ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】   作:スラッシュ

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何とか新年が来る前に間に合いましたぁぁぁ!

今年最後がく殺編とかネタ不足が隠せてなくて恥ずかしい限りです。
(第5と第6特異点はどうしたって? メイヴとエレナ、ニトリクスと女神アルトリアとかどう主人公にヤンデレろってんだ……)


次回も遅れると思いますが、これからもよろしくお願いします!


あ、呼符でマリーが来ました。


っく……殺せっ……! バビロニア編

 エレシュキガル編

 

 マルドゥークの斧の入手と三女神同盟を崩す為にケツァル・コアトルと戦闘し彼女を仲間にした俺達は、ギルガメッシュ王に報告する為にウルクへと帰還していた。

 

 一度野営をして休息を取ることになり、火の番を務める事になった俺の元に、金髪の姿へと変貌したイシュタルが現れた。

 

「ケツァル・コアトルを仲間にしたのね。よくやったわ! でも何故かイラッとするのよねー?」

 

 ……まあ彼女がエレシュキガルなのは分かっているけど。

 

「ちょ、あ、熱い!? うそ、こんなにおでこが熱いなんて……!!」

 

 疲れが溜まって視界も定まらない俺の頭が崩れ落ちないように、彼女は支えた。

 

「だ、大丈夫!? 見張りは私がやるから、あなたはもう休みなさい!」

 

 体が疲れて動かせない俺は彼女の言葉に甘える事にした。

 

 だが、テントに戻ろうにも体が眠ってしまったかの様に起き上がらない。

 

「大丈夫……貴方は私がちゃんと見守るから……いえ、ちゃんと――閉じ込めないと」

 

 

 

「んぁ……へ?」

 

 目を覚ました筈なのに辺りは朝の眩しさでは無く夜の如く静寂に包まれた死の世界。

 

「起きたかしら?」

 

 俺に声をかけてきたのは金髪の美少女……エレシュキガルだ。

 

「もう熱は下がったかしら?

 ああ、そもそも此処ではそんな心配はしなくても良いわ」

「なんのつもりだ? どうしてこんな所まで連れてきた、エレシュキガル?」

 

 彼女に白状してもらう為に彼女を真名で呼ぶ。

 

「そう! 私こそ冥界の女神エレシュキガル! ……ってあれ? 何で私の名前を知ってるの!?」

「いや、知ってたし。

 毎晩毎晩顔合わせてたし」

 

「うっそ!?」

 

 カァーと顔を真っ赤にしたエレシュキガル。だが、今はそんな事よりも重要な事がある。

 

「此処は冥界なんだろう? だったら此処から出してくれ。地上には俺のやるべき事があるんだ」

「残念だけどそうは行かないわ。

 ……わ、私を冥界の女神と知っていたのに、言葉を交わしてくれた優しい貴方を逃したくないわ。貴方は私の夫になるの!」

 

 拘束されていないが冥界ではエレシュキガルの定めた法があり、ここに居る霊達は彼女に従う。

 この時代では冥界は地下にある為、サーヴァントの助けが無ければ地上へ戻るのは不可能だ。

 

「……令呪を持って――」

「――冥界へのあらゆる転移を禁止する!」

 

 魔力が通って赤く輝いていた令呪はエレシュキガルの声により魔力を拡散させ、1画が消滅した。

 

「貴方はまだ生きているけれど、サーヴァントを呼べるとは思わないで!

 そ、それに……折角、ふ、2人きりなんだから、他の女なんて呼んでほしくないわ……」

 

 頬を膨らませ赤くしているがこのまま冥界にいると俺が死ぬ。

 そうなれば人理滅却は絶対となり、人類の敗北だ。

 

「どうすれば地上に返してくれる?」

「え……? そ、そうね…………て、手を繋ぐ……? いやいや! き、キスとか!?」

 

 冥界に籠もっていた彼女は好きな人に何をすれば良いのか分からないらしく、戸惑っている様だ。

 

「……そうよ! 悩む必要なんて無いじゃない! 貴方は私の手の平の上! あなたの要求を聞く必要なんて最初から無いんだったわね!」

 

 テンパっていたのに直ぐに状況を思い出してしまったか。

 

「良い? 冥界にいる限り貴方は私のモノ! 貴方の生死すら私のモノなの!

