ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】 作:スラッシュ
なんて事だ、書かないとと思い書きました。
(なおスカサハは出ない)
「まだ10月の初めなんだが……」
「仕方あるまい、UA25万達成企画で今月の予定は既に埋まっている。今の内にやらねば、11月になってしまう」
アヴェンジャーが唐突にハロウィンらしい事をすると言い出して、俺がまだ早いんじゃないかと言ったらメタな理由が帰ってきた。
「残念ながらパーティー程楽しい話では無いだろうな。まあ、体験すれば理解出来るだろう」
アヴェンジャーは言うが早いか、さっさと俺の意識を飛ばした。
マタ・ハリ×サキュバス編
「……はい?」
目を開くと普段の衣装と色の違う、黒を主色にした衣装に悪魔の様な黒く翼膜のある翼、頭には2本の小さな角が付いたマタ・ハリが目の前にいた。
「マスター、こんばんわ」
「こ、こんばんわ……」
相変わらず露出が高い。普段と違うその色に違和感を感じ、戸惑う。
「この格好、なんだかわかります?」
「悪魔、かな?」
「正確には夢魔、サキュバスです」
サキュバス、男の夢の中に現れて精気を搾り取る……って!
「もう此処は夢の中なんだが……」
「はい、ですのでマスターの精気、頂きますね?」
あー、そういう感じね。
「理由つけて押し倒したいだけか!?」
俺は背を向けて全力で逃げ出す動作をした。マタ・ハリは戦闘能力の低いサーヴァントだ。頑張れば逃走も可能な筈だ。
「何処にも逃げられませんよ?」
が、マタ・ハリは目の前に現れた。
「今の私はサキュバスの衣装を着た、キャスタークラスのマタ・ハリ。夢の中であれば何でも出来ます」
「まさかのチート!?」
それならばとマタ・ハリを見つつ逆方向へと逃走した。
しかし、不意に体を抱き止められ柔らかい感触に逃走は阻まれた。
「「こんな事も出来ちゃいます」」
前には俺を抱きしめ、後からはゆっくり迫るマタ・ハリ。2人に増えた。
「さあ、お部屋に行きましょうね、マスター?」
「きっと楽しくて、気持ち良くて気に入るわぁ……」
「いや、マジで放してくれぇ!」
2人のマタ・ハリに腕を捕まり挟まれ、部屋へと運ばれる。
筋力でなら勝てると思ったが本当に夢の中だと最強なようで、俺はただズルズルと引き摺られるだけだった。
「マスター、営みを始める前に……」
「普段の私と今の私、どっちが良いですか?」
マタ・ハリに運ばれた俺はベットの前で普段の衣装の彼女か、サキュバス衣装の彼女、どっちが好みかを聞かれた。
(どっちを選んでもアウトだが、2人一緒とか勘弁だ。テクノブレイク率上昇するし)
「普段ので……」
無難に答えたつもりだがマタ・ハリの頭は少し下がって、目元が暗くなり、見えなくなる。怖い。
「……じゃあ、この衣装でお相手しますね?」
「え……いや、何で?」
てっきり、テンション高めで「じゃあ、普段の私で」って返ってくると思った俺は彼女の下がったテンションに戸惑う。
「だって……折角着た衣装ですよ? これを着たままでって……新鮮じゃないですか?」
「いや、新鮮も何も先ずヤル気が無いから……」
「大丈夫ですよ、私が優しくリードしてあげますから……最初だけですけど」
「そうだ、ちょっと待て! トリックオアトリートだ! お菓子をやるからイタズラするな!」
彼女の恍惚な表情に俺は死を感じ、慌てて状況を打開しようと動き出した。
「お菓子……ですがマスターは何も持っていないですし、私は白濁で良いんですよ? ビールジョッキ一杯分位の」
「死ぬからそれ!」
マタ・ハリはベッドの俺に近付くと、唇を重ねようと俺の顔を両手で抑え接近する。
「さあ、マスター……」
もう貪られる予感しかしない。フル回転した脳味噌が状況を打開出来そうな答えを導き出した。
「――幸せな家庭が欲しいんじゃなかったのか?」
俺がそう言うとマタ・ハリの動きが止まる。効いた様だ。
なら言葉を重ねて正気に戻させよう。
「ハロウィンではしゃぐのは良いけど、自分の願いは忘れたら駄目――」
「――マスター! ありがとうございます!」
言葉の途中にマタ・ハリは俺を抱きしめた。
感激の余り、と言った感じだ。
衣装も普段の服装に戻ってる。
「嬉しいわ、私の願いを覚えて頂いて!」
「い、いや……あの……取り敢えず放してくれ――」
「これはもう、プロポーズなんですか? マスターは何人子供が欲しいですか?」
駄目だ、正気に戻る所かヤンデレが深まった気がする。
