ヒーローズ&パンツァー   作:剣音レツ

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 今回は普段よりバトル&アクションを重視してみました。


 今回の相手は、“ある意味人類最大の敵”の融合体のような宇宙怪獣です。


 また、マドカたちの更なる真実が明かされ、それから丈司の新たなるコンボも披露されます!


 それでは、どうぞ!


第4話『ビー・アンビシャス』

 (OP:TAKE ME HIGHER)

 

 

 4月15日 天気は快晴。

 

 いつもと変わらぬ夜明けであった。

 

 

 さっきまで静かであった街も、人々が起きていく事によって日と共に徐々に明るくなっていき、颯爽と仕事や学校に行く人々も出始め、今日はいつも以上にいいスタートで一日が始めっている様にも見えた。

 

 

 

 

 一部を除いては、、、

 

 

 

 

 大洗女子学園も、いつもの様に生徒たちが颯爽と入校して行っていた。

 

 話し合ったり、元気よく挨拶したりしている人が殺到し、ここもいつも以上のスタートが切れているとも思われた。

 

 

 しかし………

 

 

 この学園の生徒の一人であり、本校の戦車道履修者でもある女子学生・西住みほも、いつも通り校門に入っていた。

 

 みほ「今日もいい天気。今日も授業も戦車道も頑張ろ~っと。」

 

 

 みほが機嫌よく校舎に進んでいたその時、

 

 

 沙織「ん~………、」

 

 

 後ろから沙織の声が聞こえる。

 

 それも何やら重い物でも運んでいるのかのような踏ん張っているような声なのだ。

 

 

 みほ「沙織さん?」

 

 

 みほは気になって振り向いてみると、

 

 そこには、大洗に来て最初にできた友達であり、同じ戦車道仲間でチームメイトでもある武部沙織が、同じく戦車道仲間であり同じチームメイトである冷泉麻子をおんぶして登校していた。

 

 

 沙織におぶってもらっている麻子は、、、まだ寝ていた(笑)

 

 

 麻子は低血圧であるが故に朝に弱く、そのため寝坊する事も多い遅刻常習犯でもあるのだ。

 

 勉強自体の成績は良いものの、これまで何度も遅刻を繰り返しているが故に単位も危うく、戦車道を履修したのは、戦車道を履修すると『通常の単位の3倍を貰える』からという事もあるのだ。(沙織の巧妙な脅しも含まれているが(笑))

 

 

 今日もなかなか起きなかったために、仕方なく沙織がわざわざ家に行って連れて来たのである。

 

 

 沙織「お…お~はよーみぽりん。」

 

 みほ「大丈夫?沙織さん。」

 

 沙織「ええ………麻子ったらなかなか起きないから仕方なく連れて来ちゃった。」

 

 

 みほは少し苦笑と困惑した顔で寝ている麻子を見つめる。するとそんな沙織に学園の風紀委員長のそど子(園みどり子)が歩み寄る。

 

 そど子「武部さん、次からは冷泉さんが遅刻しそうになってもおんぶして来ない事。」

 

 沙織「えへへ………そう言われても、流石に放っておけないよ。幼馴染として、そして同じ戦車道仲間としてもね。」

 

 そど子「登校ぐらいは自分で出来ないと………いつまでもこれだと将来困ることになりますよ。」

 

 一見冷たいように見えるが、そど子が言う事も一理はあった。

 

 沙織「…まあ………それもそうだけどね。」

 

 

 麻子「……ぅぅ………そど子め………。」

 

 

 麻子はいつの間にか起きていた(笑)

 

 

 そど子「何か言った?」

 

 麻子「別にー………。」

 

 

 みほと、麻子を背負った沙織は校内に入って行った………。

 

 

 因みにこの日、授業は1限しか無いため、それ以外は昼まで戦車道である。

 

 

 

 

 ほぼ同じ頃、ヒーローの力を手に入れた3人の若者(五代マドカ、操真暁人、千葉丈司)が住んでいる豪邸では、

 

 

 暁人「ふぁあああ~よく寝た。」

 

 マドカ「あ、おはよう暁人。」

 

 

 大きくあくびをしながら寝床から出てきた暁人。だが既に五代マドカと千葉丈司は起きており、丈司に関してはシンケンマルを手に外で稽古に励んでいた。

 

 

 暁人「あらら、二人とも早起きさんな事。」

 

 マドカ「いや、暁人が寝坊助なだけじゃないかな?もう朝の10時だし。」

 

 暁人「(裏声で)ふぁっ!?もうそんな時間かよ!?」

 

 どうやら今はもう朝の10時。暁人は久々に遅起きをしていたようである。

 

 暁人「でもさあ、今日はバイトもないし、怪獣事件も起こらない………なーんにもする事無いじゃん。」

 

 マドカ「………んまあ、それって平和って事だから良い事なんだけどね。」

 

 暁人「そ!だから俺の遅起きはその証明!だから悪いことではないな。」

 

 マドカ「まあ………そうなのかな?」

 

 暁人「まあ念のため、今ガルちゃんたちを散歩させてるけどね。」

 

 マドカ「ああ、プラモンスターね。」

 

 

 プラモンスター。それは仮面ライダーウィザードが召喚・使役する使い魔であり、普段はプラモデルのランナーのような型(魔法陣モード)に収納されているが、召喚時に自動でパーツが合体し、リングを装填する事で起動するのである。

 

 暁人は今、赤いガルーダを模したレッドガルーダ、青いユニコーンを模したブルーユニコーン、黄色いクラーケンを模したイエロークラーケンの三体のプラモンスターを行かせている。

 

 普段は主に偵察目的で街中を巡回するが、今回はそれも含めて自由気ままに大洗の街を散歩させているのである。

 

 

 暁人「今日はこんなに平和なんだ。今頃ガルちゃんたち、呑気に散歩でもしてんだうな~。

 

 あ、ナンパしてなければいいがな…この街(大洗)結構美少女多いからね~。」

 

 マドカ「た、多分それはないと思うよ。暁人じゃないんだし。」

 

 暁人「何だよそれ~………んでもまあ、それもそうだな。」

 

 

 暁人はマドカと話しながら、何度もシンケンマルを振りながら稽古に励む丈司を窓越しに見つめていた。

 

 

 暁人「こんな平和な日ぐらい休めってんだよなー………堅物の侍さんよ。」

 

 

 

 一方そんなガルーダたちはというと、

 

 

 呑気に散歩しているようではなかった。

 

 

 それどころか何かを見ているのか、じっと止まっていた。

 

 

 “ドガーン”

 

 

 すると、目の前で突然廃工場が大爆発して砕け散る!

 

 

 その犯人は、その近くにいる一つの人影。

 

 

 一見人型だが、全身緑色でサボテンでできたような頭部をしており、更に手にはサボテンのような棍棒を持っている。

 

 

 そいつはサボテン能力を移植して誕生した改造人間『サボテグロン』である!

 

 

 奴はかつて改造人間を送り込んで世界征服を目論んだ悪の秘密結社『ショッカー』のメキシコ支部から派遣された事があり、仮面ライダー2号が初めて対決した改造人間でもある。

 

 

 今回の個体は、影法師がマイナスエネルギーで再生させた者だと思われる。

 

 

 先ほど廃工場を爆破したのは、サボテグロンの手からの弾丸である。

 

 

 サボテグロン「ヒィヒィヒィヒィヒィ………腕試し終了。そろそろこの世界を破壊するとするかー!」

 

 

 そう言うと、サボテグロンは大洗町の方へと向かい歩き去って行った。

 

 恐らく無差別な破壊行動をするのが目的なのであろう。

 

 

 

 その一部始終を浮遊しながら見ていたプラモンスターたちはというと、

 

 クラーケンが慌てるように飛び回り、ユニコーンがそれを角でつんと突くことで鎮め、そしてガルーダがなにやら翼を羽ばたかせながら語り掛けるような仕草を見せ、ユニコーンとクラーケンが頷くような動きを見せた後、三人揃って飛び去って行った。

 

 恐らく暁人の元へ戻って行くのであろう。

 

 

 このやり取りを会話でイメージすると恐らくこんな感じであろう。

 

 

 〈会話イメージ〉

 

 クラーケン「うわあぁぁ!とんでもない事が起ころうとしてるよ~!

 

 どうするどうする君ならどうするー!?」

 

 クラーケンが某電子戦隊のEDのようなフレーズを言いながら慌て回る。

 

 ユニコーン「まあまあ落ち着けって。ここで慌てても何にも始まらないだろ。」

 

 ユニコーンが慌てるクラーケンを角でつんと突いて語り掛けることで鎮める。

 

 ガルーダ「とりあえず今は早く暁人さんのところに戻ってこの事を報告しよう!」

 

 ユニコーン・クラーケン「うん!」

 

 〈会話イメージ終了〉

 

 

 

 その約2時間後の正午、大洗女子学園では、

 

 午前の授業も戦車道も終わり、女子たちが学食で昼飯を取っている。

 

 

 いつものように他愛もないガールズトークをしながら食事を取っているのだが、一人だけいつもと違っていた。

 

 いつもより眠そうにしている麻子であった。

 

 

 食事を乗せたお盆を持って運んでいるウサギさんチームの面々がそれに気づく。

 

 梓「大丈夫ですか?麻子先輩。」

 

 あゆみ「とても眠たそうですね~…。」

 

 リーダーの澤梓と砲手の山郷あゆみが心配して話しかける。

 

 みほ「えへへ…麻子さん、さっきの戦車道の時も、いつもより眠たそうだったから…。」

 

 華「操縦はいつも通りでしたけどね。」

 

 みほ「麻子さん疲れてるのかな?」

 

 沙織「実は麻子、昨夜マドカさんたちの動きの真似とかをしてたの。」

 

 沙織の謎の発言にみほたちやウサギさんチームは首をかしげる。

 

 

 更に沙織はその詳細を語った。

 

 なんでも麻子は昨夜、マドカたちの戦う時の動きを可能な限り真似る事をやっていたという。

 

 でもやっていく内に夢中になり、寝るのが遅くなってしまったという。

 

 

 優花里「そうですか…でもなぜそんな事を?」

 

 沙織「少しでも強くなって、マドカさんたちに少しでも後れを取りたくないからだって。」

 

 桂利奈「それは流石に無理があるんじゃないですかね?特撮ヒーローは身体能力が桁外れなワケだし…。」

 

 沙織「ほら、麻子普段も低血圧で寝坊しがちじゃない?だから普段からも私たちの足引っ張ってるんじゃないかなって最近気にしていたの。

 

 そして、超人的な力を持ったマドカさん達がこの世界に来たことで、益々置いてけぼりにされるんじゃないかって思ってたみたい。」

 

 優季「そんな事ないと思いますけどね…麻子先輩頭良いし、臨機応変に操縦できるし。」

 

 あや「私たちよりもずっと役立ってると思いますけどね…。」

 

 すると、麻子が眠そうな重い顔を上げて話し出す。

 

 

 麻子「マドカさんたちが来たからこそ、自分達はもっと強くなるべきじゃないのか?」

 

 

 一同「え?」

 

 

 麻子「本来この世界は私たちが守るべきだった………から…………な………………。」

 

 

 “ドサッ”

 

 

 麻子は意味深気味な事を呟きながら、再び睡魔に襲われ机に頭をぶつけるように眠りにつき始める。

 

 

 沙織「ああ、麻子ったら………!」

 

 

 沙織が慌てて麻子を起こそうとする中、みほはさっきの麻子の発言の事を考えていた。

 

 

 みほ「本体は………私たちが守るべき世界………か………………。」

 

 

 と、その時、

 

 

 「?何?あれ…」

 

 「なんか変なの出て来たよ………」

 

 

 突然周りが何かに気付いてざわつき始めたことに気付き、みほたちもその方向を振り向く。

 

 

 そこにはテレビの画面に何やら妙なモノが映っていた。

 

 

 因みにそれは、街のビルのスクリーンにも映っており、街の人々も大勢立ち止まってそれを見上げながらざわついていた。

 

 

 テレビに映っている異形な怪人のような姿をしているそのモノは語り出す。

 

 

 サボテグロン「ヒィヒィヒィヒィヒィ………俺の名はサボテグロン。 この街を手始めに、徹底的に破壊してやるぜ!

