俺の友達が美少女になったから凄くマズい。   作:4kibou

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むしろ女キャラより可愛い男の娘。


あると思います(真顔)


こんなに可愛い子が女の子なワケない。

 シャルルさんと相部屋になって数日。つまり二人の転校生が来てから数日が経った。相変わらずイケメン貴公子である彼女……げふんげふん彼の人気は凄まじいもので、連日ありとあらゆる学年の女子がクラスへと押し掛けている。あれか。原作と違ってイケメン成分が少なかったからもう爆発してんのか。悪かったなイケメンじゃなくて。世の男共なんてこんなもんよ。

 

「……」

 

 そのシャルルさんだが、最近は訓練も一緒にやってもらっている。試しに誘ったら喜んで受けてくれたんです。なんだこの人めっちゃいい人やん! どうしてもその裏を疑ってしまいそうになるのは俺の悪い癖。好意はストレートに受け取るもんだ。人間は意地汚いので本当はもっと注意深くしてないといけませんよ? うん。シャルルさんは別にいい。千冬さんからOKサイン貰いましたし。

 

「…………ふぅ」

 

 しかしながらこの数日は毎日がエブリデイだった。違う。毎日が試練の連続だった。なにせあちらの秘密をこちらは知っている。だがそれをあちらは知っていない。簡潔に述べるとシャルルさんが女という事実を知っている植里くんのことをシャルルさんはまだ知らない。必死でした。ラキスケもスキンシップも気まずい雰囲気もどうにか避けて来ました。原作一夏みたいに馬鹿やらんぞと。絶対にしくじるもんかと。んで、現在。

 

「どうすっぺよこれ……」

 

 思い悩みすぎて喋り方がおかしくなってしまった。やばい、お里がバレる。それは一旦置いておくとして。今日も今日とて厳しい訓練を終えた俺なのだが、山田先生から専用機の何やらかんやらで書類を書いてほしいと言われ職員室へ赴くことに。結果としてシャルルさんとの更衣時間を効率よくズラせたのでグッド。ナイス。ヴェリィナイス。そう思っていた時期が僕にもありました。

 

「いや、マジで……」

 

 さて、部屋に帰ってみるとシャルルさんがシャワーを浴びている。しかもボディソープは昨日切れたと言っていた。そうだ。そうなのだ。一夏だっていつも通りラキスケやって気付いた訳じゃない。たしか親切心でボディソープを渡そうとしてバッタリ鉢合わせ。そんな展開だったと思う。その気遣いが駄目なんだよ。

 

「……大事なのはバラさないことじゃない。どうバラすかだ。できる限り最小限の被害で」

 

 これまでの時間。俺も馬鹿みたいにただ避けて過ごしてきた訳ではない。ひたすら考えた。どうやってこの状況を切り抜けようかと。そうして行き着いた結論。さっさとシャルルさんを女とバラせば良いんですね! うん。原作展開だよしょうがないよ。任せるとか千冬さんに言われちゃったしそういうことだろ。

 

「大事なのはタイミング、視線、反応。息子(お前)は反応するなよ。出来るだけ自然に、だ」

 

 ぶつぶつと呟く。覚悟を決めろ植里蒼。ラキスケを決め込む覚悟を。ぼんやりと考えていた計画通りだ。ある程度の信頼関係を作ってからこのイベントを実行する。変に警戒されると危ない。だから仲良くなって俺に害がないと知ってもらったところで──見る。なにを。シャルルさんの裸を。イエス、女体。

 

「……行くぜ、俺のターン」

 

 ぐっとドアノブを握った。扉を挟んでガチャリという音が聞こえる。シャワールームから出たのだろう。今がチャンス。好機! 勝った! 第三部完ッ!!

 

「──シャルルさん? ボディソープが無かったと思うんですが……」

「ッ!! 蒼っ!? あ、ダメ、今は──」

 

 ダメって言われるとやりたくなるよなぁ!?

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

「……で、見たの?」

「いや、そのな? ホント少しだけ。先っちょだけ」

「ふぅん……。どうなのシャルル」

「へっ? え、えっと……結構、見てたよね……」

「ギルティ」

「ちょ、おま、あばーっ!?」

 

 首がっ! 首が曲がるぅ! 曲がっちゃいけない方向にイッちゃうぅ! イクぅ! 許して一夏ぁ!

