ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】   作:スラッシュ

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3回目だよ3回目! ヤンデレ・シャトーならもう終わってたよ!(なお、文章量は半分程度である)


ヤンデレ家庭未来図 3

「此処なら安全ですよ」

「(全然安心出来ないんですが……)ああ、ありがとう」

 

 あの3人から逃げていた所を俺はメドゥーサに捕まり、彼女の善意(独占欲)で部屋に入れられた。

 

 しかし、彼女の部屋という事は当然、姉2人もいるという事で……

 

「あら、マスターじゃない。メドゥーサ、姉に何も言わずにマスターを上がらさせるなんて、いけない妹ね?」

「そうね、ステンノ()。これはマスター共々お仕置きが必要ね?」

 

 面白いおもちゃが手に入った様な無邪気な顔で笑い始める2人。

 

「……安全?」

「だ、大丈夫です! 姉様達はああ言ってますが、マスターが来て喜んでますよ!」

 

「何を勝手に姉の気持ちを代弁しようとしているのかしら、この駄妹は?」

「お仕置きが更に増えたわね……あら? まだ来客がいたのかしら? マスター、その娘達は?」

 

 いつの間にか、俺の後ろで娘が3人に分裂していた。

 全員が紫色の美しい少女達だ。どうやら年齢に差がありそうだ。

 

「……説明します」

 

 速報、未来の俺、またしても三股。

 

 

「へぇ……それは、たいへん愉快な話ね」

「えぇ、私達3人と結婚するだなんて、最低を通り越して呆れる未来ね、駄マスター」

 

 分かっていた罵倒をされ、俺はなんの言い訳もせずに頭を下げる。

 

「返す言葉もございません」

 

「お母さん」

「お母さん!」

「お母さん!」

 

 ツインテールの娘達は一斉にメドゥーサに抱き着いた。

 

「わわ!? ……あの、マスター。この子達は姉様の娘も含まれているのでは?」

「俺もてっきりそうだと思ったんだけど……」

 

 今まで娘は1人に1人。そういうルールだと思ったのだが。

 

「簡単な話ね。私達は女神、メドゥーサは私達を守る怪物。なら、私達の代わりに娘を産むのは当然」

「ええ、そうねステンノ()

 

「えー……そこは、俺との結婚自体を否定するべきでは?」

「あら? マスターは私達と結婚したくないの?」

 

 愉快そうに尋ねてはいるが、おそらく答え次第では俺の首が飛ぶだろう。

 

(無いです)

 

 と即答したかった。何故勇者泣かせのゴルゴーン三姉妹全員と婚約しなければならないのか。

 

「お母さん! 遊ぼう!」

「お母さん、私と一緒に!」

「お母さん、お昼寝しよー」

 

「え、えっと、ちょっと……姉様達とじゃ、駄目ですか?」

 

「「「ダメ!」」」

 

「「――ッ」」

 

(うわー……今絶対怒ったよ)

 

「だって、ステンノ母さんとエウリュアレ母さん、オバさんみたいにすぐ疲れちゃうもん!」

「寝る時も怖い話しかしてくれないし……」

「私、お母さんとお父さんが2人だけの時が一番好き!!」

 

 おうおう、なんという地雷3連コンボ。ていうか未来のお姉様達は一体何をしているんだ?

 

「……め・どぅ・う・さ〜? ちょーっとこちらに来なさい?」

「娘の今後について、大事なお話があるの。今すぐ、いらっしゃい?」

 

 予想通りというべきか、目が全く笑っていないステンノとエウリュアレが笑いながら手招きしている

 

「……う、了解、しまし――」

 

「あ、ステンノ母さん! 今日はすごろくで遊ぼうよ!」

 

「肩叩きしてあげる!」

 

「エウリュアレ母さん、一緒にお昼寝しよー」

 

 なんと言う事でしょう。娘達が一斉に手の平返しを始めたではありませんか。

 自分で火を点けておいて直ぐに消化作業に切り替えるとは、娘達は一体どんな教育を……

 

 だが、そんなもので誤魔化されるほどお姉様達は甘くない。

 

「え、ちょ、ちょっと……!? あ、ちょうどいいわね……」

 

「え、あ、いきなり抱き着かないで……もう……」

 

(デレちゃった!? 妹にはメッチャ厳しいのに娘にチョロ過ぎるだろ!?)

