ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】 作:スラッシュ
あと配役カオスです。
遅くなった理由ですが、遊戯王熱と料理熱の再発です。料理は餃子の皮のピザが作れて一応落ち着きました。
「……おい、巫山戯るなよ」
「随分不機嫌だな?」
いや、不機嫌じゃない。
何時もの聞こえなかったフリが意味ない事に気付いたから速攻で文句言ってやっただけだ。
「ヤンデレサーヴァントを家族化とか馬鹿じゃないの?」
「義妹1人、義姉1人、それに人づ……義母だ」
「お前今思いっ切り人妻って言おうとしたな? 仕舞いにはメルセデス寝取るぞ?」
「……」
何だその面白くない冗談を聞いた時の顔は? 毎回そんな心境な俺に逆ギレか?
「……やはり機嫌悪いんじゃないか?」
「いや、これっぽっちも」
本当に機嫌は悪くない。むしろ毎日この時間はこれくらいだ。
「……まあいい。では、逝け――」
「……で、家族って誰だ?」
ベッドの上で悪夢が始まった。
辺りの景色が現実の俺の部屋に似ている。似ているだけで全く同じという事は無い。
カーテン、ベッドシーツ、枕、カーペットなど、家具の色が違う。何故か保護色の緑一色だ。
「人妻って言ってたからまあ、予想は付く。しかし、妹と姉に関しては全く分からない」
妹……と聞くとジャック等の幼女を思い起こすかもしれないが、セイバー・リリィや清姫も十分幼い。もしかしたら、マシュや静謐のハサンの様な年齢の近いサーヴァントが来るかもしれない。
同じ理由で姉も候補が多い。マルタみたいな姉御肌、幼姉なんてモノもあるのでブラヴァツキー夫人もありか。
ストレートに玉藻なんかもあり得るし……
(まあ、ガチャ報告はこのくらいにして……)
俺は迷わずベッドに倒れて二度寝した。
アヴェンジャーが目標を言わなかったと言う事は悪夢から出る方法は時間経過で間違いないからだ。
「夢の中で寝るのもへんな話だが……」
何時もの事だ。さっさと寝てしまおう。
「……起きてる?」
早速誰かがドアを開けたようだ。小声で質問をしてきたが何も返さなければ問題ないだろうな。
(いや待て、今は朝だ。何故夜中に怖い夢をみた妹の如く小声で起きてるか問う必要がある?)
俺は薄ら目を開ける。
視界入ってきたのは赤い髪に白い服。手にはしっかりとロープの様な物を握っている。
足音を立てない様に慎重に近付いている様だ。両手でロープがピンッと張る。
「起きてるよ、おはよう」
サッと起きた。どう考えても捕縛の未来が見えたからだ。
「あ、お、お、おはよう!」
赤い髪に白い服、人妻と言えばこの人に間違いないだろう。
「なーんだ、お兄ちゃん、起きてたの?」
そう、ライダークラスの人妻枠…………え?
いや、ロープを背後に隠しているのは別に構わない。隠す意味があるかと問いたいがそれ別にどうでもいい。
問題は……ブーディカさんが妹な事だ。
「見た目はそのままなのに、妹とか詐欺だろ……」
「どうしたの? お兄ちゃん?」
「いや……朝食あるのか?」
「うん、いまお母さんが作ってるから早く来てね?」
「おう」
閉まるドア。だが、俺の心の口は塞がらない。
「……落ち着け。大丈夫大丈夫、ヤンデレ・シャトーは平常運転だ……」
いやいやいや、落ち着けるか。なんて変化球投げてきやがる。
……これで姉も母も分からなくなったな。後、寝ている間に拘束される恐れがあるのでベッドで寝続けるのも難しい。
「……仕方ないか」
俺はベッドから起き上がり、部屋から出た。
「……」
顔を水で洗う。不思議と尿意は無い。
タオルで拭こうとしたが掛けてあるタオルが多くてどれを使えばいいのか分からない。
