ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】 作:スラッシュ
今回はヤンデレ成分少な目ですが、一応これ以降の【悲城の英霊】は(投稿される事があれば)多量に入れるつもりです。ご了承ください。
――マスター! しっかりせい!
「ノッブ……? そこに、いる……?」
お、お前、まさか目が……!
「はは、は……ごめん、見えないや……それに、なんか体が、寒くて、痛くて……」
……っく、わしではなく治療の出来る者が此処におれば……!
「ノッ、ブ……痛い、苦しい……」
すまん……わしでは、もはや……
だが、安心しろ。これ以上、お主は苦しません。独りにはせん。
――ずっと、一緒じゃ。
そんな、今まで一度だって見た事のない真面目な信長の記憶が流れてきたのは目の前の城の壁に触れた時だった。
勿論、俺は人類最後のマスター藤丸立香ではなく、一般プレイヤーに過ぎない岸宮切大だ。当然、今の記憶は何なのか、全く見当が付かない。
「だけど、態々シャトーの中じゃなくて、城を用意したって事は今の記憶が関係あるんだろうな」
もう一度、数分前のエドモンの言葉を思い出す。
今回の目的の1つである目の前にある立派な日本の城。パッと見たところ3階層はありそうだ。
この城の中には主であるサーヴァントがいて、そのサーヴァントに会って出口を開けて貰うまでは城から出られない。
つまり、出会って速攻で逃げ出せば……なんてお粗末な作戦が通じない、一度入れば二度と出れない監獄城なんだろう。
「……はぁ、普段と変わらないよな」
そんな溜め息と共に全開の城門を潜った。
同時に城門は閉まり、庭や城の窓から小さな生き物がワラワラと集まって来た。
「ノブノッブ!」
「ノブブー!」
信長――ではなくちびノブ達が大量に現われたのだ。
どいつもこいつも信長と同じ服だが気の抜けた顔と身長だが、その気になれば全員が火縄銃を持って普通の人間なら容易く撃ち抜いてしまうので油断は禁物だ。
「ん? これは――」
集まったノブ達は次々と一定の間隔をあけて整列を始め、俺の目の前に城の入り口へと続く道を作った。
「入れって事か」
既に帰る事は出来ないので、俺はその道を進んでいく。
城内に入ってもちびノブの道は続き、まっすぐ階段へと続いてる。
その道中の襖は閉じられていたが、1つだけちびノブが出入りして一瞬だけ見えた物があった。
血、乱雑に開かれ落ちている巻物、本物なのか分からないガイコツ。
他の襖とは色が違っていたし、もしかしたら拷問部屋だったのかもしれない。
階段を上って2階。そしてすぐに中央の一番豪華な部屋へと辿り着いた。
「……此処に信長が?」
「ノッブ!」
力強く頷くノブを見て、俺は覚悟と共に襖を開いた。
「――っ」
「信、長?」
一瞬驚きの表情を浮かべた彼女だったが、驚いたのは俺の方だった。
「よく来たのぉ、マスター」
普段は戦国武将とはかけ離れた黒い軍服に赤のマントを靡かせ、派手な紋飾りの付いた帽子を着けている筈の彼女。
その一切の代わりに、彼女は女物の白い着物を着ていた。所々、赤や金の紐が縛られている。
黒く長い下ろした髪とのコントラストが美しく、丁寧な化粧がされたその顔は普段のギャップも相まって何秒か目惚れてしまった。
「……あっはははは! いやはや、出会って早々そんなアホ面でわしを笑わせるでない!」
「い、いや、別に……!」
「古今東西、老若男女の数多の英霊を従え、触れ合ったお主に見惚れられたのなら、わしの美貌もどうやら捨てた物ではないらしいな! いやはや、愉快痛快!」
どうやら、心配しなくても普段通りの信長だったらしい。
「ほれ、座れ座れ。此処には固い事を抜かす家臣は誰もおらんからな」
「は、はぁ……」
毒気を抜かれた俺は誘われるまま彼女から3m位離れた位置に敷かれた座布団の上に座った。
「そなたの望みは勿論知っておる。この城からの出たいのじゃろ?」
