無彩限のファントム・ワールド 二つの能力を持つ晴彦   作:ザルバ

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やっと出ましたね、OVA。
アニメ版だと最後のアレってのはちょっと・・・・・
でもこっちはどんでん返しなんでご期待を。
それとさっきfacebook見て驚いたのがあの難易度消すとの設定見直し。
やっぱ経営側の誰かかユーザーの相次ぐ願望がかなったんですかね?12の試練と影の国コンビをやってみて「あ、これ無理だわ。チートスペックにスキル無限補正効きすぎ」って思いました。
それでは最新作をどうぞ。


OVA 水玉の奇跡

 エニグマの一件から時間は経ち、晴彦たちホセア学院クラブ一同は送迎バスに乗って海辺の旅館へと向かっていた。

 照り付ける太陽が草木を活性化させ、そしてアスファルトを熱していた。

「いやー、合宿かー!どんなとこなんだろう!」

「もー、翔介うるさいよ。」

「いいじゃんかよー。少しくらい浮かれてもさー。」

 相変わらずテンションが高い翔介をルルが注意する。

「まあ、可愛い水玉ですね。」

「はい。この夏の流行りなんです。初等部のお友達もみんな水玉で。」

「へー。今年は水玉なんですね。」

 久瑠美はアリスとファッションの話をしていた。

 久瑠美の言う通り小糸に玲奈、舞も水玉が入った服を着ていた。

「楽しみですね、舞お姉様。」

「うん、そうだね。海の側の旅館なんて最高だよね。ずっとファントム退治で忙しかったから夏休みくらい遊びたい。」

 玲奈の言葉に舞はそう答えると後ろに座っている小糸の方を振り向いた。

「・・・て、小糸。アンタさっきからお菓子食べすぎじゃない?」

 小糸の膝の上には大量のお菓子の空箱及び空袋が乗せられていた。

「食べる?」

「いや、食べたいから話しかけたんじゃなく・・・・」

 小糸は舞の口にスティック状のお菓子を与える。最初と会った頃とは打って変わって、みんなと協調する小糸の変化に舞は微笑んだ。

 その頃晴彦は外を見ながら黄昏ていた。

(そーいや、アーチャーとは釣りで海に行ったっけ。・・・・・・・・・・・・・すごくあの時性格変わってけど。)