 

 人間どもよ、我々の力にひれ伏すがいい!」

 

 

 テレビに映ったモノとは、先ほど廃工場を爆破したサボテグロンであった!

 

 

 サボテグロンは、語った後テレビやスクリーンの画面から消え、それと同時に空から一匹の巨大生物が降り立つ!

 

 

 巨大生物は降り立ったと同時に暴れ始め、人々は突然の怪獣出現に逃げ惑う。

 

 

 その怪獣は、ある意味人類最大の敵である昆虫“G”と毒グモの合わさったような、いかにも気持ちの悪い外見をしている。

 

 名は『宇宙怪獣ゴキグモン』である!

 

 

 

 一方みほたち戦車道女子たちも、サイレンが鳴り響く中本部へと集合する。

 

 モニターには暴れるゴキグモンの映像が映し出されていた。

 

 

 梓「うわっ………何あれ!?」

 

 あゆみ「気持ち悪い~!」

 

 紗希「………巨大なゴ〇ブリ………………。」

 

 あや「ちょっと紗希!?しれっと言わないでよ~。」

 

 優花里「確かに………あれほど気持ち悪い怪獣は初めてです。」

 

 

 もちろん、戦車道女子たちもそのゴキグモンの醜悪な外見にざわつく。

 

 

 亜美「なんか、ゴ〇ブリと蜘蛛を合わせたような外見ね………。」

 

 

 教官の蝶野亜美は、比較的冷静にゴキグモンの外見を分析する。

 

 

 マドカ「その怪獣はゴキグモンです。」

 

 

 突然怪獣名を告げるマドカの声のする方へ一同は振り向く。

 

 マドカたちもいつの間にか駆け付けていたのだ。

 

 

 華「早いですね、マドカさんたち。」

 

 暁人「ああ、ガルちゃんたちが知らせてくれたからね。」

 

 丈司「あのサボテグロンとかいう奴………なかなか気持ち悪い奴を連れて来たもんだ。」

 

 マドカ「とにかく、今は怪獣を止めましょう。」

 

 

 亜美「そうね………じゃあ今日は………あんこうチームとウサギさんチーム、カバさんチームが出動しなさい。」

 

 

 あや「私たちもですか教官!?」

 

 桂利奈「無理ですよ~。」

 

 優季「(桂利奈の肩に手を置いて)私も嫌だけど………マドカさん達も付いてるわけだし、頑張ろう。

 

 それに桂利奈はやればできる子なんだから。」

 

 桂利奈「………………アイアイサー!」

 

 ウサギさんチームはゴキグモンとの交戦を嫌がりつつも、マドカさん達も信じて頑張ることにした。

 

 

 おりょう「いよいよ我々の出番ぜよ。」

 

 左衛門佐「三大将軍も付いてることだし、」

 

 エルヴィン「勝利は我にあり!だな。」

 

 カエサル「機は熟した………我々も頑張るぞ。」

 

 カバさんチームも久々の出動で気合が入る。

 

 

 みほ「今日も一緒に頑張りましょうね、マドカさん。」

 

 マドカ「………おう!」

 

 

 みほたちあんこうチームも、マドカたちと共に倒すことを決心する。

 

 

 その一方で、そんな様子をじっと見つめる麻子の姿があった。

 

 愛想の無い表情なのはいつも通りに見えるが、今回に関してはまるで何かを訴えてるようにも見えた………。

 

 

 亜美「それでは各車両、パンツァー・フォー!」

 

 

 

 街では、ゴキグモンが両腕の鋭い爪でビルを崩したりなどしながら、逃げ惑う人を嘲笑うように暴れ回る。

 

 

 “ズゴーン”

 

 

 ゴキグモンは何処からか飛んできた弾丸を受けて被爆し、その弾丸が飛んできた方へ振り向く。

 

 

 マドカ「はっ!!」

 

 

 そこには、マドカがゴキグモンの高さとほぼ同じくらいまでに跳躍しながらトライガーショット(ブルーチェンバー)から弾丸を連射して攻撃していた。

 

 先ほどゴキグモンが受けた弾丸は、マドカがイエローチェンバーで放ったバスターブレッドである。

 

 ゴキグモンはマドカを叩き落とそうと両腕の爪を振るって殴りかかるが、ウルトラマンの力を得たことによる超絶身体能力を持つマドカはそれをことごとく回避しつつ、ビルの壁を蹴ったり屋上に着地してはまた跳躍したりなど、目にも留まらぬ動きで翻弄しつつ弾丸を連射し続ける。

 

 かつてウルトラマンジャックの力を得た郷秀樹や、ウルトラマンゼロの力を得たタイガ・ノゾムもそうだったように、ウルトラマンの力を得た人間は、人間の姿でも飛び抜けた身体能力を発揮することができ、その気になればこのように怪獣とも引けを取らない戦いを披露できるのである!

 

 

 マドカは一旦着地すると、懐からスパークレンスを取り出し、ガオディクションでゴキグモンの解析を始める。

 

 その隙にゴキグモンが爪を突き立てて攻撃を仕掛けるが、マドカはそれを宙返りしてかわし、その間に解析が完了した。

 

 

 マドカ「あそこが弱点だな。」

 

 

 そう言うとトライガーショットをレッドチェンバーに切り替え、赤いビーム・アキュートアローをゴキグモンの頭部目掛けて放つが、ゴキグモンはそれを素早く爪で弾いて防ぐ。

 

 

 マドカ「奴の弱点は中枢神経がある頭部の触角の間です!」

 

 

 マドカは通信機越しにみほたちにゴキグモンの弱点を伝える。

 

 

 みほ「了解です。 みなさん、そこを中心に攻撃しましょう。」

 

 カエサル「心得た!」

 

 梓「分かりました!」

 

 マドカから弱点を聞いたみほは他のチームにも伝え、それぞれカバさんチーム、ウサギさんチームのリーダーは返事をする。

 

 

 みほ「それでは、砲撃開始!」

 

 

 みほの合図で全車輛一斉に頭部を狙って砲撃を始める。

 

 だが、ゴキグモン自身も自身の弱点を熟知しているのか、いくつか被爆しながらも両腕を振るって爪で弾き返したりなどするため、弱点に中々当たらない。

 

 

 あゆみ「何アイツ、キモいししぶとい、正に“G”だよ“G”!」

 

 梓「落ち着いて。そうすれば絶対当てられるわ。“G”も正確に狙えば潰せるから。」

 

 あや「巨大“G”の倒し方をネットで聞いてみよっかな?」

 

 優季「いや………多分意味無いと思うよ。」

 

 桂利奈「それに“G”だとあの“怪獣王”を連想する人もいるだろうしー。」

 

 優季「それも無いと思うけどね(笑)」

 

 梓「桂利奈、砲撃を続けるから、相手の反撃に気を付けながら移動して。」

 

 桂利奈「アイー!」

 

 

 おりょう「彼奴、なかなかやるぜよ。」

 

 エルヴィン「マルタの大包囲戦のようだな………必ず包囲を撃退するぞ!」

 

 カエサル「いや、正確には一体だけだから“軍”ではないけどね…。」

 

 左衛門佐「ここは桶狭間の戦いの様に行こう。」

 

 カエサル・エルヴィン・おりょう「それだっ!」

 

 

 華「なかなか弱点に当たりませんね。」

 

 優花里「まあ、あんなに小さい弱点ですから、当てる自体結構至難な気がしますよね。」

 

 沙織「下手な鉄砲だって数撃ちゃ当たるって!恋愛だってそうだもん!」

 

 麻子「さっさと倒して帰って寝るぞ。」

 

 みほ「そうですね…頑張りましょう!

 

 麻子さん、相手の動きに用心しつつ移動してください。」

 

 麻子「おう。」

 

 

 このように、みほたちは慌てず指示を出し合い、ゴキグモンへの攻撃を続けていた。

 

 

 マドカ「僕も行きますよ。」

 

 

 そう言うとマドカはシャーロックを運転し始める。

 

 そして、トライガーショットを片手に攻撃しながら猛スピードで走りつつ片手だけの運転さばきでゴキグモンの股の間を通り抜けたり周りを走り回ったりなどしてゴキグモンの注意を反らす。

 

 

 華「凄いですね、マドカさん………。」

 

 優花里「人間離れの跳躍力に、片手で銃撃しながらあんなにアクロバティックに運転できるなんて………正に超万能な人ですね。」

 

 沙織「もう彼一人だけで倒せそうな感じだよね。」

 

 

 だが、麻子はそんな沙織たちの発言に何やら少し顔をしかめているようでもあった。

 

 

 みほ「でも、これで隙が出来ました。全車輛同時砲撃!」

 

 

 “チュドーン” “ズドーン”

 

 

 あんこう、ウサギさん、カバさんの同時砲撃がゴキグモンに命中!

 

 弱点には当たらなかったものの頭部付近に命中した事でゴキグモンは少し怯んだ。

 

 

 優花里「やりましたよ!」

 

 ウサギさんチーム「やったー!」

 

 

 だがそれも束の間、怒ったゴキグモンは近くのビルを殴り崩し、同時にその瓦礫を戦車の方へ飛ばし始める!