「青いのか?」
適当なタオルを取って顔を拭いた。
「おはよ」
「ん? おはよう」
顔を洗っているだけなのでトイレのドアを開けっ放しにしていた。誰かが入ってきたみたいだ。
「……なんでオレのタオル使ってんの? お前のそこの白い奴だろ?」
「あ、ごめん……式」
姉……だと思われる両義式がいた。
「ま、いいけどさ。タオルを弟に使われた程度。それよりも式は無いだろ? いつもみたいに姉さんって呼べよ」
「あ、うん、姉さん」
「それで良し」
「じゃあ、先に行ってるから」
「ああ」
俺はトイレを出た。
「……ふーぅ……すぅー……」
後ろから顔に何かを当てて吸っているような呼吸音が聞こえるが、恐らく気のせいだ。
俺は早歩きでリビングへと向かった。
「お兄ちゃん、早く座って座って!」
俺と同じくらいの身長の妹、ブーディカが自分の隣の椅子を叩いて招く。
「おはようございます。ご飯できてますよ、早く座りなさい」
奥ではエプロンを着た義母らしき人物が皿を両手に持ってやって来た。
「休みだからってダラダラしないで。食器を洗わないといけないんですから」
エプロンを着て現れた人物はライダークラスの聖女マルタだ。
(え、何? これお父さんタラスクあり得るぞ……)
「お姉ちゃんは?」
「トイレだよ」
「じゃあ直ぐに来るわね」
机にはパンとスープにチーズやハム、野菜が並んでいる。
「あ、そうそう。今日は休日だけど私は用事があるからお兄ちゃん、お昼はお願いね」
「あ、はい」
どうやらマルタは家には居ないらしい。ならば式とブーディカの相手だけすれば良さそうだな。
「11時40分位に帰ってくると、お昼が間に合わないからね。ちゃんと作って下さいね?」
現在時刻8時。
短い用事だな。何だったら午後11時まで帰ってこなくてもいいんですよ?
「おはよー」
「おはようございます。
お姉ちゃん、私はお昼までいないから、ちゃんと2人の面倒を見なさい」
「分かってるよ。かーさんは心配し過ぎだろ。たかが数時間の外出に……」
「お姉ちゃんが何時もだらしないから心配してるんで――ゴホン、心配してます!」
「はいはい……学校の時とかどうしてんだこの人」
式は小声で文句を言いつつ椅子に座り、漸く全員揃った。
『いただきます』
さて、どうしたものか。
どうやら今日は祝日なので学校があるから外に出かけるという選択肢は無い。昼飯を作れと頼まれたのであまり長い外出も無理だ。
冷蔵庫にはちゃんと材料もあるし、買い物の必要も無い。
(もしかして先の頼みは楔だったか? 俺が外に出ない為の?)
「お兄ちゃん! 何して遊ぼっか?」
後ろから俺と同じ位の大きさの妹に抱き着かれた。
「おい」
階段から式に呼びかけられた。
「こっちに来い。来週はテストだろ?」
「お姉ちゃん? お兄ちゃんは今から私と遊ぶんだけど?」
「オレはそいつの勉強を見てやる義務がある」
「何時もは面倒臭がってそんな事しないくせに……」
「そろそろ受験に備えてもいい頃だろ? 姉からの優しい気遣いだ」
2人が火花を散らし合っている間に俺はその場から退散した。
まあ、すぐ隣の風呂場にだけど。
「洗濯物でもしておこうか……」
と思ったが洗濯物がまるで無い。マルタさん、早過ぎるだろ……
「お兄ちゃん、一緒に遊ぼう? 私の部屋で」
「勉強するぞ、オレの部屋で」
風呂場の出入り口を塞がれた。
だがどっちも今の所はヤンデレのヤの字も……
(ロープ……タオル……)
ンの字まで来てたか……
「じゃ、じゃあ……勉強しようかな」
「ま、それが妥当だな」
「え、お兄ちゃん……?」
ええい! この程度でハイライトを消すんじゃない!
