ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】   作:スラッシュ

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。(今更)




ヤンデレすごろく

 

「はぁ……また此処? 寝よう」

「構わん。全員が集まるまでもう少し時間が掛かるからな」

 

「……? 全員?」

 

 床で寝ながらも疑問を口にしたのは、ヤンデレ・シャトーのベッド品質調査員である陽日。

 正月も家でゴロゴロ寝ている所を何時もの様にヤンデレ・シャトーで過ごしていた。

 

「もしかして…………名前忘れた」

「……そいつらで間違えないだろう」

 

 呆れすらしなくなったエドモンは彼の代わりにこの後来るであろう3人のマスター達を思い出した。

 

「……来たぞ」

 

「今年もモーさんとの甘々な日々をよろしくお願いします、あけましておめでとうございます!」

 

 夢の中に来るタイミングなんて分かる筈が無いのに、出現と同時に見事のお辞儀と敬礼をエドモンに見せた。

 

「……」

「……あ、陽日、くん?」

 

 呆れた顔で一目した後に陽日は再び眠ろうと目を瞑ったが、今度は同時に2人が現れた。

 

「よっ! って、年明けにまたお前らか」

「サザエさん時空……っう、頭が……」

 

 タイマンでサーヴァントを薙ぎ倒す規格外マスターである玲と、メタい事言いながら現れた主人公(切大)の2人。

 

 漸く集まった4人の顔を見て、エドモンは言った。

 

「揃ったな。では、今からスゴロクを開始する」

 

 

 

「デカいな」

 

 俺達の目の前には大きなスゴロク……ではなく、障子が広がっていた。どうやら、マスはその先にあるようだ。

 

「今回は2組に別れてのチーム戦とする。サイコロを投げる役と進む役を1人ずつ、そしてそれはスゴロクの中間地点で入れ替わる」

 

「パッと見ヤンデレ要素がない気がしますけど……そんな事ないですよね?」

 

「当然だ。全てのマスに何らかの事象が発生すると思え」

 

「眠い……不参加じゃ駄目?」

「駄目だ。今回ばかりは無理矢理起きてもらう」

 

「まあ、勝負ってんなら楽しむぜ! チームはどうする?」

 

 態々投げる役と駒で分けたって事は何か理由がある筈だ。

 

 全員癖が強いけど、此処は扱い易い山本と組むべきか。

 

「チームはこちらで決めさせて貰った。

 切大と陽日、山本と玲。このチームで行ってもらう」

 

「……眠いのに寝れない」

「ゲームが終わるまでそのままだ。早めに終われる様に賽に祈るんだな」

 

 まるで俺の思考を読まれた様に用意されて多少は不満ではあるが、陽日の横に向かう。

 

(そう言えば、普段はこいつが寝ていて会話した事も少なかったな)

 

「よろしく」

「……よろしく」

 

 起きてはいるが、明らかに機嫌が悪い。こんな状態で大丈夫だろうか?

 

「最初に進む駒役はこの2人だ」

 

 そう言ってエドモンが指を鳴らすと、この場からエドモンを含めた3人が消えた。

 

「って事は俺と山本が駒役か」

「そうなるのかな? ……駒役ってなんか嫌だなぁ」

 

 それに関しては同意だ。まるで進む以外に選択肢が無いような……

 

「では、出目の大きい方から始める」

 

 投げる2人は離れた場所にいるようで、俺達は目視出来ない。

 

『よっし!』

『……』

 

 出目は俺達の空中に現れた。

 玲が6、陽日が4。

 

「ではーー開始せよ」

 

『よっしゃ、また6だ!』

 

 規格外マスターは運もサーヴァント級、と言う事だろう。

 

「じゃあ……進みます」

 

 山本は若干不安そうな足取りで襖の前に立って、開いた。

 その奥をちらりとみると、畳と襖だけ小さな部屋が見えた。

 やはり、1マス一部屋か。

 

『さっさと終わせよう……』

 

 3。

 俺が襖を開けて部屋に入ると数字は2に変わった。左右には壁。正面の襖を開けて進んでいく。

 

『……えーっと……』

「これは……!」

 

 やはりと言うべきか。

 最後に止まった部屋の襖には紙が貼って合った。

 

「2マス進む、もしくは4マス進む……」

『4マス進もう』

「待て待て待て! 条件付きだろ!」

 

 4マス進む為の条件。それは……清姫追加と書かれていた。

 

(お馴染みのヤンデレェ……!)

