俺の友達が美少女になったから凄くマズい。   作:4kibou

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ただのヘタレやな(確信)


もしも植里くんが女慣れしていたら。

 へい姉ちゃん! ちょっくらお茶しないかい? ああ、俺? 俺の名前は植里蒼。蒼って呼んでくれ。え? やだ? 恥ずかしがらなくてもいいぜ? なんせ俺ってばカッコイイから面と向かって恥ずかしくなるのは当たり前だ。なんならそのまま俺に惚れてみるかい? こう見えて意外と一途よ、俺ってば。けど聖人君子ってワケじゃないから悪しからずね。嘘もつけば隠し事だってしますとも。つーわけでどうよ。あんたとても綺麗だ。俺で良ければ、是非とも相手にしてほしい。……駄目か?

 

「集中集中集中集中……」

「蒼ってば緊張しすぎだよ……」

「まぁ、こうなるとは思っていたが」

 

 それに、相手の意思は尊重するタイプだ。あんたが嫌って言うんなら勿論やめるが……返答が無いってことはそういうことか? 無言は肯定と捉えるぜ。確かに意思は尊重するがその前に言ったじゃねえか。俺は聖人君子ってワケじゃない。多少強引でも許してくれよな。早速だが手を失礼するよ。ああ、そんな顔を真っ赤にしなくてもいいじゃない? これくらい。俺だって恥ずかしいのを我慢してるんだ。そうは見えない? そりゃあレディの前で無様な姿を見せるワケにはいかないでしょ。男ってのは馬鹿だからカッコつけたくて仕方ないんだよ。

 

「……よし。いける」

「あれ?」

「む?」

 

 息を吸って、吐いて。おお、どっちも随分と綺麗な女の子じゃん。こんなに美しい人達が俺と仲良くしてくれるだなんて、とても光栄だね。感謝の証としてその美しさを褒め称えなければ失礼ってもんだろう。男として日頃から女性を褒めない奴はクズ同然だ。美しいものを愛でる感覚が分からないのか。

 

「よう一夏! 相変わらずカッワイーなお前! 流石は俺の嫁だ。今日は存分に楽しもうぜ?」

「……あ、蒼?」

「箒ちゃんはいつも通り綺麗だ。今日もポニーテールが最高にキマってる! 俺は毎日箒ちゃんと合えて幸せだね」

「……蒼?」

 

 なんだどうしたのよ二人とも。そんな不思議そうな顔をしながらこてんと首を傾げちゃって。全く可愛くて困っちゃうなこれは。頼まれたら断れそうにない。ま、男として女性の頼みごとは基本断らないけどね。

 

「俺の顔に何かついてるのかい?」

「蒼、それやめて」

「おいおい一夏ちゃん。可愛いくせして随分と怖い顔で迫られると俺も流石に冷や汗が」

「やめて」

「はい」

 

 すみません。

 

「なにしてるの」

「緊張を誤魔化そうと役になりきってた」

「それでどうして箒を口説いてるの」

「あ、いや、なりゆきで……」

 

 ちょっと女性慣れした植里くんを頑張って想像してみたんだけど盛大に方向性を間違ってましたね。女慣れというより女たらしと言った方がいい。俺が女たらしだって? HAHAHA、ワロス。なれるもんならむしろなってみてーよ。どうやったらそんな流暢に話せんのって感じ。さっきお前流暢に喋ってただろうがというツッコミは無しの方向で。そもそも一夏と箒さんだからある程度慣れている。

 

「なりゆきで口説かれた私の気持ちも考えろ。もう少しで惚れるところだったぞ」

「あ、さーせん。……え?」

「勿論冗談だが」

「ですよね!!」

 

 一瞬マジでビビったじゃねえか。箒さんはチョロインじゃないってぼく信じてる。どこぞのイギリス代表候補生さんとは違うって。お尻が特徴的なあの人とは違うって。

 

「……浮気はダメだよ」

「いや、しねぇって」

「なら良いんだけど」

 

 そもそも浮気する相手がいませんよ? 一夏さん。そこら辺あんた忘れてないかい? 俺は基本モテない非リアな植里くんそのままです。変わったところなんて精々女性とのコミュニケーションに困ることが少なくなったくらいだ。吃ることは減った。でもまだ慣れないのが現状。現状ディストラクション。

 

「植里くん植里くん!」

「あ、山田先生」

「届きましたよ! 植里くんのIS!」

「あ、やっとっすか……」

 

