俺の友達が美少女になったから凄くマズい。   作:4kibou

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お久しぶりです。

俺の友(ry 2期ィ!


二期(注:投稿日をご覧下さい。)
始まりは二回目


原作では一夏ヒロインズと呼ばれる彼女達が各々の夏休みを過ごしていた時、俺──植里蒼はとってもキュートで可愛い彼女とゆったりまったり過ごしていた。意味が被ってる? それだけ俺の彼女が可愛いってことさ。個人的贔屓目に見て世界で一番ってところだ。うん、こんなこと現実にはあまり言えないけれども。

 

「蒼ー、そこどいて」

「おーう」

 

せっせと洗濯物を抱いて動き回る一夏に言われ、ごろんと横に体を動かす。最近は夏休みで自堕落な生活を送り続けてこの結果だ。やだ、蒼くん超ヒキニート……! 仕方ないんだ、だって一夏が身の周りの世話を進んでやってくれてるし。もう若干太りだしてるもの。なるほど、これが幸せ太りってやつか。

 

「蒼ー、お昼どうする?」

「あん? あー……お前の作った飯」

「いやそこは普通何を作るかを言って欲しいんだけど……」

「じゃああれだ。うん。お前の愛が込められたらオムライス」

「普通のオムライスねー」

 

勇気を出した軽いジョークをさらっと流されて思わず心がポッキーしそうなのを何とか持ち堪える。昔はいっつも顔を赤らめてたのに、あの時(・・・)からさも慣れましたと言わんばかりの対応である。俺、未だに一夏からのスキンシップちょっと恥ずかしいんだけど。

 

「……全く、もう」

「ん? なんか言ったか?」

「何でもないって。よーし、ご飯作るからちょっと待ってて」

「いつもマジで悪いな」

「好きでやってるから大丈夫」

 

……いやマジで、そういうことを唐突に言うのはやめて欲しい。俺が耐えきれない。くそう、童貞卒業してもあまり変わってない。ただ知らない女の人とでもほぼスムーズに話せるようになったのは大きな進歩です。マズイな、女性恐怖症を克服したら俺のアイデンティティーがクライシスする。このことを何度思っただろうか、激しいデジャヴ。

 

「愛……愛……血とか入れるべきかな……?」

「やめなさい。いつも通りで満足だから」

 

ケチャップと混ぜればバレないし……と呟く一夏へ止めるよう声をかける。ヤンデレ属性入ったお前とかどこにも需要ないから。というか今でもなお属性過多なのに更に増やされてもという感じだ。俺はありのままの君が好きだよ、と心の中で囁いておく。

 

「冗談だって。蒼はすぐ本気にするから」

「お前が言うと冗談に聞こえないんだよ……」

「いやそんなことない……よ……?」

 

お前自身が疑問形でどうするんだ。断定しなさいよ、ちょっと不安になってくるでしょうが。そんなやり取りをしながら、キッチンでエプロンを着けた一夏がぱたぱたと動き回る。鼻歌なんてしちゃってとても御機嫌な様子が俺としては微笑ましい。はは、知ってるか? あれ、実は男だったんだぜ。なんて言って信じる人間がどれ程いるだろう。恐らく、殆どいない筈だ。

 

「……一夏」

「なに?」

「いや、呼んだだけ」

「なにそれ」

 

ふふっと笑いながらトントンと包丁を動かす一夏。気持ちリズムが軽快になった気がする。気のせいじゃなければ、だが。

 

「ねぇ、蒼」

「ん?」

「いや、呼んだだけ」

「……なんだよ、それ」

 

思わずニヤけながら答えて、二人同時に噴き出した。途切れていた鼻歌をまた始めながら料理する一夏の後ろ姿を見て、ああそうかと理解した。どうやら、気のせいでは無かったらしい。全くもって本当、お前は色々と反則すぎるんだよ。

 

 

◇◆◇

 

 

「やるんじゃなかった……」 

「うん。まぁ、あれは流石に恥ずかしすぎるよなぁ」

 