 

『じゃあ4マスで』

「待て待て! 頼むから2マス!」

 

『早く寝たいの』

 

 無慈悲。俺が通った筈の後ろの襖が開くと、着物が床に擦る音が聞こえてきた。

 

「マスター……新年、あけましておめでとうございます。今年も私を愛して下さいまし」

「……こちらこそ、あけましておめでとうございます」

 

 最後の言葉に関しては態と無視しておこう。

 しかし、彼女の顔がニコリと笑うのをみて、確信した。

 

 覚えている。怒っている。

 クリスマスの事を。

 

「今日は……すごろく、でしょうか? ええ、ご友人と遊びに興じるのは大変良い事です。ですので……遊び、ですから……」

 

 こちらに近付いた清姫は両腕を首に回すと、体を横にしつつ跳んだ。

 

(やばっ……!)

 

 このまま彼女が床に落下すれば首に負荷が掛かる。反射的に彼女の体を両腕で抱え上げた。

 

「ふふふ、このまま私を抱いて行きましょう」

 

 重くはない。重くはないけど……蛇に下から睨まれながら首を晒している様で冷や汗が流れた。

 抱いている筈だが、明らかに捕食される手前だ。

 

「さあ、どうぞ?」

 

 清姫の言葉と共に前の襖が開いた。

 

『何が起きてるか見えないんだけど早くしてくれない?』

 

 陽日は不機嫌そうに指示してくる。

 不安しかないスゴロクは続く。

 

『2。

 今度は一回休みか休まないか……当然、休まない』

 

「おい……今度は紅閻魔って……!」

 

 清姫を抱いたままの俺に、割烹着姿のサーヴァントが現れた。

 

「あ、紅閻魔先生!」

「清姫、胴体を真っ二つに斬られたくなければ今すぐマスターから降りるでち」

 

 真剣を抜いて睨むかつての先生に、流石の清姫も慌てている。

 

「……よろちいでち」

 

 俺から離れるのを見て、ゆっくり刀を鞘に納めた。そして代わりに小さな包を両手でもって俺に差し出した。

 

「塩むすびでち。清姫は重くて大変でちたでしょう。休みはないでちが、しっかり補給するでち」

 

 礼を言って受け取る。中には沢庵の添えられたおにぎりが3つ。

 清姫は「これが、良妻……!」と戦慄している。

 

『次、4だよ』

 

 空気の読めない指示……いや、こちらの事情は把握出来ないんだったか……しょうがない。

 

「行こう」

「あ、歩きながら食べるのは行儀が悪いでち!」

 

 チュンチュンと、雀に変化した紅閻魔に何度か啄まれる。

 

「痛、痛い! わ、分かった分かった!」

 

紅閻魔ちゃんに啄まれ、睡眠に急ぐ陽日に急かされながらも俺のスゴロクは続くのだった。

 

 

 

「……おい、大丈夫か?」

『大丈夫じゃないに決まってるじゃんか!』

 

 目の前の光景に流石の俺でも同情を禁じ得なかった。

 

「そりゃあ、そんだけ怪我して――」

『――幸せで死にそうだよ!』

 

 山本の奴は、モードレッドってサーヴァントに凄まじい執着が有るのは知っていたつもりだったが……ここまでか。

 

 俺には奴の情報は流れてこない……が、先まで息切れをしていたので気になって聞いてみた。

 

 一投目で1回休みを免除する代わりにモードレッドを引き当て大喜びして、ニ投目で更に進む為にサーヴァントを追加……したのだが、モードレッドを引かずにガレスってランサーが来ちまった様だ。

 

 俺には一切聞こえていないが……

 

『マスター、ガレスなんて要らないだろ? オレがマスターの騎士なんだから……』

『モードレッド! 主に近付き過ぎですよ! 離れて下さい!』

 

『うっせぇ! 後から呼ばれた癖に、オレとマスターの距離に文句付けんのかぁ!?』

 

『後とか先とか関係無いです!』

 

 なんて喧嘩を、剣と槍で撃ち合いながらやったらしい。

 

 しかも――

 

『テメェ! マスターに傷を負わせやがったなぁ!』

『モードレッドが所構わず私の攻撃を弾くから……! あ、また! しかも今の傷の上に』

『っは! オレの傷ならマスターだって喜ぶさ!』

 

『兎に角、申し訳ありませんマスター! 傷の手当を――マスター?』

『いい!』

 