 

「……意外と、未来では上手くやってるみたいですね」

 

 メドゥーサがホッとしているが、俺はちっとも喜べない。

 現実的に考えると、娘3人とステンノとエウリュアレの2人を養わなければならない。恐らくメドゥーサは働いてくれるだろうが、流石に負担が多くないか?

 あと社会的にも、三股クズだけでなくロリコンの称号まで手にするだろう。もう何度手に入れたか分からないけど。

 

(て言うかこの未来も受け入れるつもりはこれぽっちも無いんですよねー)

 

「うふふ……」

 

「嬉しいわ……可愛いわ……」

 

(誰だよ!? デレ過ぎだろ!?)

 

 笑ってやがる……あの姉妹が、純粋に……

 

「マスター……こんな未来が待っているなら、私に迷いはありません。きっとこの未来は、何も間違ってなどいない、素晴らしい未来です。愛しいマスターと共に歩ける未来なら、男性である貴方と結婚する事に喜びはあれど不満などありません」

 

「……え?」

 

 メドゥーサの目が本気だ。狂気を孕んだ愛情溢れる目だ。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ……さ、流石にいきなりは――」

 

 ガシャッと金属音が鳴った。気が付けば両腕を縛られ壁に貼り付けにている。

 

「え!? ちょっとま――うぐ」

 

 両足も鎖で縛られ、とても抜け出せる状況では無くなってしまった。

 

「大丈夫です……私も元は姉様と同じ女神になるべく生み出されたのです。初体験ではありますが……か、必ず満足させてみせます!」

 

 頬を赤くしながら、メドゥーサがこちらにやってくる。

 

(こ、こうなりゃ令呪で……)

 

「マスター?」

「逃げちゃだめよ?」

 

 いつの間にか近付いていたステンノとエウリュアレが同時に投げキッスをする。

 

(あ、これアカン奴だ)

 

 思考が侵食され――覚醒した。女神様万歳!

 

「はい、女神様方」

「マスター! 姉様ではなく、私を見て下さ――ひゃぅ!?」

 

 胸を掴まれ、驚いた声を上げる妹様。女神様の美しい貧乳との対比がまた素晴らしい。

 

「私達の魅力にケチをつけようだなんて、生意気ね、メドゥーサ(駄妹)

「マスター、お仕置きよ。激しくヤッてあげなさい」

 

「分かりました」

 

 と返事をしてみたが、両手が縛られているので、ズボンを下げる事が出来そうにない。

 

「メドゥーサ、解いてあげなさい」

 

「はぁ、はいぃ……」

 

 怒られて恐縮しているような妹様だが、何処か嬉しそうにも見える。

 

 そして鎖が解かれて、早速行為に移ろうとメドゥーサに近付き――

 

「――ステンノちゃーん、エウリュアレちゃーん! メドゥーサちゃーん! 遊びに来たよー!」

 

 勢い良くドアが開かれる。おかしいな、あのドアは自動じゃなかったっけ?

