俺の友達が美少女になったから凄くマズい。   作:4kibou

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ちっふー大佐「三分間待ってやる。その間に私の攻撃を耐え抜くことだ」

オリ主「(白目)」


鬼! 悪魔! 千冬!

『非常事態発令! トーナメントの全試合は中止! 状況をレベルDと認定、鎮圧のため教師部隊を送り込む! 来賓、生徒はすぐに避難すること! 繰り返す!」

 

 やれやれ、面倒なことになったもんだ。やれやれ。反対から読むとれやれや。うん。クッソどうでもええことやったな。やれやれだぜ。なんてやれやれ系俺TUEEEEE主人公を気取ってみたが何か変わるわけでもない。状況は依然としてマズイままである。とりあえず一夏よ。さっさとその機体から離れてこっちに来てくれ。

 

「──!」

 

 あ、なに構えてんねんアホ。

 

「ぐうっ!!」

 

 握られていた雪片弐型が弾かれて、そのまま縦一直線。鋭い斬撃をお見舞いされた馬鹿は凄まじい速さで落下してくる。今のはヤベェだろ。IS無かったら死んでるぞオイ。ちょっと心配になってきたので即座に一夏の元へと飛んでいく。親方! 空から一夏が! 落とす訳にはいかないだルルォ!? ということで瞬時加速(イグニッション・ブースト)やってみたら成功しました。やったぜ。正直失敗する確率の方が高いから躊躇してたんだけど、多分これやらなかったら間に合わなかっただろうし。落ちてくる一夏をソフティーに受け止める(お姫様だっこ)。と同時に白式が消えた。嘘やろ。あんたまだ出番残ってるんやで。

 

「……おい、大丈夫か一夏」

「それがっ……」

「おい、聞いてんのかお前」

「それが、どうし──」

「オイコラ」

 

 バチコーンと優しくデコピンをかましてやる。ISを装着したままで全力出したら例え一夏であっても死にますから。勿論手加減したとは言え十分に頭が冷えるほどの威力だ。腕の中で額を抑えながら呻く一夏を見るにもう大丈夫だとは思う。いや、これで駄目だったらちょっと驚くどころじゃないわ。

 

「痛いよ! 蒼!」

「落ち着け一夏。どうどう」

「落ち着いてる!」

「だぁ~かぁ~らぁ~……。落ち着け」

 

 駄目だったみたいですね。ぎゃーぎゃー喚く一夏の額にこつんと自分の額を当てる。この体勢ちょっとっつーか結構キツいっすね。腰回りがなんかヤバイことになりそう。あひぃ。必死に何でもないようにしてるのは男の意地だ。彼女の前でくらい格好つけさせてくれよ。まぁ、俺が格好つけたところで格好良くは見えないと思いますがね。

 

「あ、蒼……?」

「頭冷やせ。お前、自分の状態分かってんのか」

「え、ええっと……」

「白式も無いのにどうするつもりだ。自殺でもすんのか? だとしたら余計にお前を離す訳にはいかねーけど」

 

 ホンット馬鹿。最近はちょっと控えられてきたとは言え、こんな風に感情に流されやすいのは昔から変わってない。良い意味でも悪い意味でも自分の気持ちに正直な奴である。馬鹿で直情的。おまけで有頂天になると初歩的なミスをする。凄いのか凄くないのか良く分からんなお前。いや、普通に凄いって知ってるけど。

 

「……あれは、あの動きは、千冬姉のものなんだよ。千冬姉だけのものなんだよ。それを……ッ」

「まぁ、持ってる得物がアレだしなぁ」

「気に入らない。あのISも、あれに振り回されてるラウラも。一発叩かないと気がすまない」

「そっか。で、ISも無しにどうやって戦うんだ?」

「それは……」

 

 こいつの白式は先程消えた。あの消え方は恐らくエネルギー切れによるもの。ラウラさんほどの実力者を倒すのに零落白夜を使わない訳がない。それまでのダメージと零落白夜発動による減少。からの直撃で削られたのだから当然かもしれない。ちなみに問題の黒いISについてはアリーナ中央から微動だにしない。

 

「別に俺達がやらなくてもこれは解決される。無理にする必要なんか無いだろうが」

「私達がやるんじゃない。私がやりたいからやるんだよ。……千冬姉の身内として、黙って見ている訳にはいかないんだから」

「面倒くせぇな、お前」

「そんなの分かりきってるくせに」

 

 言われて思わず口の端を吊り上げた。確かにお前が面倒くさいのは昔から同じで、もう分かりきっている。一夏だから仕方無い。こいつと一緒に居れば決して退屈しないが、かなりの頻度で面倒事に巻き込まれるのだ。トラブルメーカーどころじゃない。お前自身がトラブルなんじゃないかと思うレベル。

 

「つってもどうすんだ。エネルギーは」

「無いなら他から持ってくれば良いんだよ、蒼」

「……シャルル、できるの?」

「普通のISなら無理だけど、僕のリヴァイヴならコア・バイパスでエネルギーを移せると思う」

 

 ここで来るか原作展開。いや、ラウラさんがアレになった時点で既に予想はしていた。やっぱり一夏としては千冬さんの姿をトレースしたアレを許せないっぽいし。言った通り、身内として黙っている訳にはいかない何かがあるんだろう。