 ……あ、あの、べ、別に殺すつもりとかじゃないから! 怖がらないで!」

 

 だそうだが、このまま冥界にいれば確実に死ぬ。

 

「そうだ! イシュタルの体に入れる時間! 夜になったら出してあげる! それにここはもうウルク市まで来ているわ! ギルガメッシュへの挨拶だってすぐ出来るわよ! …………アレ? アイツ、まさか!?」

 

 エレシュキガルが急に狼狽えだした。まさかコレは……

 

「し、死んでる? 嘘!? アイツ、私の衰弱の呪いで死んじゃってる!?」

 

 エレシュキガルは頭を抱えだした。

 

「どうしよう!? 折角勇気を出して拉致監禁したのに、このままじゃ貴方と王を救いに他の女神達やサーヴァントが直ぐに来ちゃうわ!?

 ううぅ……私の幸せがぁ!」

 

 エレシュキガルはパニックになるが直ぐにハッとした。

 

「……そうよ、ここは冥界。女神達は入れば弱体化して、イシュタルは門を潜る度に神性を失い、マスターを失ったサーヴァントなんて大した脅威じゃないわね!」

 

 先程からパニックになっては落ち着くを繰り返しているが、エレシュキガルは大丈夫だろうか?

 

「え? し、心配、してくれてるの?」

「まあ、あんな感じになってれば流石に……」

 

「……ふ、ふふ……やっぱり貴方は優しいわね。貴方を冥界に連れてきてよかったわ。もうこれで、貴方は私の前から消えないもの」

 

「いや、本当に帰してくれない?」

「駄目よ! 最初はそうね……夫は言い過ぎたわよね。恋人から始めましょう! 冥界を案内してあげるわ!」

 

 手を引っ張られ、エレシュキガルに連れられて岩だらけ、危険だらけの冥界を案内された。

 全ての説明が落ちたら危険、近づくと危険、触ると危険等の警告だけだったが。

 

 

「そして此処が私の部屋! 此処には危険なんて何1つ無いわ!」

 

 そう言って笑う彼女。恐らく彼女なりの冗談だったのだろう。

 

「ねぇ……一緒に眠らない?」

 

 そう言ってベッドをポンポンと叩くが、その誘いに乗る訳には行かない。

 

「じ、実はね私……冥界の女神だけど………せぃ……強いの……」

 

 嫌な予感。肝心な所が聞こえづらかったが聞いてはいけない言葉だったと思う。。

 まあ、バッチリ性欲って聞こえたけど。

 

「……へぇ、そうなんだ…………」

「ぅん……」

 

 気不味い沈黙。

 

 突然エレシュキガルはベッドに仰向けで倒れ込みこちらを見上げる。顔はこれでもかと言う程赤い。

 

「……私の事……滅茶苦茶に、……じゃなくて! えーっと、その……優しくしてくれる?」

 

 この誘いは卑怯だった。

 今の今までヤンデレ、ではなくただ単に生命の危機レベルで面倒な美少女だったのに、この誘い方は本当に卑怯だった。

 

 

 正反対である筈の保護欲と加虐欲が同時に掻き立てられた。

 

 女神の魅力という奴だろうか、高まり始めた欲望が我慢など出来ずに彼女の唇を奪う瞬間、保護欲に塗れた理性がブレーキをかけつつ彼女の望みを叶えるべく後押しした。

 

「ん…………っ!?」

 

 優しいキスに安心したが、口の中に入ってきた舌に驚く彼女を愛らしく思いつつ、安心させる為に優しく微笑んだ。

 

