ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】   作:スラッシュ

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2ヶ月ぶりに更新しました、スラッシュです。
お待たせして申し訳ありません。

この間にFGOはメガネ・ネロ祭・水怪クライシス・まんわかコラボ・6.5章と……色々過ぎていて数えて震えてます。
何時も通り感想での最新ストーリーのネタバレ等はなしでお願いします。


夏の記憶

 

「……暑い……」

 

 まだ5月だと言うのに、俺は机の前で汗を垂らしていた。

 体を動かしていた訳ではなく、唯々ペンを動かして勉強をしているだけなのに数滴もノートに落ちている。

 

 これだけ暑いと、勉強も捗らない。

 

「仕方ない……エアコンでも付けるか」

 

 引き出しの中に仕舞われていたリモコンを取り出し、部屋のエアコン目掛けて電源をボタンを押したが……

 

「……嘘だろ」

 

 春になってから使っていなかったせいか、空気口が開いても涼しい風を出す事はなかった。

 

「このタイミングで故障か」

 

 故障を確認したせいか暑さと汗の勢いは増していき、服にシミが滲み始めている。

 

(こうなったら……仕方ない)

 

 物置の奥に置かれた扇風機を取り出すのが億劫だった俺は、机の上のノートと参考書、筆箱を鞄に詰めて家の外に出る事にした。

 

 エアコンがないなら外も中も大して変わらない。

 なら、エアコンのある場所に行けばいい。

 

 図書館は徒歩で20分程度掛かるが、幸い歩いて数分の場所には客の少ない喫茶店がある。コーヒーを頼んで、勉強が終わったらケーキでも食べて帰ろう。

 

 炎天下の中、ハンカチで汗を拭きながら目的地に到着した。

 

「いらっしゃいませ! ……あれ? 先輩?」

「マシュ?」

 

 扉を開けた俺を迎えた店員は、学校の後輩のマシュ・キリエライトだった。

 

「あ……席の方にご案内しますね!」

「出来れば、奥の方の席で」

 

「かしこまりました」

 

 彼女とは休み時間に図書室で同じ机を挟んで読書した事があり、数回言葉を交わした程度の仲だ。

 なのでこんな所でバイトをしてるなんて知らなかった。

 

 後輩のバイト先に長居するのはちょっと気まずいが、今日の俺の目的は勉強だ。折角エアコンの効いた店内に入れたし、出て行く訳にはいかない。

 

「こちらメニューになります」

「ありがとう」

 

 家を出る時はコーヒーを頼むつもりだったが、外で日差しを浴びて乾き切った俺の喉はメニューに書かれていたメロンソーダを欲するように小さく鳴った。

 

「メロンソーダを1つ」

「はい、かしこまりました」

 

 オーダーを伝えに行くエプロン姿の後輩を見送りつつ、鞄から筆記用具とノートを取り出した。

 

 最後のページを開いてみると思った以上に空白が多く若干やる気が削がれた。

 

(暑さで集中出来なかったとはいえ、全然進んでない……)

 

 数分前に読んだ参考書の問題を再び読み直し、授業で書き写した公式に当てはめていく。

 

「お待たせしました、メロンソーダです」

「ありがとう」

 

 一問目の答えに辿り着いたと同時に、マシュがメロンソーダを机に置いてくれた。先まで死ぬほど欲しがっていたが、それよりも答えを書かないと忘れてしまう。急いで筆を走らせて、直ぐにストローに口を付けた。

 

「……うんま」

 

 客の少ない店内に声が響かないように気を付けつつ、炭酸飲料の美味しさに感激した。

 上に乗ったアイスクリームがまだ届いていない緑の海底から、爽やかな酸味が炭酸と共に押し寄せ、体に残っていた熱を体の奥へと流し去った。

 

「……ふぅ」

 

 コップの中身が半分程度になった所で、自分が勉学を忘れて炭酸に溺れていた事に気が付いた。

 上に乗ったバニラアイスが溶けて、白い波を立てる事を期待しつつしぶしぶメロンソーダを手放した。

 