 

「本当!? だったらお願い! 早速やって!」

「けど! ……絶対負けたら駄目だよ?」

「もちろん。ここで負けるなんて蒼じゃあるまいし」

「おい。さりげなく俺を罵倒すんじゃねえ」

 

 反論できませんけど。

 

「じゃあ、はじめるよ。……リヴァイヴのコア・バイパスを開放。エネルギー流出を許可。──一夏、白式のモードを一極限定にして。それで零落白夜が使えるようになるはずだから」

「うん、分かった」

 

 リヴァイヴから伸びたケーブルが待機状態の白式に繋がれ、エネルギーの移行が始まる。その間にちょっとくらいアレについて考えおきますか。さて、一撃当てるだけなら白式を纏った一夏だけで容易く出来るだろう。けれどもそう簡単にはいかない。零落白夜を使うとなれば話は違ってくる。だってあれ、ものスッゴイ諸刃の剣ですし。

 

「完了。リヴァイヴのエネルギーは残量全部渡したよ」

 

 加えて、これだもんなぁ。

 

「やっぱり、武器と右腕だけで限界だね」

「充分だよ」

「な訳あるかアホ」

 

 呆れた。それだけで本当に大丈夫とか思ってんのかよこの馬鹿。防御ペッラペラじゃないっすか。当たらなければどうということはないの? 零落白夜当てるだけなら無問題なの? こっちは不安で仕方ねぇんだけど。

 

「ちょっと待ってろ」

「え、ちょ、蒼? まさか……」

「隙、あった方が良いだろ」

「いやいやいや! 無理だって!」

 

 俺じゃ無理だって? 分かってる分かってる。だってアレ千冬さんの動きするんでしょ。先ず勝てる訳ないんだよなぁ……。つーことで勝つ気は更々無い。体張ってただ一瞬の隙を作る。それだけで十分だろう。てかそれ以上やると俺が死にかねない。

 

「ようし。そんじゃあ構えとけよ、一夏」

「まっ、蒼っ!!」

「……はぁ。本当この二人は……」

 

 すまんなシャルルさん。あとで胃薬送ってあげるから許してくれ。もしくは頭抑えてるし頭痛薬の方が良いかもしれない。ぶっちゃけ一夏なら何とかやれそうな気もするというかやれると思うけど、出来るだけリスクは低い方が良いに決まっている。

 

「ドーモ、ラウラ=サン」

 

 言って武器を構えた瞬間に繰り出される斬撃。それを受け止めるようにロッドで防いだ。あっぶな。ロッドが無ければ死んでいた。サンキューロッド。しかしあれですね。挨拶に攻撃で返すとは随分野蛮な。

 

「いってぇ……防いでこれかよ。直撃したらISごと切り裂かれるんじゃねえの? こわっ」

 

 まともにぶつけ合ったらこっちが保たない。次いで放たれた袈裟斬りを今度は受け流すようにして防ぐ。威力を殺しきれないのなら殺さなければ良い。とにかく考えるのみだ。どうやって隙を作りましょうか。スッキスキスキー。隙があれば好きになる。なに言ってんだろ、俺。

 

「ごふっ!?」

 

 やっべ。油断した。脇腹に一撃入れられて簡単によろける。そのまま倒れそうになるのを何とか堪え、痛みでまともに回らない頭を無理矢理働かせにかかる。

 

「うっそ、だろ。三割近い、ぞ、これ」

 

 一発貰っただけでこの威力。数発連続で喰らったらオーバーキルは免れない。流石世界最強の動きをトレースしただけはあるぜ。強すぎて絶望しそう。攻撃を凌ぐだけで精一杯どころか結構厳しい。本物が一体どれほどの化け物だったのか良く分かる。

 

「……ぐっ、ごっ、ぶほぁっ!」

 

 あかん。これちょくちょく喰らう。もうシールドエネルギーの残量が二割を下回った。あと一発直撃すれば間違いなくやられる。直撃じゃなくとも二、三発で確実に沈む。ピンチ。圧倒的ピンチ。……なんだけど。

 

(来たぁッ!!)

 

 スッと向けられた切っ先がキラリと光る。防ごうと思っていたら絶対に顔を真っ青にしていたであろう攻撃。だが今回に限って言えばチャンスである。俺の目的は勝つことじゃない。ただ、大きな隙を作るだけ。来いよ、ラウラさん。その立派なモノ(意味深)で思いっきり突いて来いよ!

 

「っらぁ!!」

 

 かなりの速度で放たれた突き。それを避けきれずに少し喰らいながらも、両手で思いっきり刀身を握る。簡単に抜かれないようしっかり、食い込むくらいに。……生身では絶対やりたくねぇなぁ。

 

「一夏ァッ!!」

「こんの馬鹿蒼ぉ!」

 

 いつもとは違い、日本刀の形に集約された刃の雪片弐型を構える一夏。その後どうなったかなんて、分かりきっていることだろう。だからここで意識が落ちても俺は悪くない。多分、きっと、めいびー。




ひぃやっはぁぁぁぁあ!! おっぱいいぇあ!! べりぃおっぱい! ウィーアーザおっぱい! トップオブザおっぱい! ぅおっぱぁい!!



……はっ。私は何を(棒)

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