俺の友達が美少女になったから凄くマズい。   作:4kibou

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天災でも立派な女性だから怖い。

「落ち着け、落ち着くんだ……そう。素数を数えるんだ……あれ、素数って何だっけ」

「お前が落ち着けよぉ!!」

 

 一夏のツッコミが冴え渡る。なるほど、これが笑いの零落白夜ですね分かりません。とりあえずこんなてんやわんやしていてはどうしようもない。千冬さんがテンション跳ね上げすぎてもう頼りにすらならないし。何しに来たんだこの人。そう問うたら多分一夏を愛でるために決まってるだろう(キリッ)って返されると思う。事実現在進行形で返されました。人の考え読み取ってんじゃねーよ駄姉。心の内では強気なのに、リアルになると途端に弱くなるメンタルチキン野郎。はい、俺です。

 

「ああもうどうすんだよ蒼! 余計事態が悪化してるんだけど!?」

「you諦めて覚悟決めちゃいなyo」

「嫌だよ!? お願いだからどうにかしてくれ! このままじゃ俺、女に囲まれながらの高校生活だぞ!?」

 

 今と然程変わってない気がするのは気のせいですかね。女の子にモテモテで四六時中キャーキャー言われてるのに、それを言われても今更感しか漂ってこない。落ち着いて考えてみるんだ。そう、女の子に囲まれるという事態は織斑一夏として避けられない現象であり、忌避すべき対象ではないのだ。結果、織斑一夏=ハーレム=女の子いっぱいとなり、織斑一夏=女の子となる。なんだ、最初っから答えは出ていた。

 

「一夏。女が女の園へ行って何がおかしい」

「いやだから俺男だっつってんだろいい加減にしろ!」

 

 えっ(驚愕)。

 

「どうしてそこで驚く!?」

「お前……男、だったのか……?」

「昨日まで蒼と友達だったのは誰だぁぁあ!!」

 

 叫んでぜーはー、肩で息をする一夏ちゃんかわいい。つーかかわいい。おまけにテンションMAXな千冬さんもかわいい……ハズ。ごめんなさい、そこは自信を持って言えないんだ。なんて言ってもファンの方々には別の意味で絶対に見せられないし。こんなの織斑千冬じゃねぇよ。織斑千冬じゃねぇよ! 大事なことでもないけど二回言いました。

 

「……つーか、蒼は、もう分かってんだろ。俺の言いたいこと」

「HAHAHA、いいい一体なな何のことかな(震え)」

「あからさまな反応ありがとう。この中で一番冷静なのは誰か分かってるよな」

 

 勿論だろ。一旦この状況をまとめてみよう。俺って状況整理するの凄く好きだね。今日だけで何回この思考を繰り返しただろうか。千冬さんは一夏のTSでMAXコーヒー並みにテンションがMAXになってるから無理。一夏はそのTSを経験した張本人だから冷静に見えて意外と焦りとか不安とか色々とごちゃ混ぜ闇鍋状態。精神が脆くなっておられる様子。一夏を狙ってる女子の皆さん! 今優しくしたらチャンスだよ! ご結婚出来るかもしれないよ! ……千冬さんという壁を乗り越えられたら。なにそれどうやっても詰んでる。無理ゲーじゃねぇか。一夏の攻略がつーんだつーんだ。ここまで現実逃避。これからも現実逃避だったらいいなぁ。いえ、不可能ですけどね。うん。さて、一番関係無くて頭の中を整理しており比較的冷静で今も尚こんな馬鹿げたことを考える余裕がある人だーれだ? 私だ。お前だったのか……。

 

「ぼくれいせいじゃないからわかんない」

「お前だよ。こんな状況でもふざけてるお前以外に誰がいる。見てみろ、千冬姉のあれはナチュラルなボケなんだよ分かってんのか!?」

 

