ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】 作:スラッシュ
実は自分はピックアップが来るまで引けない限定サーヴァントを書きまくって、プレイヤーを課金による破滅に追いやる悪魔の作者だったのだ!
……いえ、課金は計画的にです。無課金でも小説書いたりして楽しんでいる自分がいますので、無理な課金控えて、FGOを楽しんで下さい。
「何で見知らぬサーヴァントがアヴェンジャーの隣でスタンバってるんだよ!」
始まって早々、俺の視界に今回の脅威が入り込んでいた。デカい……
おかしいな、最近はガチャは回していない筈なのに……
「今回は貴様が未だに召喚出来ていないサーヴァントを用意した」
「源頼光です。どうかよろしくお願いします、マスター」
お辞儀をする母さん……では無く源頼光。
理性はあるし会話も出来るがまごう事無きバーサーカーだ。何より恐ろしいのが素でヤンデレである事だ。
「言うなれば、イベントのみで現れるサーヴァントの様な物だ。召喚されていなくても居る……故に好感度も既に高く、ヤンデレ・シャトーの性質がそれを更に引き出し歪める」
「母たる私にはあまり関係の無い事ですね」
いや、滅茶苦茶関係あるだろ。
恋人=愛する息子なんて常人には理解不可能な思考してるのに、ヤンデレ・シャトーの影響を受けない訳が無い。
「で、誰か他のサーヴァントは? まさか更に未召喚サーヴァントを出す気じゃないだろうな?」
「今回は源頼光以外のサーヴァントは召喚されている者達だ。安心しろ」
果たして大丈夫なのだろうか。
既に詰んでいる。そんな気がしなくも無いが俺の意志が反映される事なくヤンデレ・シャトーが迫る。
「……へぶっ!?」
「マスター……愛しの我が子……」
シャトーに移っていきなり2つの魔乳が俺の頭部を包みは挟んだ。
俺の骨を折らない位の力加減は出来てる様だが鼻と口が塞がれれば息が吸えない。
「んーんー!!」
「ふふふふ……あら、少し苦しいのかしら?」
あっさりと開放されて――はいないが、息が吸える程度に包容は緩められた。
「マスターは私の子ですからね……離したりは致しません」
そう言うと頼光は俺を抱いたまま立ち上がった。
「さあ、母の部屋ヘと参りましょう。今宵はたっぷりと、母に甘えて下さいね?」
抱いた俺にそう言ったが、その目には母親以上の狂愛が宿っていた。このままだと無理矢理犯されてしまうのは目に見えている。
「あの……んぶっ、も、もう離して貰えると嬉しいんですけど?」
「マスター……母の包容がお気に召しませんでしたか?」
頼光は涙目になるが構わず続ける。
「頼むから歩かせて下さい」
「……うう、仕方ありません」
思った以上に簡単に離してくれたが、手は繋いだままだ。
「迷子になっては困りますからね。あまり母から離れないで下さいね?」
と言いつつも微塵も離す気の無い頼光の手から逃れる事は俺には出来そうにない。
が、頼光は1歩進むと立ち止まる。
「……どちら様でしょうか?」
そして、頼光は問いかけ振り返った。
「あらあら……流石は、と言った所かしら?」
マタ・ハリだ。諜報のスキルで俺達を尾行していた女スパイ、マタ・ハリが俺達の背後からその姿を表した。
って言うか諜報スキルがあるにも関わらず、一切味方だと思わないバーサーカーはバーサーカーじゃないと思います。
「理性がある分、バーサーカー故の味方意識の低さは無くなっていると思ったんですけどね」
「確かに理性の有る者が諜報員に気付くには貴女のスキルはレベルが高過ぎるのでしょうけど――
――私は我が子に近付く害虫に関してなら、目敏いですよ?」
なんて迫力だ。
威嚇じゃない。その眼光だけでマタ・ハリを牽制している。
「……今すぐ、プチッと処理して差し上げます」
「本当に、恐ろしい方ですね」
身の丈程の巨大な弓を出現させた頼光はマタ・ハリに瞬時に狙いを定めると雪崩の如く矢を放った。
「……時間は十分に稼ぎましたよ」
マタ・ハリが小さく何かを呟くと同時に頼光の懐へと刃が光った。
「――っは!」
「っ!?」
矢を放つのを止め、弓で斬撃を受け止めた。
「で、デオン!?」
「っく……私が此処まで接近に気付かないなんて……!」
デオンと頼光が対峙するが、俺を後ろから抱きしめる小さな手があった。
「マスター、ヴィヴ・ラ・フランス!」
「ま、マリー!?」
俺に抱き付いたマリーに、デオンと対峙しながらも頼光が鋭い眼光を向ける。
「……思った通り、貴女はバーサーカーとしてちゃんと狂っている。
理性があるけど、それは全て守るべき者に向けられているから僕みたいなマスターを狙わない者への警戒が疎かになっているね」
彼女の力量になんとか抵抗している、マリーのスキルで呼び出されたデオン。その言葉に頼光は顔を歪めた。
「我が子を想うのは母として当然の事! それを欠点の様に指摘される云われなど、ありません!!」
「さぁマスター、愛の逃避行ね!