 それを見た彼女も精一杯俺に答えようと、目を閉じて舌を動かし始める。

 

 口の中で2人の唾液が水音を立てる。

 その官能的な響きに徐々に下へ下へと血が、熱が集まる。

 

 彼女の方も強張っていた表情は溶け切っており、心も体もこちらに預けていた。

 

「……っはぁ、っはぁ……あ、あつぃわ。

 でも、もっと欲しいの……冥界の女神に、日陰の私を……貴方の熱で、焼いて……! 貴方の女にして!」

 

 右手は俺の腕を掴み、左手は自身の下着をずらしていた。

 

「私を……貴方の妻にしてぇ! ……んんっ!」

 

 彼女の願いに答える為にもう一度キスをした。そして――

 

「――はなれろぉぉぉ!!」

 

 小さな光の矢が飛んできた。

 それをエレシュキガルは言葉を発さずに呼んだガルラ霊がその身で防いだ。

 

「……あら? イシュタル、かしら? 随分小さいわね」

「黙りなさい! よくもそいつを誑かしてくれたわね!」

 

 7つの門を通った影響で小さくなったイシュタルとマシュ、ギルガメッシュ、そして……アナがいた。

 

「今……口づけ、してましたね?」

「冥界ではやってはいけない事が愛する妻とのくちづけだが……もしやエレシュキガル、貴様はその男を夫として迎え入れ、冥界に閉じ込めるつもりだったか?」

 

「ですがマスターが女神エレシュキガルとのくちづけでその掟に引っかかる筈がありません! そうですよね、マスター!?」

 

 マシュにそう問いかけられた俺は、ギルガメッシュの言葉を聞いてエレシュキガルに視線を向けていた。

 

「……私が許せばあなたは冥界から出られるのだわ」

 

 急に口調を変えてそう言うが、目元には涙がうっすら零れ落ちそうだ。

 俺を騙した罪悪感から涙が落ちそうになっているんだろう。

 

「――どうでもいいわ。貴女を倒して私がそいつを地上に返せばいいだけの話! その後、貴女宛にそいつと私の情事を本にして丁重に送ってやるわ!」

 

「はははは! 女神同士の愛憎劇とはなんと愉快な! 流石はカルデアのマスター! イシュタル、詩人は我に任せておけ! ウルク一の詩人、いやこの際だ。人類一の作家を召喚して書かせてやろう!」

 

「……マスターさん、浮気は、ダメ」

「マスター! 私を裏切らないで下さい!」

 

 愉悦を感じ1人喜んでいる過労死王は静観を決め込み、俺を掛けてヤンデレ戦争in冥界が始まった。

 

 

 

 ゴルゴーン&アナ編

 

 ゴルゴーンを撃破したが彼女の作った神殿は崩れ始めた。

 

 落下していくゴルゴーンと彼女と同一の英霊であるアナは神殿に出来た大穴に落ちた。

 

 既に更に大きな異変が起きつつある外に向かって、俺達は全速力で走っていた。

 

「っ!? うぁ!?」

 

 突然、俺の足元に穴が空いた。重力に押され下へと落ちる。

 

「マスター!? っきゃぁ!」

 

 直ぐに俺を掴もうとしたマシュだが、突然現れた魔獣の攻撃を盾で防御し、俺へと伸ばした手は既に届く距離に無かった。

 

「せ、せんぱぁぁい!!」

 

 

 

「ふむ、狙い通りにちゃんと落ちてきたか」

 

 落下した先に俺を待っていたのは先までボロボロだった筈のゴルゴーン。

 その衣装は白へと変貌しており、若干早い気もするが、同一の存在であるアナとの融合を終えたらしい。

 

 相変わらずその姿は巨大なままで、片腕で俺を掴んでいる。

 

「狙い通りって……ゴルゴーンが、俺を落としたのか?」

 

「ああ……良いな。(アナ)が一番愛した声だ」

 

