。空気軽く切断してんじゃん。やっぱりカッターと言ったらOLFA。ぶっちゃけ結構この話題に関してはどうでもいいんだけど、どうにも一夏がしつこいし、ここで片付けておいた方がマシだろう。すまんな。スマートとはかけ離れた存在の蒼くんはスマートに解決なんて出来ないんや。あれはイケメンにだけ許された特殊勝利的システムだからね、仕方ないね。

 

「……あ、ありが、とう……」

「ん。こちらこそ、無事で居てくれてサンキュー」

 

 ちょっと笑ってそう返す。うぉぉ……なんか言ってて照れ臭くなった。シリアスな雰囲気は肌に合わんのです。馬鹿やってる方が何万倍も落ち着く。それだけ俺も馬鹿ってことか。あながち四馬鹿間違ってねぇじゃねえかオイ。ネーミングセンス完璧だな名付けた奴。

 

「つーわけで、俺はお前の謝罪を聞きたくて助けたんじゃないんだ。分かったか馬鹿野郎」

「……うん」

「まぁ、別に感謝される為って訳でもないが」

「……じゃあ、何で助けたの?」

 

 少し遠慮がちに、上目使いで一夏はそう聞いてきた。可愛い。あと可愛い。女としての態度に慣れすぎてる気がしないでもないけど、体は女性だから違和感ないどころか無問題。あれ、この子一夏だよね。時々マジで混乱して分からなくなる。先ず意図的に女性のような動きしてるから男の名残とか少ないし。口調も殆ど女みたいなしゃべり方だし。それらも全部俺の招いたことだと考えれば、やっぱり自分から墓穴を掘っていることに気付く。自業自得とはまさにこの事か。

 

「いや、理由なんかねーけど」

「……は?」

 

 うん。考えてみても理由は思い浮かばない。気付いたら体が動いていたって感じだし。そんな一夏を助けなきゃっていう明確な思いも無かった。むしろ自分だけでも逃げたかったのが本音です。それがどうして庇っちゃったのかねぇ……。なんなの、本当は優しいキャラとかそういう系なの? んなもん今更流行らんわ。

 

「お前馬鹿だろ。親しい人を助けるのに一々理由なんざつけてたまるか。あえて言うならお前が『一夏』だったからだ」

「私……だったから……?」

 

 どうやら意味を理解出来てない様子。ふむふむ。ここは真面目な蒼さんの出番ですね! 一夏ちゃん精神的にフルボッコタイムでございますわ。つまるところ説教ですよ説教。そげぶ先輩お得意のSEKKYO。いいぜ、テメーがいつまでも謝るって言うんなら。先ずはそのふざけた幻想をぶち殺すっ! キャーカミジョー(サンカッケー)

 

「友情も愛情も買おうと思えば金で買える。上っ面だけの関係なら金で作れるし、愛だって簡単に捧げてくれる。……でも、本当に仲の良い奴って違うだろ」

 

 思い返す。今までの事を。奥深くまで掘り返す必要はない。比較的最近の、俺が二度目の小学一年生になってからの記憶だけで十分だ。

 

「こいつと歩きたい、隣に立ちたい、話したい、遊びたい、馬鹿やって、怒られて、はしゃいで、くだらねー事言いながらくだらねー事考えて。そんな日々をこいつと過ごせたら幸せだろうって」

 

 最初は何だったっけ。ちょっとした好奇心か何かだったと思う。原作主人公である織斑一夏が気になって、あと篠ノ之箒にもちょっとというか結構な興味があって、おふざけ半分でこいつに近付いた。まぁ、その頃はまだ一夏と天災の妹さんは仲良くなかったけど。

 

「スゲェ楽しいんだよ。どうでも良いような事をするのが、楽しくて仕方無い。本心も何も隠さず話せるのが、気持ちいいんだ」

 

 隠す本心も何もないんですけどね。まぁ、そこら辺は馬鹿な男ですのでしゃーない。男は単純。女子の方が数倍難しい。女心は秋の空とも言うしな。チョロインなんてこの世界には居ない筈なんや。チョロコットさんなんて不名誉な渾名を付けられるあの人? 誰ですかねそれ(すっとぼけ)。

 

「本当、一夏と仲良くなれて良かった」

「蒼……」

 

 驚いたように呟く一夏。まぁ、俺自身あんま真面目に喋らねえしな。こんなムード漂わせたの何年ぶりだこんちくしょう。気恥ずかしくてしゃーねーわ。なんとも堪えきれなくて、ぽりぽりと人差し指で頬をかく。顔が熱い。馬鹿正直に言うもんじゃねえな。やっぱ事故でどっかやられてんじゃねーの。

 

「まぁ、なんだ。……お前はちょっと別格なんだよ」

 

 キャラ的にもな。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 少し寝る。そう言って怪我人である友人はベッドに倒れ込み、そのままぐっすりと眠ってしまった。やっぱり辛かったのかな。だとするとなんだか申し訳ない。私はその後にそっと病室を出て、震える手でどうにかドアを閉める。音をたてなかった自分を褒めてやりたい。

 

(……熱い)

 

 主に顔が。かたかたというよりぷるぷると小刻みに震える手を握り締め、胸にあてる。心臓が煩い。というか働きすぎだ馬鹿。どうりで顔が熱く感じる訳だよ。今の自分は絶対真っ赤だ。思えば思うほど恥ずかしい。この顔をあの友人に見られなかっただけマシか。

 

「……やっぱ、熱い……」

 

 一夏と仲良くなれて良かった。蒼がそう言うと同時にちょっと微笑んだ瞬間、何かが決定的に変わった。見える景色も思うことも全部ひっくるめて、少なからず圧倒的な何かの影響を受けているみたいだ。これも蒼のせいに違いない。普段はあんなこと絶対言わないだろうに、こんなときに限って言うもんだから不意を突かれた。正直に言ってくれるのは嬉しいけど、流石にあれは恥ずかしすぎる。

 

「……ッ」

 

 意識は朦朧としてる筈なのに良かったなんて言おうとして、感謝を伝えたら逆に感謝されて、助けた理由も無いどころかむしろ私だったのが理由なんて言ってきて。

 

「……馬鹿蒼」

 

 ぽつりと呟く。ホント馬鹿だ。こっちの事を持ち上げるのは好きにすればいいけど、少し自分を過小評価しすぎじゃないかと思う。蒼の良いところは沢山ある。それこそ外面は突出して格好いい方では無いけど、その分何というか、地味に優しいというか。まぁ、気付いてるのはほんの一部の人だけだろうけど。

 

「いつもいつも、蒼は本当……」

 

 本当、蒼には支えられてばかりだ。頼まれたら基本断らずに、自分の持てる全てを使って対処するから余計に質が悪い。しかも地味に思慮深いから意外と判断が良かったりする。

 

「本当、馬鹿だよ」

 

 でも、この熱さは一体何なんだろ。




作者は力尽きました。なんでこんな展開になったんだろ。思い返してもよく分かりません。ちょっと頭が変になってます。もしかしたら書き直すかもかも(詐欺)

色々と落ち着いてきたらまたいつも通りになってるから……うん。少し眠ってきます(白目)

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