「で、次の問題は……」

 

 幾つかの問題を解いて、そろそろ別の教科に移ろうかと思ったタイミングで店のドアが開く音が聞こえてきた。

 

「いらっしゃいませ!」

 

「あー、あっつー……どうして今日に限ってこんなに暑いんだか……」

 

 聞き覚えのある声に思わず顔を上げて玄関の方を見た。

 やはりと言うか、見知った人物が暑さにウンザリした表情で服の襟を摘まんで扇いでいた。

 

 とはいえ、こちらは勉強に来てるし出来ればこのまま一人静かでいたい。

 

「……ん? あれ?」

 

 しかし、客の少ない喫茶店では奥の方でも座っているだけの俺は否応なしに目立ってしまう。

 

「おー、やっぱマスターじゃん! 可愛い後輩の店に入り浸ってんのぉ?」

「此処でそのあだ名はやめてくれよ、鈴鹿」

 

 同級生の鈴鹿が笑いながらやってきた。

 マシュが働いている事を知っているみたいだし、入り浸っているのは彼女の方だろう。

 

「ふーん、エアコンの効いたカフェでべんきょーって感じ?」

「あの鈴鹿さん、席は……」

 

「あー、まあマスターと相席で良いっしょ?」

「断ってもどうせ座るんだろう?」

 

 仕方ない。ただ、隣に座られると本格的に勉強の邪魔になりそうなので手で向かいに座る様に促した。

 

「ふふんっ、そういう訳だから。あ、会計は別で」

 

 機嫌良さそうに鼻息交じりでメニューを見る彼女を横目で見ながら、俺は勉強を続ける様に努めた。

 

 じゃないと、ボタンを外した制服のシャツの隙間から見える肌色に視線が行ってしまうからだ。

 

「さぁって、何にしようかっなぁ?」

 

 

 

『鈴鹿さん、何故そこに座っているんですか?』

 

 マシュは念話でマスターの向かいに座る鈴鹿御前に質問をした。

 含まれる怒りのせいで半ば詰問と化している。

 

『折角バイト先にマスターが来たのに、休憩とか理由付けて隣に座んなかったマシュが悪いし。早い者勝ちっしょー?』

 

 顔には出さないが、マシュへの返答は自慢気なまま鈴鹿御前は目の前に座るマスターを見る。視線が合ったので微笑むが、彼の視線は慌てた様子で教科書へと逃げていった。

 

『今回の特異点、はぐれたマスターと合流する前に聖杯を回収したからまだマスターが特異点の違和感を認識していない内に、学生気分を堪能しようって話だったじゃん。なら、私が彼女になっても問題なしじゃね?』

 

『大アリです!』

 

『だったら、もっとマスターを誘惑したら?』

 

「(こんな風に)何チラチラ見てんの?」

 

「え、あ、いや……」

「全く……ほら、食べたいなら一口あげるよ」

 

 鈴鹿御前は自分が頼んだケーキをフォークに乗せて切大へと差し出した。

 思わず否定の声を上げようとしたが、それだと別のモノを覗き見していたと疑われてしまうと思った彼は慌ててケーキを口に入れた。

 

『っ!』

 

「あ、私うっかりしてた」

「ど、どうかしたか?」

 

「いや、まあ普通でしょ。このご時世関節キス位」

 

 悪戯っぽく微笑みながらフォークを振るって見せると、マスターは驚き慌てて勉強に戻った。

 

 その様子に鈴鹿と少しカッとなっていたマシュは、普段は冷静にヤンデレをあしらっていた切大とのギャップに困惑するも、心臓が高鳴ったのを感じた。

 

 それぞれの加虐心と切望感に交じった好きの感情に、体を動かした。

 

「きゅ、休憩入りますっ!」

「何顔赤くしてんの? もっと食べる?」

 

「い、いや……勉強、続けるから……」

 

「あ、私も今日の授業の予習したからさ、これ食べ終わったら一緒にする?」

 