 

「あ」

「あ」

 

 侵入してきたアルテミスとその頭の上のぬいぐるみの様なクマ、オリオンがバツの悪そうな声を上げる。

 

「し、しつれーいしましたー」

「マスター、うらやましいなーおい」

 

「……」

 

 完全に雰囲気ぶち壊しである。魅了も覚めてしまった。

 だが、此方としては非常にありがたい。

 

「逃げる!」

「あ、逃すと思って――」

 

 他の3人が駆け出す俺を止めようと正気に戻ると、メドゥーサの鎖にあっさり捕まり、地面に転がる。

 

「お母さん! お父さんイジメちゃだめぇ!」

「だーめー!」

「ステンノ母さんもエウリュアレ母さんも!」

 

 だが、娘達がそれを止めようと三姉妹に抱き着く。

 

「え、あ……」

「ちょ、ちょっと……!?」

「きゃっ!?」

 

「お父さんに乱暴しちゃ駄目だよ! お母さんはお父さんが困ってたら助けてあげる優しいお母さんだもん!」

 

「ステンノ母さんも、お父さんを口でイジメても、ホントは優しいお母さんだよ!」

 

「エウリュアレ母さんはつんでれなのー! ツンツンしてても優しい人だって、みんな知ってるもん!」

 

 娘達の叫びに、ハッとなった3人は感動のあまり、娘を抱きしめ返した。

 

「ごめん、ごめんなさい……そうですね、お母さんは、マスターを助けないと……」

 

「お母さん、ちょっとやり過ぎちゃっただけだから……許して、ね?」

 

「娘……誰が私がツンデレだって教えたか教えてちょうだい?」

「お母さんと、お父さん!」

 

 

「マスターはクールに去るぜ……」

 

 ドサクサに紛れてなんとか部屋から脱出して逃げ切った。

 

「しかし、どうしたものか?」

 

 娘を女性サーヴァントに見せるのが今回の俺の悪夢なのだが、肝心の娘を置いてきてしまった。幸い、あの3人は娘に危害を加えたりしないだろう。

 

「もう時間切れを待ってた方が良さそうだな」

 

 と、そこで十字廊下に差し掛かった。

 

「あ、見つけました! マスター!」

 

「っげ!? もう来たのか!?」

 

 後方からメドゥーサが娘と一緒に走ってやって来た。その前からペガサスに乗ったステンノとエウリュアレも娘を抱えている。

 

「逃さないわよ? マ・ス・ター」

 

「ちょーっとお話しましょう? 誰がツンデレですって? ねぇ、メドゥーサ?」

 

「と、兎に角! 今すぐ捕まえます!」

「お父さーん! お馬さん凄い早いよー!」

 

 怖い。捕まったらアウトだ。全速力で前方に走って逃げよう。

 

「くっ……うげ!?」

 

 が、俺の足は止まる。

 

「あ、漸く見つけました! マスター!」

 

「リリィ、分かってるな? マスターは3人で共有だぞ?」

 

「マスター! ちゃんと2人と話し合って、一緒にマスターと結婚する事に決めたよ!」

 

 前方からはリリィ、式、デオンがやって来た。どうやら争いは止めたらしいが、余計厄介な事になっている。

 

「マスター、見つけました。逃げないで下さいまし」

 

「お母さん、みーつけた」

 

「先輩、大人しく捕まって下さい!」

 

 更に右から清姫、ジャック、マシュがやってくる。

 

「となれば……!」

 

 唯一誰も来ていない左に逃げるしかない。

 俺は足に力を込め、全力でカルデアの白い床を蹴って、左に走り、直ぐに曲がり角を曲がった。

 

(って――このままじゃ、絶対追いつかれるって! 捕まったらアウトだ! 全員孕ませた未来とか見えたら、殺されるか切腹しかねえ!)

 

 既に【瞬間強化】の効果が薄れ始めている。何処か適当な部屋に入ってやり過ごすべきか!?