 晴彦はふとアーチャーと過ごした日々を思い出した。

 昔アーチャーと釣りに行ったときはフル装備の姿を目にした。そしてクーラーボックスいっぱいの魚を釣ったのは今でも思い出せるほどの光景である。

「どうしたの晴彦?」

 ルルが晴彦に話しかける。

「どうしたの?黄昏ちゃって。」

「昔アーチャーと一緒に釣りに行ったのを思い出したんだよ。」

「ええ。そういやお前ん家から魚貰ったっけな。」

 翔介が晴彦の話を聞いて思い出す。

「おいおい、そんなこと言ってんじゃねぇよ旦那。それでも高校生男士か?」

 翔介とよくチームを組んでいる男子が晴彦に話しかけてくると翔介が便乗する。

「へへ、その通りだぜ晴彦。夏、海、太陽とくれば?」

「・・・・・・・・・ジョーズ?」

「いや、ちげぇから。確かに海と夏と太陽のイメージとマッチしてるけど。」

 翔介はそういうとビーチエンジェルズの方を向く。

「ねぇ、どんな水着持って来た?」

「わたくしはですね――――」

 オレンジの髪の女子が黒髪の女子に話しかける。

「あ、そっちか。」

「ふふ、やっと気づいたか、馬鹿め。」

「俺たちの夏なんだぜ、晴彦。」

 そんな話をしているとビーチエンジェルズの金髪の女性が爆弾発言をする。

「私、今年は面積が少なめなのにしたわ。」

「まぁ、地球にやさしいですわね。」

 地球にやさしいかはともかく、男性にはすごい刺激材料である。

「舞お姉様はどんな水着なんですか?」

「いやー、中々サイズなくてね。晴彦に投影してもらったんだけど。」

 その瞬間、女子が男子に気付かれないほどに反応した。

「晴彦・・・・・・・・・・・俺はお前が羨ましい!」

「なんでだ?」

「要するにお前は舞先輩の水着を事前に知ってるんだろ!抜け駆けはズルいじゃねぇか!」

「あのな、雑に作ったら大変なことになると思って素材の構成とかは細心の注意を払ったんだぞ。俺の投影は剣とかは短時間で作れてもそれ以外は結構時間かかるからな。」

「待て。てことは一日お泊りって形か?舞先輩の家に?」

「?逆だけど・・・・・・・・・」

「更に羨ましい!」

 翔介がうるさくするので晴彦はおにぎりを一つ取り出すと翔介の口に無理矢理詰め込んだ。

「これで少しは静かになるな。」

 晴彦はそう言うと再び外を見た。その時翔介が上手く呼吸が出来なくて窒息しかけたのは余談である。

 ちなみに舞は女子たちから少しばかり質問攻めに遭った。

 

 送迎バスが旅館の駐車場に到着するとクラブ一同は荷物を降ろしていた。いち早く荷物を降ろした晴彦たちは旅館を見た。

「まぁ・・・・」

「随分風情のあるところね。」

 玲奈と舞は旅館を見た感想を述べる。その時晴彦はあることに気付いた。

(そういやさっき、海が見えたけど浜に人はいなかったな。それに旅館からの気配も少ないし・・・・・・どういうことだ?)

 晴彦はそう思いながら旅館の中に入る。

「お邪魔します。」

 千客万来が掛かれた所がある旅館にもかかわらず、他の客の姿が見当たらなかった。

「あれ?すごく静かだね。」

「確かに・・・」

 ルルの言葉に晴彦は相槌を打つ。

「誰もいない。」

 小糸の言葉に晴彦は顎に手を当て考える。

 晴彦たちは少し旅館の中を散策するが誰一人として出会うことはなかった。

「広いのはわかったんだけど・・・・・・・・」

「なんだか閑散としていますね。」

 舞の言葉に小糸がそう言うと、ルルが物騒なことを言った。

「こういうところだとお化けが出そうだよね。」

「アタシ怖いです。」

 ルルの言葉に怖がる久瑠美の頭を晴彦が撫でる。

「大丈夫。ファントムと何ら変わりないから。」

 そんな久瑠美の光景に舞、玲奈、小糸の三人は羨ましそうに見ていた。

 そんな晴彦たちに女将が話しかけてきた。

「あら、いらしてたんですね。すみません、お迎えに上がれず。」

「いえ、お気になさらず。」

「何分人手不足でして・・・・・」

 その言葉を聞いた途端、晴彦はまた厄介ごとに巻き込まれる予感がした。

 

 大広間にクラブ一同が集まり、アリスと女将を中心に正座をして話をしていた。

「それでは、改めて今回の夏合宿について皆さんにお伝えしておかなければならないことがあります。実はこの旅館を選んだのには理由があるのです。」

 アリスがそういうと晴彦は「やっぱり。」と口にした。

「お願いします。」

「はい。」

 アリスは女将の方を向いて行った。そして女将口から事情が話された。

「毎年夏になると、夏に大勢のお客様が訪れ手前どもの旅館も一年で一番活気のある季節を迎えます。ところが・・・・・この夏の初め・・・・」

「ファントムが現れたんですか?」

 晴彦が問うと女将は「ええ。」と答えた。

「そのファントムが現れて以来、奇妙な現象が起こる様になってしまい、噂はあっちゅうまに広まり、お客様の足はすっかり途絶えてしまったのです。」

(まあ現代だったらあらぬうわさも回るだろうからな。)

 晴彦は女将の話を聞いてそう思った。

「それで人の気配が無かったんですね。」

 玲奈は納得し、春彦は質問をする。

「あの・・・・・・奇妙な現象って一体どういう・・・・・・」

「そ、それは////////」

 晴彦が問うと女将は顔を赤らめる。

(ちょっと待て、普通逆だろ。顔が青くなるだろ!)

