(´・ω・`)すまない。発作だ。気にしないでくれ
新学期が始まって数週間。俺と一夏の関係は驚くほど早く学校内では周知の事実となった。その早さたるや島風の如し。クーガーの兄貴がアルター能力使ったのかと思うほどである。実際結構ビビった。翌日にはもう殆どの生徒どころか教師にまで知れ渡ってるからね。裏で天災が手引きでもしたのかと疑っちゃったよ。
「おはよー植里くん、織斑さん」
「うーっす」
「おはよー」
教室に向かう途中の廊下で前から来た女子に挨拶を返す。一夏を変わった変わったと言っていたが、俺もかなり変わってきている。去年の四月と比べればかなり吃らなくなった。これも一夏と過ごしてきたお陰ってやつかもしれない。つっても吃りが完全に消え始めたのは一夏が彼女になってからだけど。やっぱり心の問題とかそういうのですかね。
「今日も眼鏡似合ってるねー、カッコいいよー」
「あ、ど、どうも」
まだ吃ってんぞこのチキン。会話は可能でも褒められるとかあまり慣れてないのは勘弁なのよ。てか挨拶だけで許してください。こういう時の対応ってどうすれば良いのか未だに分からん。苦笑いして過ごせばいいの? サンキュー☆(バチコーン)とかウインクしながら言えばいいの? 完全にチャラ男。とか阿呆なことを考えていれば腕に刺激。いやん。
「いッ!?」
「……馬鹿蒼」
やめて一夏ちゃん。照れただけ。照れただけだから。慣れてなくて照れただけだから。別に惚れたりとかそんなんじゃないから。なので腕をつねらないで。ちょっとそれ痛いんだよ。凄く痛いんだよ。ちょっとなのか凄くなのかはっきりしろや。
「早速尻に敷かれてるねー」
「あ、あはは……」
「別にそんなつもりは無いんだけど……」
俺だって尻に敷かれるつもりなんてねーよ。そう思っていた時期が僕にもありました。女の子って怖い。妙な迫力と有無を言わせぬオーラは一体どうやって発生させてるんですか。恋する乙女特権ですか。え、違うの? ならもう超能力者のレベルじゃん。女の子は超能力者。浮気バレとかの話を聞くと俄然そう思う。
「ま、仲良し夫婦をお邪魔しちゃ悪いんでこの辺でおさらばするよ。じゃっ!」
「まだ夫婦じゃないんですが」
「ふ、夫婦……」
こらそこ、顔を赤らめるんじゃない。さっきまでバリ嫉妬してたくせに調子の良いことで。まぁ、変な方向に進んでバットエンドルートまっしぐらとかよりは断然マシですけど。付き合う前までは至って普通の可愛らしい女の子。それが付き合い始めた途端に束縛監禁拘束プレイでにゃんにゃんしちゃったりしたらもう目も当てられない。下手すればナイフ持ってザクー。下手しなくても精力搾り取られてゲッソリ。ヤンデレって怖い。
「……まぁ、将来的にはな」
「っ!!」
ぼふん。一夏の顔が真っ赤に燃える! 勝利を掴めと轟き叫ぶ! それ爆熱ゴッドフィンガー。すっげぇな。ぷすぷす言いそうなくらい真っ赤。体温計当てたら人として物凄い数値を叩き出しそう。みんなの味方体温計。必死に温度をあげて無理矢理学校を休もうとした人は決して少なくない筈だ。かく言う俺もその一人である。前世では数回。今世では一度だけ試そうとして失敗に終わった。植里家怖い。
「ほ、ほんとに?」
「千冬さんと話がついた時点で決まったようなもんだ。逃げられねぇし逃げる気もねぇけど」
「そっ、か……良かったぁ」
「相変わらず素直なことで」
そもそも一夏ならまだしも俺を貰ってくれる人なんてこの先現れるかどうかすら分からない。むしろ現れない可能性の方が高い。ソースは今までの俺の人生全て。絶対彼女なんて出来ねえだろと半ば諦めかけるレベルのモテなさに今でも枕を濡らすことが多々ある。最近は無くなったけど。
「そういや最近数馬や弾と話してねぇな。あいつらどうしたんだ?」
「あぁ、なんか蒼関係で後処理があるとかなんとか」
「俺関係の後処理? なんだそれ……」
「私にも分からないよ」
てか後処理ってなんだ。俺なんか悪いことしたっけ。特に身に覚えが無いんだが……。
◇◆◇
「弾。そっちはどうだ?」
『なんとか抑えた。そっちは?』
「こっちもだ。話が出来て良かったよ」
