やはり学園編は厳しかった。さっさとセシリアさんのセ尻アをオルコット(意味深)しないと
教壇に立つ千冬さんを見ながら、そこはかとなく嫌な予感を感じる。IS学園初日の三時間目。それは原作一夏が色々とアレでアレしてアレになったところである。アレってなんだ。
「この時間では実践で使用する各種装備の説明をする……と、その前に決めなければいけないことがあったな」
前半の説明で希望を持たせておきながら後半に叩き潰していくスタイル。千冬さん、あんたって人は……あんたって人は……ッ! 思わず涙が流れそうになった。冷静に現状を把握してみると見事に植里蒼くんは織斑一夏くんの立場になってしまっている。それは明白だ。どれくらい明白かって言うと冨樫先生の作品が休載することくらい明白だ。最早確定事項。
「再来週のクラス対抗戦に出る代表者を決める。文字通りクラスの代表になる訳だが、対抗戦以外にも生徒会の開く会議や委員会への出席など……まぁ、簡単に言うとクラス長だな。一度決まれば一年間変更はない」
クラス長。というかクラス委員だの学級委員だのというのは大抵ろくな事が起きない。何故ならばこういう面倒くさい役回りは気の弱い人や真面目な奴に押し付けられるからだ。後者ならまだしも前者にとっては地獄以外の何物でもない。ふざけんな。中二の時に人がちょっと惰眠を貪っていただけで学級委員にされた恨みは忘れんぞ。相方の女子は優しくて良かったけど。
「ちなみにクラス対抗戦は入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点でたいした差はないが、競争は向上心を生む」
資本主義に競争は付き物。つまりIS学園は資本主義だった……? ねーな。そもそも資本主義だったり社会主義だったり萌えアニメ主義だったりと難しいことを考えていたら頭がいたくなる。ふむん。せんせー、頭痛が痛いので保健室言っても良いですかー? 馬鹿丸出しの台詞に俺自身ビックリだよ。はわわ。おっぱい揉みたい(真顔)。
「誰かやる人は……」
「私は別に……」
「私もこういうのはちょっと」
「え? 私? 嫌だよ」
「ちょっとご遠慮願いたいですね」
殆どやる気ねえじゃねーか。なにやってんの。君らISのこと学びたくてこの学園に来たんじゃないの。セシリアさんを見習いなさい。あの私が選ばれるのは当然でしょうけどここは少し様子でも見ておいてさしあげますわ的な感じの態度。ですわーですわーなのですわーとか言い出すんじゃね。うさぎぃ! セシリアさんのことを半分背負ってあげなきゃ(使命感)。
「はい、織斑先生」
「どうした篠ノ之」
「私は植里蒼を推薦します」
もっぴぃぃぃぃぃいいいい!! 貴様ぁ! 俺を、この俺を裏切りやがったなぁぁぁああああ! おのれ篠ノ之! ゆ゛る゛さ゛ん゛!! 恨みを込めた視線で睨み付けていれば向こうからもキリッとした鋭い眼差しを返される。アイコンタクトって奴っすかね。残念ながら俺はそんな高等技術持ち得てないのよ? なんて思っていればちらっちらっとセシリアさんと一夏の方をいったりきたり。あっ(察し)。なるほど、つまり一夏を推薦しても納得できませんわ! セシリアさんを推薦しても納得できないよ、となる可能性を踏まえて無駄な争いを減らそうと俺を利用した訳ですね! 箒さんにしては随分と考えられている。しかし甘い。
「……(ちらっちらちらっ)」
「……(ちらちらちーらちらっ)」
「……ッ(ちらちーらちーらち)」
「……?(ちらっちちーらちち)」
「お前たちは何をしている」
ギロンと千冬さんに睨まれる。あふん。やめて、ちょっと普段と違いすぎて怖いですよ。仕方なく箒さんとのアイコンタクトをやめた。ちなみに今の間にあった会話を訳すとこうなる。
『あの、俺が巻き込まれるだけなんですが』
『構わん。むしろ巻き込まれてしまえ』
『駄目だろそれはッ』
『駄目なのか……?』