 晴彦は盛大にツッコミを入れたかったがぐっとそこは堪えた。

「皆さまにおすがりするしか他にありません。どうか、よろしくお願いします。」

 女将はそういうと土下座をする。

 

 夜になり男士側の部屋でルルは晴彦と話をしていた。

「うわー、なんかシリアスな話しだったね。」

「いや、それよりあの顔を赤らめた理由に俺は嫌な予感を感じたぞ。」

 ルルの言葉に晴彦はそう答えた。

「てか、なんでルル男士部屋にいるんだよ。」

 翔介がさらっと聞いて来た。

「えー。そんなこと言って翔介。女の子がいて嬉しいんでしょ?」

 ルルがからかうように言う。

「あ?ちびっ子には興味ないよ。」

「うわ、何その言いぐさ。だから翔介モテないんだよ。」

「まあ確かに、お前は欲望をおおらかに出しすぎているから女子たちから冷たい目で見られているな。俺が小さくなった時もエロ本を見せたし。」

 ゴリゴリとライフを削る晴彦。容赦はしない。

「それとこれは舞先輩から聞いたんだが、女子のみんな翔介の嫌らしい目線が嫌いだそうだ。」

 チーンと効果音が付くかのように翔介は沈んだ。

「あれ?俺なんかマズった?」

「気にしなくていいと思うよ。」

 ルルがそういうと晴彦は「そうか。」と言った。

 

 その頃女子の部屋はというと・・・・

「てっきりバカンスかと思ったんだけど。ファントム退治か・・・・」

「折角の夏休みですのに、残念ですね。」

「でもさ。」

 舞はアリスがあの時言った言葉を思い出した。

 

「その代わり、ファントムをしりぞけた暁には宿泊費も食費もタダになります。新鮮なお魚も食べ放題!」

 特定の誰かを狙ったかのように言うアリス。その言葉に玲奈が喰い付いた。

(食べ放題!)

「手作りスイーツも食べ放題!」

(手作りスイーツ!)

「温泉ではクマさんが待ってます!」

(クマさん!)

 そんなアリスを見て晴彦は思った。

(絶対狙ってるな、この人。あくどい・・・・・)

 

「温泉!」

「食べ放題!」

「手作りスイーツ!」

「クマさん!」

 すっかりアリスの策略にハマってしまった女子一同である。

「こうなったらさっさとファントムを退治して夏を楽しむわよ!全部タダなんだし!」

「夏の海に平和を取り戻すのです!」

 欲望のために動いている女子たち。そしてそれは男士も例外ではなかった。

「ファントムに、俺たちの夏を邪魔させてたまるか!」

「よーし、よく言った!おい、晴彦。早速買い出しついでに海まで下見に行こうぜ。」

 ここにあの社長がいたらこう言っているであろう。「その欲望、すばぁらぁすぃい!」

 

