ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】   作:スラッシュ

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ギリギリセーフ! さあ、勢いとスピード重視で書いた誤字だらけの駄作だ! 喜べ読者ども! 
(訳: 誤字報告待ってます。駄作ですいません)


イベント編 嘘の無いエイプリルフール

 此処は人理崩壊を防ぐ為に全力を尽くしている日々から離れ、束の間の休息を取るカルデア。

 

 今日は大したイベントは無いエイプリルフールの日。しかし、何処かで悪巧みしている者もいる様で、あまり普段通り過ごせそうに無い。

 皆からマスターやら主と呼ばれる俺が自室で休息を取っていると、摩訶不思議生物フォウを探しにマシュがやって来た。

 

「失礼します先輩。フォウさん見ませんでしたか?」

 

 メガネと白衣のマシュ、エイプリルフールなど関係無く、フォウの飼育係をしているようだ。

 

「フォウ? 確か、昨日の夜に清姫が廊下で撫でていたのを覚えているよ」

「そうですか……あの、先輩。フォウさんが来るまで此処にいてもよろしいでしょうか?」

 

 俺は頷いた後に、30分で出かけるとマシュに言った。

 

「お出かけ、ですか……そう言えば1週間前から気になっていたんですが、カレンダーの今日の日付に書かれたマークは?」

 

 遊び心でダヴィンチちゃんに頼んで作って貰った令呪シールに、マシュは興味津々の様だ。

 

「ん? ああ、4月1日ね……なんだと思う?」

 

「エイプリルフール……でしょうか? それとも誰かの誕生日……?」

「最初が正解。でもね、本当はデートの約束なんだ」

 

「え……だ、誰とでしょうか?」

 

「それは勿論――」

 

 

***

 

 

 バーサーカー、狂戦士のクラスを与えられた清姫はとても機嫌が良かった。

 

「ますたぁ……でぇと……」

 

「何クスクス笑ってるの? 不気味よ、アンタ」

 

 そんな彼女の幸せを不気味に思うのは、彼女と仲が悪いはずなのに気が付けば一緒にいるランサークラスのエリザベート。

 

「今の私に、貴方如きが何を言おうと関係ありません。マスターと、でぇと、出来るのですから……」

 

「アンタ、それ……」

 

 エリザベートは口を閉じた。一緒にいるので彼女の性格は理解している。もし真実を言ってしまえば、彼女の怒りでとある青年が焼け死んでしまうだろう。

 

(子イヌの奴……! よりにもよってコイツにそんな嘘を! ええい! いっその事、バラして焼かせてやった方がいいんじゃないかしら!?)

 

「おお、丁度良い所に!」

 

 そんな2人の前に、作家であるキャスタークラスのシェイクスピアがやって来た。

 

「どうか致しましたか?」

「清姫殿にエリザベート殿! 丁度いい! 実は我輩、ホーエンハイム殿から薬の実験を頼まれまして……」

 

 そう言って懐から試験管に入った薬を取り出す。

 

「赤いほうが恋の実る薬で、緑の方は美容効果があるそうです」

「美容……!」

「恋……」

 

「男の我輩が飲むには相応しくない薬なので、良ければ飲んで、感想を聞かせてはくれませんか?」

 

「飲みましょう」

「せ、折角だから、飲んであげるわ!」

 

「では、どうぞ……」

 

(って、思わず受け取っちゃったけどコレって――)

 

 危険を感じて試験管を開け、臭いを嗅ごうしたエリザベートだが、清姫は開けてそのまま飲み干した。

 

「ちょ、アンタ!? 少しは警戒を……!!」

 

「…………か、か、かひゃいでず…………お水を、くれまぜんか……」

 

「……流石、大蛇になったお方……! 巷で噂の“辛さ100倍! ウルトラデッド醤油”で沈まないとは! バッドエンドの題材にと思ったのですが……」

 

「なんてもん飲ませてんのよ!」

 

「シェイクスピア、何をしている!? 調理場から一級危険物が消えたと思って嫌な予感がしていたが……」

 

