ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】   作:スラッシュ

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CCCイベント、進んでますか?

自分はミッションが52個程終わってストーリーは鈴鹿倒した後くらいです。正直厳しいので週末にはリンゴの大食い記録を更新したいと思ってます。(感想欄でのネタバレは控えて下さい)


ヤンデレ・シャトー……?

 

 

 眠っていた俺が目を開く。

 この感覚はいつもの如く、ヤンデレ・シャトーだ。

 

 

 

 ……ん? 目を開けられない……? 物理的に閉じてるとか、瞼が重いとかじゃなくて、例えるなら見えない力で開けさせて貰えない、そんな感じだ。

 

 

 

 何時まで続くんだ、この状態は…………

 

 

 

 

 

「ナウ、ハッキング! か〜ら〜の…………………BB、チャンネル!!」

 

 ……はい?

 戸惑う俺の耳には何処から鳴らされた拍手が聞こえる。

 

「はぁい、今日も愛に飢えた醜きハイエナの様な先輩方を救済する奇襲型でキューピットな深夜番組、BBチャンネルのお時間です!

 司会は最強最新最先端なスーパーハイスペックヒロイン、貴方の後輩、BBちゃんです!」

 

 なんか、始まってしまった。

 

 

 

「もう先輩! あまり改行させないで下さい! この空行の内にチャンネル終わっちゃったって皆さんが心配しちゃうかもしれないじゃないですか!」

 

「うわー面倒くさいのキター……お願いだから誰か引き取りに来てー」

 

 我、ザビーズをご所望である。

 

「えへへ、面倒臭がられるのはラスボスとしてもヒロインとしても嬉しい限りです!」

 

「……で、一応聞きたいんだが……アヴェンジャーはあの中か?」

 

 そう言って俺はずっと中から騒がしい音がする謎の棺桶を指差した。

 桃色が主体で近代的なデザインのスタジオには完全にミスマッチだ。

 

「はいそうですよ。

 アヴェンジャーさんたら、シャトーはアヴェンジャーの管轄だー、とか古いドラマの警察の様な事を言ってましたのでBBちゃんが閉じ込めちゃいましたぁ♡

 アヴェンジャーはムーンキャンサーに勝てない、これ常識です!」

 

「今すぐルーラーを呼んでやろうか……」

 

 BBはコホンとわざとらしい咳払いをすると、話を続けた。

 

「それでは、今からこの悪夢の監獄塔ヤンデレ・シャトーをBBちゃんが乗っ取りプロデュースするBBチャンネル特別企画の始まりです! 

 名付けて、【先輩強姦塔〜愛して病んでる24時〜】です!」

 

 謎歓声が響きだし、俺の無言をかき消した。

 

「あ、タイトルの24時には特に意味はありません。語呂が良いので取り敢えず付けておきましたが、その気になれば200時間くらい閉じ込めちゃいます♡」

「うぁー……めっちゃ嫌だぁ……」

 

「んっ……っちゅ!」

 

 何故か唐突にBBは俺に投げキスをした。

 

「な、なんだ一体……!?」

「先輩、手の甲を見てください」

 

 BBに言われて慌てて手の甲を確認する。令呪の書かれたその上には入れ墨の様に薄いピンク色の桜マークが描かれてあった。

 

「な……!?」

 

「可愛いですね、先輩。私のマークですよ?」

 

 驚く俺をBBは楽しそうに眺める。

 

「その刻印が今回の特別ルール、BBハプニングです!

 先輩が特定の行動を取るとポイントが貯まっていき、溜まったポイントによって先輩の身に良くない事が起こりまーす!

 何が起こるかはその時までのお楽しみです! 当然、令呪は使えませんのでご注意下さいね」

 

 悪魔は笑っているがどんな事が起こるのか、どんな行動が駄目なのか分からないのでこちらとしては一気に行動を制限された様なモノだ。

 

「さあ、説明は程々にして……先輩、乙女達に食べられない様に、醜く足掻いて下さいね? 

 ふぅーー」

 

「おぁ――!」

 

 BBは誕生日ケーキのロウソクを吹き消す位の気軽さと動作で俺を吹き飛ばした。

 

 

 

「いってぇ……なんて滅茶苦茶な……

 アヴェンジャーの親切さが伝わってくるぞこれ……」

 

 吹き飛ばされ地面に放り投げられた痛みに耐えつつ俺は立ち上がった。見た目は監獄塔その物の様だが、BBがどんな極悪な改造をしているか分かったもんじゃない。

 

 早速――移動しようとした俺を、何かが掴んだ。

 

「え?」

 

 見れば床に色黒い泥の様な物があり、俺の両足首を掴んでいる。

 