2人を乗せて駆け抜けて! ギロチン・ブレイカー!」
「私も乗せて貰います」
ガラスか、はたまた水晶で出来た様な透き通った色の馬が現れ、マリーと俺、そして乗ってきたマタ・ハリと共に駆け出した。
「ま、待ちなさい!」
「行かせない!」
行く手を阻むデオンに頼光の表情が怒りに染まっていく。
「……退けぇ……!
私の息子をぉ……! 返せぇ!!」
馬が到着したその先はマリー・アントワネットの部屋だった。
女の子らしい可愛くも気品の感じられる部屋の中でマタ・ハリは頼光から逃げ切った事に溜め息を吐いた。
「随分恐ろしい母親でしたね……子供を想うのは母親にとっては当たり前の事ですが、あれは些か度が過ぎているかと……いえ、息子と恋人の違いが分からない以上、母親としては失格ですね」
マタ・ハリは思考に耽けているのか、目を閉じて独白を呟いた。
「――とか言いながら人を拘束するの止めてくれませんかね!?」
壁に繋がった手枷で俺の両手を縛りながら、だ。
「私はマスターを拘束するのは反対よ、マタ・ハリ」
「王女様、マスターは女性の良さが分かっていない方なんです。逃げてしまうのもその為。
なら、拘束した上で女性の良さをたっぷりと……お教えすればいいのです」
それを聞いたマリーは若干顔を赤らめながら「なるほど」と納得する。
「いや、するなよ!?」
「私は恋人としてマスターとお付き合いがしたいけど……マスターが逃げてしまうなら、多少強引な手を使っても女性の良さをお教えするべきなのね?」
「えぇ、そうです。その後であれば恋人所か夫婦にすらなれますよ」
それはタダの既成事実だ。て言うかもしかして先から俺をホモ扱いして無いか?
「女性の良さとか十分知ってるから! 俺を同性愛者みたいに呼ぶのやめてくれませんかね!?」
「王女様、マスターはこう言ってますが、実際に味わえばきっともっと夢中になりますよ」
「やだ、マスターが私に夢中になんて……素敵だわ!」
いっその事そのまま妄想に溺れてくれれば良かったのに、と考えてしまう程彼女は嬉しそうに笑って頬に手の平を添えた。
「先ずは脱がしましょうか」
「いや、そもそも! あの人がデオン1人に止められる訳が無いだろ!?」
「確かにデオンだけじゃ止められないわ……だから、魔力を回復するお薬を渡して置いたの!」
そう言って見せられたのはかつて清姫が使っていた宝具を連続使用する為の薬品だ。
まだ有ったのかその
「魅了と攻撃、防御を減らすデバフを何度も使って貰って時間を稼いでいるんです」
「それじゃあ、急がないといけないわ! マスター、夢中にさせてあげるわね……ん」
マリーの唇が優しく俺と重なる。
ディープとは違う、重ねるだけのキスをして見つめ合う。
「ん……」
マリーが微笑むと、彼女の舌が俺の口へと侵入しようとするので口を閉じてそれを拒む。
「マスター、リラックスしてください……れろれろ……」
「っ!? んんー!?」
だが、マタ・ハリが耳元で囁いた後に耳の中を舌で舐め始め、そちらに意識を持ってかれた俺はマリーの侵入を許してしまった。
「……っちゅ……ぁむ……」
「れろぉ……ん、気持ちひいへすか?」
マリーの舌が優しく俺の舌を舐め重ねる中でマタ・ハリが耳舐めをしながら囁く。
暫く調子の悪かった息子が元気になりだした。
「んぁ……ふふ、マスターの硬い物が……私のお尻に当たってくすぐったいわ……」
「今度はそっちを舐めて差し上げます……もしかして、胸で挟んだりとかがお好きですか?」
「あら、そんな行為があるんですか? 出来ればご教授お願いします」
『――っ!?』
最後の声がマリーの物では無かったので、その場が凍りついた。
「私の息子に手を出す悪い虫に、教えてもらう事などありませんけどね」
一瞬だった。
頼光は手に持った金色の斧の一振りで二人を両断し、消滅させたのだ。
「さあ、もう大丈夫ですよマスター? もう悪さをする怖い虫は居なくなりましたよ」
勃っていた息子も慌てて縮む程の恐怖だ。頼光は返り血を気にした様子もなく、斧だけその場から消すと俺を抱きしめた。
「母のいない間に随分ひどい目にあった様ですね。大丈夫、もう母は離れたりしませんからね……」
「……」
言葉が出ない程の衝撃だ。俺を抱きしめたまま頼光は立ち上がると部屋を出た。
「先ずは、体の隅から隅まで綺麗にしましょうね?」
そう言った彼女は俺を自分の部屋まで運ぶと風呂場まで連れて来た。
湯船はそう広い訳では無いが、彼女は服を脱ぎだした。