「ま、まぁ」
「安心せい。城の門なら何時でも開けておく故、心配するな」
そう言って信長は立ち上がると俺へに近付き、右手を頬に添えてきた。
「……」
こちらをジーッと見つめる彼女は失った何かを懐かしむ様な、大人びた表情を見せる。
「変わらんな。ああ、わしのマスターじゃ」
「の、信長?」
「そなたも見たんじゃろ? この城はわしの記憶で作られておるからの」
そう言って再び立ち上がった彼女は、自分の成り立ちについての説明を始めた。
「わしはお主の未来……人類側の敗北と言う1つの結末に辿り着いてしまった英霊じゃ。人類最後のマスターの敗北と、異界の神の降臨をもって人理は失われた」
カルデアが敗北した未来の信長か。
確かに、あの記憶のマスターが助からなかったのは確実だ。
「こうしてマスターであるそなたと再び会えた所で、今更何も変わりはせん。この世界はわしとは違う未来を歩んでおるのだから、この出会いもそよ風にすらならん有象無象よ」
「じゃあ、なんで此処に?」
「さぁあ。らしくもない未練を残した故、惨めに泡沫の霊基にしがみついているのかもしれんが、独りで此処で色々試してみても、成仏できんし消滅もしない。
故に今日、こうしてそなたを招いた」
「招いた……」
「……とまあ、辛気臭い話は終わりじゃ! さあ、マスター! わしに付き合え!」
「え、うぉ!?」
「はははは! この新生信長城は娯楽には不自由させんぞ!」
俺の腕を引っ張った信長はそのまま部屋を飛び出し、廊下を走って遊びに連れ出した。
花札、トランプ、オセロ、囲碁……更にはテレビゲームまで。
「あはは、お主強過ぎんかぁ?」
「えぇ……いや、信長が弱いんじゃ?」
余り経験の無かった花札は負けたが、トランプの大富豪で勝ってからは、全勝した。
勝って勝って、勝ちまくり。
……それに違和感を覚えてしまった。
こんな飄々としてはいるが彼女は第六天魔王、織田信長だ。
運の絡むトランプならまだしもオセロや囲碁で余り経験の無い俺がこんなに勝てるとは思えない。
「あー、またわしの負けじゃ!」
「……信長、先から手抜いてない?」
「はぁぁ!? わしがそんな事する訳ないじゃろ!
ええい、それならわしの恐ろしさ、思い出させてくれよう!」
そう言って外を指さした。
「
大人気ねぇ……
普通の人間がサーヴァントの身体能力に勝てる訳あるか。
しかし俺が断るより先にデカイちびノブが俺達2人を強引に外へと投げ飛ばし、20人近くのちびノブ達が持っていた布へと落下した。
「さあ、行くぞマスター!」
いつの間にか着物ではなく、赤と黒のサッカーウェアに着替えて、片足で髑髏の様なボールを踏んでいた。
「ルールは簡単。このボールを奪い合い、先に相手のゴールに入れた方が勝ちじゃ!」
「頼むから手加減してくれよ?」
俺の言葉を聞いてか聞かずか、信長はこちらにボールと共にやってくる。
「止められるものなら止めてみよ!」
それでもやるだけやろうと迫ってくるボールへと足を伸ばして――つま先がボールにあっさりと届き、信長の元を離れて行った。
「っえ……?」
俺も彼女も予想外だった。
勢い余った足は空を切り、その勢いで体勢を崩した信長は地面へと倒れていく。
「――あぶないっ、信長!」
俺はそんな彼女を助けようと咄嗟に手を伸ばした――
――此処は……何処じゃ? 座ではない、のか?
まさか、特異点か? わしがマスターから預かっていた聖杯が作り上げて……なんの為に? もう人理はない。修復するカルデアも……
「誰かおらんのか? 茶々! 人斬り!? マス…………」
「……? あ! お前たちはわしの偽物! おい、一体何人おるんじゃ?」
「ノッブ! ノブブェ!」
「何? 城を建てるじゃと? じゃが、材料は……聖杯が生み出すのか」
「ノブブ! ノブノブ!」
「分かった分かった! 好きにせい」
……いくら何でも仕事早過ぎないか!? もう安土城を建てたじゃと!?