『え、いや、手当をしないと血が』

『大丈夫! このままで大丈夫だから!』

 

『言ったろ。マスターはオレの傷なら――』

『――ああ、マスター! なんて素晴らしい主でしょうか! 無礼な騎士で大変申し訳ありません! そんな私の失態も体に刻み込んで、記録して下さるんですね!』

 

『え……?』

 

『ですが、お体に何か起こってしまうと大変です! 嫌がるのでしたら、少々手荒くさせて頂きます!』

 

 ……なんでもナイチンゲール顔負けの強引さだったらしい。

 

『あと10マス……ふふふ、一体僕は後何回幸福に殺されてしまうのか……』

 

「……5だ。進めるか?」

『ああ。ガレス義姉ちゃんの治療も終わったからね……あ、モードレッドがおぶってくれるの? え、ガレス義姉ちゃんも? じゃあモードレッドに……あ』

 

 それから暫く山本の声が聞こえなくなった。

 

「大丈夫か……あいつ」

 

 連絡が来るのを待っていると、目の前にエドモンからメッセージが来た。

 

「あいつら、早かったな。もう終わったのか」

 

 どうやら前半戦は奴らの勝ちって事で俺達も一旦真ん中に集合らしい。

 

 

 

「うわぁ!? なんだそりゃ!?」

「わー……大惨事ですね」

 

 転送させられて早々に玲と山本にそういわれた。

 だが、山本は人の事言えなくないか? 服の袖をあちこち切り裂かれている上に両手をモードレッド、両足をガレスに持ち上げられているし。

 

「いい加減離せよ!」

「そっちこそ!」

 

 まだ言い合ってる……

 

「おい、どう見てもお前が一番重症だぞ?」

「確かに……」

 

 玲に同意しつつ自分を改め見直す。

 

 左肩には雀と化した紅閻魔、右手を握って離さない清姫、腰に幸せそうに抱き付いている水着清姫。

 

 そんな彼女らが一同に会した結果、着ている礼装は炎が掠って黒くなっている部分が所々あったり、誤魔化しの嘘で危うく舌を斬られそうになり首に切り傷、腕には鳥の嘴の跡や蛇の歯型等が残っている。

 

「マスター? まだ私とのお話が終わっていません」

「……私を置いて行かないで下さい」

「チュンチュン。羽根は暖かいでちよ?」

 

 駄目だ。このままだと怪我が増える。

 

「エドモン、俺この状態で続けるのか?」

「当然だ。何だ、そんなに煩わしいのか?」

 

「「「……」」」

 

 エドモンの問に静まり返る3人のサーヴァント。無言の視線はまるで鋭利な刃物を突き付けられている様だ。

 

「いや……狭くない?」

「安心しろ。サイコロを投げる空間は広い」

 

 嘘を見抜く彼女達に悟られない程度には正直に話した。先端は依然として向けられたままだが、多少は離れた気がする。

 

「マスター、私は遊戯の邪魔は致しませんわ」

「勿論、私もです」

「当然でち。お側で眺めさせて頂きまちゅ」

 

 そして山本は喜んだ。あいつ、ガレスも新たに守備範囲にいれたのか?

 

「何でも良いから早くして。眠いんだから……」

「眠気は失くしている筈だが……」

 

 陽日の睡眠欲求は体に刻み込まれている様だ。最早人間にカテゴライズ出来ないだろ。

 

「では……其々中間から始めるぞ。後60マス、駆け抜けてみせろ」

 

 

 

「60マスって……先は30マスでゴールだった気が…………はぁ……眠い……」

 

 文句を言うなんて面倒。床に転がって体中の力を抜いて………………眠れない。

 

(おかしい。眠いし寝れる……筈なのに、いつまで経っても微睡みが来ない……)

 

 寝れない……地獄か、此処は。

 

『おーい、1なんだけど……』

「……はぁ……」

 

 体を左右に動かす。ナメクジみたいだけど、この動きは小学生の時からし続けている。

 今では着崩れを直しながら前に進む技術まで見に付いた。

 

『気持ち悪いな……あ、いや別に清姫に行った訳じゃなくて……アッち! 3人で背中を擦――』

 

 やかましい。これが一番寝ながら動けるんだ。

 

「……ん、3マスか5マス進む……」

『だけど、条件が――』

「――いい。5マスで」

 

『分かった』

 

 流石に他人に強制しておきながら自分がしないのは気分が悪い。

 それに……

 