「捕まえましたよぉ……主どのぉ……」

「ま、まさか……!」

 

 泥の様な物がケイオスタイドだと理解したが既に足を取られているいるので動けない。何故か侵食はされないが泥のような物はやがて人の形を成した。

 

「……貴方の可愛い可愛い、牛若丸ですよ?」

 

 不自然な黒い肌と正常な状態とさほど変わらない露出の多い装備。だが、俺を掴んで嗤うその顔からは邪悪さが滲み出ている。

 

 ケイオスタイドの生み出した、牛若丸オルタと呼ばれている存在だ。

 

「っ!」

 

 血の気が引いていく。こいつはライダーのサーヴァントである牛若丸とはまるで違う、邪悪な存在その物だ。

 

「あははは、情けないお顔ですね主どの!

 可哀想に……今すぐ食べて上げますね?」

 

「っく、【瞬間強――がぁぁ!」

 

 礼装のスキルを発動させようとしたが、牛若丸は足首を掴んだまま腕に力を入れた。

 

「ああ――良いですよその顔……悲鳴……主どのの苦しそう表情……実に良いですよ……!」

 

「ぐぁぁぁぁ……!」

 

 折れる、確実に壊される。潰される痛みが足が壊されるカウントダウンにしか聞こえない。

 

「それじゃあ、動かれるのも面倒ですのでこのまま壊しますね?」

「へぇ、楽しそうな事をしてるじゃない」

 

 オルタの笑みの後に澄んだ声が聞こえると同時に、俺の両足は痛みから開放された。

 

「っ何奴……!?」

 

 牛若丸を蹴り飛ばして現れたのはBBと同じ顔と紫色の髪でありながら、ふざけた雰囲気が感じられない下半身にかけての露出が多い美少女。

 

 その足を戦闘に特化させたのは一目瞭然、棘のように鋭い金属の足は吹き飛ばした牛若丸オルタの腹を切り裂いていた。

 

「醜いサーヴァントもいたものね……泥かしら? 自己再生をするタイプの様ね」

 

「アルターエゴ、ですか……主どのと私の間を引き裂いた罪、その身で償え!」

 

 牛若丸オルタは刀を構えると快楽のアルターエゴ、メルトリリスを肉薄する。

 

「っは!」

 

 だが、俊敏性なら黒化した代償として下がってしまった牛若丸よりもメルトリリスの方が上だ。刀より先に脚の刃が牛若丸に届いた。

 

「っち……! 吸って来たか……!」

 

「泥には不純物があるとは言え、液体があるのは間違いない。取り込み過ぎれば私も黒化は免れないけど、ハイ・サーヴァントの私を犯すには、それこそ数十倍の量と人類悪の放つ位の濃度が必要でしょうね」

 

 貫かれた牛若丸は再生するが、膝を折って顔を歪めている。

 

「おのれ……! このままで済むと思うなよ……!!」

 

 牛若丸オルタはその体を泥へと変形するとこの場を離れて行った。

 

「……まあ、放って置きましょうか」

 

 メルトリリスは見えなくなった泥から目を逸らすと、俺へと振り返った。

 

人形(マスター)さんは手に入ったのだし、ね?」

 

 ピンチは継続中な様だ。メルトリリスは俺を見下し笑っている。

 だが、先の牛若丸に潰されかけた痛みがまだ引かない。

 

「【応急手当】!」

「ふふ、怯えているのかしら?」

 

 痛みは僅かに和らぐが立ち上がるだけの力が入らない。

 

「……此処が痛いのかしら?」

「っつ!」

 

 メルトリリスは俺の足へと手を伸ばした。

 服の袖が短い腕よりも先に当たり、患部を擦る。

 

「逃げれないのね? ……こんな腫れて、可哀想ね」

「…………」

 

 何処かに無理矢理運ぶ気は無さそうだが、スキルのクールダウンまで大人しくしていてくれるとありがたい。

 

「何処にも連れて行かれないなんて考えてないでしょうね? 勿論連れて行くわよ?」

 

 俺の考えを見透かしたメルトリリスはそう言ったが、ゴソゴソと腕を動かし手間取っている。

 

「……こういう時は面倒なのよね、感覚が鈍いって」

 

 下半身が戦闘用に造られたメルトリリスの上半身はその言動とは異なり、幼い少女の物だ。

 攻撃的に造られた感覚の鈍い体である事も、担ぐ、と言う動作に時間が掛からせている。

 

「よいっしょ……ふう、さあ行くわよ」

 

 やっと俺を肩に置けたメルトリリスは自分の部屋へと向かった。

 

 

 

「さて、これからどうしてあげましょうか?」

 

 ベッドに落とされた俺をメルトリリスは楽しそうに見下ろす。

 