 夕焼けに染まりかけている空を鷹が声を上げながら飛ぶ。その下では晴彦と翔介がファントムが出る浜辺に来ていた。

「平和な海だな。」

「今いないってことは・・・・・・・・・・人がいることが条件なのか?そしてなぜか嫌な予感がするのは俺だけであろうか。」

 晴彦がそう口にしていると同じように買い出しに行っていた舞と玲奈に出会った。

「晴彦。」

「お二人共、買い出しですか?」

「ああ。ついでに偵察に。」

「でも平和そのものでさ。」

 翔介がそう言うと「たしかにそうですね。」と玲奈は言った。

「ひょっとして、俺たちが来たのを知って逃げ出したのか?」

「お前程度の強さだったら逃げ出す前に撃退だろ。それか人が来なくなったから別の場所に移動したのか。」

 晴彦がそういうとふと舞が「寂しかったのかな?」と口にした。

「先輩・・・・」

 海を見つめる舞の目は、少し寂しそうであった。

「うし、晴彦!ファントムももういないみたいだし、海を楽しもうぜ!」

「勝手にそう判断するな。ま、明日は明日楽しんだらいいと思うけど。」

「そうね。今日はもう日が暮れちゃうから、今日は戻って思いっきり楽しみましょ!」

 元気な顔で舞がそういうと晴彦は微笑み、「はい。」と言った。

「じゃあ今日はみんなでゲームをしませんか?」

「じゃあ卓球で勝負よ!」

「いいでしょう。二刀流使いの腕を見せましょう。」

「温泉入った後合流な!」

「いいわねー。」

 そんな晴彦たちを海からファントムが見ていた。

 

 夜、クマの形をした彫刻から湯が出ている温泉で久瑠美はアルブレヒトを頭に乗せ、目を輝かせながら見ていた。舞と玲奈は温泉に浸かりながら雑談、ビーチエンジェルズは背中を洗いっこ、小糸はのぼせていた。

 そして風呂から上がれば舞と小糸ペアが晴彦一人を相手に苦戦をしていた。卓球で動く度に浴衣が乱れ、舞の胸が見えそうなのに翔介が興奮して伸ばされたのは余談である。

 そして少し遅れてビーチエンジェルズの金髪と黒髪の女性はコーヒー牛乳、オレンジの髪の女性はフルーツジュースを風呂上がりに飲んでいた。

 そしてゲームセンターでは不器用な翔介が全てのゲームで惨敗していた。

 部屋に戻れば女子は枕合戦を行った。

 ようやく静まった頃に舞は一人スマホの画面で今日の写真を見ていた。

 そんな時ふと玲奈の声が聞こえてきた。

「もう食べられないでしゅ・・・・・・」

 玲奈は寝言を言っていた。玲奈が食べられない量とはどのくらいなのかは・・・・・・・・・・・予想不可能である。

 そんな光景を見て舞は微笑み、そして外の空気を吸いに外へと足を運んだ。

 旅館で月明かりに照らされているところに舞が来ると一人縁側でサイダーを飲んでいる晴彦の姿があった。

「晴彦?」

「っ!先輩?」

 舞は晴彦に声を掛けと、晴彦の隣に近づく。

「どうしたんですか?」

「なんだか眠れなくて。」

「俺もです。翔介のイビキに対して耳栓を投影しても効果が無くて。」

 そんな話を聞くと舞は笑う。

「いつも一人で寝ているから眠れないんです。」

「私も。一人暮らしが長かったから、それが当たり前で、特に寂しいなんて思わなかった。むしろ一人の方が楽だったんだって思ってたんだけど・・・・」

 舞はこれまでのことを思い出す。

 晴彦が投影を使った日のこと、玲奈と一緒にファントム退治をしたこと、小糸とぶつかったこと、演劇部として出たこと。エニグマのこと。

「楽しいこと、辛いこと、今までたくさんあったけど・・・何だろう?仲間ってんも悪くないなって思って。そう思ったんだ。」

 その時晴彦は浜辺でのあの言葉の意味がやっと分かった。舞は今までチームを組んでもかみ合わず、すぐに離れてしまう人が多かった。ここまで長く続いたのは、晴彦たちが初めてだったのだ。

