ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】   作:スラッシュ

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投稿が遅れて申し訳ありません。
最近はあまり執筆の時間が取れず、感想欄の返信も遅れてしまって本当にすいません。
返信していなくても感想欄はちゃんとチェックしていますので、出来ればこれからも応援よろしくお願いします。


モードレッド・ヤンデレ

 

「……はぁ……新しいモーさん、来ないかなぁ……」

 

 僕、山本皐月は憂鬱な溜め息を吐いていた。

 理由は単純に、FGO内でモードレッド的新要素が無いからだ。

 

「水着イベントはモーさん去年出たから今年は無いだろうし……」

 

 モードレッド命の僕にとってこれは死活問題だ。アニメこそ控えているが僕の中ではオワコン化が加速しつつある。

 

「まあアニメとの連動コラボ的な物もあるかもしれないし、FGOを辞めるとかあり得ないけど」

 

 それでもモードレッドに何か新たな姿をと願い続ける僕だった。

 

 

 

「――よっしゃキタァァァ!! ヤンデレ・シャトーだぁぁぁ!!」

 

 両腕の拳を握り、ガッツポーズで叫んだ。

 

「……随分嬉しそうだな」

「あ、全然俺のカルデアに来ないエドモンさん、こんばんわですっ!!」

 

 僕は敬礼でその人を迎えた。

 

「相変わらず……と言った所か」

「はい! モードレッド出ますか!?」

 

「あぁ……出るぞ」

「うぉっしゃぁぁぁぁぁ!!」

 

 興奮を抑える事すら忘れ、最高の大声で叫んだ。

 

(コイツ程にやる気に満ち溢れたマスターも早々いないだろうな……)

 

「……精々、アイツに飲まれない事だ」

「――ん? 何か言いました?」

 

「いや、何でも無い」

 

 

 

「モーさんは何処だろう……」

 

 ヤンデレ・シャトーの暗い廊下を歩く。限られた時間でどれだけ病んでいるモーさんとイチャイチャ出来るか、それだけが僕の目標だ。

 なるべく早く合流したい。

 

「……」

 

 残念ながら彼女を名前で呼び掛ける事は出来ない。それをすれば他のヤンデレサーヴァントが覚醒してしまうからだ。

 

「ならば、気合いで見つけてやる!」

「誰を見つけるって?」

 

 後ろから僕が求めていた声色が聞こえて来た。弾かれた様に後ろを振り向くと、そこには愛しのモードレッドが……

 

「…………え?」

 

 僕の頭はフリーズした。

 

 振り返った先に居たのは赤い軽装に金髪の美少女……だが、身長が少し高い所と、普段通りの胸当て部分だけでは隠しきれていない程に胸が大きいという事実がモードレッドとの関係性を断ち切っている。

 

 後、個人的には真っ赤なヒールと、その上の大人な艶を持つ生足が好きです。

 

「ど、どうしたんだよマスター? オレだオレ! モードレッドだ!」

 

「……え、いや、だって……その胸は……?」

「はぁ……? 槍の父上があんなに大きいんだぜ? ランサーのオレがこんだけ成長すんのは当たり前だろ?」

 

 そう言ってやたら大きな槍を構えるモードレッド。その動きだけで大きな胸が揺れる。

 

 本当にモードレッドの様だ。性格はあまり変わっている様子はなさそうだが、やはりその容姿には違和感しか無い。

 

「あ……あんまり、ジロジロ見るなよ……」

「あ、ご、ごめん!」

 

 だけどそうか、モードレッドってこんなに成長するのか……

 

(………アダルティだけど見られて顔を真っ赤にするモーさん! 全然アリだ!)