「取り敢えず帰してください」

「駄目に決まってるじゃない。此処まで運ぶの、苦労したんだから」

 

 メルトリリスの部屋を見渡す。床中に何か青色の液体が散らばっている

 

「アレって……」

「そう。私の蜜よ。触れたらレベルを吸うメルトウィルス」

 

 説明しながらもメルトリリスはパシャパシャと足でそれを踏む。

 

「なんで床に撒いてあるんだ?」

「唯のトラップよ。出ようとする者にも入ろうとする者にも作用するわ。

 だから、私から逃げられると思わない事ね」

 

 そう言うとメルトリリスは足を上げ、こちらに向けた。

 

「折角だから、貴方に直接浴びせておくわ」

 

 冗談じゃない。レベルやスキルを奪われるウィルスなんて浴びたら、逃走が不可能になる。

 

「っぁ!?」

 

 だが時既に遅し。メルトリリスの液体は俺の首元に接触し、そのまま垂れ落ちる。

 

「ふふふ……これで貴方は……あれ?」

「……え?」

 

 メルトリリスの困惑顔。同時に俺は思い出した。

 この体には毒が通用しない事を。

 

「……残念だったな、俺には効かないみたいだ」

「…………私の愛を、受け入れないというの?」

 

 ドヤ顔してる場合じゃなかった。

 

「ウィルスが効かなかったらお前の愛は無くなるのか?」

 

 メルトリリスは暗い顔のままこちらを見る。

 

「知っているでしょう? 私が、人形が好きだって事を」

「人形にならない俺は嫌い、か……」

 

 足の痛みは引いてきている。もう応急手当は使えるし、此処は脱出を試みよう。

 

「……人形にならないマスターなんて」

 

 俯いたメルトリリスに俺は迷う事なく指鉄砲を向けてスキルを起動させる。

 

(【ガンド】! 【応急手当】!)

 

「――」

「もら――っがぁ!?」

 

 気が付いたら壁に打ち付けられていた。

 

「――最っ高!

 虐めがいのある人間も私、大好きよ?」

 

「っぐ……な、なんで……!?」

 

 痛みを堪えつつ、俺は蹴られた箇所を抑えつつ立ち上がる。

 メルトリリスはその場に蹲っていた。

 

「っはぁ、っはぁ……言ったでしょう? 私は鈍いの……スタンが体全体に広がる前に、蹴りくらい放てるわよ」

 

 だが効いているのは間違いない。さっさと部屋から退散するべきだ。

 

「ふふふ、直ぐに……追いついてあげる。

 追いかけ回してあげるわ……」

 

「鬼ごっこは、苦手なんだけどな……!」

 

 痛みに苦しむ体を引き摺り部屋を出て、一目散に駆け出した。

 

「……種は撒いたわ……ふふ、あともう少しね」

 

 

 

「っ……!? なんだ、これ……?」

 

 部屋を出て走り続ける中、俺はBBが付けた桜マークの異変に気が付いた。

 薄い桃色だったそれが白く変色しているのだ。

 

「例のNGな行動を取っていた、って事か……メルトリリスと一緒にいたけど、恐らくそんな簡単なルールじゃないだろうし……」

 

 予想は幾らでも出て来るが答えは出ない。行く宛もなかった俺はメルトリリスの接近を恐れその場にあった部屋に入った。

 

「…………」

 

 牛若丸オルタのいる可能性も考えて慎重に侵入した俺はそのままドアの前で腰を落とした。

 

「誰かいるのー?」

 

 幼い声が聞こえてきた。

 

「……ジャックか?」

「お母さんっ!」

 

 パタパタと騒がしい足音が聞こえてきた。どうやら本当にアサシンのジャック・ザ・リッパーのようだ。

 

「お母さん!」

 

 玄関までやってきた幼い体は俺目掛けて飛び込むと、そのままギュッと抱きしめて来た。

 

「……他の女の人の匂いがする……すっごい、甘い匂い……」

 

 ジャックは顔をしかめると、俺を放して手を取った。

 

「お母さん、一緒にお風呂入ろ!」

「えぇ……ちょ、ちょっとお母さん今そんな気分じゃないだけど……」

 

 主に痛みで。出来ればベッドに横になりたい。

 

「だーめ! その変な匂い、ちゃんと取り除かないと!」

 

 ジャックは無理矢理俺を引っ張ると風呂場の前まで連れ込んだ。

 

「洗いっこしようね、お母さん!」

 

 同時に、俺の背中に嫌な予感が走った。

 ジャックに手を握られたからではない。ジャックが風呂場の扉を開けようとしたからだ。

 

「待っ――」

 

 ――遅かった。

 ジャックの体が風呂場から出て来た泥に呑まれるのと、俺の手が放されたのはほぼ同時だった。

 