 

「かっ……はっ……い、いち、かっ……ぎぶ」

「堕ちろ。そして巡れ」

 

 なんだかどこぞの霧の守護者っぽいですね。マジでオチそうだからやめて。ほら、シャルルさんがめっちゃ怯えてるから。小声で大丈夫とか聞いてきてるから。優しいですね。一夏にもこんな時期があったのかと思うとお兄さんちょっと寂しいよ。

 

「げふっ」

「制圧完了」

「え、えっと……大丈夫?」

「ナントカ」

 

 つーかシャルルさんは人の心配より自分の心配をした方が良いと思いますけど。はてさてどうして一夏がここに居るのかという疑問だが、どう考えても俺より上手くやれそうなのでコールしました。電話で十秒。恐ろしいスピードである。ソニックも真っ青。あれ元から青いけど。

 

「大体、その言い方だと知ってたんじゃない?」

「……まぁ、一応」

「えっ」

 

 驚いたような声を出すシャルルさん。いやいや、なにをそんなに目を丸くしてらっしゃるの。その程度の嘘で俺を騙そうなんざ百年早い。俺ってばこう見えて結構嘘をつくのが得意だからね。同じくして嘘を見抜くのも得意だ。……まぁ、九割方原作知識ですけど。

 

「最初から変だと思うだろ。わざわざ安全性の高い一夏と部屋を離して一緒にさせるって時点で。しかもあの千冬さんが」

「……そう考えればそうかも」

「そんで色々と冷静になって見てみるとだ。シャルルさんが美少女にしか見えない。はい、ここ重要」

「口説いては……ないよね。さすがに」

「当たり前だ。この状況で口説くとかどんな馬鹿だよ」

 

 原作のお前くらいやぞ。

 

「てことは、今までずっと……」

「うす。めっちゃ頑張ってましたよ。着替えの時間もシャワーも上手く一人だったでしょう?」

「……あ」

「そんで気付いてないフリもしてましたんで、もうクッタクッタですよ植里くんは……」

 

 精神ゲージがゴリゴリ削られる削られる。削りダメが酷すぎてイライラしそうでしたよ。特に寝るときなんかもうヤバイ。マズイ。なにがマズイって一度女の子と一緒の部屋って意識しちゃうと瞼がぱっちりしてくる。ごめんなさい。一夏以外の女子にはまだ多少慣れが必要なんです。うちの嫁が最近女性関係にうるさくて……。いや、嬉しいことですけど。

 

「……そう、なんだ。あはは……バレてたんだね」

「あの、騙しててすいません。性格悪いやつでホント申し訳ないっす」

「ううん。僕も、騙してたから」

 

 うーん……無理矢理はっつけたような笑顔が痛々しい。なんつーか見てられない。思わず顔を背けたくなる。シャルルさんがイケメンなのも原因かもしれない。いや、今は美少女か。うんうん美少女美少女。美少女は良いものだよ、うん。

 

「……それで、どうするの? このことを伝えてここから追い出す? それとも言わないでやるから、ってやつ? どっちにしろ僕に選択権はないけどね」

「あ、いや、そうじゃないっす。はい。つーかそんなことする気ねぇよ……」

「違うの? じゃあ──」

「あぁもう。そもそもですね、俺は千冬さんにシャルルさんのことを“任せる”って言われたんですよ。そんなこと出来ません」

 

 任されたら最後までやり遂げるのが男である。多少の無茶は百も承知。全力全開でぶっちぎってやるぜ! とまではいかないが、約束は守る人間なのできちんと果たします。ホントだよ。ワタシヤクソクヤブラナイ。

 

「なら、蒼はなにを……」

「決まってますよ。──平和を取り戻す」

「あぁ、部屋をかえてほしいんだ」

 

 ちょっとやめて。ヘタレなのがバレるでしょうが。いやもうバレてる。

 

「とりあえず、なんでシャルルさんは男のフリしてたのか……ってとこからっすね」

「……聞いてどうするの?」

「それは聞いてから考えます。俺、こう見えて頭の回転が早いんで」

 

 これも嘘。原作知識でかなり知っちゃってるからね。こいつ大分嘘ついてんなぁ。嘘つきは泥棒の始まりだという言葉を知らんのか。閻魔様に舌を引っこ抜かれて死ねば良いと思うよ。できれば美少女の閻魔様が良いですねぇ……。

 

「大丈夫っす、シャルルさん。悪いようにはしませんから」

「完全に悪いようにするつもりの台詞だね」

「ちげーよ馬鹿一夏。俺は真面目です」

 

 久方ぶりに植里くんマジモードよ。




オリ主「親方! 空から一夏(♀)が!」

ちっふー「五秒で受け止めろ」

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