(´・ω・`)
自分の名前はどうしてこうなのか。そう親に聞いたことのある人は決して少なくない筈だ。事実俺もその一人である。転生者なのに何してんだとか言うんじゃない。だって普通に分からなかったし気になるもんだろ。ちなみにその時の答えは「産んだ日の空が青かったから」とかなんとかで、物凄く微妙な気持ちにさせられた。在り来たりすぎィ! つーか空って殆ど青いままっすよ母さん。夕焼けとか曇天とかあるけど普通はもう海と同じくらい青いんですよ。あ、だから俺はどこまでいっても一般人なんだな! 理解理解。
「なぁ一夏」
「んー?」
結局何が言いたいのかというと、人の名前は案外些細な理由で付けられることもあるのだ。勿論きちんと画数とか色々調べる人だっているが。そうとくれば本題はこの友人。名前を織斑一夏。こいつの誕生日は一体いつでしょうか? 一夏なんだから夏に決まってんだろJKなんて草生やしながら思ったそこの君。甘い。太刀筋が寝ぼけているよ(キリッ)。実はこいつの誕生日、夏なんて名前に入ってるのに九月二十七日である。つまりあと数日後。
「お前、誕生日何が欲しいよ」
「ん~……特に無いかなぁ……」
洗濯物をぱたぱた畳みながらそう返してくる一夏。こいつマジかよ。なんか欲しい物とか普通はあるでしょうに。ラノベとかゲームとか円盤とか同人誌とか最新型のノーパソとか。自分の欲がだだ漏れですねぇ……。
「嘘だろオイ」
「あはは……」
「ぶっちゃけそれじゃ困るんだが……」
「と言われてもね……」
一夏には大きな借りがある。たしか去年のこと。自分の誕生日にノリで一夏に本棚が欲しいなーとか言ってみたところ、この野郎は本当に買ってきやがったのだ。中学生が本棚プレゼントだぜ? ありえねえだろ。いや、その時は割とガチで震えた。なにこいつ怖い。先ず当たり前の思考回路を持っていればやらねえぞ。アルバイトしてるから金は無駄にあるんだ、なんてにっこり笑いながら言われたけど全然笑えなかった。むしろ鳥肌がたったわ。やめろよお前。今でも大事に使わせてもらってます。
「え? あれ冗談だったの?」
「欲しかったのは本当だけどな。いや、マジで買ってくるとか思わねえよ馬鹿」
「……むぅ」
「拗ねんなよ、きちんと感謝してるから」
本当神様仏様一夏さまさまだな。まぁ、その分俺の罪悪感はマッハでたまりましたけどね! 一夏を良く考えずに弄ってはいけない(戒め)。そうか、弄って後々ろくな事にならない現状は既に男の時から発揮されていたのか……。なんてこった。パンナコッタ。ちくせう。一夏が女になったから勝てないんじゃなくて、女になった一夏と相性が悪いから勝てないんだ。本気で逆らえない気がしてきてるんですけど。
「んで、真面目になんかないの?」
「なんか……あるかなぁ……?」
「冷蔵庫でも洗濯機でもどんと来い」
「出来れば小物で……」
本棚買ってきたお前にだけは言われたく無かったわ。その言葉をそっくりそのまま一年前の自分に突きつけてこい。あまり高すぎる贈り物はかえって貰う方に気を遣わせるんだぜ。ソースは俺。それまで一夏の誕生日とか適当にジュース奢ったりしてたのも追い討ちをかけてきてた。そりゃ俺でも真剣にお返しを考えます。
「……小物ね。よし、分かった」
「いつも通りジュース奢ってくれただけで良いのに」
「いいや、それじゃ納得いかねえ。俺が」
ぶっちゃけこれでも納得いかないけど。
◇◆◇
一夏ちゃん生誕祭(千冬さん命名)当日。休日なら一日使って何かしてやれたかもしれんが、生憎と平日なので勿論のこと学校がある。今日くらいは主役なんだから休んでくれても良いのに、こいつは律儀にいつも通り飯を作りに来てくれた。違うところと言えば一つ、普段より少しだけテンションが高いくらい。にこにこ微笑みながら鼻唄交じりに料理してる姿を見たときは驚くと同時にめっちゃ和んだ。可愛い(確信)。だが男だ。ちなみにその理由はというと。
『千冬姉が祝ってくれるからね』
言って満面の笑み。うん。千冬さんが一夏を猫可愛がりする理由が分かった気がするわ。こんなん今まで通り放っておける訳無いんだよなぁ……。多分あの人の庇護欲は限界突破するレベルでかきたてられてる。優しさが半端じゃないもんアレ。出席簿アタックかましてる人とは思えない。最早別人じゃないかな。妹を溺愛するブリュンヒルデとか世間的にヤバイ。