「せ、先輩! その、休憩時間の間に宿題をしたいのですが、良かった相席させてくれませんか!?」

 

 突然2人の女子に詰め寄られたマスターは、取り合えず首を縦に振る事しか出来なかった。

 

 

 

「……ふー……」

 

 マシュが休憩時間に隣に座ってからと言うもの、色んな意味で大変だった。

 

 目の前にいる鈴鹿は正面から頻繁にこっちのノートを見てきて、その度に制服の合間から谷間がチラっと見えてしまうし、マシュも図書室で本を読んでいた時以上にこちらに接近して、吐息が肌に届く事も何度かあったし下手したらどちらかの唇が触れていたかもしれない。

 

「まあ粗方終わったし、何か食べてから出ていくか」

 

 俺は店員の仕事に戻ったマシュに声を掛けて、軽く摘まめる物を頼んだ。

 

「はい、かしこまりました!」

 

 マシュが厨房へ戻っていくと、席を外していた鈴鹿も戻って来た。

 

「鈴鹿」

「マスターって、この後暇?」

 

 ……? 時間がない訳じゃないが、もう結構遅いんじゃないか?

 

「いや、もう少ししたら家に帰ろうかなって」

「じゃあさ、遊びに行っていい? 今日私の親帰りが遅いし、なんだったら私がマスターに手料理振舞ってあげる!」

 

「私も、先輩の家に行ってみたいです!」

 

「そうは言うが、明日は普通に授業だぞ?」

 

 俺がなんとか2人を家に来ない様に説得しようとしていると、喫茶店の扉が開いた。

 未だに鈴鹿はしつこいが、マシュは店員として接客に向かった。

 

「いらっしゃいま……せ、先生!?」

「あら、マシュちゃんじゃない。お仕事かしら? 頑張っているわね」

 

 どうやらまた同じ学校の関係者がやって来た様だ。

 席を立っていた鈴鹿が声の方を確認すると、彼女は嫌な顔をして言った。

 

「げぇっ! エウロペせんせーじゃん!?」

 

 慌ててその身を潜めたが、今の声はばっちり本人に聞こえている様で、俺と目が合った先生がこちらに近付いてくる。

 

 エウロペ先生とは俺も面識がある。去年の俺達のクラスの担任でおっとりしてて優しい人だった筈で鈴鹿程警戒する理由がないと思うけど。

 

「あら? マスター、後輩の喫茶店でお勉強かしら?」

「先生まで、そのあだ名はやめて下さいよ」

 

「うふふ……今、鈴鹿さんの声が聞こえた気がしたのだけど……」

 

 鈴鹿は机の下に隠れて震えている様で、俺に黙ってくれと言わんばかりに足元でズボンを引っ張っている。

 

「いや、いませんけど……なにかあったんですか?」

「家庭科室で玉藻さんと喧嘩して職員室でお話をしたんです。今日は家に真っ直ぐ帰って反省しますって約束したのですから、そもそも此処にいる筈がありませんね」

 

 おい、不良JK……

 

「お勉強中でしたか?」

「あ、いえ、終わったからそろそろ家に帰ろうかと」

 

 俺がそういうと、エウロペ先生の顔が一瞬強張った気がした。

 直ぐに少しだけ違う笑みを浮かべると、彼女はマシュを呼んだ。

 

「マシュさん、アレを」

「え、ですが……」

 

「そろそろマスターが起きます」

「っ……はい」

 

 突然、マシュが駆け出して店の裏側へ向かった。

 そして、先まで隠れていた鈴鹿が机の下から姿を出した。あれだけ怖がっていたのに、堂々と先生の前に立っている。

 

「えー、もうアオハル終了?」

「鈴鹿御前さん、そこにいたのですね?」

「あははは……」

 

「先までアレだけビビってたのに、急にどうしたんだ――」

「――先輩!」

 

 カウンターから出てきたマシュがこちらに何かを見せて来た。

 目を奪われそうな程に眩く輝く金色のソレは――

 

「――せ、せい、杯……!?」

 

 忘れていた歌のタイトルを思い出した様な暗い海の奥底が明るく照らされた様な感覚の後、それが俺の周りを取り囲む捕食者達の存在に気付かせた。

 

「こ、此処ってヤンデレ・シャトーじゃねぇか!」

「直ぐに思い出したみたいね」

 

 先まですっかり忘れていたが、どうして俺は普通に勉強出来てたんだよ! 逃げろよ!