 こいつ遂にボケなんて言いやがったで。しかも地味に世界中で一人だけの身内のことディスってる。千冬さんは悪くないんだ。一夏の可愛さにやられたせいであって、全てはこれを起こした元凶……おっぱいらびっとが悪いんだ。あれはナイスおっぱいですよ。流石は細胞レベルでオーバースペック。織斑家にも負けず劣らず。篠ノ之家もどーなってんだよ……。

 

「頼む。酷いこと言ってる自覚あるけど、千冬姉を止めてくれよ。そして束さんを説得してくれ」

「あの、自覚あるんだったらやめてもらえませんかね。想像しただけで気絶しそうなんだけど」

「もうお前しかいないんだ。……頼むよ、蒼」

「っ……」

 

 涙目、アンド上目使いのコンボ。確かに俺は女性が苦手だが、別に性的欲求を抱かないって訳じゃあない。萌える展開と合わさってしまえば、自然と本能が勝ってしまうのも仕方がないわけで。つまり何が言いたいかというとだな、一夏ちゃんはいつの間にそんなスキルを身に付けたんですかね。やめてくれ、そんなことされて断れる男はホモくらいしかいない。あとゲイ。どっちも方向性は同じじゃねぇか。そして言うならば、俺はホモでもゲイでも無いということだ。これでもう分かっただろ。

 

「千冬さん、借ります」

「あぁ……、! なに、植里が吃っていないだと」

 

 心臓は凄い跳び跳ねてますから安心して下さい。やばい、こう口から何かが出そう。でろーんて。内蔵みたいなものがこうでろーんて。それくらいドキがムネムネしております。正しく言うとムネがドキドキ。吃らなかったのだって奇跡に近い。ここに来て俺の勝利フラグは立てられた。よし、今なら天災とも対等に話せる気がするぞ、いけるいける絶対出来るやれば出来る諦めんな、諦めんなよぉ! 通話。

 

「も、ももももしもし」

 

 無理じゃねえかヘタレ。

 

『んー? その吃り具合と声はあっくんだね! おひさー! なになに? 君から話そうだなんて明日は隕石が降ってくるね!!』

 

 どうして俺の近くにいる人の共通認識が吃り具合なんだよちくしょう。声でいいじゃん。吃り具合で人を判別しなくてもいいじゃん。ちょっと傷付くだろオイ。ナチュラルに罵倒してんの? それとも俺に罵倒しなきゃ生きていけない病でも患ってんの? 勘弁してくれよ、そんなのあったらもう死ぬしかないじゃねぇか(義務感)。転生オリ主なんて生きても良いこと無いんだ。もう死ぬしかないんだ(確信)。特典も何もない一般人での転生者とか、それ転生した意味あんのかよ俺。

 

「あ、その、ええっと……た、束さん……が、やったんですよね?」

 

 呼吸。呼吸がしたい。ひゅーこー。ひゅーこー。だから息継ぎをしながら話せとあれほど。一息で話すとか無茶にもほどがある。しかしこの人とはあまり話したくないんだよ分かって。察して。

 

『いーちゃんのことでしょー? そうだよー、どうどう? あっくんの中の既視感(・・・)は消えたかな?』

「ま、まままぁ、そりゃ、その……こ、こんなことされたら、消えますって」

『うんうん。それなら良かった。これでもっと楽しくなりそうだよー♪』

 

 何が楽しくなるっていうんだ(困惑)。楽しいどころかこっちは凄い面倒くさいよ。どうしてくれんだこのおっぱい。こらおっぱいこら。揉むぞ。その世界一美しそうなおっぱい揉むぞコラ。

 

『いいよー、君の記憶と交換ならね!』

「!? あ、いえ、えええ遠慮しておきまっす!」

 

