俺の友達が美少女になったから凄くマズい。   作:4kibou

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タイトルと本編の関連性が薄い拙作。

どうでも良いけどp2gのこれトラウマなんだよなぁ。


破壊と滅亡の申し子。

 うちの食卓に並ぶ料理は全て一夏が作る。今年の四月あたりからそうなった訳なのだが、これが地味に嬉しいことであった。なんせこいつの料理は普通に美味い。それまでインスタント食品ばかり食べていたから尚更そう感じてしまう。てか今も感じてる。流石は家事の出来る元家庭的男子。専業主夫一夏の渾名は伊達じゃない。尤も今は専業主婦だが。さて、ここまで語っておいて一体何が言いたいのかというとごく普通のことで。今日は遂にやってきた文化祭当日。家事力の高いこいつはメイド服を着ているくせして厨房にこもっていた。

 

「なぁ、一夏」

「なに、蒼」

「こっち向いてくんね?」

「別にいいけ──」

 

 カシャリ。フラッシュと共にシャッター音。即座にメモリを確認すればきちんと撮れている。うむ。最近のデジカメって手ブレ修正とかあって便利ね。結構なお値段はするけども。それを普通に渡してくる千冬さんマジパネェ。聞くところによると今日は急遽仕事が入って来れなくなったそうだ。最終的に血涙を流してたけど大丈夫かあの人。

 

「ちょ、なに撮ってるの!?」

「お前」

「いや、そうじゃなくて!」

「まぁまぁ、落ち着けよ一夏。深呼吸深呼吸」

 

 言われた通りにスーハースーハー。逆にするとハースーハースー。途端に変態度が増したな。つまり深呼吸はエロい。よって最後に深呼吸を行うラジオ体操第一もエロい。数馬じゃねえけどロリ巨乳のラジオ体操とか一度くらい見てみてえなぁ。ほら、小学生って何かとラジオ体操やるじゃん? ジャン・バルジャン? それはレミゼですね。

 

「……なんで撮ったの」

「こほん。──“頼む植里。このカメラで、どうか、どうか一夏の可愛い姿をッ……お願いするッ!”──とのことでだな」

「千冬姉ェ……」

「許せ一夏」

 

 これで最後じゃないけど。千冬さんからは最低でも三百六十五枚は撮ってくれと言われている。なんでも一日一回新しい写真を見ることで生きる気力を持続させられるらしい。一夏って凄いんだな。千冬さんにとってはもう既に麻薬みたいなものじゃないっすかね。多分もう少しで禁断症状が出るぞあの人。

 

「姉弟だからって勘弁して欲しいよ……」

「まぁ良いだろ。写真くらい」

「使った服とかタオルとかとられるのは……?」

「マジかよ千冬さん……(戦慄)」

 

 前言撤回。既に禁断症状が出てた。

 

「でも頼まれたことは仕方ない。今日は沢山撮らせてもらうぞ」

「……はぁ。もう好きにして……」

「悲しんでる表情いいよー」

「………はぁ」

 

 パシャパシャパシャパシャ。安心してくれ千冬さん。あんたがここに来て暴走出来ない代わりと言っては少々心許ないかもしれないけど、俺の持てる全ての力を使ってこの一夏をレンズにおさめるから。なになに、料理途中にとられたら集中力途切れさせて邪魔にならないかって? そこは大丈夫。ご奉仕喫茶と言ったって所詮は中学生の出し物。既製品のお菓子を開封して盛り付けたり、飲み物をコップに注いだりするだけだから。

 

「これも仕事のうちって奴だな」

「蒼の仕事は接客でしょ……」

「オーイ植里。お一人様対応頼むわ」

「おぉ。んじゃ行ってくるわ」

「うん。逝ってらっしゃい」

 

 ちょっと字が違うんじゃないですかね? 少し写真撮られたくらいでどんだけ恨んでんねん。しかもなんか優しい声なのが腹立つ。そんな声音で言うんならもっときちんとした雰囲気をですね。なんて言っている場合ではない。そそくさと服装を正しながら出ていく。どこどこの席だと律儀に説明してくれる伝言役のクラスメートに感謝しながらスタスタと向かえば、そこには信じられない光景が広がっていた。

 

「誰だあの人、めっちゃ綺麗だぞ」

「行くのは……植里、か」

「え? 無理じゃね?」

「あいつ女性だけはホンット苦手だもんなぁ」

 

 え、なにあれ。なにあの人。今からあの綺麗な人の対応なんざせにゃあかんの? どこからどう見ても整った容姿。グンバツのスタイル。透き通るほど蒼い瞳。きらきらと光るようで綺麗な銀髪。おぅっ! 精神のピンチはっやーい! いや、違う。俺が遅い? 俺がSlowly!? 冗談じゃねぇぇええええ!!