前々から思っていたが、お前たちはわしと違い芸達者よな。戦の為の城を設計はできても、わしに建設など……
「ノブブェ!」
「わしにも出来るじゃと? 全く、偽物が何を偉そうに……」
「ノブノブ! ノブノブ!」
「わしの好きな部屋を建てる? まあ、寝室と娯楽室は当然として……」
……そうじゃ。ならもう一つ、大事な部屋を頼もう――
「……此処は……?」
「マスター!? 無事か!?」
目が覚めると見た事のない天井を見上げていた。
「ああ、信長か……」
「大丈夫か? 何処か痛むか?」
体を動かそうとしたが、近寄って来た信長に止められた。
「まだ動かんでよい。頭は大丈夫か?」
「頭……? ん……あ」
頭を触ってそこに包帯が巻かれている事に気が付いた。
「これ、信長が……?」
「勿論わしじゃ! 童の頃はやんちゃだったからのぉ、この程度の処置なぞ造作もないわい!」
俺はその言葉が嘘だと、何故か確信していた。
多分、この部屋で久しぶりに保健室を漂うあの消毒液独特の匂いを感じたからだ。
何時の間にか白い着物姿に戻っていた信長は机に戻り、何か写真の様な物と睨めっこしているが、その足元には抜身の火縄銃が二丁も落ちていて、どこか危なげだ。
(着物が白いし、まるでマッドサイエンティスト…………っ!?)
漸く頭が回りだした様で、僅かに動いて回りを確認した。
そこは城に入る時に少しだけ見た、巻物が散乱し、血で汚れていたあの部屋だった。机のそばには骸骨模型も飾られている。
この部屋は、多分医務室だ。
周りに一切ちびノブの姿が見えない所を見ると、部屋の持ち主は間違いなく――
「脳に異常なし。出血もないようだが、もう暫くは安静にせよ」
――信長だ。俺の見た2つの記憶からして間違いない。
「ちょっと奥の部屋で薬を用意してくるから、大人しく待っておれ」
そう言って襖の向こう側へと消えていった。
「……」
さて、ここまでくれば俺が名探偵じゃなくてもそれぞれの違和感が点と点で繋がっているのが分かる。
この城は聖杯が作り上げた特異点。
ヤンデレ・シャトーでありながらヤンデレとは程遠い信長の態度はマスターを失った事が原因。
織田信長の人柄を考えれば、死者蘇生を望まないのは当然だろう。なら特異点の目標は死んだマスターを蘇らせる事でもなければ、別のマスターである俺に会う事でもない。
刻一刻と忘れてしまいそうな信長の記憶を思い出す。
マスターが致命傷を負い、他にサーヴァントはいない。
医務室が此処にある事の意味は、つまりそういう事なんだろう。
(でも、じゃあどうする?)
この答えに辿り着く必要はどうしても会った。
何故なら、遊んでいる最中、何度か確認したが城門は信長の言葉とは裏腹に開いている様子がなかったからだ。
「――薬を持ってきたぞ。良し良し、安静にしておったな」
そう言って信長はクリーム状の塗り薬を自分の手に包帯を頭を余り揺らさずに患部に塗り込んでいく。
「全く……サーヴァントを庇ってとは、愚かなマスターよな。いや、そこが愛らしいんじゃが……」
「ありがとう、信長」
俺はそう礼を言うと、信長は済まなそう笑みを浮かべた。
ダメだ。やっぱり普段の信長と全然反応が違う。
「何、怪我を負ったのはわしのせいじゃし、当然の事をしたまでじゃ」
「それじゃあ、そろそろ帰っても、良いかな?」
俺の言葉に、信長は足を止めた。
漸く、それらしい反応を引き出せた。
「だっ……! …………」
一瞬、すぐにこちらを見て何か言いそうだった彼女は、自分の手で口を押えて顔をそらした。
「……のぶ、なが?」
「……も、勿論じゃ。
ああ、お主は人類最後のマスター……倒すべき敵も、取り戻すべき者もおるじゃろう。勿論じゃ、勿論……」
流石に地雷を踏み過ぎたか。
「ま、まぁ、頭って知らない内に大事になるって聞くし、もう少し休んでからになるだろうけど」
「そうさな……薬の効果も考えて、あと数十分は安静しておけ。良いな?」
それだけ言って信長は足早に部屋を去って行った。
「うーん、ミスったかもしれないな」
そういえば、まだ謎が残っている。
英霊、織田信長の明らかな弱体化。
俺にゲームで負け、先のサッカーでも明らかに身体能力が落ちていた。
「……人間じゃないんだから、長時間運動してなくても体が鈍ったりはしない、よな?」
何かこれに関してはまだ何か別の要因があるのかもしれない。
……サーヴァントの現界には魔力供給が必要だが、聖杯から受け取れれば、そんな問題はすぐに解決する筈だ。
「そういえば、血……」
この場所にはちびノブと信長以外はいないはずだ。