「そっか・・・・・・・・確かにそうですね。俺も舞先輩たちとコンビ組めて嬉しいですし。」

「////////」

 晴彦の言葉に舞は顔を赤くする。こっそりと舞は手を近づけ、触れようとするが・・・・

「舞お姉様!」

「っ!?」

 突然の玲奈の声に驚き舞はびっくりする。

「こんなところにいたの。」

 玲奈と小糸が姿を現した。

「どうして二人とここに?」

 舞が問うと小糸が答えた。

「目が覚めたらあなたの姿が無かったのよ。」

「ゴメン、夜空が綺麗だったから。」

「そうですね。」

 舞がそういうと玲奈が月を見ながらそう言った。

「こんなこともあろうかと。」

 小糸はどこからかお月見団子を取り出した。

「あっ!お団子!」

「もう、そんなのどこから出してきたのよ?」

 玲奈は喜び、舞は呆れる。

 四人で月を見ながら団子を食べた。そして晴彦は無意識にこんなことを口にした。

「本当に、月が綺麗ですね。」

『/////////』

 夏目漱石の言葉を無意識に言った晴彦の言葉に耳まで顔が赤くなった舞たちであった。

 

 翌日、男士達(晴彦以外)は今か今かと女子たちを待っていた。

そして浜に水着姿のクラブ女子陣が姿を現した。その光景を見て男士達は興奮する。

「さ、泳ぐわよ。」

「少し恥ずかしいですね。」

 泳ぐことに張り切る舞に対し玲奈は少し恥ずかしがっていた。

「海だ!」

「ヘッドホン大丈夫なの?」

「防水。」

 海に興奮する久瑠美。ヘッドホンのことを気にする小糸にルルが尋ねる。

「うわー、ひろーい。」

「綺麗な海。」

「素敵ですね。」

 ビーチエンジェルズも感想を述べ、他の女子陣も海に入ることを楽しみにしていた。

「夏だ・・・・・俺たちの夏が来たんだ!」

 翔介を中心に興奮する男士。そんな中晴彦はいつでも戦えるようにと水鉄砲を投影した。

 そして翔介たち同様、海に潜んでいたファントムも女子の水着姿に興奮し、その姿を現した。ファントムが姿を現したことに一同驚き、声を上げる。

「え、嘘!ファントム!」

「でか!」

 舞とルルはファントムの姿を見て驚く。そしてファントムの頭の口から謎の気体が噴出された。

「ちょっと、なにこれ!」

「くそ・・・・・これは流石に防御できない。みんな大丈夫か!」

 晴彦が安否を確認しようと歩き出すと舞とぶつかった。すると気体が晴れ、晴彦が目にしたのは水着を隠すように水色の隠れがかかっている舞の姿があった。ファントムもファッションに敏感なのか水玉模様を作り出していた。晴彦の方も水着が隠され、裸のように見えていた。

「「ええ―――――――!」」

 晴彦と舞は声を上げる。舞は隠すように手をやるが水色の物は消えない。

「ちょっと何よこれ!どうなってんのよ!は、晴彦!こ、こっち見ないでよ!」

「わかってます/////////」

 流石の晴彦も赤面していた。

「大丈夫ですか?いきなりすごい霧が発生しましたけど。」

 二人を心配して玲奈と小糸が近づいて来た。晴彦は更に顔を赤くし、湯気を出す。

 さすがの事態にパニックになる一同。その光景を少し離れたところから日傘を差しながらアリスと女将が見ていた。

「こういうことでしたか。」

「はい。」

「おっしゃっていた意味がやっと分かりました。海岸に海坊主ファントムが現れ、人々お目に奇妙な錯覚を起こして喜んでいると。どうやら悪戯をして喜ぶ愉快犯応のようですね。」

「すべてが水玉になってしまうのです。こんな風恐ろしいことが起こるなんて・・・・・」

 そんな時ふとアリスがあることに気付いた。

「あの、こんなことになるのが分かっていながらなんでビキニを?」

「それは・・・・・・・・・・・夏ですから。」

「はぁ・・・・・」

 女将の言葉に呆れるアリス。理由になってはいなかった。

 