 

 

 “ガシャーン ガシャーン”

 

 

 ウサギさんチーム「きゃああああっ!」

 

 カエサル「くっ、敵の反撃だ!」

 

 おりょう「これからどうするぜよ?」

 

 左衛門佐「フェスティーナ・レンテ!」

 

 

 おりょうに対する左衛門佐の返事。『急がば回れ』という意味である。

 

 だが、残念ながら質問に対する回答にはなっていない(笑)

 

 まあ、急がば回れという判断は間違ってはいないのだが………。

 

 

 みほ「みなさん落ち着いて。一旦後退して攻撃の場所を変えましょう。」

 

 

 みほの指示により戦車は3両とも後退を始める。

 

 

 マドカ「こっちだゴキグモン!」

 

 

 マドカはシャーロックから降りると同時に再びゴキグモンの頭部ぐらいまで跳躍し、弾丸を打ち込んで誘導を始める。

 

 

 

 一方でマドカとみほたちがゴキグモンの相手をしている同じ頃、暁人と丈司は近くの廃工場で遂にサボテグロンを発見し、早速追跡を始めていた。

 

 

 サボテグロン「くそっ、早くも見つかったか!」

 

 暁人「逃がさねえぞサボテン野郎!」

 

 丈司「待てっ!」

 

 

 《コネクト・プリーズ!》

 

 

 “ズガガガンッ”

 

 

 サボテグロン「ぐおっ!?」

 

 

 暁人はコネクトウィザードリングをベルトにかざして魔法陣からウィザーソードガンを取り出し、弾丸を数発打ち込んでサボテグロンを足止める。

 

 

 サボテグロンが振り向いたところに暁人は跳躍して飛び蹴りを繰り出すが、サボテグロンは即座にサボテン棍棒でそれを受け止めて振り飛ばし、暁人は宙返りをして体勢を立て直して着地する。

 

 

 暁人は着地と共に再び弾丸を数発放ち、サボテグロンに攻撃を加える。

 

 

 その隙に丈司が駆け寄り、すれ違い様にシンケンマルでの一撃を胴体に決め、その後も畳み掛けるように斬撃を加える。

 

 サボテグロンも負けじと棍棒で応戦し、剣と棍棒が火花を散らしながら激しくぶつかり合う。

 

 左右交互に斜めの斬撃がぶつかり合い、サボテグロンが足元へと打撃を繰り出し丈司はそれを片足を上げながら一回転してかわし、そのままシンケンマルを振って斬撃を繰り出し、サボテグロンはそれを棍棒で受け止める。

 

 そして互いに剣と棍棒を接触させたまま、目前で火花を散らしながら数回振り回した後、丈司は剣を振るって一旦離すと同時に一回転して接近し腹部に左肘の一撃を決め、そして剣で一直線の一撃を決めて吹っ飛ばす。

 

 

 そしてサボテグロンが吹っ飛んでる間に後ろで待ち構えていた暁人が、跳躍して宙返りをして飛び越えつつウィザーソードガンでの斬撃を決め、続けて着地後も数回斬撃を決め、その後得意のXMAを取り入れた跳躍をしながら左右交互に蹴りを決め、更に後ろ回し蹴りを胸部に打ち込んで吹っ飛ばした。

 

 

 二人の連携により押され気味になっていくサボテグロン。

 

 サボテグロン「くっ………なかなかやるなあ、貴様ら。」

 

 

 

 一方のマドカたちの方はというと、ゴキグモンの鉤爪や瓦礫飛ばし攻撃にみほたちの戦車は徐々に追い込まれていった。

 

 

 マドカ「みほちゃん!みんな!」

 

 

 マドカはとあるビルの屋上でそれに気付き叫ぶ。

 

 

 するとゴキグモンはそれに気づいたのか、振り向きざまに両腕を振るってマドカの立っていたビルを崩し始める!

 

 

 マドカ「うぉあああっ!」

 

 

 唐突な攻撃により避ける間もなく、マドカは崩れていくビルの瓦礫と共に落下し始める!

 

 

 みほ「!マドカさん!」

 

 

 みほはマドカの危機に目を見開く。

 

 

 危機的状況、こういう時こそ変身だ!

 

 

 マドカ「ティガーッ!!」

 

 

 “キャイイーン”

 

 

 マドカは落下しながらスパークレンスを取り出し上げ、溢れ出る光に包まれる。

 

 

 そして光の中からウルトラマンティガ(マルチタイプ)が右腕を突き出して飛び出す。

 

 

 現れたティガは地面に着地し、それによって周りの地面から激しく土砂や土煙が巻き上がる!

 

 その力強い着地は正に某地球の大地のウルトラマンのようである!

 

 

 おりょう「おお、遂に真打ちの登場ぜよ。」

 

 

 ティガの登場によりカバさんもウサギさんも嬉しそうに反応する。

 

 ウサギさんチームに関しては戦車を止め、観戦モードに入ったり写メを撮ったりしている。

 

 

 みほ「皆さん、少し様子を見ましょう。 必要があれば援護です。」

 

 

 みほたち戦車チームはティガの戦いを見守りつつ援護をすることにした。

 

 

 (BGM:光を継ぐもの)

 

 

 ティガはゆっくりと構えを取り、それに気づいたゴキグモンもティガの方へと振り向き構える。

 

 

 そしてティガは走りながら側転、バク転しつつ接近し、地面を蹴って高く跳躍して牽制の跳び蹴りを放つ!

 

 ゴキグモンはそれを両腕の鉤爪をクロスしてそれを受け止めて振り飛ばすが、その後もティガはビルを土台に側転し、後ろにあったビルを蹴って加速してゴキグモンに跳びかかると同時に右肘での一撃を胸部に叩き込む!

 

 ゴキグモンは左腕を振って殴り掛かるがティガはそれを右足蹴りで弾き、その後ゴキグモンの放った右フックをしゃがんで避けると同時に後ろに回り込むと同時に背中に右腕のチョップを決め、その後も背を向けた状態で背中に左右交互のエルボーを打ち込んで攻撃を加える。

 

 

 次にティガは跳躍して振り向くように一回転しながら右回し蹴りを繰り出し、ゴキグモンはそれをしゃがんで避けた後左腕を振るって攻撃を仕掛けるが、ティガはそれを両腕で受け止めてそのまま右脚蹴りを腹部に打ち込む。

 

 

 その後もティガはゴキグモンの両腕の殴り込みをチョップや足技で弾き飛ばしていき、そして胸部に左右交互のパンチを叩き込み、炸裂と同時にその部位に爆発が起こる。

 

 善戦も束の間、続いてティガが繰り出したチョップを顎で噛み付くことで受け止めそのまま締めつけてティガが痛がっている隙に両腕の爪を活かした斬撃のようなパンチを腹部に打ち込み、ティガはその部位から火花を散らしながら後退する。

 

 

 ゴキグモンは更に攻撃を加えようと突進をしての頭突きを繰り出すが、ティガはそれをヘッドロックをかけることで受け止め、そのまま顔面に右膝蹴りを叩き込み、蹴りが決まると同時にその部位に爆発が起こる!

 

 

 その後もティガはゴキグモンとの交戦を続けるが、その間にもゴキグモンはビルを崩していき、その瓦礫が戦車の方にも飛んで行く!

 

 

 みほ「急いで回避です!」

 

 

 みほの咄嗟の指示により戦車たちは降り注ぐ瓦礫を避けていくが、地面に落ちていく瓦礫が徐々に逃げ道を塞いでいく………………。

 

 

 

 一方暁人たちの方はというと、サボテグロンとの戦いを優位に進めていた。

 

 

 丈司「よし、一気に倒すぞ。」

 

 暁人「はいよ。」

 

 

 二人は変身しようとし、暁人がフレイムウィザードリングを填め、丈司がショドウフォンを構える。

 

 

 その時、

 

 

 “ズガーン”

 

 

 暁人「うぉあああっ!?」

 

 丈司「くっ、何だっ!?」

 

 

 突然廃工場の壁を突き破り戦車が突っ込み、それによって二人は驚くき同時に飛んで来る煙や瓦礫を跳躍して避ける。

 

 

 突っ込んで来たのはカバさんチームの三号突撃砲であった。

 

 ゴキグモンの反撃を避けていく内に、徐々に追い込まれていき挙句に廃工場に激突してしまったのである。

 

 

 カエサル「ごめんよ!あの“G”がなかなか手ごわくて…。」

 

 

 サボテグロン「隙ありっ!」

 

 

 “ズガガガガガガガガガ…”

 

 

 サボテグロンは隙を逃さず、手から弾丸を連射して反撃に出る!

 

 

 《ディフェンド・プリーズ!》

 

 

 暁人は即座にディフェンドウィザードリングをかざし、赤い魔法陣の障壁でそれを防ぐ。

 

 

 だが、魔法陣が消滅した頃には既にサボテグロンの姿はいなくなっていた………。

 

 暁人が攻撃を防いでいる間に煙などに紛れて逃走したのであろう。

 

 

 丈司「くっ…逃げられたか………。」

 

 暁人「あと一歩だったけどな~…。」

 

 二人は惜しくもサボテグロンを逃してしまった事を悔しがる。

 

 

 

 一方のゴキグモン戦はというと、あんこうとウサギさんチームも完全に逃げ場を失いそうになるまでに追い込まれていった。

 

 

 マドカ「はっ、みほちゃん、みんな!」

 

 

 ティガはそれに気づいて救出に向かおうとするが、その隙にゴキグモンに後ろから掴みかかられ、そしてそのまま投げられて一回転して地面に激突する。

 

 

 ウサギさんチームはというと、遂に追い込まれることでの恐怖心に負けてしまって戦意喪失し、戦車を残して逃げ出してしまった。

 

 

 みほ「ああ、外に出たら危ないですよー!」

 

 

 みほは外に出て逃げ出した彼女たちの身を案じるが、その隙にもゴキグモンは再びみほたち向かって進撃を始めていた。

 

 

 追い込まれたあんこうチームの戦車は砲撃を連射するが、ゴキグモンはそれを物ともせず進撃を続ける。

 

 

 マドカ「………ッ、危ない!」

 

 

 みほたちの危機を知ったティガは正面からゴキグモンに掴みかかり食い止めようとする。

 

 

 すると、ゴキグモンの口が大きく開く。

 

 そしてそこから勢いよく繭糸を噴射する!

 

 ティガはそれをモロに喰らい、後退しながら繭糸に包まれていく。

 

 ゴキグモンの繭糸は、巨大なモノを繭と化すことが出来るのであり、ティガは今にも繭にされそうになっているのだ!

 

 

 みほ「マドカさん………きゃーっ!」

 

 

 そして、なんとみほも繭糸に絡め捕られて戦車から引き離されてしまう!