「母と一緒に入りましょう」
先の光景が未だに鮮烈過ぎて俺は無言で頷いた。
そして風呂場の扉を開いた。
「あら、マスター? 母とお風呂に――」
開いた先には風呂場で体を洗っている頼光、扉を開けて俺と風呂に入ろうとした頼光の、2人の頼光が存在していた。
「……う、う……」
最初に感じたのはやはり、恐怖だった。
「丑御前だとぉぉぉ!?」
牛御前。Fate/GOのイベントにて鬼ヶ島を作り出した張本人であり、伝説では頼光に退治された牛鬼であり、頼光本人でもある。
詳しく事は一切省くが、頼光がバーサーカーに召喚された原因でもある。手っ取り早く言うと頼光の中の別人格だ。
「母が2人いて嬉しいでしょう?」
1人の頼光がそう言った。しかし、頼光本人は牛御前の存在を嫌っている以上、このセリフを言った彼女は間違いなく牛御前だ。
「頼光」
俺は確認の為に風呂場で体を洗っている方を指差して尋ねる様に呟いた。
「牛御前」
いま一緒に入った彼女を指差した。
風呂場にいた頼光は直ぐに俺に抱き付いてきた。
「マスター! 母は嬉しいです! ちゃんと見破って下さるのですね!」
「私もですマスター! 母の事、よくぞ理解して下さいました!」
単純により凶暴な方が牛御前だと仮定しただけだが、どうやら当っていた様だ。
だが、生で生の感触は心臓に悪過ぎる。
「私は邪魔者の排除の為に牛御前として分離しました」
「その場で倒れてしまった私は牛御前が中から消えていたので一度部屋に帰ってマスターを待つ事にしました」
耳元ので説明してないでさっさと離れてくれないだろうか。
「では頼光、私がマスターの体を洗います」
「いえいえ、それは母である私の約目です」
「貴女が母なら私もマスターの母です」
「母は私1人だけ、貴女は自分の体を洗ってなさい」
やはり仲良く出来ないぞこの2人。このままだと風呂場どころかシャトーが吹き飛ぶ大決戦が始まりそうだ。
「あの、俺1人で洗えるけど」
「ああ! マスター、母はもう貴方には不要の存在なのですか!?」
「マスター、母に洗わせて下さい。貴方の汚い所全部、隅から隅まで母が綺麗にしてあげますから」
泣き始める頼光を無視して牛御前は石鹸とタオルを持つと俺の耳を洗い始めた。
「悪い虫に虐められたのは此処ですね? 入念に洗ってあげます……」
決して俺を傷付ける強さではないが、タオルで耳に石鹸をつけると水で洗い流した。
「これでは足りませんね……れろれろぉ……」
やはりと言うべきか、牛御前も耳を舐め始めた。
「っな!? わ、私も!」
「……れろれろ、そっちは汚されていませんが……好きになさい」
左右耳を舐める牛御前と頼光。その間にも体は密着している為、同じ大きさの4つの魔乳が俺を刺激する。
先まで怯えていた息子も再び勃ち上がった。
「それでは、今度は此処を洗いましょうか?」
そう言って牛御前が俺のそれに手を伸ばすが、それを頼光が止める。
「息子のデリケートな部分です! 母である私が洗います!」
「貴女が母なら私も母。私が洗う事になんの問題も無いでしょう?」
一瞬でまた険悪な雰囲気になった。このままだとまじでもぎ取られる可能性がある。
「令呪をもって命ずる! 2人とも出て行け!」
「マスター!」
「何をするのですか!?」
2人が出て行った所で俺は冷水を被ってから体を洗って、風呂を後にした。
「むすぅー……」
「……」
頬を膨らませながら俺を膝の上に座らせて頭を撫でる頼光。
ニッコリと笑いながらそんな俺を見つめる牛御前。
「時間です、交代しなさい」
「……だそうですよ頼光さん」
「もう少しゆっくりして行きなさい」
「さっさとマスターをこちらに渡しなさい」
風呂から出た後からずっとこの調子である。流石に俺が令呪を使ったので抑えている様だが険悪なのは変わらない。
「さぁマスター、此処に」
「……はい」
牛御前に勧められるままに彼女の膝の上に乗る。むぎゅーと抱きしめられ、頭を撫でられる。
「ふふふふ……マスター、これを握って貰えますでしょうか?」
そう言って牛御前は俺に何か書いてある御札を取り出した。
「な、何ですかこれ?」
「お守りの様な物です。握って貰えますでしょうか?」
訪ねてはいるが有無を言わせない程に威圧されては断れない。俺はそっと貰った御札を握った。
「……所でマスター、牛鬼、私の伝説が地域によって全く違う物になっている事はご存知でしょうか?」
ご存知では無いが多くの歴史や都市伝説がそんな感じでは無いだろうか?