 

「あの、チェンジで」

「それあっちが言うことな」

「マジで駄目なんだって、本当お願い」

「いいからさっさと行け」

 

 さっさと逝け? あぁ、つまり一夏のアレはフラグだったんですね分かります。逝ってくるよ、一夏。僕はついてゆけるだろうか。()の居ない世界のスピードに。よくよく考えたらこれタイマンなんだよね。軽く十回は死ねる。

 

「うっ、頭痛が……」

「馬鹿言うな。あっちだってほら、手招きしてるぞ」

「……え、なんで?」

「もしかして知り合いなんじゃね?」

 

 そんな馬鹿な。俺の知り合いにあんな綺麗な人が居た記憶はない。尤も居たとしても関わり合いなんぞしなかったろうが。親戚のおじいちゃんが言ってた。美人は腹の中が真っ黒だから気を付けろって。一夏? TS美少女だしそういうの無関係だろ。ここまで現実逃避。深く息を吐いて覚悟を決める。覚悟はいいか? 俺はしたくない。でもやらなきゃいけない。くそう。もうどうにでもなーれ☆

 

「……い、いらっしゃいませ、お嬢様」

「あら、ふふっ。緊張してるのかしら?」

「……も、申し訳ありません」

「いいのよ。なら、そうね。今すぐリラックスさせてあげるわ。こほん」

 

 ニコリと微笑んでそう言う美人さん。い、一体何をするつもりなんだ。ナニを。いかんいかん。煩悩退散煩悩退散。心頭滅却精神統一。天上天下唯我独尊。ふぅ、何とか堪えきれたぜ。全く、こんな人まともに相手出来る訳ねぇだろ。誰かマジで変わって。

 

「──もすもすひねもす?」

 

 ……。……? ……?? ……! ……!? アアアイエエエエエエエ!?!?!?!?

 

「な、な……ッ!!」

「来ちゃった☆」

 

 て、ててて、て、てててって、てて、て! て! ててって! ててっててって! ててて! て! て!!

 

「うっ、い、あ? え、あぁ?」

「動揺するあっくんも良いねぇ、ふふ」

 

 お、落ち着け。落ち着けお前。お前。お前! 目の前に座ってる人を見てみろ! どこからどう見ても美人さん! 初対面! ほら! 髪の毛銀色だし! 目の色も蒼いし! どこもあの人と共通するところなんて無いじゃん! ジャン・キルシュタインじゃん! それ進撃。

 

「あ、これ凄いでしょ? 束さん特製のウィッグとカラコン。誰も私って気付かないよねー?」

「な、あ、ぇ」

 

 オワタ。

 

「じ、冗談……っすよね……」

「ううん。違うよ?」

「ホ、ホログラム、とか……」

「残念! 現物でした!」

 

 ちくしょう。何故だ。何故こいつがここに居る。絶賛全世界より指名手配中のこの人がよりにもよって何故俺らの中学の文化祭なんかに来てやがる。ふざけんな。アルパカぶつけんぞ。それやったら投げ返される未来しか見えないけど。飛んできたアルパカを某狩ゲーのお猿さんみたく片腕で持ち上げて振るってきたり。となると激昂束さんに狂竜化束さん、極限束さんと獰猛化束さんを実装しなきゃ。なにそれ勝てない。

 

「……マジなんで居るんすか」

「あっくんの執事服を拝みたくてねっ♡」

「服さえ用意して貰えれば今度やりますから今日はお引き取りください」

「連れないなぁ、全くもう」

 

 怒ったぞーという風に頬を膨らませる束さん。見た目を変えてるにしろ変えてないにしろどうせ可愛いには違いないのだが、如何せん怖さの方が勝ってしまう。逆にこの人を目の前に可愛いとか思うこと自体罪なんじゃないかって思ってきた。