 

 

 リーダーであるが故に、常に周りの様子を見渡すために戦車の上部から身を乗り出しているみほ。

 

 だが、今回はそれが災いし、自分たちの戦車がティガの近くに止まっていたことにより巻き沿いを喰らってしまったのだ!

 

 

 華「西住さん!」

 

 優花里「西住殿!」

 

 沙織「はっ!みぽりーん!」

 

 

 チームメイトが声を上げる中、ティガ、そしてみほは近くのビルに貼り付けにされるように繭糸に絡められていき、やがてそのビルもろとも完全に繭糸に包まれてしまった………!

 

 

 

 沙織「………そんな………………。」

 

 暁人「マドカとみほちゃんが………繭にされちまった………。」

 

 丈司「何てことだ………。」

 

 ティガとみほが繭に包まれた後、一時的にショックや唖然による沈黙が走る………。

 

 

 

 するとゴキグモンは作り上げた巨大な繭の側に座り込み、居座り始めた。

 

 

 

 暁人「どうすればいいんだ………。」

 

 

 みんなどうすればいいか分からず立ち尽くす中、亜美教官による通信が入る。

 

 

 亜美《敵は活動を停止したみたいだから、みんな一旦本部に帰還せよ。》

 

 

 一同は動揺が止まらない中一旦戻ることにした。

 

 

 

 本部に戻った一同。

 

 

 丈司「しかし、予想以上の最悪な状況になったな………。」

 

 暁人「あの昆虫野郎………まさかティガまでも繭にしてしまうとはな………。」

 

 

 梓「それに、西住隊長まで………どうしたらいいのでしょう………。」

 

 

 一同はなおもどうしたらいいか分からず途方に暮れていた。

 

 無理もない。このチームの中でリーダー的存在を二人も失ってしまったのだから………。

 

 

 だが、静まり返った空気の中、一つの声が静かに飛ぶ。

 

 

 麻子「助け出すしかないな…。」

 

 

 梓「え?」

 

 

 麻子の発言に一同反応する。

 

 自分たちで、二人を助け出そうと言うのだ。

 

 

 梓「でも、西住さんはともかく、光の巨人を人間の力でどうやって救出すれば…」

 

 暁人「いや、実はウルトラマンには時間制限がある。3分間しか巨大な姿になれないから今頃時間が来てマドカに戻ってるはずだ。」

 

 桂利奈「でも………私たちに出来るのでしょうか………。」

 

 

 麻子「いつまでも頼りっきりじゃだめだろ。」

 

 

 麻子の言葉に全員はっとなる。

 

 なおも麻子は弱弱しくも話しを続ける。

 

 

 麻子「この世界にヒーローが来ても……結局私たち自身で守らなきゃいけないんじゃないか………?」

 

 

 彼女の言う事は確かであった。

 

 

 沙織「そうか………やっと分かったよ。昨夜麻子があんな事してた意味が。」

 

 沙織は麻子の行動の意味を悟る。

 

 

 沙織「確かに………暁人さん達はヒーローの力を持っているから私たちよりも全然強いよね………

 

 でも、もし暁人さん達が来なかったら、結局この世界は私たちが守らなきゃいけなかったもんね。」

 

 

 沙織たち戦車道女子たちは、マドカたちヒーローズが来てからやや彼らに頼りきりだったようであり、それに今気づくことが出来たのである。

 

 

 暁人「確かに、この世界は君たちのものだしな………そういえばマドカが言ってたぜ。

 

 地球は人類、自らの手で守り抜かなきゃならない………どうにもこうにも、どうにもならないそんな時こそウルトラマンが………ヒーローが必要だとな。」

 

 丈司「敵は確かに強力になっている。でも、君たちがこの世界を守りたいと志しをもっと高く持てば、必ず展望はあるはずだ。」

 

 

 カエサル「志を………」

 

 梓「もっと高く………」

 

 カバさんとウサギさんのリーダーも暁人たちの言葉に共感し始める。

 

 

 暁人「麻子、お前の想いは中々のものだ。」

 

 暁人は麻子の方を向いて、大切な事に気付くきっかけになった事を褒める。

 

 それを聞いた麻子は相変わらず無愛想ながらも嬉しさからかはっと反応する。

 

 

 丈司「今回は俺たちも力を貸そう。だから必ず、マドカたちを救い出すぞ。」

 

 

 遂に、全チームが共感したのかさっきまで暗かった表情に明るさが戻ってる様であった。

 

 

 華「そうですね、必ず助け出しましょう。」

 

 優花里「なんか、久しぶりにドキドキしますねー。」

 

 

 チームメイトも気合が入る中、沙織は笑顔で麻子の方を向く。

 

 沙織「ありがとね、麻子。大切なことを気づかせてくれて。」

 

 麻子「別に…」

 

 沙織「んも~…素直じゃないんだから。」

 

 

 エルヴィン「自分の人生は、自分で演出する。」

 

 カエサル「賽は投げられた………今こそ、一つになる時だな。」

 

 カバさんチームも一致団結を決めた。

 

 

 暁人「よし!そうと決まれば、まずはあのサボテン野郎を倒さねーとな。」

 

 梓「え?ゴキグモンじゃないんですか?」

 

 丈司「マドカから聞いたんだが、ゴキグモンの常食は人間だ。さっき繭にしたビルは、たまたま休日のオフィスビルだったため人がいない。

 

 そのため繭にしたビルに卵を産むには、孵化する幼虫の餌が必要。だからゴキグモンは、卵を産む前に餌になる人間を待っているんだ。」

 

 暁人「そのゴキグモンを引き連れたサボテグロンは、今頃その餌になる人間を集めようとしているとしたら………先に倒すべきなのはサボテグロンの方だ。」

 

 

 暁人たちの説明に一同は納得する。

 

 

 亜美「みんな………良い志ね。じゃあ改めて、パンツァー・フォー!」

 

 

 今こそ、出動の時である!

 

 亜美の指示により、3チームは颯爽と戦車に乗り込む。

 

 いつもの様に華奢な少女たちが戦車に乗り込むわけなのだが、今回は決心が強いが故か、その姿はどこか凛としているようにも感じた。

 

 丈司もモヂカラで召喚した白馬にまたがり、暁人もコネクトウィザードリングで魔法陣から出したマシンウィンガーに乗る。

 

 

 そして暁人がヘルメットの前部のカバーを“カシャッ”と鋭く下ろした後通信機越しに…

 

 

 暁人「エブリバディ?…」

 

 

 そして丈司及び戦車3チームが…

 

 

 一同「ビー・アンビシャス。」

 

 

 正に、大志を持った全員が一つになった瞬間であった。

 

 

 そして今、バイク、馬、3両の戦車が出陣し始めた………!

 

 

 

 

 一方、ゴキグモンの繭糸に囚われている二人はと言うと………。

 

 

 ティガの方は既に3分が経ったのかマドカの姿に戻っていた。

 

 二人はビルに貼り付けられている形で繭糸に絡められていた。

 

 

 マドカ「………ッ、意外と冷たいな………この糸………。」

 

 マドカは糸に包まれた体を動かしながらぼやく。

 

 

 みほ「マドカさん………。」

 

 すると、みほの声が聞こえる。

 

 どうやらマドカとみほは、姿は見えないが声が聞こえ、話せる距離にいるためそれほど離れていないようだ。

 

 

 マドカ「みほちゃん? 大丈夫か?」

 

 みほ「ええ…寒いですけど………………ない………通信機がありません………。」

 

 どうやらみほは、糸に絡められるはずみで通信機を紛失してしまったようである。

 

 マドカ「俺もみたいだ………これじゃあ暁人たちに連絡とれない………。」

 

 

 みほ「………寒い………。」

 

 マドカ「みほちゃん………?」

 

 

 ゴキグモンの繭糸の中はかなりの低温らしく、みほは体が凍えそうなくらい震えている。

 

 実際、マドカも寒さを感じている様であった。

 

 

 すると、みほが寒くて辛そうにしてることに気付いたマドカは、手に持っていたスパークレンスを向ける。

 

 すると、スパークレンスからの光がみほを包み始める。

 

 だが、時間切れで変身が切れた直後であるためか、まだ光エネルギーが十分になっておらず、みほを包む光も若干微弱だった。

 

 

 みほ「この暖かい光は………マドカさん………?」

 

 マドカ「ああ………どうやら届いたみたいだね………。」

 

 みほ「私のために、光を当てているのですか?」

 

 マドカ「ああ………でも………まだ、十分じゃないみたい………。」

 

 マドカは光エネルギーを開放するのが精一杯なのか、声を絞る様に喋っている。

 

 みほ「そんな………なのに、どうして私なんかのために…?」

 

 みほは光エネルギーがまだ少ないにもかかわらず、自分に光を当てるマドカを気遣うように言う。

 

 

 マドカ「決まってるじゃない………前にも言ったよね………君たちを守り抜くと、強く決めたと………。」

 

 みほ「………ありがとうございます。………でも、この光はマドカさん自身のエネルギーでもあるはずじゃ………。」

 

 マドカ「ああ………でも………僕は大丈夫だから………みほちゃんが無事になれば………みほちゃんだけじゃない………この世界の人々…みんなを救うためなら………例え微弱でも………。」

 

 みほ「分かりましたから………私は大丈夫ですから………私のために少ないエネルギーを使わないでくださいよ。」

 

 みほは、他人を気遣う持ち前の優しさからマドカを気遣い、自身にエネルギーを送ることを止めさせようとする。

 

 

 マドカ「やっぱり優しいね…みほちゃんは………でも、僕たちがこんなにも体を張るのには…まだワケがあるんだ………。」

 

 

 みほ「………え?」

 

 

 果たして、マドカたちヒーローズが体を張る他のワケとは………?

 

 

 

 一方、サボテグロンはというと、やはりゴキグモンの食料になる人間を集めるために、配下のショッカー戦闘員(黒骨戦闘員)軍団と共に人々を襲い始めていた。

 

 

 逃げ惑う人々。それを嘲笑うようにサボテグロンたちは暴れながら余裕そうに歩きながら追い回す。

 

 

 サボテグロン「フッハアッ!ショッカー戦闘員どもよ!たくさん捕まえろ!そして全員ゴキグモンの餌にするのだ!」

 

 

 棍棒を振るってそこらの鉄塔などを易々破壊しながら高笑うサボテグロンの元に、ショッカー戦闘員がようやく捕まえた一人目が差し出される。

 

 若いOLの女性であった。

 

 女性は怯え、逃れようと必死にもがくが、無情にもサボテグロンの手に渡ろうとする!