駄目です(断言)。今時巻き込まれ系転生者なんて使い古されすぎて真新しさの欠片もねーよ。なーんだまたこいつ巻き込まれてるよとか言われるのが目に見えてる。いっつも巻き込まれてんなこいつ。そんなに巻き込まれたいんなら車輪にでも巻き込まれてろっつーんだ。転生者はさっさと死なないといけないってぼく知ってるよ。俺の寿命は心臓が弱くてあと三ヶ月なんだ……(大嘘)なんだか純愛のかほりがすりゅ。
「植里くんかー。ちょっと頼りないけど」
「まぁ、唯一の男子生徒だし」
「彼女持ちのリア充野郎だし」
「少しは貧乏クジ引いてもらわなきゃ、ね……?」
「(計画通り)」
一対一かと思っていたら多人数で攻め込まれました。なんだこのリンチ。最早俺の体はミンチ。お肉にされちゃいそう。植里くんクッソ不味い挽き肉にされちゃう。誰も買わないのに肉にする意味は無いんだよなぁ……。最初から廃棄処分確定とか、マジウケる! いやウケねーよ。折本さんは世界線さえ違えば正妻になってる人だからね。閃光さんだからね。
「候補者は植里……他にはいないか? 自推他薦は問わないぞ」
「あ、じゃあセシリアさんで」
ここぞとばかりに手を上げてそう告げる。そうよ。最初からこうしておけば全部丸く収まる。俺が辞退して後はセシリアさんに任せちまえば大団円。わたくしに任せておきなさいおーっほっほっほとも言わんばかりにこのクラスをまとめ上げてくれるだろう。原作では結局一夏がやることになってたけど。あれはまぁ、しゃーない。チョロコットさんの運命という奴だ。運命とは眠れる奴隷だからね。
「じゃあ、というのが少し気にくいませんが構わないでしょう。わたくしが選ばれるのは当然のことですから!」
ナイス。ナイスセッシー。相変わらず良いケツしてんなぁ……じゃなくて。相変わらず良い性格をしておられる。いや、純粋に。俺には真似できないよあんな自尊心に満ち満ちた態度。普通に憧れちゃいそう。そんでもって告白したら「ごめんなさい貴方みたいな凡人とは付き合えませんの生まれ変わって出直してきてくれません?」ってフラれるんだろ? 知ってる。
「植里とオルコットか。他にはもう誰もいないか? いないならば二人のうちどちらかに決まるが──」
「織斑先生」
ピクンと眉が動く。千冬さんの。手を上げてそう言ったのは一夏。心なしか千冬さん、親しい人にしかバレないくらいだが若干悲しそうな嬉しそうな複雑な表情をしている。あぁ、一夏に千冬姉って呼んでもらえなくて悲しいのね。でも織斑先生って呼ばれるのも新鮮で良いとか思ってるのだろう。なして俺はこんな的確に千冬さんの内心を予想しているんだろう。もしかして千冬さんのこと好きなの? だとしたら好きすぎて引くわ。
「私もいいですか?」
「あぁ、別に構わない」
あれ、一夏?
「お前、なにを……」
「別に。ただ、うん。ちょっとセシリアさんに思うところがあってね」
「聞こえていますわよ織斑さん」
セシリア、聞こえてたってよ。ふふふ、怖い。ふふ怖だよふふ怖。ふふふ、怖いか? しっかしなぁ……以前からそうと言えばそうだったんだけど、一夏ってこういう女尊男卑社会のノリにノッてるような女性に対しては案外あたりが強いというかなんというか。物怖じしないのは美点だけど同時に汚点でもあるというか。とにかくなんだかなぁ……。
「あ、ごめんね。気にしなくて大丈夫だから」
「……貴女、随分と性格が悪いんですわね」
「セシリアさんは結構良い性格なんじゃない?」
「…………決闘ですわ」
おい、
「いいね。四の五の言うより分かりやすいよ」
「精々負けて泣きわめかないことですわ」
「その言葉、そっくりそのまま返してあげるよ」
ばちばち。またもや火花飛び散る。あれ、女の子同士の会話ってこんなにもトゲトゲしたものだったっけ。いや、単にこの二人の相性が悪いだけか。原作だと主人公&ヒロインだと言うのに。一夏ちゃんよ。もうちっと主人公らしさ出してもええんやで?
「……おい、一夏。お前マジでなにしてんの」
「……あのね、別にセシリアさんのことを特別嫌ってる訳じゃないんだ」
「ならなんでそんな……」
「私が一番怒ってるのはね、知らないのに蒼のことを侮辱してくれたから、だよ」
……お前なぁ。
原作読む→小説書く→行き詰まる→原作読む→小説書く→行き詰まる→33-4
彡(゜)(゜)