 

 僕の中のモーさん評議会では満場一致でエロティックなモードレッド最高であった。

 

「じゃあ、モードレッドの部屋まで連れて行ってくれる?」

「ぁ……! お、おう、勿論だ!」

 

 嬉しそうに頷いたモードレッドの後を歩く。

 予想外の新たな刺激に既に僕は興奮状態だ。

 

 

 

 

「あらら……マスターさん、あっさりあのモードレッドさんに着いて行っちゃいましたね?」

 

「っく……! 卑怯者が!」

 

 後輩系ラスボスであるBBは既に本物のモードレッドを捕らえていた。

 

「マスター! それはオレじゃねぇんだ! 気付いてくれ! て言うか、普通気づくだろ!?」

 

 セイバーだけではなく、水着姿のライダーモードレッドもだ。

 

「そろそろ私も行って良いかしら? リップだけだと彼が怪しむわ」

 

 悔しむモードレッド達の声が聞けて喜んでいるBBに、メルトリリスは自分への指示を催促する。

 

「ええ、構いませんよ。メルトに一番適合率の高い外見情報(スキン)人格情報(データ)をインストールします」

 

 BBが指揮棒をヒラリヒラリと振るうとメルトリリスの体は光に包まれる。

 そしてインストールが終わると、そこには短い金髪の少女が灰色のワンピースを着てそこに居た。

 

「……BB、これはどういう事かしら?」

「メルトかっわいー♪ それが適合率の高い姿ですよ」

 

「おい、なんだソレ!?」

 

「んー名称を付けるなら、モードレッド・リリィでしょうか?」

 

「外側はまだ許容範囲よ。だけど、人格情報がツギハギだらけよ」

「それも予想通りです♡

 モードレッドさん達はホムンクルスですから、リリィと呼ばれる姿が存在しないんです。だから人格は取り敢えずそれらしい物を幼きアーサーと現在のモードレッドさんを混ぜて作ってみました」

 

「なるほどね……」

 

 メルトリリスはため息と同時に情報の整理を行った。

 

「マスター、大好き!」

 

「「っ――!?」」

 

 幼い自分の声で言われたセリフが思いの外恥ずかしく、モードレッド2人は絶句した。

 

「えへへ、もっと褒めて褒めて! 私、もっと頑張るから!」

 

「やめろぉ! その声で変な喋り方するんじゃねぇ!」

 

「っくそ! この鎖、どうやったら外れんだ!?」

 

「――ふぅん、こんな感じかしら?」

「メルトったら、本当に可愛いですよ」

 

「後でその録画データを頂戴。オリジナルの性格は最悪だけど、この姿の人形はきっと素敵な物になるわ」

 

「マスター!! 早く気づいてくれぇ!」

 

 

 

 アダルティックなモーさん、ではなくモー姉様と化したモードレッドの部屋に到着した。

 

「ほら、此処がオレの部屋だ」

「おおー……へ?」

 

 花、ピンク、桃色……到底男勝りなモードレッドとは思えない空間がそこには広がっていた。

 

「あ、あんまり見るなよっ! は、恥ずかしいだろ……」

 

 照れるモー姉様可愛い……なんて普段なら思っていただろうが、モードレッド好きで寛容な僕の精神に何か、強烈な、到底受け入れ難い違和感が入り込んだ。

 

 胸のでかいモー姉様は有りだ。だって顔と性格はモードレッドだもん。

 

 イヤらしい視線に耐性が無く、嫌がるモーさんも有りだ。不自然ではない。

 

「だけど、この光景は……」

 

「? どうかしたか、マスター?」

 

「……お前、さては偽――」

「――マスター!!」

 

 突然、開っぱなしだった部屋のドアから、僕目掛けて誰かが飛び込んできた。

 

「おわ!?」

 

 僕はそれが少女だと気付き、慌てて止めた。

 

「だ、だ――えぇぇぇ!?」

 

 綴じ込んできた少女の正体を聞こうとしたが、それより先に視界に飛び込んだその顔に驚いた。

 

「私は、モードレッドだよ!」

 

「うっそ……」

 

(何早速バレそうになってるのよ、リップ)

(め、メルト……すっごく可愛いね!)

