ヤンデレ・シャトーを攻略せよ 【Fate/Grand Order】   作:スラッシュ

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明けましておめでとうございます!
今年も【ヤンデレ・シャトーを攻略せよ】をよろしくお願いします!


珍しく予約投稿機能を使って更新しました。
家庭未来図を期待していた読者様、大変申し訳ありませんが次回までお待ちして頂けると幸いです。

皆様の2018年最初のヤンデレになる事を願っています。


ヤンデレ・カルタ

 気が付くとそこにはヤンデレ・シャトーに似つかわしくない男4人が集まっていた。

 

「……説明求む」

「今来た三行」

「眠い」

「知らねぇよ」

 

 灰色の和服を着た俺。

 背中にモードレッド命と書かれた赤い法被のヤマモト。

 白い着物の陽日。

 黒い袴姿の玲。

 

 そして俺達4人を囲む様に25個の扉が配置されていた。

 

「おい、俺は先まで娘と走り回っていた筈なんだが」(※第二ヤンデレ家庭図参照)

 

『細かい事は気にするな。今回は正月だからな』

 

 エドモンの声が聞こえる。

 また俺達マスターを集めて今度は一体何を企んでいるのだろうか?

 

『正月らしく、カルタをしてもらおうか』

 

「カルタ!?」

「えー……ダルい」

「家族の集まりで毎年やってるから俺は別に良いが……」

 

 当然ながら俺以外は一癖も二癖もあるマスターを動かすにはそれ相応の脅しを用意しているのだろう。エドモンは説明を続けた。

 

『勘違いするな。カルタだけで終わると思うなよ? この後は普通にヤンデレ・シャトーだが……このカルタに勝った者には褒美をやろう!』

 

「褒美……?」

 

『カルタの呼び札はサーヴァントに関する物だが、勝者はそのサーヴァントを自分の悪夢に登場させるか他の3人に登場させるか選ぶ事が出来る』

 

「「!!」」

 

 エドモンの言葉にヤマモトと陽日が反応する。

 

『更に勝者には自分の悪夢に登場させるサーヴァントをヤンデレ化させない事が選択出来る』

 

「「!!」」

 

 その報酬に思わず心踊ったのは俺とヤマモトだ。

 

 玲はエドモンの言葉になるほどなと頷きながら拳を合わせている。やる気は十分な様だ。

 

『もう知っているとは思うがお前達を取り囲んでいる扉が周りに25個あるだろう。

 その窓にスタートと同時に文字が浮かぶ。俺の読んだ文に会う文字の扉を開ければそれが得点になる』

 

『妨害は無しだが与えられた礼装や能力は使っても構わない。全力で望め』

 

「よし! モードレッドの為だ! 全力で行く!」

「安眠のチャンス……少し、本気で行くよ……!」

「あのジジイを相手にする前の準備運動には……丁度良いかもなぁ?」

 

 それぞれが本気を出し始めている。陽日

が立っている姿は始めて見た気がする。

 

『俺が読み終わるまでは動けないが、徐々に早めていくから覚悟しろ』

 

 そうエドモンが言うと僅かな沈黙。

 

『……第一問!

 母の胸 愛しき我が子 包む愛』

 

 頼光の文!

 

 同時に扉の窓に文字が浮かぶが“は”が見当たらない……!

 

「取った……!」

 

 雪原にて吹き荒れる吹雪の様な速さで扉を開いたのは、意外にも普段は眠たそうにしている陽日だった。

 

「は、速っ!?」

 

「マジか! 離れてたとはいえ俺が遅れを取るか……!」

 

 他の2人もこれには驚愕している様だ。

 

『ぼやぼやするな、第二問!

 祖国愛 未熟故に 剣取る』

 

 セイバー・リリィか! 

 “そ”なら此処に――!?

 

「【赤の黒鍵】!」

 

 俺がドアノブに触るより先に投げられた黒鍵がドアの金具を破壊した。

 

 慌てて回避した俺の前でドアが音を立てて崩れ落ちた。

 

「開ければ得点、だよね?」

「え、遠距離は狡いだろ……!」

 

『問題ない、第三問!