 

「マスター、つっかまえーた!」

 

 が、唐突に伸びた腕が俺を掴み、部屋へと引きずり込んだ。

 

「んー!?」

 

「よーしよし、良い子でちゅからね〜」

 

 咄嗟に叫びそうになった俺の口を塞ぎながらあやそうとするのは女スパイ、マタ・ハリだ。背中で柔らかい双山の感触を感じる。

 

『マスター!? これはどういう事(かしら)(ですか)(なの)!?』

 

 ドアの外では殺気の集団が廊下を駆けて行くのが分かった。

 血の気が引いていく。

 

「……もう大丈夫ですよ、マスター」

 

 そしてマタ・ハリの柔らかい手と胸の感触から開放され、俺はその場に座り込んだ。

 

「助かったよ、マタ・ハリ」

「うふふ、マスター、今回は何があったのかしら?」

 

 

「どこに消えたのかしら、マスター?」

「全く……三股もしやがって……」

 

「三股どころか、それを3組もしていたようですね」

 

 マスターを追っていた3組のサーヴァントは殺意を渦巻かせながら頭を捻っていた。自分達のマスターが何処に消えたのかを話し合っていた。

 

「皆さん! これを!」

 

 メドゥーサは両手で女の子を持ち上げていた。女の子の髪は明るい茶髪、髪は赤いフリフリした可愛らしいリボンで纏めているポニーテールだ。

 

「……その小さな女の子は?」

 

「マスターと私の娘……だった筈なんですが……」

「「私達の、娘……」」

 

 メドゥーサの姉女神達は完全に参っている様だ。

 

「ですが、この娘の母親となるサーヴァントが先輩を匿っている筈です! あの、貴女のお母さんは?」

 

「……ママ、知らない人に情報を喋っちゃダメって言ってた。だから、教えない」

 

「私達はマスター――貴女のお父さんのサーヴァントです。今、貴女のお父さんを探しているんです。多分、貴女のお母さんが知っていると思うんですけど……」

 

「パパの知り合いだったら、ママのことも知ってる筈だもん! お姉ちゃん達、怪しい!」

 

「あ!」

 

 女の子はその場から離れ、逃げ出そうとする。

 

「おっと……頼むからお母さんの名前を教えてくれって」

 

 それを式が服の袖を掴む事で抑えた。

 

「いーやー! 放してぇー!!」

 

 

「娘、ですか?」

「ああ……大丈夫かな……もしかしたら、皆に尋問を受けてるかも……」

 

 しかし、いま外に出れて見つかればデッドエンド間違いなし。正直今は手詰まりだ。

 

「見てみたいですね、私とマスターの娘……うふふ」

「ちょ、ちょっと勘弁してくれよ……」

 

 マタ・ハリが誘うように、体を押し付けてくる。

 

「マタ・ハリは娘が出来たら、やっぱり、甘やかすの?」

「いえ、悪い人に騙されない様にしっかりと教育するつもりです」

「ああ、そういえばマタ・ハリは苦い経験あったね」

 

「防犯意識を高めて、悪い男の区別がつける様に……いえ、いっその事人畜無害のマスターと結婚させましょうか……?」

 

「おい、今の発言は不味いだろ。母親としても、妻としても」

 

 俺は思わず頭を抑えて溜め息を吐いた。

 

 

「あっ!?」

 

 女の子は暴れながら服を脱ぐ事で袖を掴んでいた式の拘束を抜け出して、走り出す。

 

「きゃ!? 煙玉!?」

 

 同時に防犯ブザーを鳴らして投げ、更に自分の後ろに向かって煙玉を投げつけて逃走した。

 

「ママ、何処にいるの?」

 

 逃げ出した女の子は壁伝いに歩きつつ、鼻を鳴らす。

 

「……ママの匂い!」

 

 意識しなければ感じる事の出来ない程薄い香水の匂いが壁から発せられ、それを女の子は辿り出す。

 

「……こっちからもっと強い匂いが……」

 

 これは女の子がマタ・ハリに教えてもらった、視界のない暗闇の中でも一度行った場所なら壁伝いに何処に母親がいるか分かる方法である。

 なお、この技術でマタ・ハリはマスターに夜這いをしようとしていた。

 

「……この部屋だね」

「む? 見かけぬ娘だな? マタ・ハリの部屋になんの用だ?」




今回で12人登場であと半分、くらいですね?

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