 

 僕は抱えている少女をもう一度見た。

 少女らしい、幼くも元気溢れる体。

 今の面影のある顔に、短い金髪を縛っているその髪型。

 

「本当にモードレッドだぁぁぁ!!」

「っきゃぁ!?」

 

 嬉しくなって本気で抱き締めた。

 

 匂いも嗅いでおこう。

 

「クンカクンカクンカクンカ!」

 

「ちょ、ちょっとマスター……!?」

 

 小さなモードレッドの首元で鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ。

 

「クンカクンカ……ん?」

 

 夢中になって嗅ぎ続けていると再び違和感に気付いた。ほんのり甘い匂いがする。

 香水では無いが、これは……

 

「……ねぇ……君は本当に、モードレッド?」

 

「――!? な、何言ってるのマスター!? 勿論私はモードレッドだよ!」

 

 一人称……は許そう。だが、このハチミツの様な匂いは、幼いモードレッドから放たれて良い匂いじゃない。

 

「……キミは……キミ達は……ダレだ?」

 

 僕はそっとモードレッドを名乗る少女を放すと、淡々とした口調で2人に言った。

 

 僕はモードレッドが好きだが、それ故に偽物は許さない。

 

「…………」

「…………予想外ね」

 

 先に口を開いたのは少女の方だった。

 彼女は体から光を放つと、鉄の脚の本性を晒しだした。

 

「ご明察、私はモードレッドなんて騎士じゃない。

 快楽を司るアルターエゴ、メルトリリスよ」

 

「メルトリリス……って、事はそっちは……」

 

「……同じくアルターエゴのパッションリップです……」

 

「まさか完璧に変装した私達の正体が見抜かれるとは思わなったわ。リップのミスはあからさま過ぎたかもしれないけれど……どうして私に気付いたのかしら?」

 

「匂いだよ! そんな甘い匂い、モードレッドからするわけ無い!」

 

「匂い……あ……!」

 

 するとメルトリリスは突然赤面して恥ずかしがり始めた。

 

「……メルト、抱き着かれたのが嬉しくって濡れ――」

「――言わなくて良いでしょう!?」

 

 よく分からないがよくも僕を騙してくれたな。

 

「只で済むと思うなよ!」

 

「……ふん、だけど正体がバレても、私達相手には何も出来ないでしょう?」

 

 接近。そして拳を握って殴り掛かる――

 

「ふふふ、暴力なんて無粋ね」

「――【ガンド】!」

 

 迎え撃とうとしたメルトの体の中心に指鉄砲を向け、魔弾を放った。

 

「っきゃ!

 ……! リップ!」

「うん!」

 

 リップ僕は部屋を出ると同時に礼装を手に取った。

 

「概念礼装【ザ・ゲージ】!!」

 

 そして、部屋の中を檻が包んだ。

 

「これは他人の評価した自分に囚われる概念礼装、つまり、ハイ・サーヴァントなんて複数の評価が存在するお前達を捉えるのに持ってこいな礼装なのさ!」

 

 こじつけだ。

 だが言ったもん勝ちだし、実際礼装は僕の言った通りに働いている。これで良い。

 

「さあ、早く本物のモードレッドを探さないと!」

 

 

 

「えー……あの2人、あっさり逃げられてますよー? これBBちゃん大勝利で終わる話じゃなかったんですか?」

 

「流石はオレのマスターだな!」

「おい、さっさとオレ達を開放しろ! お前の負けだろ!」

 

「ふふふ……まさか、BBちゃんが主人公の逆転劇を警戒せずに、何も仕掛けて無いと思ってますか?

 当然、こんな事は想定済みです。

 てな訳で、BBパニック、オン!」

 

 

 

「――!」

 

 僕は背中に何か寒い物を感じた。何か、とてつもなく嫌な予感がする。

 

「あ、センパーイ!」

 

「あっ! モードレッド!」

 

 後ろから聞こえた天使の声に、嫌な予感など忘れて振り返った。

 

(私をモードレッドさんだと認識させるとっておきのBBパニック!