「それとも、プラトニックに2人で暮らしたいですか? ふふふ……若くて元気なマスターが、そんな消極的な訳ありませんよね?」
「ちょ、ズボンは下げないで!」
巨大で豊満な、魅了と希望の魔力が詰まったマタ・ハリの胸に、座っているけど既に立っている状態だ。
「それでは、いっぱいしましょうね?」
清姫×天井下り編
「っはぁ!?」
危なかった。もう完全アウトだった。
最近本当にヤンデレの勢いが増してる気がする。いや、シチュエーションが難易度上げてるような気も……
ベッドの上で目覚めた俺は直ぐに悪夢が続いている事に気が付いた。
「……で、どう言うシチュエーションだ、コレは……?」
金縛りなのだろうか。
目が覚めているはずだが体は動かない。部屋も暗く、若干天井が見える程度だ。
「ま・す・た・ぁ?」
だと言うのに一体どこからこの声は聞こえてくると言うのだ。
「……うぁ!?」
動かせる限りの視界を動かして、自分の顔の真上にいる清姫に驚いた。
重力によって垂れ下がった長髪は、あと数十センチで届きそうだ。
「ハロウィン……ですので日本の妖怪に仮装しました」
「か、仮装?」
残念ながら部屋が暗すぎて見えはしないが、普段とは違い、着物では無い様だ。
「で、なんの妖怪?」
「天井下りです」
聞いた事はある。夜中、起きると天井に蝙蝠のようにぶら下がったまま現れる妖怪で、こちらを見るだけで害は無い……筈。
「何も出来ませんわ……下りれませんし」
「じゃあ大人しくしてくれよ、寝るから」
金縛りのせいで部屋を出る事も出来ないので、仕方が無いと寝ようとする。
「残念ながら、私がいる間は金縛りのせいで目を閉じる事は出来ません」
しかも、清姫と目が合ってからは逸らす事すら出来そうにない。
「…………」
「…………」
無言である。
俺は清姫から目を逸らせない現状に参っているが、清姫は逆に喜んでいる様だ。
「マスター……マスター、ますたぁ……」
「何?」
「何でもありませんわ……フフフ」
怖い。目が合ってるだけなのに今にもこちらに触れてきそうで怖い。
「何かお話しませんか?」
「良いけど、何を?」
「では最近召喚された方々について……」
「ノーコメント」
残念ながらネロ祭もジャンヌ・オルタピックアップも爆死だ。次でどうやらエリザベート配布される様だし、またなんか厄介な事になりそうだ。
「では、少し前にやってきたクロエさんについてはどうでしょうか?」
「あーあの子ね……キス魔はもう式いるし、このままだとコラボキャラ=キス魔の公式が出来そうだ」
まあ、大抵のヤンデレがキスを欲しがっているししてくるけど……
「ふーん……ではでは静謐さんは?」
「ノーコメントで」
静謐は俺の中ではあったらヤバイので本当にノーコメントだ。
アトラス院の魔術礼装で薬が効き始め段階で状態異常を回復しないと不味い。そのあとクールタイム終了まで逃げ切る方法も探さないと不味いし。
「マスター……他の女性の事を考えるのはそれ位にして私を見てくれませんか?」
「ドライアイだったらもう乾ききってるくらいお目々ぱっちり開いて目を合わせているのにこれ以上何を望む?」
「では私についての話をしましょう。
マスターはどの私が好みですか?」
「召喚されてくれた清姫がスキダヨー」
「うふふ、嬉しいです……では私の何処が好きなんでしょうか?」
「健気ナ性格」
「ますたぁ……! 私も優しいマスターが大好きです!」
既に気づいているかも知れないが、俺のセリフの清姫についての質問に関しては全て棒読みである。
にも関わらず、先程から好感度が上がってい一方だ。
「……ではそろそろ消えます。私、大変満足しました」
それだけ言うと清姫は消えていった。
「ふう……寝よう」
「おやすみなさい」
「おやすみ……へ?」
上からでは無く、下から聞こえた声に驚く。間違いなく真下からだ。
「……ベッドの下の男ならぬ、ベッドの下のアサシン清姫、です」
「……な、何もしないよね?」
「ええ、私達はマスターが大好きですから」
今度は真下ではなく横から聞こえて来た。
「枕返しのランサー清姫、でございます」
……その後、枕は返されはしたが何もされずに時間は過ぎていった。
寝る事は不可能だったけど。
クロエ×吸血鬼編
「もうむりぃ……」
清姫2人同時とか緊張しかしなかった……
枕元の水着は枕返す時にやたら胸を近付け当てたり見せつけてくるし、ベッドの下の方は背中の部分を切り裂いて下から撫でてきた。
俺は変わった景色には目もくれずその場にへたり込んだ。
「はぁ……棺桶か……」