 

 サボテグロン「ヒィヒィヒィ………まずは一人目………」

 

 

 “ズガンッ”

 

 

 サボテグロン「!!?くッ、」

 

 

 “ズガガガガッ”

 

 

 すると突然、サボテグロンは何処からか飛んで来た弾丸が当たって怯み、続けて女性を捕えていた戦闘員たちもその弾丸が当たり倒れる。

 

 その隙に自由になった女性は足早に逃げて行った。

 

 

 サボテグロン「ッ!誰だ!」

 

 

 サボテグロンは振り向き声を上げる。

 

 

 丈司「そこまでだ!外道衆!」

 

 暁人「女の子を醜い奴の餌にするなんて最低な奴だな。」

 

 

 そこには、シンケンマルを肩に担いで決め台詞を言う丈司、そして、ウィザーソードガンを構える暁人の姿があった。

 

 そして後ろには、あんこう、カバさん、ウサギさんチームの戦車が待機している。

 

 

 さきほど弾丸を打ったのは暁人であった。

 

 まあ、正確にはサボテグロンは外道衆ではないが(笑)

 

 

 サボテグロン「貴様ら!また邪魔するのか!」

 

 怒ったサボテグロンは、ショッカー戦闘員達と共に構える。

 

 

 暁人「安心しろ。邪魔するのは今回で最後にしてやる………

 

 つまり、お前を倒す!」

 

 

 《ドライバーオン・プリーズ!》

 

 

 “スパンッ”

 

 

 《シャバドゥビ・タッチ・ヘーンシーン…》

 

 

 丈司「ショドウフォン、一筆奏上!」

 

 丈司はショドウフォンで『火』のモヂカラを宙に書く。

 

 丈司「はっ!」

 

 そして、ショドウフォンを振るって通話ボタンを押してモヂカラを発動させる。

 

 

 暁人「変身!」

 

 暁人はフレイムウィザードリングをウィザードライバーにかざす。

 

 

 《フレイム・プリーズ! ヒ―・ヒ―・ヒーヒーヒー!》

 

 “ザンザンザンッ”(所謂シンケンレッド変身完了音)

 

 

 暁人、そして丈司はそれぞれ仮面ライダーウィザード(フレイムスタイル)、シンケンレッドへと変身を完了する。

 

 

 サボテグロン「俺様が貴様らを倒すんだ!行け戦闘員ども!」

 

 サボテグロンの指示によりショッカー戦闘員たちは一斉にかかり始める。

 

 

 暁人「さあ、ショータイムだ!」

 

 丈司「いざ、参る!」

 

 

 ウィザードとシンケンレッドも武器を構え颯爽と駆け始める。

 

 

 二大ヒーローVS戦闘員軍団との戦いが始まった!

 

 大勢になって二人のヒーローに襲い掛かる戦闘員達。

 

 だが、二人は動じる事無く次々と戦闘員たちを薙ぎ倒していく。

 

 

 ウィザードはウィザーソードガンを手から手にと持ち替えつつの鋭い剣さばき、エクストリーム・マーシャルアーツを取り入れた華麗な跳躍をしつつの蹴り、斬撃、銃撃などで、

 

 シンケンレッドは大胆かつ流麗な剣さばきを駆使し、前後左右関係なく戦闘員の動きを全て見切っているかのように全て弾きながら次々と斬り倒していく。

 

 

 戦闘員達は、一部ではナイフを手に大勢でかかる者もいた。

 

 だが、いくら束になったと言え雑魚は雑魚。ヒーローたちに次々と倒されていく。

 

 

 梓「やっぱり凄いですね………お二方………。」

 

 桂利奈「特撮番組を生で見てるみたい。」

 

 あゆみ「いや………本物はそれ以上に凄いよ。」

 

 

 沙織「やっぱ素敵だわ………

 

 待っててね。必ず、私たちが助け出すから。」

 

 みほの代わりに車長として上部から身を乗り出して観戦している沙織は、暁人たちに感心しつつも救出の決意を新たにする。

 

 

 だが、感心するのも束の間、なんとショッカー戦闘員たちは戦車女子たちにまで襲い掛かって手を出し始める!

 

 まずは各戦車上部から身を乗り出している彼女たちを襲い始める!

 

 

 ウサギさんチームはというと、

 

 梓「ひゃっ!? このっ!」

 

 梓は前方の個体のナイフをビビりつつもしゃがんで避けると、その隙に両手でがむしゃらに無防備になった腹部を思い切り突いて突き落とす。

 

 すると、今度は左右から二人が同時に攻撃を仕掛け始める!

 

 梓「きゃっ!」

 

 梓はそれぞれ左右の個体が同時に繰り出すパンチを、怯えるように耳を塞ぎながらしゃがんで避ける。

 

 すると、それにより左右にいる二人の戦闘員は互いのパンチを喰らって怯んでしまう。

 

 梓「はっ、今だ。 えいっ! それっ!」

 

 その隙に梓は、まずは右側の個体を足払いで転落させ、次に左側の個体を両手で突き落とす。

 

 梓「ふぅ~…」

 

 ひとまず上がって来た戦闘員達をなんとか全て落とした梓は一息しながら額の汗を一回拭う。

 

 

 次にカバさんチームはというと…。

 

 身を乗り出していたカエサルが、襲い来る戦闘員の攻撃をビビりつつも避けつつ、隙を突いて受け止める。

 

 カエサル「今だ!左衛門佐!」

 

 左衛門佐「了解!はっ!」

 

 カエサルが押さえつけてる隙に、下から左衛門佐が弓で戦闘員を攻撃する!

 

 左衛門佐は戦国時代に詳しいだけあって、弓道が得意な一面もあるのだ。

 

 弓が刺さった戦闘員はそのまま落下し始める。

 

 このように、カエサルが攻撃を避けたり受け止めたりしている隙に左衛門佐が弓で次々と打ち落としていくというなかなかの連携で、自分たちの戦車に昇って来る戦闘員を次々と迎え撃つ。

 

 更に、

 

 おりょう「どけどけーぃ!ペリーの黒船来航ぜよ!」

 

 操縦士のおりょうが、3突戦車を回転するように走らせ、上部に登った戦闘員を振るい落とすと同時に周りの戦闘員も吹き飛ばしていく。

 

 と、カバさんチームは以外にも善戦していた。

 

 

 そしてあんこうチーム。

 

 沙織「わあっ! きゃっ!」

 

 沙織は戦闘員の攻撃を慌てて避けていく。

 

 戦闘員は遂に沙織を捕まえるのに成功する。

 

 しかし、

 

 沙織「きゃっ! エッチ!」

 

 “バシーン”

 

 どうやら掴みどころが悪かったみたいで、沙織は驚きもあって力ずくで振り払うと、戦闘員の顔にビンタをかます!

 

 そして続けて両手で思い切り突いて突き落とす。

 

 次の戦闘員が沙織に襲い掛かろうとするが、沙織は急いで中に入って上部のフタを閉める。

 

 かと思えば沙織は思い切りフタを開け、覗き込むように顔を近づけていた戦闘員は思い切り開くフタに思い切り顔を叩きつけられ痛がる。

 

 華「それっ。」

 

 その隙に華が、戦闘員の足を掴んですくうことで地面に落下させる。

 

 沙織「ふう、どんなもんよ。 華、ナイスアシスト。」

 

 華「いえいえ。」

 

 だがそれも束の間、次に上がって来た戦闘員が沙織に掴みかかる!

 

 沙織「きゃっ! ちょっと、放してよ…」

 

 

 “ズガーン”

 

 「!イーッ!?」

 

 

 すると、沙織を掴んでいた戦闘員がどこからか飛んで来た弾丸を受けて落下する。

 

 

 それは、ウィザーソードガンの弾丸であった。

 

 ウィザードはあんこうチームの戦車の上に跳び乗り、残りの上がっていた戦闘員も瞬く間に蹴り落とす。

 

 

 暁人「大丈夫か?沙織。」

 

 沙織「(少し嬉しそうな表情で頬を赤らめて)………ええ………ありがとうございます。」

 

 暁人「よく頑張ったな。こいつらは俺たちに任せろ。」

 

 そう言うとウィザードは戦車から跳び下り、戦闘員の相手を再開する。

 

 

 次々と倒されていき数が減っていく戦闘員。サボテグロンは遂に業を煮やし、直接ウィザードたちに襲い掛かる!

 

 サボテグロンは棍棒を振って殴りかかるが、ウィザードはそれをウィザーソードガンで受け止める。

 

 

 サボテグロン「貴様らぁ!絶対に許さんぞ!」

 

 暁人「それ、こっちの台詞だ。 女の子をも襲いやがって。」

 

 

 そう言うとウィザードは右手持ちのソードガンを目にも止まらぬ速さで数回火花が散る斬撃を決め、そして一回転しながら右ハイキックを頭部に決め、続けて左後ろ蹴りを胸部に打ち込んで吹っ飛ばす。

 

 続いてシンケンレッドが吹っ飛ぶサボテグロンの反対側から跳び、そして空中ですれ違い様にシンケンマルでの一撃を決める!

 

 

 サボテグロンは地面に落下するがすぐさま立ち上がる。

 

 

 暁人「よし、こっから一気に決めるぞ。」

 

 

 すると、シンケンレッドがシンケンマルをウィザードに突き出し、ウィザードは少し驚く。

 

 丈司「暁人、この先端にコピーウィザードリングを填めろ。」

 

 暁人「え?………わ……分かった。」

 

 シンケンレッドの思わぬ要求にウィザードは少し困惑しつつも、コピーウィザードリングをシンケンマルの先端に填める。

 

 

 《ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!…》

 

 

 シンケンレッドはシンケンマルに填めたリングをベルトにかざす。

 

 

 《コピー・プリーズ!》

 

 

 すると、ベルトの前に赤い魔法陣が現れ、その中からシンケンマルが現れる!

 

 シンケンレッドはコピーウィザードリングを応用して、新しいシンケンマルを召喚したのである!

 

 

 暁人「おぅ!なるほど。」

 

 ウィザードは驚きつつも理解する。

 

 

 本家ウィザードも、かつてコピーウィザードリングを応用して、ウィザーソードガンのハンドオーサーに読み込ませることでもう一本ソードガンを召喚して幾度か二刀流で戦った事がある。

 

 それを思い出したシンケンレッドは、シンケンマルに填めて読み込ませることで同じく二刀流が出来るのではないかと思い付いたのである!

 

 

 シンケンレッドは現れたもう一本のシンケンマルを掴み、二刀流で構える。

 

 

 丈司「見てろ。俺のちょっとしたショータイムだ。」

 

 

 そう言うとシンケンレッドは、二本のシンケンマルにセットした秘伝ディスクを回転させる。

 

 すると、二本のシンケンマルはそれぞれ青と緑に発光し変形し、やがて武器に変形する。

 

 

 丈司「ウォーターアロー&ウッドスピア!」

 

 

 二本のシンケンマルが変形した武器は、弓状のウォーターアローと、長槍状のウッドスピアである!