「終わったら相手するから、な?」
「さあ! 勉強しましょう!」
「なんでお前も入って来たんだ……?」
結局、ブーディカも式の部屋にやって来た。
「じゃあ、適当に数学からな(っち……これじゃ、ベッドに押し倒せない……)」
「数学か……(お姉ちゃん、お兄ちゃんを押し倒す気だったな……)」
「あはは……」
何ともやり辛い。まず、姉と妹と言う関係の距離がまるで分からない。
3人でベッドに腰掛けているが、2人が俺を挟んで牽制し合っている。
「お兄ちゃん、此処はどうするの?」
ノートを見せつつ胸を押し付けてくるブーディカ。
「おい、こっちに集中しろ」
注意する為に耳元まで顔を近づけてくる式。
(集中……集中しろ……集中)
俺は無心でノートの問題を解いていく。片方に反応すれば片方に殺られるのは目に見えている。
((X+2Y)×(3X-Y)は……)
(次は2進数だな……1010×111……答えは……)
「お兄ちゃん……」
「……数学は必要なかったな」
「何でお姉ちゃんまで……」
「勉強は終わったんだし、たまにはゲームしたい」
レースゲームを始めた。
Fate/GrandRiderというタイトルだ。
「あ、お姉ちゃん! アルトリアは私が使いたかったの!」
「どれでも良いだろ」
(なるほど、操作はマリカと同じか……女性率高いな、おい)
俺は少し迷ったがメアリー&アンを選択した。
「もう! じゃあコレ!」
モードレッド(サーフィンボード)か。
開始の合図と共にスタートダッシュに成功した俺はコンピューター操作のキャラと2人を越えてトップになった。
「アイテムはワカメか……」
「っもー! お兄ちゃん手加減してよ! あ、ゲイ・ボルグ!」
「久し振り過ぎて操作が……きのこ……」
2人がモタついている間に差を広げて、余裕のあるゴールを切った。
「ただいま! 皆、ちゃんとご飯食べましたか?」
2人の相手もソコソコに、マルタが帰って来た。
「おかえりなさい、もう食べたよ」
「っち……おかえり」
式が露骨な舌打ちをした。
「それじゃあお兄ちゃん、ちょっとお母さんの部屋に来てくれる?」
「はい」
深く考えずにそう答えた後に、嫌な予感がした。
「さあ、来て下さい」
開かれた部屋に言われるがまま入ると、後ろから抱き着かれた。
「つっカーまえった!」
「ちょっ!?」
立っていられなくなった俺は床に膝を着く形で崩れ落ちた。
「朝からずっとぎゅーってしたかったのよ! っはぁっはぁ……お兄ちゃんの匂い……」
「ちょ、ちょっとお母さん!?」
首をくすぐる様にマルタは鼻から呼吸を繰り返す。
「あ、ごめんなさい……力が強過ぎたかしら?」
「いや……やめて欲しいんですが……」
「だ~め! お兄ちゃんは私の息子……私のモノなんですから……」
そう言ってマルタは俺の体をクルリと正面に向けさせ、俺の頭を胸に押し付けた。
「ほーら……いっぱい嗅いでいいのよ。お母さんの、匂い……」
柔らかい感触を頭で感じつつ、呼吸が苦しいので否応無しに呼吸をする。
「もっともっと……あっ……ん!」
小さく喘いで色っぽい声が出るがそれよりもこの圧迫をどうにかしてほしい。
一心不乱に腕を動かして、漸く抜けられた。
「もう、いけない子ね! いきなり胸を甘噛みして……!」
無我夢中で何も覚えてないです。
「……じゃあ次は直に……したい?」
「結構です!」
俺は漸く離れたマルタから逃げる様に部屋から出て行った。
「お兄ちゃん!」
「ん? どうした?」
嫌なタイミングでブーディカがやって来た。
マルタから逃げたのは良いが、先の行為で興奮したままの状態なのでソファーに座って落ち着こうと思っていたが……
「隣座るね?」
あちらは何やら楽しそうだ。
「お兄ちゃん、何か我慢してる?」
「いや、そんな事は無い」
これは生理現象だし、そもそも妹に襲いかかろうなんて我慢する必要も無い程に考えていない。
「お兄ちゃんはブーディカの事は、嫌い?」
「嫌いじゃない。兄妹として好きなだけだ」
ヤンデレ妹ははっきり言わないとこちらの発言で勝手に好感度と病み度が上がる場合が多い。
逆にはっきり言うと一気にバットエンドもあり得るが、ブーディカさんは人妻だ。
今までも、俺に遠慮めのアタックしかして来なかったし。
「私はお兄ちゃんが大好きだよ。この気持ちを、分け合いたい位ね?」
そう言ってブーディカは急にキスを迫ってきた。慌てて顔を動かして、何とかデコで受け止めた。
「むー! ちゃんとキスしようよ!」
何で美人な人って頬を膨らませても可愛いのだろうか?