 そこに現れたのは褐色肌で白髪の男、アーチャー、エミヤだった。

 

「ほら、辛さを消す牛乳だ。飲みたまえ」

 

「あ、ありがひょうございます……」

 

 渡された牛乳を飲み干した清姫は、涙目のままシェイクスピアを見た。

 

「シェイクスピアさん……」

「ど、どうかご容赦を……! 今日はエイプリ――」

「これで、恋が実るのですね!」

 

「――ハイ、ソウデス」

 

 その健気な姿に浄化しかけるシェイクスピア。なお、この返事には自分への保身も勘定に入っている。

 

「ますたぁ、今、貴方の清姫が参りますぅ……」

 

 辛さのせいか若干動きが悪い清姫は、マスターの元へと歩いていく。

 

「……因みに、その緑の液体はゴーヤを増し増しにブレンドした野菜ジュースでっガッハ!? は、鼻がー!!」

 

 液体の説明を聞いたエリザベートは一瞬の迷いもなくシェイクスピアの鼻に投げかけた。

 

「ちょっと、あれ大丈夫なの!?」

「問題無い……マスターの元までなら、自力で歩けるだろう」

 

 エリザベートは返ってきたエミヤの答えに両手を下げて、怒りだした。

 

「ちっがーう! もしあいつがマスターとデートするのが嘘だって知ったら……」

「だが、マスターは確かに彼女をデート誘ったぞ」

「っえ!?」

 

「君が誰からデートの事を聞いたかは知らないが、少なくとも……私の負担と君の苦手克服の為に料理を3人一組の当番制にするようなマスターが、そんなつまらない嘘をつく筈がないだろう。あれ程のお人好しを、俺は見たことが無い」

 

「アンタ、鏡見てきたら?」

 

 エリザベートのツッコミに眉をピクリと動かすエミヤ。そして床では、漸くゴーヤ汁から生還したシェイクスピアが顔を上げた。

 

「そう言えば、今日の当番は……マスター殿と清姫殿、そしてフォウ殿だった筈……エミヤ殿。出来れば飲み物を……」

 

「そう言えば、食材を無駄にした君への罰がまだ決まってなかったな」

「ヒエェー!! 今日はエイプリルフール!」

 

「正義の味方が、一日でも悪を見逃すわけがないだろ――!」

 

 

***

 

「それじゃあ、私は出て行くとします。先輩、ご武運を」

「ハハハ、別に死地に行くわけじゃないけど……ありがとう」

 

 マスターのマイルームから出たマシュは、廊下を走る音を聞いた。

 

「っ!」

 

 思わず物陰に隠れると、黒い着物の女性を目撃した。

 

 勿論、マスターとデートの約束をした清姫である。

 

(妙ですね……先輩の口ぶりからすると、先輩が迎えに行くと思ったのですが……)

 

 不審に思って、清姫の入ったマスターの部屋の前に向かったマシュは、聞き耳を立てることにした。

 

 

***

 

 

「マスター!」

「あ、き、清姫! アレ? もしかして時計にイタズラでも……」

 

 マイルームに走り込んできた清姫。

 サーヴァントは緊急時の為に俺の部屋に入れるよう鍵を渡してあるので入ったことには驚かないが、その様子から何やらあったらしい。

 てっきり時計を弄られ約束の時間が過ぎたのかと思ったが、違うらしい。

 

「ま、マスター……今日は、でぇと、しますよね……?」

 

 不安そうに扇子を握りしめて問いかける彼女を見て、何があったかはよく分かった。

 

「……その前に、清姫……1つだけ、言いたい事があるんだ」

 

「な、何でしょうか……?」

 

 不安は止まず、扇子を握っている手に力がこもっている。

 恐らく、答えを間違えれば、殺されるだろう。

 

 それでも俺は、彼女に1つの、偽りをあげる事にした。

 

 ポケットからデートの締め、明日へと変わる1分前に渡すつもりだった箱と台詞を取り出した。

 