『だな。……蒼のやつ、面倒なもん残しやがって』
「仕方ない、本人も無自覚だ。……だから面倒になる」
『クソがぁ……。あいつ殴る。絶対殴る』
◇◆◇
一月往ぬる。二月逃げる。三月去る。そう言われている通りこの時期は妙に月日が流れるのを早く感じる。この年ではやこうだと歳をとった時は一体どれほど早く感じてしまうのか。転生者だからかもしれないけど。ともかくとして俺は平穏無事にこの日を迎えた。なんと表現すればいいだろう。運命の日。始まりの日。歯車の噛み合った日。全てが動き出した日。厨二的に言葉を使えば始まりの終わりを始めようってところか。あながち間違いでもない。
「うっわぁ……」
思わず漏れたのは誰が聞いてもドン引いていると分かる声。当たり前だ。むしろ今のこの状況でドン引かなきゃ転生者じゃない。転生者じゃねえよ。目の前に佇むのは人が乗るように設計された機械。つーか兵器。つーか翼。ぶっちゃけるとIS。つまりインフィニット・ストラトス。かの女性にしか扱えないとされている代物である。
「うん。まぁ、まぁね、薄々感付いてはいたよ」
ここまでに来る道中のこととか。あれ、これどっかで読んだことあるなーって思ったもの。完全に原作一夏の行動を踏襲していたと知ったのはついさっき。つまりコイツを目の前にしてからである。その原作主人公たる一夏は既に入学が決定しているので今朝に部屋で応援の言葉と共に見送られた。ちなみに帰ってきたら話したいことがあるとも。恐らく俺と最低でも三年間離れ離れになることなのだろうが、まさかここでフラグ発生条件に入ってしまうとは。
「けど、マジでこれは無いわ……」
一夏と会えないのは少し寂しいが、彼女いない歴=年齢を魂レベルで行っている俺としては遠距離恋愛程度バッチコイ。我慢出来ないという訳でもない。こちとら性欲を今の今まで抑え込んでる理性の化け物と呼ばれてもいいくらいの男よ? 彼女が居ないからって他の女性とヤる気もなければヤれる気もしない。だってモテないんだもの。
「……帰ろう。うん。俺は何も見なかった」
そう呟いてくるりと踵を返し、ガチャッとドアノブを捻ってドアを開け──ようとした瞬間。
「あーっくん☆」
ガシッと手首を掴まれてひしっと後ろから抱きつかれ首にきゅっと腕が入ったかと思えば俺の体が宙を舞っている。HAHAHA、ワロス。待てや。たかが凡人相手にこの天災さんは何してるんですか。つーか何でここにいやがるんですか。あんた原作だと居なかったでしょう。態々出張ってくんじゃねえこのおっぱいラビット。ふざけんな。
「飛鳥文化アターック☆」
「ごふぁっ!?」
背中いたーっ!
「た、げふっ、束さ、かふっ、げほっがほっ」
「あっはっはー! 私の勝ちだよぉん!」
ずるずると壁に凭れ掛かりながら立ち上がると、声高らかにおっぱいラビットが勝利宣言をしやがった。こいつマジで何しに来たんですかね。さっさと帰ってさっさと引きこもって。あんたが世間に出てるとろくなことが起きない。歴史が証明してる。
「痛ぁ……背中、マジで痛……」
「そ・れ・よ・り・も、君はそれに触っちゃっていいのかなぁ?」
「は?」
なに言ってんだこの人。それってなによ。訳も分からず自分の手元の方へ視線を送れば全て気付く。ドアを開けてこの部屋に入った目の前にISはあった。そこからくるりと反転して帰ろうとした矢先に天災が現れて反対方向に投げ飛ばされた。さて、こうなるとどうなるでしょーか! 正解は『敗北』です。もしくは『オワタ』。
「…………あ」
「話し声が聞こえたけど誰か──」
バットタイミング。
◇◆◇
『もしもし一夏か?』
「千冬姉? いきなり電話してきてどうしたの?」
『植里が馬鹿に誘拐された』
「へぇ、そうなんだ。…………うん?」
え?
最近適当加減が増してる? それは気のせいじゃなくて事実だから気にしないでくれ。全部私が悪いんだ。ちょっと最近休日が休日じゃなくてもう休日ってなんだっけ状態なだけなんだ。
はい。すいません。ゆっくり休んでから色々と書き直したりします。
最近、油っぽいものを単体でいただけなくなった今日この頃。あっさりした野菜が美味しいと思いました(小並感)