 

 本家ではウォーターアローはシンケンブルー、ウッドスピアはシンケングリーンの専用武器であったため、所謂シンケンジャー“男性陣”の使っていた武器の組み合わせである。

 

 

 暁人「ははぁ、なるほどね。」

 

 

 (BGM:覚醒(RIDER CHIPS ver.))

 

 

 丈司「シンケンレッド・千葉丈司、参る!」

 

 

 サボテグロン「そんなコケ脅しに負けるか!行け戦闘員!」

 

 サボテグロンの指示でショッカー戦闘員たちはシンケンレッドに向かって行く。

 

 シンケンレッドはモヂカラを込めてウッドスピアの柄を長くする。

 

 そして片手にウォーターアロー、片手にウッドスピアで、回しながら時に持ち替えつつの打撃や斬撃で迎え撃つ!

 

 二つの武器による攻撃は青と緑の光を走らせながら炸裂していき、戦闘員達を次々と吹き飛ばしていく。

 

 

 そしてシンケンレッドは高く跳躍すると、ウッドスピアを矢としてウォーターアローの弓で引き絞る。

 

 

 丈司「明鏡止水で大木晩成!」

 

 

 シンケンレッドは引き絞ったウッドスピアを放ち、ウォーターアローとウッドスピアの合体技『明鏡止水で大木晩成』を放つ!

 

 飛んで行くウッドスピアは無数の矢のように緑の光を纏って分裂し、戦闘員達を次々と射貫き爆破していく!

 

 そしてあっという間に戦闘員達は全滅した。

 

 

 サボテグロン「バカなっ!?大量の戦闘員達をこうも簡単に…!?」

 

 

 サボテグロンが動揺している間にシンケンレッドは、ウォーターアローとウッドスピアをいったん二本のシンケンマルに戻し、別の秘伝ディスクをセットして回転させる。

 

 

 すると、今度はそれぞれピンクと黄色の光に包まれ変形し、別の武器に変わる。

 

 

 丈司「ヘブンファン&ランドスライサー!」

 

 

 今度はそれぞれ、扇子状のヘブンファンと大型手裏剣状のランドスライサーである!

 

 本家ではヘブンファンはシンケンピンク、ランドスライサーはシンケンイエローの専用武器であったため、所謂今度はシンケンジャー“女性陣”の武器の組み合わせである!

 

 

 丈司「お前の棍棒を砕く!」

 

 

 そう言うとシンケンレッドは再び跳躍する。

 

 

 丈司「迫力満天な奮闘土力!」

 

 

 シンケンレッドはランドスライサーを投げ、更にそれをヘブンファンのトルネードで加速させる合体技『迫力満な奮闘土力』を放つ!

 

 ピンク色のトルネードにより速さを増したランドスライサーはサボテグロン目掛けて一直線に飛んで行く。

 

 サボテグロンはそれを打ち返そうと棍棒を野球のバッターのように構える。

 

 

 サボテグロン「こんなもん打ち返してやるぜ!

 

 行けっサボテンホームラン!」

 

 サボテグロンは思い切り棍棒を振る!

 

 

 “カキーン”

 

 

 …いかにも“鉄の棒が固い球を打ち返したような音”が鳴り響く。

 

 ランドスライサーは打ち返されてしまったのか⁉︎

 

 

 サボテグロン「ヒィヒィヒィ…楽勝だぜ………

 

 ………?なっ!そんな馬鹿な⁉︎」

 

 

 余裕ぶっていたサボテグロン。しかし、その直後に自身の持っていた棍棒がいつの間にかバラバラに砕けて足元に散らばっている事に気付く。

 

 

 更に、

 

 

 “ズガガーン”

 

 

 サボテグロン「⁉︎ぐおあっ!」

 

 

 ランドスライサーの斬撃を受けたいたサボテグロンの体が時間差で火花を散らして爆破した!

 

 それと共に返ってきたランドスライサーをキャッチするシンケンレッド。

 

 合体技は見事に決まったのである!

 

 

 サボテグロン「くそっ……おのれっ! おのれおのれ〜!」

 

 

 シンケンジャーの男性陣と女性陣の武器のコンボにより一気に劣勢になったサボテグロンは、やけっぱち気味に突撃し始める。

 

 今こそ、奴を文字通り三途の川に落とす時だ!

 

 

 暁人「そろそろフィナーレと行くか。」

 

 

 《フレイム・シューティングストライク! ヒ・ヒ・ヒ!…》

 

 

 “ズガガガガーン”

 

 

 サボテグロン「ぐおああああっ!」

 

 

 ウィザードは、ウィザーソードガンのハンドオーサーに指輪をかざしてフレイムシューティングを放つ!

 

 そしてそれにより自身の周りで起こった大爆発に巻き込まれたサボテグロンは上空高く吹っ飛び始める。

 

 

 暁人「決めろ!丈司!」

 

 

 《バインド・プリーズ!》

 

 

 ウィザードはシンケンレッドにトドメを譲ると、バインドウィザードリングをリードして円を描くように魔法陣を複数出現させ、そこから出るチェーンを束ねてトランポリンを作る。

 

 

 丈司「心得た!」

 

 

 シンケンレッドはバインドの鎖のトランポリンを蹴って空高く跳び始める。そして、上空のサボテグロン目掛けて跳びながらシンケンマルの秘伝ディスクを回転させる。

 

 シンケンマルは赤い光を纏って変形し、シンケンレッド専用の巨大な太刀・烈火大斬刀へと変わる!

 

 

 丈司「烈火大斬刀! 百火繚乱!」

 

 

 “ズギャーン”

 

 

 シンケンレッドは、烈火大斬刀の刀先に炎を纏わせ、必殺の斬撃・百火繚乱をすれ違いざまに決める!

 

 

 サボテグロン「グアアアアァァッ!!」

 

 

 “ズドーン”

 

 

 サボテグロンは空中で火の粉を散らしながら大爆発して消し飛んだ。

 

 シンケンレッドは烈火大斬刀を手に着地して凛々しく肩に担ぎ、ウィザードはそんな彼の元へ駆け寄る。

 

 

 丈司「…汚ねぇ花火だ。」

 

 暁人「それな。 やったな、丈司。」

 

 

 二人のヒーローがサボテグロンを撃破した事に、沙織たち戦車女子たちは喜び合う。

 

 

 暁人「おーっと!喜ぶのはまだ早いぜ?」

 

 丈司「次はいよいよ、マドカとみほの救出だな。」

 

 

 暁人たちの言葉を聞いた沙織たちは、緊張からか息を飲む。

 

 

 暁人「作戦は考えてある。今から君たちには、俺の言う通りにやってもらう。」

 

 

 暁人は沙織たちに作戦の概要を説明し始める。

 

 まず、最初はティガの状態で繭糸に包まれたのだが、今は既に3分が経過してマドカ(人間体)に戻っている。

 

 そんなマドカの現在地はというと、いつの間にか向かわせていたガルーダたちによると繭にされたビルの12階目の真ん中という事が分かった。

 

 一方でゴキグモンはというと、暴れずに繭にされたビルの側にいるのは餌を待っているだけではなく、同時に後に幼虫の巣になるその繭ビルを守るためという事も分かった。

 

 

 暁人「そこで、今からやることはと言うと…

 

 まずはカバさんとウサギさんがゴキグモンを攻撃して注意をそらせ。二手に分かれてやればより効果的だと思う。」

 

 梓「分かりました。」

 

 おりょう「心得た!」

 

 暁人「その間に、沙織たちあんこうチームが、マドカ目掛けて光を撃つんだ。それにより、一気に光エネルギーが満タンになったティガは復活。ゴキグモンを倒してくれるだろう。」

 

 

 華「分かりました。でも…私たちの砲撃で力が溜まるのでしょうか…?」

 

 

 暁人「君たちが撃つのは、ただの砲撃では無い。

 

 光の砲撃だ。」

 

 

 そう言うと丈司はショドウフォンで『輝』のモヂカラを宙に書き始める。

 

 

 《ビッグ・プリーズ!》

 

 

 丈司「はっ!」

 

 

 そして暁人がビッグウィザードリングをベルトにかざして赤の魔法陣を出現させ、丈司がショドウフォンを振るうことで輝のモヂカラを魔法陣に通過させる。

 

 すると、輝のモヂカラは3倍以上に巨大化し、それにより光量も増幅する。

 

 更に丈司はそれに『縮』のモヂカラを注ぎ込むことで、光量はそのままで戦車でも撃てる大きさまでに縮小させる。

 

 よって、光の砲撃の完成である!

 

 

 暁人「よし!完成だ。これを打ち込め。縮小のモヂカラは弱めに注いであるから、戦車の砲撃の力なら、その衝撃で一気に広がりマドカの元へ届くはずだ。あとはそれをマドカかが掴めば、きっと光の力を取り戻せるはずだ。」

 

 暁人がそう言うと、光の力の弾丸はあんこうチームの戦車の砲塔へと入っていった。

 

 華「なるほど、それをピンポイントでマドカさんに打ち込むわけですね。」

 

 優花里「光の巨人の力を戦車で打ち込むなんて…緊張感ありますがゾクゾクしますね〜。」

 

 

 あゆみ「でも、西住先輩の方はどうするんですか?ティガさんが繭を破って登場したとしても、その影響で落下する可能性もありますし…。」

 

 暁人「(右人差し指を振ってチッチッチと言いながら)ドントウォーリー。みほの方は俺が助けるさ。」

 

 華「了解しました。」

 

 沙織「つまり、マドカさん復活に、華の1発がかかってるってワケだね。」

 

 華「ええ、絶対に成功させます。」

 

 優花里「我々も、引き金を引く五十鈴殿のために力を合わせましょうね。」

 

 麻子「それに……早くこの戦いを終わらせて寝たい…。」

 

 沙織「もお麻子ったら……はぁ〜彼氏に告白するぐらいドキドキしてきたー。」

 

 華「告白したことないのに?」

 

 沙織「ぶー、いつか絶対するもんっ!………(小声で)いつか………絶対………。」

 

 小声でそう呟く沙織は、どこか暁人の方を向いてるように見えた………。

 

 カエサル「よし、賽は投げられた!」

 

 佳利奈「絶対やったるぞー!」

 

 優花里「あの時助けられた(第1話参照)お礼をする時ですね!」

 

 

 暁人「よーし!みんな気合十分みたいだな………作戦名は、みほちゃんっぽく名付けて『ピカッと作戦』。

 

 それじゃ、作戦開始!」

 

 ついに、決死の救出作戦の幕が切って落とされる!