待ちに待った一夏お手製のオムライスには、ケチャップにて綺麗なハートマークと、「お、おいしくなぁれ……」というサービスが付いてきた。聞き間違いかと思って一瞬硬直し、がばっと顔をあげれば対面した頬を真っ赤に染め上げた一夏に、全てを察する。こういうのはまだ駄目なのね。

 

「まぁ、でも、あれだ」

「なに……?」

「ごちそうさま。……色んな意味でな」

「やめて……ほんとやめて……」

 

耳まで赤くなりながらテーブルに顔を伏せる一夏を笑いながら、キュッキュッとスポンジで皿を洗っていく。これくらいは手伝おうと俺から申し出た。本人もああいう状態だし、頼り切りになるのは申し訳ない。結局はどこかでヘタれている、そんな自分に嫌気がさす。どこかの誰かさんが言うには、それも俺の俺らしい部分らしいが。

 

「……ん? 箒からメールだ」

「マジ? 珍しいな」

「え? 意外と連絡取るよ?」

「……そうか、あぁ、そうっすか」

 

まぁ、これといって強い繋がりがある訳でもない、薄い幼馴染みたいなもんだからなぁ。主に一夏との方が仲良くて、俺はおまけみたいなもんだった。それでもちゃんと接してくれたんだから、実はちょっと感謝してる。

 

「へぇ……」

「何の話だった?」

「みんなでプール行こうって。ちなみに蒼にも伝えておけって」

「了解了解。大体いつものメンバーだろ」

「多分ね」

 

昔なら女の子とプールとか絶対無理だった。直後に断っていた自信がある。そう考えると、一夏(こいつ)にはいつでもどこでも助けられてばかりで、返すにも返しきれるかどうか。

 

「一夏は、さ」

「…………ん?」

「俺と一緒に居て、幸せ──」

「うん」

 

食い気味に言われて、反射的に目を見開いた。

 

「幸せだよ。私は、蒼と一緒に過ごすだけで、幸せ」

「……なら、いいんだけど」

 

一夏がそう言うなら、そうするしかない。二人して一緒に生きて、笑って、泣いて、老いて。そうすることで返せるのなら、俺だってそうしていく。けれども、こんな俺で本当に一人の人間を幸せに出来るのかと、どうしても考えてしまう。……一夏にはバレてるかな。

 

「深く考えすぎだよ、蒼は」

「……そう、かね」

「そうだよ。私は蒼と一緒に居れて幸せ。蒼も私と居れて幸せ。それでいいよ」

「俺がお前と居れて幸せなのも確定かよ」

「幸せじゃないの?」

「いや、めっちゃ幸せ」

「ふふ、そっか」

 

ひとつ、息を吐いて。

 

「──()も、()も、関係なく、織斑一夏は幸せなんだから」

 

いい笑顔でそう言い切って、一夏はこちらを見詰めてくる。あぁ、もう、だからこいつは、こいつには敵わないんだ。真っ直ぐに生きる織斑一夏は、曲がって捻くれた植里蒼を引っ張ってくる。それが、どれだけの安心感を与えてくれるか、彼女は分かっているのだろうか。

 

「……なんつうか、ごめん」

「いいよ、だって蒼のことだし」

「俺、頑張るよ。お前のためにも」

「うん。期待してる」

 

……本気で、頑張らなきゃな。

 

 

◇◆◇

 

 

「──もうすぐ」

 

ぽつり。

 

「もうすぐだ。もうすぐ会える」

 

ぽつり、ぽつり。

 

「あぁ、楽しみだ。一度は直に顔を見てみたかった」

 

ぽつり、ぽつり、ぽつり。

 

「なぁ──植里、蒼」

 

黒が、揺れる。

 




ギリギリセーフ!(投稿日を見ながら)

お察しの方もお察し出ない方も読んで下さりありがとうございます。四月馬鹿です。エイプリルフール。

勿論ながら続きません。すいません。新作を考えてる時にふと思い付いただけなんです。

リハビリも兼ねてるのでそこら辺はお察し下さい。

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