なら、畳にしみ込んだこの血は誰のものだ。
指を伸ばして触ってみる。
「って、俺にDNA検査なんて――」
――以前、何度目かのバレンタインに新参者の町娘がマスターにそれはそれは美味いチョコを拵えていたと風の噂で聞いた。
その時はわしはなんの興味も示さなかったが、それは正しくサーヴァントの成長に他ならん。
別に英霊としての格が上がった訳でもなければ、座に還れば忘れてしまう些事かもしれん。だが、少なくともその瞬間、そのサーヴァントは想いで生前の己を乗り越えた。
ならば――あの日、この手でマスターを撃ち抜く事しか出来なかったわしも、第六天魔王と恐れられたわしも……死の淵に瀕していたマスターを癒す事が出来るやもしれん。
いや、そうなるべきだったのだ。
何が第六天魔王か! 何が織田信長か!
踏ん反り返って菓子を食っては騒ぎ、事故や生前の家臣との因縁でマスターを唯々面倒事に巻き込む始末。
古今東西、無数の英霊達がいるカルデアで多くの者がそうしたように、与えられた霊基と名前通りの活躍をすればよいと、出来ぬ事は生前に極めた者に任せようと、なんの準備もしておらんかった。
マスターがいなくなった今……こんな事をしても……今更ではっ――
「――うっ……!」
幸いにも、信長が自身の腕めがけてメスを突き立てるシーンまでは見ずに済んだ。
「……なるほど、な」
これで先の推理の答え合わせくらいは出来た。
それに、本当にだいぶ長い間この特異点がある事も。
もしかして、特異点が放置されすぎて信長に与える魔力も減ってきているのか?
「っ……?」
そんな事を考えていた俺は突然聞こえてきた物音に顔を上げた。
廊下側から聞こえてきたそれは、誰かが倒れた様な音だった。
「……! 信長!?」
襖の先には、信長が倒れていた。
「大丈夫か!? おい!」
英霊だというのに、まるで病人の様に汗を流し、激しく息を切らして倒れる信長。
白い着物が段々死装束に見えてくる。
不安に駆られ、俺は取り合えず彼女を部屋に入れて先まで自分が寝ていた布団の上に寝かせた。
どうする? どうすればいい?
「魔力供給……? いやいやいや、俺は何考えて――」
そこで自分の手に刻まれた令呪が見えた。
魔力を装填できるこれなら、或いは――そう思った俺は彼女の手を掴んで、令呪に貯められている魔力が彼女に流れていく様を強くイメージした。
「イメージだ。魔術に大事なのイメージ……!」
強く願いながら令呪を発動する。
令呪の光は彼女の体を赤く光らせた。
「……! 成功か?」
しかし、彼女は起きない。
「もう少し……!」
令呪をもう一画消費して、彼女に魔力を送る。
息苦しい呼吸も、落ち着いてきている。
「……こいつももってけ!」
最後の一画まで消費して、漸く汗が引いてきた。
「これなら……少しはマシになったか?」
俺だけじゃ安心できない。
そう思った俺は部屋を出て、ちびノブ達を探す事にした。
「おーい、誰か……!?」
「ノ、ノブブ……! ノブブェ……!」
驚く事に、そこには自分と同じ位の大きさの聖杯を重そうに持つちびノブがいた。
「おい、お前それ!?」
「ノブブ……ノブ、ノブ!」
「お、おい!?」
そのちびノブは聖杯を俺の前に置いて、何処かへと去っていた。
「これが、聖杯……だけど、なんか、ボロボロじゃ?」
金色の聖杯は美しく、美術品に疎い俺も目を奪われそうになるが、それ以上に1度叩けば木っ端微塵になりそうな程に亀裂が走っている事が気になってしまう。
「特異点は聖杯で作られている……回収するか、破壊すれば特異点は自動的に修正される……だったよな?」
しかし、回収するのが魔術を知らない素人の俺では恐らく封印したり聖杯の機能を一時的に停止させたりなんて出来ない。なら、破壊するのが一番手っ取り早いはずだ。
「……だけど、それは」
チラリと、布団の上で寝ている信長を見た。
彼女はまだ寝ている。
彼女にマスターはいない。これを壊せば恐らく特異点と、聖杯によって現界を続けている彼女も消え去るだろう。先に
――だが、恐らく彼女は俺と契約を結んだりはしないだろう。
少なくとも、俺の知る織田信長は死んだ主君を置いて生き延びる英霊じゃない。
肝心の彼女は倒れたまま、起きる様子もない。
「……結末は俺の手の中、か」
手がない訳ではない。
恐らく、彼女の弱体化はこの聖杯を彼女が捨てた事が原因だろう。
彼女の元に戻せば霊基は再び安定する。
これが
だが、
どうせ悪夢だと割り切って、手っ取り早く砕いて終わらせられれば、それでいいのか?