(進むのダルい。担いで貰おう)

 

「マスター! やっと会えました!」

 

 知らない声。

 ああ、新しい人か……

 

「運んで下さい」

 

 床に頭を着けたまま……つまり土下座だ。これで頼まれて断るのは悪人だけだと思う。

 

「あの……畳に倒れ込んで、そんなに具合が悪いんですか?」

「いや、眠くて体に力が入らないだけだから……取り敢えず進むの手伝って」

 

「はい! あたしに任せて下さい!」

 

 ……腕を引っ張られると痛いんだけど……担いでくれって頼んでいいかな…………まあ、いいか。

 

『すっげぇな……察するに楊貴妃の顔、一回も見ずに返事してなかったか?』

 

「顔上げるだけの気力がないからね」

 

『体力はあるのな。相手、世界三大美人だぞ?

 あっ、待――』

 

 ――愛されてるなぁ……

 

「よいしょ……よいしょ……あ、あのー? 痛くないですか?」

「ん、正直痛いけど自分より小さい子に担いでってお願いするのは精神的ストレスだから良いかな……」

「わわわ!? だ、大丈夫です! サーヴァントですので、天子様はあたしがしっかりお運びします!」

 

「じゃあ、お願いね」

「はい!」

 

 相変わらず、サーヴァントの人達って俺のお願いに嬉しそうに答えてくれるなぁ……きっと、労働で充実感を得れる俺とは人種が違う人達なんだろう。

 

 感謝しつつも、瞼を閉じてなんとか眠ろうとした。

 

 

 

「マスター……ふふふ、なんと鋭い視線でしょうか。その様な眼差しで見つめられると私の体もより熱く燃えてしまいます……」

 

「悪いな、冬とはいえそんな熱気籠もった視線に当てられるとよ、こっちも少し返したくなってよ」

 

 確か、正月に出た楊貴妃だったか? いきなり青い炎と共に現れたから思わず素手で殴りかかる所だった。危ない危ない。

 

「まさか、天子様のお力がこれ程とは……申し訳ありません、私の炎は今後控えさせていただきます」

「そうしてくれ」

 

 ブレーキが効かなくて危うく襖と同じ様に粉砕する所だった。

 俺は拳を引っ込めて握手の意味で開いた手を差し出した。

 

「んじゃ、お近付きの印だ」

「……」

 

 ……が、暫く待っても彼女は手を伸ばさない。

 

「……どうした?」

「ひぃぃ……!」

 

 情けない声と同時に、彼女の体の周りにあった火は一斉に消えた。

 

「こーわーい、天子様怖いよぉー!」

「え」

 

「襖みたいに、殴ってグシャグシャになった襖みたいにー! ユゥユゥの手をペシャンコにする気なんだぁー!」

「しねーよ!」

 

 最初のキャラは何処へやら、泣き出した楊貴妃を宥める事になった。

 十数分も経って、漸く落ち着いた。

 

「恥ずかしい所をお見せしました……」

「別に炎出す位なら許すけど、何も燃やすなよ?」

 

「ええ、十分に留意いたします」

 

 ……これがあと57マスか……思ったより大変かもな、これ。

 

『えへへ……玲さん、まだ掛かりますかぁ? モードレッドが離してくれないからこっちももう少し掛かりますけどぉー』

「いや、さっさと投げてくれよ」

 

「良いじゃないですか天子様。今は……2人だけの時間を楽しみませんか?」

「別に構いやしねぇけど……俺、女とか今は要らねぇからな」

 

「どうしてですか? 天子様の様なお強い方なら引く手数多だと思いますが?」

「いや、不良だってんで周りから距離置かれてるし……親からは弟の教育にわりーからアイツが高校に行くまでは作んなって口酸っぱく言われてんだ」

 

「まぁ、それはそれは……さぞお溜まりでは?」

 

 そう言って服に手をかけた楊貴妃の手を止めた。

 

「おい。あんまし軽い事する女は、そもそも眼中にねぇぞ」

「天子様……力強いだけでなくお優しいんですね?」

 

「よせやい」

 

 美人の裸が見たくない訳ではないが夢だからと言ってがっつくような男に成り下がるのもゴメンだ。見せてくれるならみたいけど。

 

 まあ、俺より強い女に組み伏せられちまえばそこまでなんだが……簡単にはさせねぇな。

 

「では、これくらいなら許して頂けますか?」

「まぁ、デート感あって良いかもな」

 

 手を繋ぐくらいなら、小学生でもねぇし緊張もしないが……

 

「はぁ……幸せですぅ……」

「そうか? 取り敢えず進むぞ」

「はい。所で、天子様?」

「なんだ?」

 

「お母様……いえ、お姉さんと呼んでくれませんか?」

「……ん? なんで?」

 

 なんだ? 力で圧倒されたから立場的になんとか俺の上にいたいのか?