「ほい、おめでとさん」
「あ、ありがと」
現在朝の通学路。早めに渡しておいた方が良いかもしれないということで、お店で買ってきました感溢れる小さな袋を渡す。実際そうだから仕方無い。しかしながらこれを選ぶだけでもかなりの時間悩み抜いた。TSした友人にあげるプレゼントとして適切なモノなんて分かるわけねえだろこんちくしょう。男相手感覚でチョイスすればいいのかそれとも女相手感覚でチョイスすればいいのか。結局女性寄りの物になってしまったけど。
「開けていい?」
「ん。そうしてくれ」
言えば一夏は丁寧に封を外していく。外国だとあまり良くないあれですね。なんかめっちゃ不安になってきたんだけど。いいや大丈夫。ここ日本だし。包装とかそういうの意味もなく綺麗に外したりするし。一夏がその部類に入るのかどうかは分からんが。スッゴイ嫌な顔とかされたらどうしよう。……こいつに限ってそれだけはありえないか。性格イケメンだから嫌でも笑顔で受け取るのは目に見えてる。ふむ。そう考えるとこちらへの精神的ダメージが少ないので安心だな! 友情? いえ、知らない子ですね。
「これって……ヘアピン?」
「
「なんで英語なの……」
「気にするな」
はい。女の子になった友人の誕生日にヘアピン送ったけど何か質問ある? ちな普通のアメピンとか呼ばれてるやつ。しょうがないだろ。小物って言われてちょうど良いのがこれくらいしか思い付かなかったんだから。ネックレスとか指輪なんかは時間が無くて十中八九選べないだろうし。千冬さんにこっそり相談したら給料三ヶ月分とか変なこと言われるし。それ大体いくらなんすか。学生が払える値段じゃないでしょ絶対。ましてや中学生だぞこちとら。
「前髪。ちょっと邪魔に思ってたろ」
「あ、うん。……分かったの?」
「偶然な。最近結構な頻度でかきあげてたろ」
「そういえばそうかも」
思い返したようにそう言う一夏。まさかあれ無意識でやってたの? 俺はてっきり意識的にやってるものだとばかり。ほら、学校で後ろ向いて話してる時とか何回も繰り返してたし。だからヘアピンあげとけば良くね? とかいう単純思考。男なんてみんな単純だからしゃーなし。うっかり勘違いしてうっかり想いを抑えきれなくなってうっかり告白しちゃってばっさりフラれる。フラれちゃうのかよ。いかんいかん。ポジティブシンキングだ。明るく前向きにいこう。
「それでどうかと思ったんだが……」
「……うん、嬉しいよ。本当にありがとうね、蒼」
「お、おう……はぁ、良かった」
ほっと胸を撫で下ろす。なんか変に緊張しちゃったじゃねえか。たかが友人にヘアピン渡すだけでビビりすぎだっつーの。これだからメンタルチキンなんて呼ばれるんだ。全くもって反論できないところが悔しい。いや、だってどこからどう見てもチキンじゃん。豆腐メンタルじゃん。ヘタレじゃん。自分で言ってて悲しくなってきた。誰か俺の
「……蒼って、意外と私のこと見てる?」
「別に。ただ、一応は大切な友達だし」
「なにそれ。ツンデレ?」
「違うわアホ」
大体男のツンデレなんて一部の層にしか人気出ねえっつーの。それもイケメン限定。容姿に恵まれてる奴って本当良いよな。何しても映える。比べて俺みたいな奴等は何しても平凡。へへ、悲しみにうちひしがれちゃいそうだぜ。
「ふふっ、蒼のツンデレさん」
「馬鹿なこと言ってねえで行くぞアホ一夏」
「あ、ちょ、待ってよ!」
「あーあー聞こえませーん」
取り敢えず、これで今日の俺の役目は終わり。あとは千冬さんが盛大に祝ってくれるだろう。ただでさえ最近一夏と一緒に過ごしてないらしいし、物足りないどころか十二分な一時を与えてくれるに違いない。なんといってもあの人、世界最強のお姉ちゃんだからな。
くぅ~、疲れましたw(ry
めっちゃ難産でした。多分誤字脱字酷いんじゃないっすかね。あと内容も酷いっすね。これもうわかんねぇな。
正直殆どの人が忘れてると思うけど、これ息抜き作品なんだよなぁ……。故にくっそ適当な展開とくっそ適当な設定でやってきたのに何故ここまで人気が出たのか。コレガワカラナイ