ちょうど良いと思い、床に敷いてあったカーペットを棺桶の上に乗せ、その上に寝っ転がる。蓋が平べったいので寝やすい。
「良し、もう休んでしまえ……」
中々にいいカーペットだ。赤いので落ち着かないが、目を閉じればなんの問題もない。
しかし、1分と経たずに俺の安眠は妨害される。
ゴンゴンゴンッ、と大きな音が下から鳴り響く。
「ちょっと! 棺桶の蓋が重いんだけど! 誰か、誰もいないの!?」
「うー……寝てたのに耳元に直接打撃音が……」
耳を抑え、体を起こす。どうやら誰か中にいるらしい。
「棺桶の上で寝てたの!? 普通棺桶見たら怖くて退くか、好奇心で中を覗くもんでしょ!?」
至極真っ当なツッコミだ。しかし、この中に入っているという事は当然ヤンデレ。
吸血鬼設定なのも簡単に分かっている。
なら、ここで棺桶抑えていれば平穏が保たれるかもしれない。
「っもう! カルデア加入後の私の出番も散々だったし、此処でも私の折角の登場が丸潰れじゃない! 3週間近くも登場を待ってたのに!」
文句を言いつつも、投影で剣を造りだすと棺桶の横から出て来た。
クロエ・フォン・アインツベルン、プリズマイリヤに登場する褐色ロリで、その姿、戦闘スタイル共にアーチャーであるエミヤに酷似している。
俺は未視聴なので詳しい事は知らないが、アーチャーのサーヴァントで魔力補給の面目でキスを強請るキス魔だと認識している。
「今は吸血鬼のコスプレ中よ」
「……牙が生えてる所と普段ボロボロのマントが新品みたいになってる位だな」
随分軽いコスプレだ。少なくとも、先までのインパクトには程遠い。
「そんな事よりも、疲れてるんでしょう? 膝枕、してあげるわよ?」
そう言ってクロエは正座し、自分の膝をポンポンと叩く。
「いや、遠慮しとこうか――」
――刹那、投影された干将・莫耶が頬を撫でる様に切り裂いて壁に刺さった。
投げた本人は満面の笑みでもう一度自分の膝を叩いた。
「……膝枕、してあげるわよ?」
冷や汗が止まないまま、俺は黙って頷いた。
「最初からそうしてくれれば、私もあんな乱暴な事はしなかったわよ?」
「……」
ロリに膝枕されていて落ち着かない……だったらどれほど良かっただろう。
現在俺は命の危険を感じて震え、緊張している。
「そんなに強張らないでよー……
食べたくなっちゃうじゃない」
そう言ってクロエは先程自分で切り裂いた頬から出ている俺の血を舐めた。
「んー……吸血鬼だからかな? 血の味を美味しく感じるわ」
「……染みて痛いんだけど」
「この位でくだくだ言わないの。ツバつけとけば治るんだから」
そう言ってクロエは念入りに傷口の血を舐めとった。
「お兄さん、私の膝を随分気に入ったのね。ふふふ、ずっとスリスリしていたいでしょ?」
「いやそんな――タイヘンキニイリマシタ」
否定しようとしたら干将・莫耶の切っ先がこちらを向く。
「まったくもうぅ……素直じゃないんだからぁ」
甘えた声で言ってくるがやっている事がえげつない。
キス魔じゃなくて刃物担当だった様だ。
「……ねぇキスしていい? 魔力が欲くなっちゃったぁ」
「刃物を向けながら頼まないでくれますか?」
干将・莫耶を片手で握り頭上に構えつつ頼まれては、断る事も出来ない。
「ちゅー♪」
「えー……俺からするの?」
唇をこっちに向けながら動かないクロエに、俺は嫌がるが干将・莫耶の脅しが続く。
「当然よね?」
「――クロエは俺に危害を加えるな!」
俺は唐突に令呪を発動させた。
長い間使わなかったお陰で3画までに回復していたのでこれで10分間クロエの刃物による脅しは封じられた。
「あー!? なにしてんの!?」
「ふぅ……流石にロリに自分からキスは無理無理」
「っく……令呪で抵抗できなくなった私を、好き勝手にするつもりなのね!? エロ同人みたいに!」
「人聞きの悪い事を言うな! 罰として先見つけたこのニンニクを食わせてやる!」
「なっ!? 何それ、本当にニンニクなの!? こんなに離れてるのに鼻が曲がる位嫌な匂いがしてる!」
鼻を摘んだクロエにニンニク片手に近付く。
「ほーらぁ」
「こ、来ないで!?」
「ほぉーらぁ」
「か、干将・莫耶! あ!?投げれない!?」
「ほぉらぁ……」
「や、やめて! そんな臭い物、私に近づけないでぇ!?」
「唯のにんにくだよぉ?」
「ら、らめぇぇ!!」
この後、滅茶苦茶餃子食べた。
次の更新はUA25万記念の企画になると思います。
なるべく早く投稿する予定ですが遅れる場合は低クオリティになると思われますが関係の無い短編でお茶を濁そうと思います。