 

「それじゃあ3人で仲良くマスターを分け合おうって、訳ないか」

 

 誰よりも先に刀を抜き、二振りを宙に浮かせた鈴鹿御前にマシュは盾を構えて応戦している。

 

「……? あの、キオニス・タウロスさん?」

 

 しかし、そんなマシュの前をエウロペの宝具である白い牡牛がトコトコと歩いて近付いた。

 盾に額を合わせると、再び危険な魔力リソースである聖杯が現れた。

 

「収納していた聖杯を!?」

「貴女達2人は先にマスターと沢山おしゃべりしたんでしょう? だったら、此処からおばあちゃまに譲ってくれないかしら?」

 

「笑止!」

 

 聖杯の力を発揮される前にと、鈴鹿は自身の刀の柄を足場にした跳躍でエウロペまでの距離を詰めるが、彼女を切り裂く一閃は青銅の鎧によって阻まれた。

 

「――弾かれた!?」

 

 同時にマシュの突撃すら同じ鎧の腕で防いだ彼女はその間に聖杯を手に取った。

 

「マスターに悪戯したのだから、今度は貴方達だけ特異点に飲まれていなさい……」

 

 彼女の言葉に聖杯は黄金の光を放ち、今の攻防の間に荒らされていた店内は音も立てずに元の静かな内装を取り戻していく。

 盾を持っていたマシュの手にはメモ帳とペンが握られ、本気モードだった鈴鹿御前も学生服と鞄を手に持ったJKに戻っていた。

 

「えーっと……え、エウロペ先生!?」

「あ、すいません。今水をお持ちしますね!」

 

 2人はまるで正気に戻ったかの様に目を見開き、俺は冷や汗をかきながらエウロペを見た。

 もう満足したと言わんばかりに彼女は先まで着ていた教師らしい白のレディーススーツに着替え直す事もせず、英霊としての装束のまま俺と同じ席に座った。

 

「あ、私用事思い出したんで、もう帰りまーす!」

「ありがとうございました。

 こちら、お水です」

 

 鈴鹿御前は去っていき、マシュは普通に接客を続けている。

 

「折角マスターとお喋り出来ると思っていたのに、もう2人だけで盛り上がっていたんですもの」

 

 今度は私の番、と言ってエウロペはメニュー表を手に取って開いた。

 

「マスター、何が食べたいのかしら? おばあちゃまが全部食べさせてあげる」

 

 突然そんな事を言われても、夢だと認識できたせいか食欲もなくなっている。

 俺がそう断ると、彼女は隣に立っていた牡牛を撫でた。

 

 彼女の手中に収まったままの聖杯の影響か、喫茶店がグニャリと曲がって気が付けば辺りはデパートに変わっていた。

 

「それじゃあ、食べ物以外に欲しい物はあるかしら?」

 

 彼女が否が応でも俺に何かを買い与えたいのだと悟った俺は、少し考えてから書店を指さした。

 

「じゃあ、本が欲しい」

「あら、本が欲しかったのね。それじゃあ好きな本を好きなだけ、選んでいいわ」

 

 どうしてそんなに買い与えたいのか、理解できなかった。

 

 夢の中だからだろうか。どれも現実で見た事のないタイトルだったがその中の幾らかが俺の琴線に触れ、3冊程手元に重なった所で彼女に手渡した。

 

 彼女は俺の選んだ本を嬉しそうに手に取って、表紙と背表紙を軽く眺めてから会計へと持っていく。

 

 けれど、夢の中でこんな事をしても――

 