 

 

 

 一方、繭ビルの中のマドカとみほはというと、

 

 マドカは、みほたちを守るために命をかける他のワケを話していた。

 

 その内容は驚くべきものだった!

 

 みほ「……他の置いてきた人たちのためにも…?」

 

 マドカ「ああ………前世界に残してしまった、弟や妹の事も思うと………余計にな。」

 

 なんと、マドカには弟と妹がいたのだ!

 

 それは、暁人と丈司も同じであった。

 

 今頃、自分たちを残して逝ってしまった兄のことを思って悲しんでるかもしれない………。そう思えば思うほど、人々を守りたい気持ちが強くなるのである。

 

 マドカ「この世界の人々まで…僕たちの弟や妹みたいに悲しませたくないから………だから、そのことを思えば思うほど、強くなるんだ………守りたいっていう気持ちがね。」

 

 みほ「マドカさん…。」

 

 マドカ「それに、この世界の悪を全て倒して…少しでも早く弟妹のもとに帰りたいという気持ちもある………だから………。」

 

 自分たちの強い決意を話しているマドカだが、エネルギーがまだ少ない上にみほに光を与え続けているため、流石に限界が近づいていて話し方も途切れ途切れとなっていく。

 

 

 みほ「分かりましたから……これ以上私のためにエネルギーを使わないでください……

 

 いくら弟妹のためでも今ここで死んでしまったら元も子もないですよ。」

 

 

 マドカ「死なないよ………僕らは………君たちを守り抜くまでは………

 

 みほちゃん………君にも確か、お姉ちゃんがいたよね?………じゃあ尚更さ。………

 

 君のお姉ちゃんも、君が死んだら悲しむと思う………。」

 

 

 マドカの言葉にみほははっとなる。そして、かつて自分もいた黒森峰女学院の戦車道隊長でもある姉・西住まほの事を思い出す。

 

 

 まほ(回想)「諦めないこと、そして、どんな状況でも、逃げ出さないことですね。」

 

 

 そして、思い出したいつかのインタビューで西住流について答えていた姉の言葉がきっかけで、ある事も思い出す。

 

 

 みほ「思い出しました。………私、家元のやり方に納得がいかなくて………一度戦車道が嫌になって、ここ大洗の学校に来たのです。………でも突然怪獣たちが現れて、大洗にも戦車道が復活した時、私、決めた方があったのです。

 

 『家元やその流派に囚われず、自分たちのスタンスで頑張っていく』と…。」

 

 マドカ「そうか………君たちも、強く決めた事で、頑張ってきたんだね。」

 

 みほ「はい。そうやって自分たちなりに頑張っていけば、いつかお姉ちゃんも、それからお母さんも、認めてくれるかなと思いまして………。

 

 そしてその日が来るまでは、何があっても戦車道を辞める気は無いし、死ぬ気もありません。」

 

 マドカ「…それが…みほちゃんが戦車道を再開し始めた理由の一つか…。」

 

 みほ「はい。それに、沙織さんたち仲間と一緒に、この大洗を守り抜きたいとも強く思っています。」

 

 自分が最初に強く決めた事、そして、大洗を守り抜く決心を思い出したみほは、再び自信が戻ってきたのか、さっきよりも明るめに話していた。

 

 マドカ「いいよ…その意気だよみほちゃん………志しが人と違っていても、それがあるのなら、それを強く持つことが大事だ……そうすれば、道は必ず開ける………。」

 

 

 みほ「……ビー……アンビシャス………。」

 

 

 マドカの言葉に、みほはそっと呟く。

 

 

 マドカ「あとは、仲間を信じ続ける事も大事だ………。僕は今でも、暁人たちを信じている。

 

 必ず、助けに来てくれると………。

 

 

 “ズドーン ズドーン”

 

 

 その時、繭糸に覆われているため外はよく見えないが、その外から砲撃のような音が聞こえ始める。

 

 それを聞いた瞬間、マドカは何かを察したのか、少し安心な笑みを浮かべる。

 

 

 マドカ「ほら…やっぱり………。」

 

 

 外では、カバさんチームとウサギさんチームがゴキグモンに攻撃を始めていた。

 

 ピカッと作戦が開始されたのである!

 

 

 優季「佳利奈、左に。」

 

 佳利奈「アイ!」

 

 優季「つぎは右。」

 

 佳利奈「アイアイ!」

 

 優季「頑張って!あなたはやればできる子よ!」

 

 佳利奈「よっしゃーっ!」

 

 あや「こんなにも燃える戦いは久しぶりかもね!」

 

 梓「みんな、改めて気合い入れていくよ!」

 

 ウサギさん一同「おーっ!」

 

 

 ゴキグモンは砲撃を受け続けるが、基本的に反撃せず、時に弾きながら、幼虫の巣にするビルの繭を守る一方である。

 

 カエサル「何が何でも自分のヒナの巣を守る気なのか…。」

 

 左衛門佐「正に、弁慶の立ち往生のようだ。」

 

 おりょう「いや、死ぬわけじゃ無いから多分違うと思うぜよ。」

 

 エルヴィン「ここはベルリンの壁崩壊のようにいくぞ。」

 

 カバさん一同「それだっ!」

 

 

 作戦通り、ゴキグモンは防戦一方とはいえカバさんとウサギさんに気を取られている。

 

 その間に、あんこうチームの砲手の華は、マドカの位置へと慎重に照準を合わせ始める。

 

 

 沙織「…頑張って華。彼氏に最高のプレゼントを渡すつもりで。」

 

 

 華「ええ。花を生ける時のように、集中して………。」

 

 

 普段から生け花もしているが故か、華の集中力はなかなかのもので、やがてマドカに照準が合う。

 

 

 一方そのマドカの位置付近には、暁人が変身した仮面ライダーウィザード(ハリケーンスタイル)が飛んで来ていた。

 

 暁人「まずはみほちゃんの救出…。」

 

 ウィザードは、みほの現在地に着こうとしている。

 

 

 作戦は順調で、みほはまもなく救出されるかと思われた。

 

 

 しかし、

 

 

 “カキーン”

 

 

 暁人「!うおあっ⁉︎」

 

 

 ゴキグモンが爪で弾き飛ばした砲撃の弾丸が飛んで来て、ウィザードは直撃しそうになって思わず回避するが、そのはずみでバランスが崩れて数回下まで落下するがなんとか踏ん張る。

 

 すると、ゴキグモンは巣に何かされそうだと気付いたのか、カバさんとウサギさんの攻撃を気に留めず巣の方へと進撃を始める!

 

 状況は、一気にギリギリのとこまで追い込まれ、ウィザードも救出が間に合わない状況となってしまった!

 

 

 ここまで来ると、もう華の砲撃のみに頼るしかない!

 

 

 沙織「うわあっ!こっちに来始めたよ!」

 

 

 沙織たちが慌てる中、華はしっかりと精神を集中させ、マドカへと狙いを定める。

 

 ゴキグモンはもうすぐ近くまで接近しつつあった………!

 

 

 

 華「………マドカさん………行きますっ!」

 

 

 

 “ズドーン”

 

 

 

 遂に、希望の引き金が引かれた!

 

 

 暁人と丈司が作り、華がみんなの想いを込めて放った光の砲撃は、光って広がりながらマドカの方へと一直線に飛んで行く…!

 

 

 暁人「マドカ…俺たちはお前を信じてる…!」

 

 ウィザードは着地し、みほの方はマドカを信じ、マドカに任せることにした。

 

 

 必ず、繭を突き破ると同時にみほを救出すると信じて………。

 

 

 マドカも、そしてみほも、繭の糸の間から光が差して来て、それだ段々大きくなっていくのに事に気づき始める。

 

 

 みほ「…マドカさん、これは…?」

 

 マドカ「ああ……暁人たちが、遂にやってくれたんだ。」

 

 

 

 丈司「マドカ………光をつかめ!!」

 

 

 

 見守っている丈司の叫びが響くき、それがマドカにも届く!

 

 

 やがて、光がマドカの元に届き、マドカたちの目の前を覆っていた糸が破れ始め、大きな光が差し込む!

 

 

 マドカ「みんな、ありがとう。…今行くぞ!」

 

 

 マドカはスパークレンスを前方に突き出す。

 

 すると、スパークレンスに光が次々と吸収されていき、やがて光エネルギーが満タンとなったスパークレンスは眩い光を放つ!

 

 

 マドカ「ティガーッ!!」

 

 

 “キャイイーン”

 

 

 マドカは光に満ちたスパークレンスを高く挙げ、それにより先端のティガのプロテクター状のパーツが展開して溢れる光に包まれる。

 

 そして、光の中からウルトラマンティガ(マルチタイプ)が右腕を突き出して飛び出す!

 

 

 (ウルトラマンティガ登場BGM)

 

 

 「チャーッ!」

 

 

 “ズドンッ”

 

 

 “ギイィィィ⁉︎”

 

 

 繭ビルを突き破りながら光と共に現れたティガは、そのまま右拳を突き出して飛び出るスピードを利用してゴキグモンにパンチを打ち込む!

 

 ゴキグモンが地面に倒れると同時に、ティガは着地する。

 

 

 カバさんとウサギさん、そしてあんこうチームは、復活したティガを見上げる。

 

 おりょう「遂にやったぜよ!」

 

 あゆみ「やったー!」

 

 沙織「(華に抱き付きながら)やったね華ー!」

 

 華「ええ。」

 

 

 ティガはしゃがんだまま握っていた右の拳をそっと地面に下ろすと、ゆっくりと手を開く。

 

 すると、そこには西住みほの立っている姿があった!

 

 ティガは繭から脱出する直前に、みほを手中に掴んでいたのである。

 

 

 沙織「!みぽりん!」

 

 それに気づいた沙織たちチームメイトがみほの元に駆け寄る。

 

 みほ「へへ…ごめんね……心配かけて。」

 

 沙織「みぽりん大丈夫?怪我とかない?」

 

 みほ「大丈夫。………(ティガを見上げながら小声で)マドカさんのおかげで………。」

 

 

 自身を見上げるみほを見つめるティガはゆっくりと頷く。その様子は「もう大丈夫。後は任せろ。」と語りかけてるように見えた。

 

 

 みほ「(ティガを見上げながら笑顔で)あとは任せますよ、マドカさん。」

 

 

 華「西住さんも無事でなによりです。」

 

 優花里「ですね!ではとりあえず、安全な場所へ移動しましょう。」

 

 みほ「そうだね。」

 

 みほたちあんこうチームは、戦車に乗り込む。

 

 みほ「それでは全車両、一時後退!」

 

 一同「了解です!」

 

 復活したみほが指示を出し、全戦車安全な場所へと移動を始める。

 

 

 そんなみほたちの戦車を見届けたティガは、後ろで身構えるゴキグモンの方へと振り向く。

 

 そして、鋭く構えを取る!