「しょうがないなぁ? 照れて反射神経でキスを躱しちゃうお兄ちゃんは、縄で縛ろうかな?」
何でまだ持ってんだよ? ほんと、何でさっき隠したの?
「……あ……!」
突然ブーディカの動きが止まった。ショックを受けたかの様に縄を離して固まった。
「……そ、そうだよね……縛ったら駄目だよね……」
どうやら生前のローマに捕まっていた事を思い出したようだ。トラウマを自分で抉ったか。
「だ、だったらっ!」
ガバッとブーディカが俺を抱きしめた。
「これなら逃げないよね?」
「あ、暑い……」
「私も……お兄ちゃんの体温が、伝わってくるよ……」
お互いの顔はセンチ単位の距離まで近づいた。
「いや、兄妹でそれは駄目だ……!」
「大丈夫、血は繋がって無いんだから……」
もう7センチしか距離がなさそうだ。
こうなればキスシーンを台無しにするあのセリフを……!
「ねぇ知ってる? キスをすると1秒間に1億の細菌が口の中を行ったり来たり――ん!?」
だがあっさり唇は重なり合い、そのまま数秒が経過した。
「……ふふふ、お兄ちゃんとお揃いなら、風邪だって病気だって嬉しいよ?」
「……おー、起きたか?」
「し……姉さん? ……!」
目を開けると、リビングのソファーでは無く式の部屋のベッドにいた。
「何もしてないから安心しろよ。暑いのに2人でくっつきやがって……」
「あ、ブーディカは?」
「母さんに説教喰らってる」
マルタに説教……鉄拳制裁か?
「お前を独り占めすると母さんうるさいからな……」
家族全員で共有とか体持たねえし、そもそもその家訓がおかしい。
「まあ、そういう母さんが一番独り占めしてんだけどな」
「いや待て! そもそも何で皆俺が好きなのが当たり前みたいになってんだ!?」
「? だって母さんは、最初からお前目当てでお前の父さんと再婚したし」
「いや、何でだよ!?」
「年の差があるから、母親として合法的に弄りたいって」
「いや、義理だろうと母親が息子をどうこうするのは犯罪だろ!」
「……まあ、私と妹が一目惚れしたのも理由だし、な?」
なんで“しょうがないから見逃してあげて”みたいな目をしてるんだ? 何もしょうがなくないだろ。
「じゃあ今度はオレが楽しむ番かな?」
式の手が俺へと伸びる。が、直ぐに止まった。
「お・ね・え・ちゃ・ん?」
ドアの向こうからマルタの声が聞こえてきた。
「……ちぇー。オレだけ楽しんでないんだけど?」
「独り占めは駄目、でしょう?」
部屋に入ってきたマルタは当然の様な顔で俺に触れる。
「お母さんから逃げて、妹に行くなんて悪い子ね? お姉ちゃんと一緒に、お仕置きしなくてはなりませんね?」
「全くだ……所で、オレ今日は口が欲しいんだけど?」
「お顔はお母さんがイジります」
「イヤイヤ、昨日も今日もイジったんだろ? ならオレに譲ってもいいだろ?」
何故そんな喧嘩をするのかさっぱり分からないが、どうせならもう逃げたい。
『ただいまぁ!』
と、同時に別の声が聞こえてきた。
「お父さんが帰って来ちゃったわね?」
「っち……今日は一緒に寝るぞ、良いな?」
2人は足早に去っていった。
そして別の足音が部屋にやって来た。
「お兄ちゃんただいま、です!」
入ってきたのはスーツ姿のセイバー・リリィだった。
「……フフ、お母さんも姉妹ちゃんも沢山遊んだみたいですし、お父さんも息子とちゃんとスキンシップを取らないと行けませんね!?」
「……」
「…………」
「………………」
(父親もヤンデレかよ!? て言うか父親いるのに男性俺だけってどんな家庭だよ!?)
「さあ、一緒にお風呂に入りましょうねぇー?」
水着はタマモが来ましたけど、この小説の作者としては清姫が欲しいです。
このスマホ内の小説データは触媒たり得ない様です……(通常清姫から目を逸らしつつ)