「清姫……俺と、今日だけ……結婚してくれ!!」

 

 俺は箱を開いて、清姫に見せた。

 中には、指輪。ダヴィンチちゃんに頼んで作って貰った1日の終わりに消えると言う幻想の結婚指輪が入っていた。

 

「――」

 

 驚愕。

 

 驚く彼女の顔を見て、サプライズが成功した事への喜びより、彼女の反応への不安が高鳴る。

 

「――ますたぁ」

 

 やがて彼女は、腕を伸ばし俺の頭の後方を抱き締めると同時に

 

 ――唇を重ねた。

 

「――不束者ですが、よろしくお願いします」

 

 

***

 

 

「大変です! せ、先輩が! 清姫に婚約を!」

 

「マスターがプロポーズした!?」

 

「ほう、4月バカはバカップルの日であったか」

 

「主どのがご結婚!? で、では私は旦那様とお呼びせねば!?」

 

 聞き耳を立てていたマシュは、カルデア中に、自分の聞いたマスターの台詞「結婚してくれ」を広め始めた。

 

 

「――なんてこった」

 

「あ・な・た」

 

 マスターは混乱の最中、清姫は嬉しそうに腕を絡ませ抱きしめている。

 

「嘘から出たまこと……名言ですわね」

「ま、まぁ……皆、ノリが良いから……」

 

 デート、では無くカルデア中を2人で恋人繋ぎで歩く事になり、清姫は携帯電話らしき機器で写真を撮っては、何処かに送信している。

 

「某狐さんから、「爆発しろ」と……」

「ハハハ……」

 

 からかわれながらも過ごす何時もと違う1日。あっという間に過ぎていく時間。

 

「では、夕食をお作りしましょう」

「そうだね。今日はカレーか……」

 

「では旦那様。私、1人だけに特別なカレーを作りますので、旦那様は普通に調理を……」

 

 カレーは手順は簡単、数さえこなせばカルデア全サーヴァントに作ることも簡単な料理。しかし、辛さが苦手な子供や甘党がいるので、甘口と辛口の両方を作る必要がある。

 とはいえ、自分の為に清姫が作ってくれるのであれば、何の問題も……

 

「うるとらでっど醤油……これですね」

 

 あ、俺にじゃないのか。

 

 

***

 

「昼はご飯抜きにしてすいませんね、シェイクスピアさん……お腹が空いたでしょう? 清姫特性、恋の実るかれぇです」

 

「……清姫殿、ごめんなさい」

 

「何を謝るのです? 昼間はあれだけ旦那様が羨ましいと言ったでは無いですか? これを食べれば、恋が成就しますよ?」

 

「わ、我輩実は間食を――」

「――嘘は、いけませんよ? 旦那様、お願いします」

 

「令呪を持って命ずる! シェイクスピア、目の前のカレーを完食せよ!」

 

「ま、マスターの人でなしぃぃぃ!!」

 

 

***

 

 

「キャスターが死んだ!」

 

「順番は逆だよね?」

 

 そんな様子をモニター越しで見ていたのは、ドクターロマンと芸術家のサーヴァント、ダヴィンチ。

 

「所で、良く一日で幻想の指輪なんて作れたね? 頼まれたのは昨日だろ?」

 

「ロマン、おかしな事を言うね? 今日は4月1日、エイプリルフールだよ?」

 

「えっ!? まさか……」

 

 

***

 

 

「マスター……もう今日になって10分経つのに、一向に消えませんわ、この指輪」

 

「ヘエーソーナンダー」

 

「マスター? 例え、4月1日であっても2日であっても、この清姫、嘘つきには容赦はいたしませんよ?」

 

「ひぃい!?」

 

 ベッドに押し倒され、体の上に乗られる。退かす事は出来そうにない。

 

「大丈夫です、痛くしませんし、私のことを考えている内に終わりますよ」

 

 ――これからは嘘偽りなく、ワタシトアイシアイマショウ?




なおこの指輪は清姫から返され、戦いが終わったら正式に……


                続く!(大嘘)

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