 あんこ味 至福の甘さ あんこパン』

 

 謎のヒロインXオルタ……!

 

 “あ”が見つかったけど、黒鍵が……!

 

「ふんっ!」

 

 と思ったら玲の奴、あっさりと弾きやがった!!

 

「やっと俺も本調子、ってな!」

 

『次だ、第四問!

 だんなさま 貴方のそばに いる私』

 

 清姫だったら意地でも取らせる訳にはいかない! 絶対に他の奴に押し付けてやる!

 

「黒鍵!」

「ガンド!」

 

 飛んでくる黒鍵をガンドで弾く。だが、その隙に玲が迫る。

 

「瞬間強化!」

 

 玲より先にドアノブに触れ、開いた。

 

「っち、全員同点か。こいつは、思ったより愉快になりそうだなぁ……!」

 

『第五問――』

 

 

 

 その後も激戦は続く。

 

『“死の体 ふれるくちびる あなただけ”』

 

「貰った!」

 

『“振るう杖 願いを胸に クインテット”』

 

「……ダルくなってきた」

 

『“辰の火で 焼き尽くすのは 我が祖国”』

 

「おらよっと!」

 

『父上に 向ける剣先 定めなり』

 

「モードレッド! モードレッドだぁ!」

 

 

 

 ――それぞれが3点で均衡するまで続いた。

 

『次が最後だ……第十五問』

 

 エドモンの言葉に緊張が走る。

 

『“叶えたい 宇宙(そら)の果てまで 快楽を”』

 

「“か”だな! 貰っ――!?」

 

 何故か直ぐに扉に近づいた玲だったが、慌ててその扉から離れた。

 

「チャン――!?」

 

 黒鍵を構えたヤマモトの腕が止まった。

 

「……どうした? 俺が開けちゃお――」

『――どうぞ、何時でもお開け下さい』

 

 中から、ドアの先から聞こえてきた女性の声に、俺は思わず後退った。

 それ何時も呑気な陽日も同様だった。

 

『素敵な殿方ばかりな様で……さあ、どなたでも構いませんよ?』

 

 ビースト、人類悪が顕現してるんですけどぉ!?

 

『さあ、開け。それが最後の扉だ』

「ムリムリムリムリ! 何あれ、絶対ダメだろ!」

 

 窓からはうっすらと女性の頭に角の生えたシルエットが浮かんでいる。

 あれは開けたら最後だ。

 クーリングオフも身代わりも受け付けないだろう。

 

『……では、全員がパスを宣言すればコレを全員無得点で終わらせるが……構わないか?』

 

「パス!」

「パスで!」

「……パス」

「パス、だな」

 

『あらあら……残念です』

 

 そう言い残すとドアの先に薄っすらしていた人影は消えた。

 

『……では、これでカルタは終了だ。最も多くのポイントを獲得した者を発表するぞ』

 

(勝者も何も、全員3ポイントで引き分けじゃ……あっ)

 

「全員同点。

 よって褒美は無しだが、喜べ!

 お前達の開いた扉、その読み札のサーヴァント共と共に新たな年を迎えるが良い!」

 

「結局そうなるのかよ!」

 

 いつの間にか周りの3人は消えており俺は開かれた扉に吸い込まれるかの様にその場から転送された。

 

 

 

「……マイルームですか」

 

 目が覚めたら見飽きた天井がそこにあった。

 さて、俺が開いた扉は……

 

「清姫、静謐と――」

「――私だね!」

 

「おわっ!?」

 

 マイルームのベッド、その横から突然現れ顔を出したのは白と黒色の羽根の髪飾りを付けたキャスターだった。

 

「キ――もとい、オケアノスのキャスター!」

 

「むぅ……真名を控えてくれた事をマスターとしての自覚があるなと褒めるべきか、好感度の低さを嘆くべきなのか……?」

 