 私の匂い、言動、性格、全てがモードレッドとであると錯覚するチート状態です!)

 

「モードレッド! 良かった、偽物ばっかりでちっとも本物の君に会えなくて寂しかったよ!」

 

「私もです、センパイ!」

 

「今すぐ僕を抱きしめてよ、モードレッド!」

「もう、センパイったら……甘えん坊さんですね?」

 

 そう言ってモードレッドが近付いてくる。

 

 

「よう」

「ちょっと面貸せよ?」

 

「……アレー?」

 

 その前には、2人のモードレッド以外の誰かが立ち塞がった。

 

「ちょ! な、なんで拘束しておいたはずの2人が……!」

 

「令呪の命令は絶対だからな」

「マスターがすぐ来いって言ったんだ、直ぐに来るに決まってんだろ?」

 

「で、ですがマスターの認識ではモードレッドは私だけです! 誰が本物なんて考えなくても、私ですよ、センパイ!」

 

 モードレッドと2人の誰かがいる……その誰かは絶対的にモードレッドでは無いと分かっている……筈だが。

 

(……何か違和感を感じる)

 

 2人が同時に現れた理由は僕が令呪を使ったからだ。なら間違いなく、最初からいる、僕が本物だと確信しているモードレッドは……

 

「お前が偽者だ!」

 

 心の中で一番それが正しいと思えるモードレッドを、僕は迷う事なく指差した。

 

「……はい? な、なんでですかセンパイ! 人間の認識機能に自分が間違いなくモードレッドであると訴え続けているのに!」

 

 もっともモードレッドらしいセリフで狼狽え始める偽者に僕は言い放った。

 

「僕は貧乳好きだ! なら大好きなデフォルトモードレッドに、乳袋なんか付いているか!」

 

 他の全ては僕の好みと認識されているのに、あの垂れて揺れている物だけは許容出来ない。完璧過ぎるが故にその部分だけ好みから外れているのがずっと分からなかった。

 

「わーん! なんて人間らしい結論! 性癖をカミングアウトされた上で振られたBBちゃんは黒幕みたいに逃げ帰らせて頂きまーす! うぇーん!」

 

 

 

 

 

 

「とか言ってた割には最初の胸のでかい偽者には随分デレデレしてたじゃねぇか! そこん所、どうなんだマスター?」

 

 セイバーのモードレッドに剣を突き付け問い質される。

 

「マスターは……子供好きであって、ロリコンとかじゃ無いよな? 匂い……嗅ぐか?」

 

 ライダーのモードレッドには抱き着かれ、僕は大変幸せである。

 

「えへへへ……モードレッドなら巨乳でも貧乳でも大好きだよぉ」

「…………んな事言っても、偽者とイチャイチャしてたの、知ってるんだからな!?」

 

「じゃあ、これからもっとイチャイチャしよう、ね?」

 

 拗ねるモードレッドも可愛いけど、早くラブラブしたくて我慢出来ない僕はセイバーのモードレッドを自分の隣に誘った。

 

「ご、誤魔化すなよ……オレ、今はヤンデレなんだぜ……? あんまり近くにいると、マスターの首を――」

 

「クンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカ……!」

「ひゃぁ……ま、マスター……鼻の動きがくすぐったい……!」

 

 一心不乱に、許可されたライダーモードレッドの香りを鼻に吸い込み続ける。

 ヤバイヤバイ……麻薬並みに中毒性あるぞこの香り。

 永遠吸っていたい。

 

「……マスター……?」

「な、そこまで嗅ぐのか……?

 せめて……優しくしてくれよ……?」

 

 なお、この数秒後に僕がアズライールされたのは言うまでもない。

 

 

 




来週で切大君の休暇終わりです。果たして自分は、彼のキャラを忘れていないだろうか……恋しいな……


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