「――マスター」

 

 そんな俺の考えを見透かしたかの様に、エウロペはカウンターの前でこちらに振り返った。

 

「本の代わりに、おばあちゃまと約束して欲しいの」

 

「買った本はちゃんと読み終わってね」

 

 できもしない約束をするのには抵抗があったが、俺は彼女の言葉に頷いた。

 

 そして、満足げな彼女の笑みと優しく振るわれた手を見ながら夢から醒めた。

 

 

 

 次の日のヤンデレ・シャトーでエウロペが俺の前に現れた。

 目の前に差し出されたのは、俺が選んだ本の内の1冊。

 

「おばあちゃまとの約束、ちゃんと守ってね?」

 

 そう言って彼女は俺を自分の部屋に招き入れた。

 

 約束を理由に彼女は俺を他のサーヴァントから隔離し、軟禁したのだ。

 

「面白い? 喉は乾いたかしら?」

 

 しかし、神の妻である彼女は人間の俺を孫として見ているだけであり、それがヤンデレになっても、本を読んだり、疲れて床に寝っ転がる俺を甘やかすだけだった。

 

「アイスはいるかしら?」

 

 勿論、そんな彼女でも俺は警戒を緩ませる事なく意識の何割かは彼女の行動を注視していたのだが、やはり彼女は微笑むだけで2冊目の中盤辺りからはあまり気にならなくなっていた。

 

 それに本を読み始めてからの数日間はヤンデレ・シャトーでサーヴァントに襲われる事もなく、唯々本を読んでダラけているだけだった。

 

「今日はお外で読みたい? 体を動かすのも、いいわよね」

 

 やがて3冊目を読み終わると優しく頭を撫でてくれた。

 

「……あら、もう読み終わったの? マスターは早く読める、賢い子なのね。

 あ、そうそう。実はマスターが選んだ本とね、同じ作者の本を買ったの。

 これも読みたいかしら?」

 

 正直、夢の中の本なんて起きて数時間も経てば忘れてしまうが、それでも此処が居心地良い事もあって俺は当然頭を縦に振ったが――

 

「――駄目だ」

 

 突然、田舎の雰囲気に似付かわしくない暗い色の外套を纏ったエドモン・ダンテスが影の様に現れ、俺とエウロペの前に立っていた。

 

「もう5日も此処で過ごしている」

「うふふ、私はもっと過ごしていても良いと思っているわ」

 

「そう言う場所ではないのでな」

 

「そう……」

 

 エウロペは少しだけ横に移動し、俺と視線を合わせた。

 

「マスター。おばあちゃまは確かに女性として貴方を愛せないけれど、大切な孫の様に、貴方を愛しているわ。

 いつでもまた此処に戻って来ていいからね」

 

 気が付いたら、その言葉に少し涙が流れた。

 幼い頃に、頭を撫でてくれた皴だらけの手と嬉しそうな祖母の声が聞こえて来た気がした。

 

 ……すっかり忘れていた、田舎の記憶に俺は少しだけ離れるのを迷った。

 

「本当に、いつでも……いつまでも」

 

 その言葉と共に彼女の瞳が突然怪しい熱を帯びて輝いた気がして、寒い物を感じた俺はその場を後にした。

 

 やっぱりシャトーの中は悪夢だと思って逃げた空間に視線を戻すと、エウロペは優しく、大きく手を振っていた。

 

 その光景に再び祖母の姿が重なり、なんだか、帰るのを嫌がってあやされた過去の記憶を思い出して、ちょっとだけ恥ずかしくなった。

 





本当は最初の勉強の下り、エドモンが寝落ちした切大の為に眠りながら宿題を完成させてあげる温情をかけてくれていたんですけど、エウロペが登場した辺りで全部おばあちゃまパワーで流されました。残念。
因みに自分の祖母は健在ですので、心配ご無用です。

既に半年経ってしまいましたが、更新は続けるつもりですのでこれからも読んで頂けたら幸いです。次は果たしていつになるやら……



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