 試合開始までまだちょっと余裕はある。そう考えれば原作よりマシか。いや、一夏が俺という下位互換になってる時点でマシもなにもありはしない。オイコラ天災。あんたならもう少し早く作れただろ。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン! みんなお待ちかねメインヒロイン☆束さんの登場だよっ!」

「メインヒロイン……?」

「誰も姉さんのことなんて待ってません」

「どこから入った馬鹿者。今すぐ帰れ。土に帰れ」

「うわぁん! みんな酷いよっ!」

 

 酷いのはあんたと俺の機体だよ束さん。絶賛千冬さんからアイアンクローかまされてる天災を冷めた目で見ながら溜め息をつく。いやさ、そりゃあ白式が良い例だからある程度予想はしてたけどさ。うん。これはない。はっきり言ってこれはねぇよ。まだ訓練機の方が戦えるんじゃないかってレベル。アホじゃねえのこの人。アホだろ。どう考えてもアホだろ。天才じゃねえよ。天災ではあるが。

 

「聞くぞ。何故お前がここにいる」

「専用機を届けに来ました~えへっ」

「ならもう帰れ」

「やーだよっ☆」

 

 あ、またアイアンクロー喰らってる。

 

「いたた……いやぁ、私が開発したんだからさ、晴れ舞台くらい見させてくれても良くない?」

「お前はそんな奴じゃないだろう」

「酷いなぁちーちゃん。束さんだって普通の感性があるんだよ?」

「どの口がそれを言うのか」

 

 箒さんが凄い勢いでブンブンと頷いてる。そして微かに拳が握り締められつつある。あれ、下手なこと言ったら今までの恨みと共に打ち出されるパティーンですね。いいよ箒さんやっちゃって。躊躇いなく殴り抜いちゃって。特殊な呼吸法でも何でも使っていいから。震えるぞハート、燃え尽きるほどヒート。

 

「ま、流石に長居はしないよ。この機体の説明だけしてソッコーで帰るから! 海の上であっくんのために製作したので、名付けて蒼海!」

 

 へぇ、そうかい。

 

「説明書を読んだ植里が固まっているが」

「当然! なんせこの機体は凄くスペシャルなものだからね!」

 

 ええ、とてもスペシャルですね。悪い方向で。

 

「先ず武装! エネルギーチャージ及び放出機能付きロッド一本! のみっ!!」

 

 分かりやすく言うとちょっとメカメカしくなってる長い鉄パイプ。

 

「それ以外? うんうん。それもまたISだね」

 

 はい、それだけ。うん。馬鹿じゃねーのマジで。棒だけって。武器が棒だけって。馬鹿じゃねーの。なんか機能付いてるらしいけど結局棒なんだろ? ただの棒なんだろ? 長いだけの棒なんだろ? 棒♂なんダルルォ!?

 

「あっくん、それをただの棒か何かだと思ってる? 違うんだなぁこれが!」

「……ま、まさか他になんかあるんすか」

「あるよっ! 詳しくは説明書の次ページ!」

 

 ぺラッとめくる。なになに。ふんふむ。自分なりに解釈するとロッドで攻撃したり捌いたりしてるとエネルギーが溜まる。溜まったエネルギーを解放して刃を生成。当たりさえ(・・・・・)すればほぼ確実にシールドエネルギーを削りきれる。なるほど。あれ、普通に強いじゃん。一発で仕留められるとか凄いっすね。やっぱチートって奴ですか? やったぜ。

 

「ちなみにブレードは三秒しか維持できないし再発動まで十分間の冷却時間があるからご利用は計画的にねー」

「やっぱ駄目じゃねえか」

 

 エネルギー溜め→状況を見て解放→三秒経過→終了→エネルギーゼロ→十分間ただの棒。あらやだ奥さん。ロマンの塊ですわよ。一発にすべてを賭けなきゃいけないのか……燃えるな(白目)。

 

「初心者になんてもんを……」

「私の機体より酷いなんて」

「蒼、敗北を知るのもまた人生だ」

「植里の初戦は黒星からか」

 

 負け確とはこういう状況を言うのだと、この日改めてそう思った。マジで手加減して、セッシー。




説明がふわっふわ? 作者の頭の中がふわふわしてるから仕方ないね。ふわっときてくらっとしてストーンですよ。皆さん貧血や脱水症状には気を付けてください(戒め)

意識落ちるときってマジで分からないのね

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