 細い体で杖を持つ彼女の姿はまさにキャスター、魔女の姿だ。その腕前も相当のモノで、メディアにだって劣らない。

 

「……安心していいよ? 新年が来て最初の日に君を他の女になんか触れさせはしないからさ」

 

 そう言うと軽く杖を振るった。すると、天井から黒い豚が落ちてきた。

 

「ブヒィ!?」

「あははは! そこの君にも、それ!」

 

 キャスターはマイルームの扉の先に杖を振るうと、その隙間から水色の豚が現れた。

 

「せ、静謐!? 清姫!?」

「これで邪魔者は無し……とっ」

 

 豚化した2人に更に催眠魔術の掛けると、すやすやと寝息が鳴り始める。

 

「フフフ、私の伝説は知っているか?

 この2人みたく豚になりたくなかったら、ちゃんと私を見ているんだよ?」

 

 彼女はそっと俺の膝に手を置いた。

 

「……結構、嫉妬深いからさ」

 

 俺はコクリと頷いた。以前も動物にされた事があるが、もう二度とゴメンだ。

 

「……へへへ、じゃあ早速だけど君は何か困っている事はないかい?」

「え? あいや、特に今――」

 

 突然、俺の中の第六感が口を閉じろと警告を発した。

 

「――え、えーっと……ご飯、がほしいかなー……なんて」

「食事だね! 良いよ、私の取っておきキュケオーンを作ってあげよう! よだれを垂らしながら良い子で待っているんだよ?」

 

 上機嫌になったキャスターはスキップ混じりでマイルームを後にした。

 

「……オケアノスのキャスター……」

 

 何でも彼女は文句無しの世話焼き系……らしい。頼られないと男性を動物に変えてしまうらしいのでブーディカやマタ・ハリとは全く違うベクトルで危険度が高い。

 

「どう考えても長く付き合えるタイプじゃないよなぁ……」

 

 献身的なのは間違いないが、それ以上に面倒臭い。

 

「もしさっき特に必要ないとか言っていたら、どうなっていた事か……」

 

「お待たせー! 出来立てだよ!」

 

 本編ではマシュに微妙な感想を言わせていた白い料理が、スープ皿に乗せられてやって来た。

 

「さぁ、召し上がれ。あーん」

 

「あ、あーーん……」

 

 向けられたスプーンに口を開いて玄粥とも呼ばれる料理を始めて口にした。

 

「どう? 美味しい!?」

「……う、うん」

 

 ちょっと甘いが、決して食べたくない味ではない。

 

(出来れば風邪とか食べたい味だな、うん)

 

「もっと食べて良いんだよ! はい!」

 

 皿の中身が空になるまでアーンをすると、キャスターは満足そうに笑った。

 

「うんうん、やっぱり私のキュケオーンは最高ね! じゃあ、片付けてくるから今の内に私にやって欲しいこと、10個くらい考えておいてね!」

 

 それだけ言うとキャスターは食器を持ってマイルームを後にした。

 

「……マジか……」

 

 最初から捕まっている様な物だよな。

 マイルームから逃げても宛がないし……

 

「「――マスター!」」

 

「おわっ!?」

 

 突然、もとの姿に戻っていた清姫と静謐に抱き付かれた。

 

「明けましておめでとうございます、マスター!」

「マスター、マスター、マスター!」

 

 挨拶をしながらも俺の顔に迫る清姫と、名前を連呼する静謐。

 

「2人とも元に戻ったんだ、良かったぁ……」

 

「はい! 寝てさえいなければあんな魔術、簡単に破っていました!」

「……マスターがご所望なら……喜んで雌豚にはなりますよ?」

 

 静謐が何やら盛っているが俺は無視する事にした。というか、清姫の口が止まらない。

 

「大体、何なんですかあのお方! 正月らしさの欠片も御座いません! 今からお雑煮をお作りし、彼女に正月とは何か見せつけて差し上げます!」

 

「マスター……私の毛で編んだ靴下……どうしていますか?