「ホントに裸になっているわけではないのに!」

「なんか落ち着かないよ!」

「こんなの生まれて初めてです!」

 ビーチエンジェルズも恥ずかしかった。戦いのときのあの姿はどうなんであろうかとツッコミを入れたい。

「すげー!裸に見える!」

「面白ーい!」

 翔介は腰を振り、ルルは面白がっていた。

「お前たちもな。」

 晴彦は冷静にツッコミを入れた。

「もう・・・・これじゃあ戦えないじゃない!晴彦、その水鉄砲なんなの!」

「あ、忘れてました。」

 晴彦は水鉄砲を海坊主ファントムに狙いを定める。

「シュート!」

 魔力がたっぷり詰まった水鉄砲が放たれる。水はファントムに直撃したかと思われたが霧のように消えた。

「ダメか。霧が吹くだけあって身体も霧か。」

 晴彦は冷静に分析し、辺りを見渡す。すると上から気配を感じた。

「上か。」

「燃やす!」

 小糸が声で海坊主ファントムを燃やそうとするがからかう様に避ける。

「この!」

「からかいやがって!」

 翔介とチームを組んでいる二人が海坊主ファントムへ向かう。が、翔介同様噛ませ犬であるため海坊主の水であっけなく返り討ちに会う。

「お前らー!」

「噛ませ犬だな、あいつらも。」

 晴彦はそう言いながらエクスカリバーと簡易的鞘を投影する。

「いっちょやるか。」

 晴彦はエクスカリバーをブースター代わりに海坊主ファントムに向かい接近しながら水鉄砲を放ち足を止めると至近距離でエクスカリバーを水鉄砲に連結する。

「陽光煌く勝利の剣(エクスカリバー・ヴィヴィアン)!」

 最大出力で水を放つ。あまりの水圧に大きな虹を描いた。

「あれ?心なしか薄くなってる?」

 水着を隠していた水玉が消えることにルルが気付いた。

「舞お姉様。」

「うん!これなら戦える!」

 冷静になり、戦闘再開かと思われた時であった。海坊主ファントムが次の手を出す。

 海坊主ファントムは頭の口から霧を発生させる。

「今度はなんだ?」

「さっきよりすごい!」

「またこれ!」

 晴彦、ルル、舞の順に声を上げる。

 霧が晴れるとなんだか嫌な予感がする晴彦。

「何故だ・・・・・・・・・・さっきより嫌な予感がするのは。」

 晴彦がそう口にすると誰かが近づいて来た。晴彦は恐る恐るその方を振り向く。

「おう。なんだか恥ずかしいな。」

 その正体は翔介であった。

「よかった。男性で。」

 晴彦は安心する。が、安心も束の間であった。

「晴彦、そこにいるの?もうまたこの煙。今度は何よ?」

 舞は今の自分の姿に気付き、声を上げる。その光景にエロ男士は「すげー!」と声を上げ喜ぶ。

「な、なんですかこれ!」

「パッケージでも取れない奴だー!」

 はずかしがる玲奈にルルが言った。

「裸ヘッドホン・・・・・・・・・・マニアック!」

「は、恥ずかしい//////////」

 ファントムの攻撃に加え男子の言葉で顔を赤くする小糸。

「さっきよりひどくなってるし。」

「もう最低!」

 さすがに男士の言葉となぜか見せたくないと思う心が働き、晴彦はカリバーンを投影する。

「幸いにも男士が固まっているのが救いだった。許せ、みんな。」

『へ?』

 晴彦の言葉に男士一同間抜けな声を上げる。

「選定の剣よ、邪悪を薙ぎ払え。勝利の剣(カリバーン)!」

 カリバーンの剣先から光が放たれ、そして翔介の股間に直撃する。

「ちょ!まっ!」

 翔介の言葉虚しく股間を中心に大爆発が発生する。

『ぎゃ―――――――――――――――!』

 翔介を先頭に吹っ飛ばされる男士一同。女性陣はとりあえず安心した。

「とりあえず・・・・・・・・・海坊主。」

「っ!?」

 いつもより殺気がこもっている晴彦の声に海坊主ファントムもビクッと反応した。

「少し・・・・・・・・・・・・お灸を添えてやろう。」

 晴彦はこれまでにない怒りの笑みを浮かべた。

 晴彦はアーチャーの服を投影する。

「――――――――――I am the bone of my sword.