 

「……で、本当の目的は」

「ん? 君に会いに来たんだよ」

「はぐらかすんすか」

「嘘じゃないって。本当に」

 

 ガタッと束さんが椅子から立ち上がる。次いでその動作に少しビビりながらもどうにか耐えていた俺の頬に、そっと優しく当てられる片手。最後に空いているもう片方の手でゆっくり俺の眼鏡を外し、恐らくだがじっと見てきた。ここまでずっと動いてません。なんかこう、動いたら死ぬって直感が囁いてるんだ。

 

「──うん。いやぁ、良かった。やっぱり直で見ると安心するよ」

 

 軽く笑いながら呟かれた台詞。それは一体どういう意味なんですか。勘違いしそうになるんでやめてください。十中八九アヤシイ意味だとは思うけど。俺の顔を見て安心する要素なんてあるのか。いや、ない(反語)。結論。束さんはアヤシイ。

 

「あの、見えないんすけど」

「えー? そんなの私は知らないなー。勝手に眼鏡受けとればいいんじゃない?」

「あ、あざす」

「もー! ノリが悪いなぁあっくん!」

 

 すいません。貴女のノリには付き合いきれんのです。てか一度ノってしまったが最後、潰れるまで使い尽くされそうなんだよ。全力で。

 

「つか、変装の完成度高いっすね。声まで少し変えるとか」

「へっへーん。私は天災だからね! なんならほら──でも私、カズくんといたい!」

「ッ!?」

 

 え? なんのこと? どったの束さん。変に思っていれば過剰反応したやつが一人。今の台詞っつーか声に何かあったのか。君の意見を聞こう、数馬。

 

「……今、確かにかなみの声が……」

 

 大丈夫か数馬。

 

「あ、くれぐれもこの事は内密に頼むよ! 勿論いーちゃんにもね」

「まぁ、分かってはいましたけど」

「最初から理解しているとは話が早い。いいね! じゃーばいばーい!」

 

 さらばとでも言いたげに片手を上げてスタスタと教室を出ていく束さん。信じられないけどあの人がIS作ったのよね。うん。つーかご奉仕喫茶らしい対応なに一つせずに終わっちゃったんだけど。マジで俺の顔見に来ただけかよあの人。早速暇が戻ってきたので来た道を帰り厨房へ向かう。途中でクラスメートが「よくやった。あとは任せろ。……死ぬなよ?」と言ってきたが一体なんのことやら。しかも結構な人数に同じようなニュアンスのを。

 

「おっす。何とか帰ってきたぞ」

「ねぇ、蒼」

「ん? なんだよいち──」

 

 か……? うん。様子がおかしい。厨房に戻ってきたら一夏がおかしくなってた。何故に。しかも俺の目はついに駄目になってしまったようで、一夏の背後に般若(スタンド)が見える。も、もしかしてオラオラですかぁ~!?

 

「さっきの、誰?」

「え、いや、その……」

「あれだけ近付いて。何してたのかな?」

「べ、別に何も」

 

 やだ、この子怖い。

 

「ねぇ、蒼」

「ま、待て。い、今は文化祭中……だろ……」

「……うん。分かった。今はやめる」

 

 ほっ。良かった。これで危機は去った。思わず胸を撫で下ろす。なでこなでこ。ナデポとニコポを欲しがる転生者は大抵踏み台。惚れさせんなら男が『漢』であることを見せつけろってんだ。自分も出来てないのに何言ってんでしょうねこのアホ。

 

「話は今日の夕飯で……ね……?」

「は、ははっ、そ、そっすね」

 

 俺、今日死ぬかもしれないわ。

 

「こ、これは……」

「浮気? 浮気か?」

「純愛一夏ちゃんになんてことを……」

「植里許すまじ」

「完全に夫婦のやり取りだよな」

 

 阿呆の特徴その③──自分達で勝手に盛り上がる。

 

 




遅れてすいません。許してくださいなんでも(ry

でも実はこの話、いつもより千字くらい多めなのよね

結構ガチで疲れたので寝ます。体重って何もしてなくても減るんですね(白目)

本当ならゴールデンウィークだし一日くらい三連投しよっかなとか考えてたけど流石に無理じゃないかなって

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