 ひえっ。どうして考えてることが分かるんですかねぇ……。やっぱ天災だからか。もしかして部屋に盗撮用のカメラとかつけられてねーよな。この人なら躊躇いなくしそうで怖いんだけど。ちなみに先程の会話からティンときた人もいるかと思うけど、この天災には素性がバリバリばれてるのだー。ははっ、転生者だってばれてーら。色々あったんや。本当色々あったんや。つっても知られてるのは俺が別の世界線から転生したであろうことと、織斑一夏が主人公の小説がこの世界だと知ってるってことくらいだけど。思えばそれさえ言わなければ俺なんて天災にとっての路傍の石だったろうに。あの時のこの人の怖さに口を滑らせた俺のバカ。超バカ。なんとか原作の展開内容だけは死守したがなぁ! ……あれ、一夏が女の子になってる時点でほぼアウトじゃねえか。

 

『ま、あっくんはあっくんのまま動いてくれる(・・・・・・)方が楽しいからいいけど』

「……嫌な予感しかしねぇ」

『あははっ』

 

 ぼそっと呟く。ばっちり聞こえてたみたいですが。ここで俺はピーンと閃いた。独り言ならこうもスルスル言えるんだ。束さんと会話している、ではなくてただ独り言を言っているという認識なら、普通に喋れるのでは。一筋の光が現れた。やった、これで俺も吃らずきちんと喋れるんだ。会話という名のコミュニケーションがとれるんだ。いざ、実践。

 

「そ、そっ、そそそれで、ぃ一夏のこれ、ほ、ほほ本当に直らないんですか?」

 

 やっぱり駄目だったよ……。

 

『うん』

 

 即答ッ! 頷かずにはいられないッ!!

 

『いっくんに使ったのは即効性と確実性のあるモノなんだけどねぇ、欠点として三年間はどんなことをしようが女の子のままなんだ。凄くない? ねぇ凄くない?』

「凄いですね(震え声)」

『当然でっしょー?』

 

 おい天災。その台詞はお前が言うものじゃないと俺の第六感的な何かが告げている。先ず世界線が違う。ここはインフィニット・ストラトスの世界だろいい加減にしろ! さっきから聞いてれば訳分からんことばかり言いやがって。一般的な中学生の偏差値なめんな。転生したからって頭いい訳じゃねえんだぞ。学年トップ争えるくらいだけど。いやそれ十分頭いいやん何言ってんねん俺……。

 

『あとはいーちゃんがどう動くかだけど……これは心配要らないか。いーちゃんは友達思いな良い子だからね、ちゃんと慣れさせて(・・・・・)くれるはず』

「うぇ? あ、いや、その……い、一体どういう……」

『なんでもないよー☆ じゃあもう大体楽しんだし切るねー、ばいばーい!』

 

 切られた。えっ、嘘やん解決方法無くなったやん。しかもあの人楽しむだけ楽しんだだけって。でもお楽しみはこれから的なことも言ってる。あれ、どういう意味だよマジで天災とか意味分かんねぇよ馬鹿野郎。ほんっと人間の手におえねぇ。イミワカンナイ!

 

「……とりあえず、昼飯でも食おう」

「ちょ!? 嘘だろなぁ嘘って言ってくれよ蒼ぉ!!」

「そうだな、さっさと作れ植里」

「ええぇ……(困惑)」

 

 食卓に一人追加。しかも女性。おかしいな、世の中ってこんなに俺に対して優しくなかったっけ。泣きたい。一先ずはこの二人をどうにかしないと安息の日々は訪れないだろう。その為にも今は、昼飯の準備が最優先だ。

 

「一夏、ちちち千冬さんとそこで待ってろ。適当なもん作るから」

「……うん……もう、そうさせてくれ……」

「しっかりしろ。……あとで説明はしてやるから」

 

 すっかりと意気消沈した一夏ちゃん。満面の笑みを浮かべた千冬さんにめっちゃ頭撫でられてる。ついでにほっぺもスリスリされてる。最後にはあれクンカクンカし始めるんじゃね? 何はともあれ、今日もこの世界は平和だなぁ……(目そらし)。




もしかしたら大幅に書き直すかもかも。その時は某猫型ロボット並みのあたたかい目で見守って下さい。

束=サンとの関係がどうもうーんこの。

納豆食いてぇ間違えた納得いかねぇ。

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