(体は剣で出来ている)

Steel is my body, and fire is my blood.

(血潮は鉄で、心は硝子)

I have created over a thousand blades.

(幾たびの戦場を越えて不敗)

Unknown to Death.

(ただ一度の敗走はなく、)

Nor known to Life.

(ただ一度の勝利もなし)

Have withstood pain to create many weapons.

(彼は常に一人、剣の丘で鉄を打つ)

Yet those hands will never hold anything.

(ならば我が生涯に意味はいらず)

So as I play, UNLIMITED BLADE WORKS.

(この体は、無限の剣で出来ていた)      」

 晴彦から魔力が発せられ、固有結界を形成する。

 舞たち以外のクラブ一同は始めている光景に驚かされた。そして海坊主ファントムも突然のことに驚かされた。

「さて・・・・・・・・・・・海坊主。ここまでやってくれたんだ。覚悟はできているな?言っておくが逃げ場はない。」

 晴彦が手を上げると赤原に刺さっていた武器が全て浮かび上がり、海坊主ファントムに狙いを定める。

「さあ・・・・・・・・・・・覚悟してもらおうか。」

 晴彦が手を振り下ろすと一斉に剣が海坊主ファントムへと向かって行った。一瞬、断末魔の叫びが聞こえて気がしたが晴彦の固有結界の剣の爆発音で掻き消された。

 

 固有結界を解き、晴彦は海坊主ファントムを封印する。

「やれやれ、ようやく終わった。」

『ヤッター!』

 晴彦の言葉に女子一同喜ぶ。男子はまだ屍であった。

「終わった。」

「よかったねアルブレヒト!」

「・・・・・・・・かっこいい///////」

「でも改めて晴彦君の身体・・・・・・・・・・すごいです。」

 舞と久瑠美は喜び、小糸は感想を述べ、鍛え上げられた刀身のような体している晴彦の身体を見て玲奈は顔を赤くする。

 小糸がそういうと女子一同晴彦の身体を見て顔を赤くする。

 そんな時女将がお礼を言いに来た。

「みなさん、ありがとうございました。」

「これで一件落着です。みんなで海を楽しみましょう!」

 アリスの言葉で一同喜びの声を上げる。だが晴彦はなぜか動こうとはしなかった。

「晴彦?」

 舞が先に気付き晴彦の前に立ち顔を覗き込む。

 すると突然前に倒れてきた。

「ちょ、ちょっと!」

 舞は慌てて抱きしめる形で受け止める。

「どうしたのよ晴彦!」

「すいません・・・・・・・・・・ちょっとやりすぎまし・・・・・・・・・」

 更に舞に体重をかける形で晴彦は舞の身を預ける。

「ちょ、ちょっと待ってよ!意味が分かん・・・・・」

 舞は言い掛けたが、そこで止めた。よく感じてみれば、少し体が熱く感じれた。

「晴彦、大丈夫?ねえ晴彦!」

 