 慈愛に満ちた顔でこちらを見ている。

 ストーリー以上にアナと絡んで懐かれていたのは知っていたが、融合したゴルゴーンがこんな風になるまでとは知らなかった。

 

「……これでは少し大きいか」

 

 ゴルゴーンは俺を地面に離すとその体を縮め、ライダーのメドゥーサより少し高い位の大きさになった。

 

「人間に対しての復讐者である(ゴルゴーン)がここまで心を落ち着かせられるとはな……」

 

 言いながらも尻尾が俺の両足を縛る。

 

「だが、もう外は危険だ。今頃、本当のティアマトがウルクを飲み込もうと襲っているだろう」

 

 その言葉に体が強張る。そうだ。恐らく今頃外ではラフムの大群がウルクを襲撃し、人間を殺しているだろう。

 

「此処に入れば安全だ。崩れたお陰でここの侵入は容易ではなくなったし、私の命令を聞く魔獣もまだ幾つかいる。

 ……それでも、お前は戦うのか?」

 

「と、当然だ……! 俺の目的はソロモンの撃破だ! こんな所で終われるか!!」

 

「……そうか」

 

 ゴルゴーンは目を伏せると、尻尾を動かして俺を更に近くに引き寄せた。

 

「……えっと、離してくれない? 胸が当たってるし……」

「当てているのだ。何、直ぐに元の場所に戻してやる」

 

 ゴルゴーンの魔獣の髪が俺のズボンを食いちぎった。

 

「……少し魔力供給をさせてもらうがな」

「ちょっと待て……! そんな事してたら間に合わなくなるかもしれない!」

 

「……あまり私を怒らせるな」

 

 文句の多い俺にゴルゴーンは発動寸前の魔眼で威圧し、俺は黙るしかなかった。

 

「まがい物とはいえ女神の寵愛、人間には過ぎた幸福だ。

 ありがたく、受け取れ」

 

 

 

 ケツァル・コアトルの力を持ってしてもティアマトの進行を止める事は叶わなかった。

 

 こちらの戦力であるマシュもイシュタルも魔力が殆ど残っておらず、撤退もままならない。

 

 更に、このままではティアマトは間違いなく、飛行を始めてしまう。

 

「Aaaaaa――aaaaa!?」

 

 しかし、飛行を始めようとしたティアマトの足を巨大な蛇が抑えた。

 

「……ふん」

 

 ゴルゴーンだ。突如として出現したゴルゴーンの妨害で、漸くティアマトはその足を止めた。

 

 ……と、思ったらティアマトはゴルゴーンへと攻撃を開始した。

 

「どうしたティアマト! 貴様から感じるぞ、復讐の憤怒が! 私に恨みがあるか!」

 

 滅ぼすべきウルクに進行していたティアマトがここに来て急に進路を変え、ゴルゴーンに迫る。

 

「なるほど! 貴様もそこの男に誑かされた口か! そやつとの接吻は極上だったぞ!」

 

 ゴルゴーンがとんでもない挑発を始めるとティアマトの攻撃も激しさを増した。

 

 ……次いでに、隣にいるマシュとイシュタルの俺に向ける視線の厳しさも。

 

「臭うか? ヤツの子種の匂いが! 髪で扱いた時の奴の顔は情けなかったがそそられたぞ? 胸の時も中々イジメ甲斐があったが、耳元で喘がれるのも良いものだ」

 

 言ってる本人も恥ずかしいのか顔が赤くなる。

 一番辛いのは俺だけど。

 

「ほれ? 早く来ないと逃げるぞ? お前の権能で奴との子を成してしまうぞ?」

 

 暗に本番をした事を自慢しながらもティアマトからウルクを背にして逃げるゴルゴーン。その姿はやがて見えなくなり、俺は頬をつねられたまま、ウルクまで撤退した。

 

 なおウルクに到着したティアマトがギルガメッシュではなく俺を狙って来た事を記しておく。




では皆さん、来年にお会いしましょう!

正月の予定? とりあえず無課金ですがガチャります。

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