 

 

 (BGM:TAKE ME HIGHER)

 

 遂に、ティガのリベンジ戦が開始される!

 

 両者は激しく土砂や土煙を巻き上げながら駆け寄る!

 

 

 ティガは駆け寄ると同時に一回転して右回し蹴りを繰り出し、ゴキグモンは駆け寄りながらそれをしゃがんでかわす。そして両者はすれ違う。

 

 次に両者ともに振り向いて向き合うと、ティガは右脚でミドルキックを繰り出すがゴキグモンはそれを両手の爪で弾いて防ぐ。

 

 ティガは怯まず、すかさず左脚の回し蹴りを頭部に打ち込み次に胸部にパンチを2発打ち込んだ後腹部に右足の横蹴りを打ち込む。

 

 そして両手でゴキグモンの頭部の触覚を掴んで押さえ込むと、そのまま腹部に左脚の横蹴りを決め、跳躍して両脚でゴキグモンの頭部を挟んでフランケンシュタイナーの要領で地面に叩きつける!

 

 

 すると、立ち上がったゴキグモンは地上戦は不利と見たのか背中の羽を羽ばたかせて飛び上がる。

 

 

 “キュビーン”

 

 

 “トゥララララッ”

 

 

 「ヂャッ!」

 

 

 ティガはスカイタイプにチェンジしながら上空に飛び上がる。

 

 

 両者ともに目にも留まらぬ空中戦を開始する!

 

 ティガは手先からハンドスラッシュを連射しながら飛んで追い、ゴキグモンはそれを避けながら飛び回る。

 

 そして、一旦静止してカウンターのごとく腕の爪でラリアットを決めて叩き落とそうとするが、ティガは咄嗟に腕を掴んで数回振り回した後放り投げる。

 

 そしてすかさず両足蹴りを叩き込んで遠くに吹っ飛ばす!

 

 今度は互いに飛んで向かっていく!

 

 ゴキグモンはティガ目掛けて飛びながら、口から弾丸状にした繭糸を連射するが、ティガはそれをかわしながらゴキグモン目掛けて飛んでいく。

 

 そして、すれ違いざまにチョップを決めて後ろ向きに宙返りをする。

 

 ゴキグモンの片方の羽はチョップにより火花を散らしながら切り離れ、ゴキグモンは地上に落下する。

 

 

 “キュビーン”

 

 

 “トゥララララッ”

 

 

 ティガは着地しながら今度はパワータイプにチェンジする。

 

 ゴキグモンは立ち上がり、再びティガ向かい接近する。

 

 ティガはカウンターの右足の後ろ回し蹴りを胸部に叩き込み、次に跳躍しての右拳の一撃を顔面の左側面に叩き込む。

 

 そして胸部にパンチを連打し、次にヘッドロックをかけてそのままフェイスクラッシャーで叩きつけた後、ウルトラリフターにより両腕でゴキグモンを頭上高く担ぎ上げて遠くに放り投げて地面に叩きつける。

 

 

 “キュビーン”

 

 

 「んーはっ!」

 

 

 “トゥララララッ”

 

 

 ティガは両腕をティガクリスタルの前でクロスして左右に振り下ろすことでマルチタイプに戻る。

 

 そして上空に飛び上がると、両腕を胸の前でクロスさせてエネルギーを溜めた後、一気に広げて光の刃・ティガスライサーを発射する!

 

 光の刃は地上のゴキグモンの胴体に直撃し、ゴキグモンは大爆発とともに吹っ飛び地面に転がる。

 

 

 そしてティガは着地して体制を整えると、両腕を腰の位置まで引き前方で交差させた後、左右に大きく広げてエネルギーを集約し、L字型に組んで必殺の超高熱光線・ゼペリオン光線を放つ!

 

 

 光線は勢いよく一直線に飛び、ゴキグモンを直撃する。

 

 ゼペリオン光線を受けたゴキグモンは地面を削りながら後退した後、大爆発して消し飛んだ。

 

 

 ゴキグモンを撃破したティガは、爆風を背に振り向き雄々しく立つ。

 

 

 カエサル「来た、見た、…勝った!」

 

 梓「やったー!」

 

 華「やりました!」

 

 ティガの勝利にみほたち戦車ガールズは喜び合う。

 

 そんな中、みほはティガに向けて笑顔で無口でピースをする。

 

 それを見たティガも、みほに向けてサムズアップを決めた。

 

 

 

 仲間たちの共同作戦のおかげで、勝利して戻って来たマドカ。

 

 暁人「ったくマドカ、心配したんだぜ?」

 

 マドカ「ははは、ごめんごめん。でも、暁人たちのおかげで無事に戻ってこれた。ありがとう。」

 

 丈司「それにみほも無事に戻って来れたし、これにて、一件落着!だな。」

 

 暁人「しかし、ウルトラマンの力を持つマドカはともかく、何で生身のみほちゃんも傷一つつかず戻って来れたのだろうな?」

 

 マドカ「え?…い、いや、それはその…。」

 

 暁人「あ〜、さてはマドカ、また無茶したな?」

 

 マドカ「まあまあ、でもこうやって無事事態が終息したんだから、結果オーライ結果オーライ。」

 

 そう言うとマドカは、戦車仲間と笑い合うみほの方を振り向く。

 

 マドカ「それに………志高く持てば、必ず道は開けるさ。」

 

 マドカの言葉に暁人と丈司は何かを察したのか、無口で頷いた。

 

 

 すると、マドカに気づいたみほが歩み寄る。

 

 みほ「マドカさん…本当に、ありがとうございました。」

 

 笑顔で礼を言うみほに、マドカは笑顔でサムズアップを向け、後ろで見ている暁人と丈司もこっそりサムズアップを決めた。

 

 

 マドカ「志は違っても、この世界を守りたい気持ちはみんな同じだ………

 

 だから、これからも力を合わせて頑張ろう。」

 

 

 みほ「…はい。」

 

 

 そう言うとみほもサムズアップを向け、マドカとみほは互いのサムズアップを合わせた。

 

 

 今回の件により、より団結力や決断力が増したヒーロー達と戦車女子達。

 

 これからの活躍が期待できるであろう。

 

 

 

 〈エピローグ〉

 

 これからも志を高く持って頑張ろうと誓い合ったマドカたちとみほたち。

 

 そんな様子を遠くから見つめている一人の男がいた。

 

 

 数日前も姿を現した、黒と紫のライダースーツ風ジャケットを身に付けた冷たい表情の男である。

 

 

 ???「………志し高く………か………………俺には無縁の事だな………。」

 

 

 男は握った拳を見つめながらそう言った後、また何処かへ去ろうとする。

 

 

 その時、

 

 

 「イーッ! イーッ!」

 

 

 男の前に奇声を発しながら数人のショッカー戦闘員の残党が現れた!

 

 

 ???「………俺の邪魔をするな。」

 

 

 男はクールにそう言うと、戦闘員目掛けて駆け寄り、手前の一人を前蹴りで蹴飛ばした後、その次の個体に跳躍して前転て跳び越えながらチョップを頭部に打ち込みダウンさせる。

 

 前後の戦闘員が攻撃を加えようとするが男はそれを余裕でかわし、前方の一人を右足蹴りで吹っ飛ばした後後方の一人を左足の後ろ蹴りで吹っ飛ばす。

 

 そして次に横から右手に持つナイフを突き付けてきた一人の攻撃をかわすと同時にその右腕を両手で掴み、一本背負いで地面に叩き付けた後そのまま左手で相手の右腕を掴んだまま腹部に右拳を叩き込む。

 

 その隙に後ろから一人がナイフを振って斬りかかるが、男は先ほどダウンさせた一人の死体を台に側転してかわすと、跳躍しながら一回転しての右足蹴りを叩き込んで吹っ飛ばした!

 

 

 男は残り数体を一掃しようと、バイクのハンドルグリップのような形状をしている拳銃型のツールを取り出す。

 

 

 《ガン》

 

 

 “ズキューン ズキューン…”

 

 

 “スガガガガーン”

 

 

 野太い音声コールと共に拳銃型のツールから連射された弾丸により、ショッカー戦闘員の残党は瞬く間に全滅した。

 

 

 ショッカー戦闘員の残党を一掃した男は、ツールを懐にしまう。

 

 

 ???「あのサボテン人間(サボテグロン)の残りカスか………つまらないな………………

 

 まあいい。いずれ大物の敵を倒せば、俺も認められる日が来るはずだ………………。」

 

 

 男はそう言うと、色は黒と紫で構成され、フェアリングには髑髏のモジュールが浮かび、黒をベースに紫の炎が燃え上がる毒々しいデザインのバイクにまたがる。

 

 そしてそのバイクを駆って何処かへと去って行った………。

 

 

 彼は一体何者であり、何処へ向かい、何を求めているのであろうか………………?

 

 

 それはまだ、誰も知らない。

 

 

 To Be Continued………

 

 

 (ED:Enter Enter MISSION!)

 

 

 〈次回予告〉

 

 

 (予告ナレーション:千葉丈司)

 

 (予告BGM:ウルトラマンⅩ(インストルメンタル) サビ)

 

 

 宇宙工作員ケリスの手によって、新兵器の実験台にされそうになるカメさんチーム。

 

 俺の剣の流派でさえ、そのスピード攻撃を見切ることが出来ない!

 

 

 だがそこへ、とてつもなく速い“あの赤い戦士”が現れた!

 

 

 次回、ヒーローズ&パンツァー、『バスター 駆ける時』




 いかがでしたか?


 今回は皆が志を大きく持ち、一致団結することがテーマでした。


 また、バトルとアクションを重視して書いたがために、沙織たち戦車女子たちのアクションシーンも、それぞれのキャラや個性などを考えてそれらしい動きで書いてみました。


 まだ何者かは分かりませんが、今回明かされたマドカたちの弟と妹もいつか出す予定です。


 シンケンレッドの武器コンボについてですが、今回は男女に分けてやりましたが、もちろん混合も可能です。

 いつかまたやるつもりなのでそこら辺もお楽しみに(笑)


 また、今回でマドカとみほにフラグが立ったかどうかは、あなた達の感じ次第です(笑)


 あと、やっぱり会話に歴史的用語を使うカバさんチームは少し扱いが難しいです(笑)


 最後に、次回予告でも分かるように、次回は新たなヒーローが登場しますのでお楽しみに!

 また、宇宙工作員ケリスは私の考えた新しい宇宙工作員です(笑)


 感想・指摘・アドバイス等をお待ちしています。





 また、今回隠れていたサブタイトルは、『光をつかめ!』(ウルトラマンガイア第1話)です。

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