 見た目に反して……いや、言動からして女王のサーヴァントだからか。名前に妃入ってるし。

 

「あ、いえ決して野心的な意味では御座いません。

 ただ……天子様が私好みの強くて逞しい男性でしたので、もっとお近づきになりたいな……と」

 

「んーじゃあお前が俺の妹分になりゃあいいだろ」

「え……い、妹……ですか……」

 

 いや、そんな顔されても……179cmの俺と比べて明らかに小さいし。

 

「そうですね……では手始めに、妹分でお願いします」

「ほぉ。下剋上狙いとは、面白れぇな」

 

「い、いえ決して天子様を裏切ったりはしません……!」

 

 可愛い妹分が手に入って、漸く山本がサイコロを投げた。

 

 

 

「……あのー……マスター? 病気なんですか? もしくは何かの呪いでしょうか?」

「あのさー……失礼じゃない? 幾ら睡魔に襲われて……ふぁ……ろくに一人でも動けないからって」

 

「あう……ご、ごめんなさい! だ、だけ嬉しいです……私、召喚されても本当にマスターのお役に立てるか分からなかったんですけど……今、お役に立ててますよね!?」

 

 うん。良く運んでくれるなって感心してる。都合よく働き過ぎてないかって心配になるけど。

 

「じゃあ、後5マス追加行こぉー」

「はーい!」

 

『大丈夫なのか……覚醒って書いてあるけど……』

 

「平気平気。眠いから早くゴールしたい」

 

 だけど……何だか、熱くなってる。

 ……熱気が……それに新しい人……止まってないか?

 

「ふ……ふふ……ふふふ、ああこんな素敵な男性が天子様だなんて……私、幸せです」

 

 ……う……暑さで、意識が…………

 

 

 

「――と、言う訳でリタイヤが出たので終了する」

 

「あああ! 天子様ぁ!? お水! お水です!」

「……………」

「天子様ぁー!」

 

「身体能力は意外と高い筈だったけど……」

「まあ、普段寝てりゃあ体力は無いわなぁ」

 

 すごろくが終わって集められた俺達。しかし、サーヴァント達はまだいる。

 

「ガレス! テメェ、マスターを盾にしてんじゃねぇぞ!」

「違います! マスターに甘えて腑抜けているのはそっちです!」

 

「あ、あの……2人共? そろそろ……」

 

 山本は2人が喧嘩し続けているせいで、自分を忘れられている事に気付いた様だ。

 

「その方が楽だろうに……」

『マスター……?』

 

 俺は寧ろ中心で取り囲まれ、殆ど忘れられる事はなく、常に水分と食料、そして愛情を注がれ続けていた。

 

「お陰様で俺はサーヴァント1体だけだ」

「天子様……寂しいのですか?」

 

「いや、そんな事はないけど……まだ10マスも行ってないんだぜ?」

 

「う…………ぐぅ」

 

「もう寝てるし……」

 

「それでは、此処でお前達は別れだ」

 

 エドモンに言われ、俺達は違いに挨拶を交わしてその場から消えていった。

 

 

 

「……終わった?」

「終わってないですよ、天子様ぁ」

 

 その声に思わずしかめっ面をした。

 

「ふふふ、可愛い御方……貴方のサーヴァントである私の炎で脱水症状なんて起きませんよ?」

「……いや、暑くて気を失ったのは本当だよ?」

 

 あっさり帰してくれたと思ったけど、どうやらあのマントさんにはバレていたらしい。

 

「だけど寝る」

「まぁ、甘えん坊さん……ええ、どうぞごゆっくり微睡みに落ちて下さい…………起きた時には、何もかもが燃え尽きているかもしれませんが」

 

 

 

 

「ん……」

 

 夢見が悪くなるのでそんな変な事は言わないで欲しい。




正月ネタを正月に投稿出来ない作者です。
今回はヤンデレ少なめのよく登場するマスター4人の紹介的なお話でした。

次回からは段々ヤンデレエンジン(造語)温めていくのでよろしくお願いします。
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