「ん・・・・・・・・・・・・」

 晴彦が次に目を覚ましたのは夜であった。

「あれ・・・・・・・なんで俺ここに・・・・・・・・」

 晴彦は上半身を起こした。すると襖が開き、舞、玲奈、小糸が入ってきた。

「あ、晴彦!」

「起きたんですね!」

「よかった。」

 晴彦が目を覚ましたことに三人は喜んだ。

「皆・・・・・・・・・俺一体・・・・・・・・・あ!」

 晴彦は無限の剣製を使った時やりすぎたことを思い出した。

「すいません、ご迷惑かけて。」

「全くよ。まあ、夕方だったから明日もあるし大丈夫なんだけど。」

 晴彦が謝ると舞がそう口にした。

「でもありがとうございます、晴彦君。」

「そうね。私たちじゃどうしようもできなかったわ。」

 玲奈と小糸が感謝を述べる。そんな時ふと舞が気付いた。

「でもなんで翔介たちを吹っ飛ばしたの?」

「えっと・・・・・・・・・・なんというか・・・・・・・・・・・見せたくないって、思ったんです。」

『っ!?//////////////』

 晴彦のその言葉を聞くと舞たちは顔を赤くした。

「どうかしましたか?」

「晴彦・・・・・・・・・もう少し言葉考えたらいいわよ。特に昨日の夜なんかを思い出して。」

「へ?」

 舞の言葉に晴彦は間抜けな声を出す。

「昨日の言葉・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。」

 晴彦は無意識に言った言葉を思い出した。

「でも今の晴彦くんなら、抵抗できませんよね?」

「そうね。いい機会だからこの際はっきりしてもらおうかしら。」

「それもそうね。」

 玲奈の提案に小糸と舞は賛同する。その時晴彦はこれまでにない身の危険を感じた。

(あれ~?なんだか嫌な予感がする。でも魔力使いすぎてまともに動けないから・・・・・・・・逃げ場がない!こうなったらスケッチブックからマルコシアスを・・・・・・・・・・・て、スケッチブックが今なかった!)

 まさにDIEピンチの晴彦。そんな晴彦に構わず舞たちは少し旨を強調するように晴彦に詰め寄る。

「ねえ、晴彦。彼女にするなら誰//////////」

「へ?」

 突然の舞の言葉に晴彦の頭はフリーズする。

「わかんなかった?彼女にするなら誰?」

「え、えっと・・・・・・・・ちょっと理解できないんですけど・・・・・・・・・それってつまり・・・・・・・・・」

「ええ。全員好きって事よ。」

 晴彦はこれまでにない衝撃を受けた。

「ちょ、ちょっと落ち着きましょうか皆さん!てかなんでそんな・・・・・」

「ことを聞くかですか?今の晴彦くんだったら魔力が枯渇しているから肉体強化できないですよね?」

「この際動けないからはっきりさせようと思うの。だから・・・・・」

 三人は胸元を強調させるように浴衣ははだけさせる。

「ちょ、ちょっと三人とも!落ち着いて!落ちつい・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ――――――――――――――――――――――――――――――――っ!?」

 拝啓、異世界にいるアーチャー様。

 今日、俺は三人の女性と付き合うことと、大人になりました。

 

 裏話

 晴彦が寝ている頃、クラブの一同は夕食を取っていた。

「でも今日の晴彦君すごかったよね!」

「うん!あの不思議な空間もすごかったよね!」

「あー、アタシ改めて晴彦君に惚れちゃったよ!」

「うんうん!」

 そんな会話が舞たちに聞こえてきた。因みに翔介は羨ましそうに涙を流す。股間を抑えて。

「ねえ、ちょっとやばくない?」

「はい、舞お姉様。」

「早急に距離を詰めておかないと取られるわね。」

 そんな話をしていると女将が話しかけてくる。

「あらあら、恋する乙女は可愛いわね。うふふ。」

 女将のその言葉を聞くと舞たちは耳まで顔が赤くなった。

「今日活躍したあの子、少しここから離れてるところで寝てるのよ。貴方たちが寝ているところよりも遠いわ。少し物音を立てても誰も気づかないでしょうね。疲れている分、抵抗も出きないでしょうし。」

 わざとらしく言う女将の言葉に徐々に乗せられる舞たち。

「まぁ、そこでなにがあってもその頃私も寝ているでしょうから責任は持てないわね。それじゃあ仕事があるから失礼するわね。」

 そう言って女将はその場を去って行った。

「さーて、どうなるのかしら?うふふ、楽しみ。」

 本人はキューピッドのつもりだろうが、どちらかと言えば悪魔に近いものである。

 

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