「……っち、呑み込めたのは小娘だけか」

 

 当然、サーヴァントを飲み込んだ泥の正体はケイオスタイドの生み出した反英霊、牛若丸オルタだ。

 

 俺は会話を試みるなんて甘い考えを捨て最速で逃げ出した。

 

「【瞬間強化】! クッソ、巫山戯んなよ!?」

 

「……追跡、任せるぞ小娘」

 

 泥はその場に留まっている様だ。俺は部屋から出てどうするか思考を巡らせるが、どう考えてもメルトリリスを頼るしかない。

 

「だー! せめて令呪が使えれば!」

 

 後方から徐々に音が迫る。何かが確実に近付いている。

 その音が足音だとわかった俺は、一度振り返った。

 

「……逃げて……お母、さん」

 

 赤い瞳を光らせながら、ナイフを手に持ったジャックがマントを翻しながら迫っていた。苦しそうだが、その姿は殺人鬼そのものだ。

 

「操られてるのか!」

「さぁ、主どのの血を! 肉を! 体を!

 一片残らず呑み込ませて頂きます!」

 

 ジャックのマントから牛若丸オルタが泥状で現れ、形を成しながら俺に刀を向ける。

 もう距離を詰められ過ぎた。横に転がって回避するしかなかった。

 

「っ……!」

 

 床を貫く刀の先から逃れたがこのままだと不味い。

 乱暴に刀から逃げ出した体を、2度目を躱す為に動かす事が出来そうにない。

 

「あははは……もう逃しませんからね、主どの?」

 

 ケタケタと笑う牛若丸。

 ジャックは力なくその場に座り込んでいる。

 

「クッソ……!」

「じゃあ、先ずはやはり足から――」

 

「――メルト!! 来てくれ!」

 

 牛若丸に向けられた狂気に負けた俺は出せる限りの大声で、メルトリリスの名前を叫んだ。

 

「……全く、呆れたわね。逃げた相手に助けを求めるなんて……

 でも、生き汚い人間らしくて私は好きよ?」

 

「……また――魔――アル――ゴ!!」

 

 意識が、朦朧とする。

 

「――華――舞い――」

 

 声が掠れて聞こえてくる。

 

 頭が、心が痛い。

 

 心臓の鼓動が速い。

 

 手の甲が、桜が青く輝いているが――そんな事が気になる様な状況じゃない。

 

「うぁぁ……!!」

 

 徐々に痛みが引いていくが、同時に心臓が訴え、求めかけてくる。

 

「……ぁぁ……あああぁぁっ!」

 

 侵食されている。理性が、何処かへと消え去っていく。

 覆われていた本性が、明らかになっていく。

 

 ダメだ、ダメだ、ダメだ。

 

 やりたい、ヤりたい、犯りたい。

 

 

 

 

「ん……BBパニックなんて、巫山戯た呼び方だけど実際は精神改変なんて凶悪極まりない物よ」

 

 金属の味を舌で感じ、熱を感じる肌に到達した。

 

「ぁん……私のウィルスで、発情ではなく吸収して理性を取り払ったのよ。

 BBパニックは丸裸になった貴方の本性を私に向けるプログラム。そこに危険性は無い、っはぁぁ……ぁからぁ、起動ぅ……させてしまえば……貴方は私の物よぉ……」

 

 太ももを舐め、恥ずかしそうに喘ぐ彼女の顔を横目で捉えつつ、更に舐める。

 

「でもぉ……まさか、本性剥き出して直ぐに私の心に飛び込もうだなんて、っ!

 ど、鈍感な、私でもぉ……センチネルの経験がある以上、心の中は乙女なのに……あぁんっ!」

 

 太ももから両足の別れ目まで舌が到達した。

 

「ほ、奉仕しなきゃいけないのはぁ……私なのに……快楽の、アルターエゴなのにぃぃ……ひゃあぁ!」

 

 人間の姿を持つ彼女も人間と同じ所で悦ぶ事に安心し、そこを攻める。

 

「〜〜っ、ぁぁあ!」

 

 

 

 

 

「先輩が全然チョロい人で良かったです♪ ……この調子なら、きっと私の望むままになりますね♪」

 

 次回のBBチャンネルでお会いしましょうね、先輩?




動画サイトの夏アニメのpvまとめにアポクリフォがありました。
楽しみだけど、個人的には毎週水曜日放送中の遊戯王VRAINSの続きが気になってしょうがない。
VR空間とか、EXTRAシリーズとコラボしやすそうな感じがするし二次小説も楽しみです。


あ、爆死した後も単発で引き続けて合計90回くらい引いたけどニトリクスしか出ていません。

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