それとも、より綺麗な結末を見るためだけに彼の後を追うか?
「――起きろよ。欠片とはいえ聖杯を握らせているなら、まだ起きられるだろ」
俺は城の庭で信長の手を無理矢理拳を作らせながら、頬を叩いた。
「う……ます、たー?」
「ああ、お前のマスターじゃない方の、マスターだよ」
「……何を言っておる。そなたは、間違いなくわしのマスターじゃ……」
「そうか。なら、精々同じ終わりに行かないように気を付けるさ」
「ああ、そうしてくれ……」
「……どうして欲しかったんだ」
「ん?」
先まで、推理だの結末だのとかっこつけていた俺だったけど、結局信長の気持ちは信長に聞くのが一番だと気が付いた。
「遊んで欲しかったのか? 看病したかったのか? それとも、この特異点を修正してほかったのか?」
「全部じゃ」
「そうか、全部……全部!?」
「何を驚いておる。
確かに、
あははは、やはりわしは特異点を作るのが得意なサーヴァント故、是非もないよね!」
「だから――わしを哀れむな。
能天気で、ぐだぐだで、頼りなくて心配だが、お前のカルデアにも
「……当たり前だ。少なくとも、俺の織田信長はサッカーして転んだりしない」
「わはははは! その話、そちら側の誰かにしたら承知せぬぞ?」
最後だからって急に凄んできたな。
心配しなくてもそんなの事はしない。
「では――達者でな」
こうして、特異点は消え去った。
といっても、消滅の最中に目覚めてしまったので本当に消えてしまったかは分からないが、これで彼女が現れたらシリアスブレイカー所ではない。台無しもいい所だ。
それでも、僅かな可能性だとしても、あの信長の笑顔が見たいと願ってしまう俺は、聖杯に魅入られてしまったのだろうか。もしくは、あの信長に……いや、違うって事にしておこう。清姫が怖いし。
「――ヤンデレ・シャトーの中で特異点作ったらマスターを独占できるんじゃね? あ、わし天才じゃん!」
「……」
「――て思ったんじゃけど……まさか、所有者のわしが聖杯に役割を与えられて自意識封じられるとは思わなかったのぉ……」
「……」
「……んー? なんかわし、マスターといい感じのやり取りしていた様な気がしなくもないんじゃが……全然覚えとらん」
「……」
「あ、この白い着物が気になっておるか? ほらわし、もう水着とかオルタっぽいクラス手に入れたしー? 次はマイナーなブライドとかに挑戦しようと思ってヴラド叔父に特注を――え? 自分の頭を撃ち抜けって? いやいや、冗談がきついぞマスター? ミッチーの“敵は本能寺にありっ!”と同率……え? 令呪使う? 三画同時? …………なんか、その、ごめんなさい?」
と言う訳で、未亡人風ノッブのなんかちょっといい話系でした。
次からは主人公に庇わられたり、自身の敗北で全滅したり、更には普段の霊基で挑んでいれば……! 的な結末を迎えたギャグ担当サーヴァント達を書ければと思ってます。
ライネス師匠は33連が爆死でしたので、泣く泣く水着貯金を始めます。
今年、正月以降星5引けてないのでは……?