「ある地域では牛鬼を殺した者は不治の病になった。牛鬼は滝の底に住み覗いた者を呪った。中には牛鬼が人間を救ったなんて話もあります」
急にどうしたのだろうか。何故か、凄く嫌な予感がする。
「ああ、そうそう……女に化けるお話もありましたね。
滝の近くを通りかかった人間に、赤ん坊を抱いて欲しいと言って手渡すと、赤ん坊は重くなり、石になって、逃げられない間に牛鬼がその人間を喰らってしまう、なんて事も……ありましたね」
気付けば手で握っていた札は重くなっていた。
石に変わったとかそんなのではなく、札の重さが30kgのダンベル並になっており、俺の片手だけが地面へとめり込んでいる。
「っくぁ……!? 令呪を持って……魔力が通らない!?」
「魔封じの札です。持っている間は令呪が使えませんよ」
「牛御前……!」
頼光は牛御前を睨む。
「あら、貴女もこうしたかったのでは無いですか? 今ならマスターは動けませんよ?」
牛御前は見せつける様に俺の腕を撫で、礼装の金具を上から1つ外す。
それを見た頼光はだらしない顔を晒した。
「……はぁ……素敵……」
「そうでしょう? 私達の、自慢の息子だもの」
そして近付いてきた頼光は、抱きしめた。
……牛御前を。
「な!?」
「もう用済みですね。ふふ、やっぱり息子に母は1人で十分ですからね?」
抱きしめられた牛御前はそのまま消滅、いや、粒子化されながら頼光の体へと溶け込んでいる。
「貴女の呪いなら、貴女が消えても残ります。私がマスターの母なのですから、私が消える訳にはいきません」
「ら、
そして、牛御前は完全に頼光の中へと消えていった。
「マスター、これから一杯母が悦ばせてあげますよ」
「だから、母親が息子に迫るのはおかしいって!」
「はぁ……悲しいです……反抗期なのですね? 大丈夫です、母が優しく躾けて差し上げますから」
手を開いてなんとか札を地面に落とそうとするが落ちない。
両手で持ちあげようとすると何故か重さが増す。
その間にも頼光の手が伸びる。
「しゅ、瞬間強化! 駄目か!?」
礼装に魔力が通らない。スキルが使えない。
「あまり我儘を言わないで下さい、母は息子の幸せを一番に考えているのですよ?」
そう言いつつ礼装の金具を上から外していく。
肌の露出が増えると段々と頼光の動悸が激しくなり、その瞳の中の妖しさが増していく。
「素敵……立派で逞しい体……ふふふ、下も、見たいですね」
頼光はズボンに触れる。
「お風呂場でも大きくなっていましたから、溜まっているのでしょう? 母に我慢は無用です」
「悪い虫に盗られないように、空にして差し上げます」
「体験だからな、これくらいでいいだろう」
「……し、死ぬかと思った……」
「だろうな。アレは間違いなく致死量の行為を行うだろうな」
「……母でもなんでもないだろう、アレ」
「シャトーではどんなサーヴァントも歪む。知性のあるバーサーカーなど格好の餌食だ」
俺はその場に倒れ伏した。
「この体験、まだ続くのか?」
「当たり前だ。次回は別の星5サーヴァントを用意しよう」
確認したい事だけ確認できた俺は、夢から覚めるまでただ待った。
そろそろUA50万になりそうです。
なので3回目になるお礼企画をそろそろしようかと思ってます。
家族の怪我も回復に向かっていて、気持ち的には荷物が1つ降りた感じです。応援して下さってありがとうございます。