 プレゼント用ではありましたけど……貴方のサイズに合わせてお作りしましたので……きっと、ピッタリ入りますよ」

 

 そう言って静謐は俺の足を確認する。残念ながらそこに彼女の編んだ靴下は無い。

 

「……失礼します」

 

“お雑煮なら私にお任せです! バーサーカーの私!”

“な、貴女はお呼びではありませんわ!?”

 

 マイルームの扉の前では唐突に2人に増えてた清姫が言い争いを始めた。

 

 その間に静謐は俺の靴下を脱がしていく。夢の中だが寒いので出来ればやめて欲しい。

 

「……代わりに、私の肌で温まって下さい……」

 

 くすぐったい感触が足裏を覆った。

 静謐はマッサージでもするかの様にゆっくりと手で足をなぞる。

 

“みっともない! 貴女達には任せて置けません! 此処は私が――!”

“貴女は実装されていても召喚されてはいないクラスでしょう!? お返りなさい!”

 

 増えてんなー……とか思いながら静謐の肌で暖が取れているのか、徐々に汗をかき始めてきた。

 

「……んっ……ふぅぅっ…………ちょ、ちょっと待て静謐!」

「……、何です……マスター……?」

 

「ちょ、ちょっとなんか俺興奮してきた気がするんだけどなぁー? 気のせいかなぁ?」

 

「……すいません、タップリと塗りました。媚薬です……足で感じて……気持ちよくなって下さいね?」

 

 そう言いながら静謐は顔を俺の足に近付ける。

 

「待て待て待て! ちょっと待てぇ!」

「だい、じょうぶ、れふよ……」

 

 迫る唇。小さく開いた口から舌が見え隠れする。

 

「……ん、っちゅん……んぁん……ぁ」

「……! っ!」

 

 媚薬を塗りたくられた足を舐められ背中にゾクゾクと快楽が響く。

 

「や、やめろって……!」

「マスターを……んっちゅん……今年初めて……気持ち良く……してあげますね?

 ……んぁ」

 

 何とか退かそうとするが、足に力が入らなず踏ん張りの効かない状態ではそれも叶わない。

 

 清姫は喧嘩しながら誰お雑煮を作るか言い合っている内にセイバー、バーサーカー、ランサー、アーチャー、アサシンまで増えている。

 

(あのアサシン……ヤンデレの化身とか、そんなやばい奴じゃなかったけ……? おい、ちょ、何でこっちに気付かない……?)

 

 気付いて欲しくないので俺から呼ぶ事はしないが結構ピンチだ。足の快楽に体が支配されかかっていた。

 

「……そろそろ、こっちのお相手を……」

 

 足を越え、太ももよりも上へと視線を向ける静謐。

 本気で貞操の危機が迫っている事は火を見るよりも――明らかだった。

 

 

 

「ブヒィッ!?」

「ブヒブヒ!?」

「ブゥッ!?」

「ブヒブヒブヒ!!」

「ブヒィ……」

 

「ごめんよマスター、ちょっと時間を掛け過ぎちゃったね?」

 

「きゃ、キャスター……」

 

 帰ってきたキャスターはなんの躊躇いもなく全員をその場で豚に変えた。

 

「お雑煮……だっけ? 遠慮しちゃ駄目だよマスター? それが食べたいんなら私が頑張って作って上げるし、足が寒いなら私が温めてあげるから……」

 

“ちゃんと頼ってよ、ね?”

 

「……あ、うん……」

 

「お姉さんとの約束だよ? 

 ……もし次破ったら……」

 

 

 

 

 

 

“美味しい豚肉料理……ご馳走してあげるからね?”




今年は戌年ですがそれっぽくない、豚なお話でした。
メリー・シープの静謐ちゃんの献身的なエロさが大好きです。

今年は第二部が始まります! 全ユーザー共通ボスなどきっと今年も現れると思いますが、一緒に頑張って行きましょう!


ヤンデレ・シャトーは何処まで続くのかなぁ……

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