INNOCENT Brave Heart   作:零円

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01-04 1vs2

「し、疾風! 迅雷! 電光石火とも思える瞬く間の攻防! 正直目が追いつかなかったんですけど、何があったのかな!? レヴィ!?」

 

「うーん……あの高坂兄妹があんなに速く動けたのかは分からないけど、カズヤの方は分かるよ。

 

 やったことは単純。二撃ともガードした上で、浩樹君の攻撃に乗って後ろに下がったの。まあ、本人が思っていた以上に威力があったから、あんなに吹き飛ばされたけどね」

 

「でも、二撃目に関しては、シールドを張った様子は無かったけど?」

 

「張ってたよ。浩樹君の拳と同サイズの小さいやつを、顔の前に」

 

「……え?」

 

「さっすがカズヤ! ダークマテリアルズが誇る絶対防御! シュテルんの防御のお師匠さま! いけー!」

 

「いや、解説なんだから贔屓しないでっていうか、張ってたの? うそー……」

 

 

***

 

 

(意外だな。もうちょっと動揺があるかと思ったんだけど)

 

 開幕二戦目。

 先程の疾風怒濤の展開とは打って変わり、今度はそれなりにハイスペースながらも、まるでチェスか将棋を打っている様な緻密さであった。この場合、敵のキングはカズヤであり、逃げるキングを浩樹と佳奈の連携で追い詰めていく形である。

 とは言え、一気呵成に攻めてくる訳ではなく、自分達の攻め方に対しどういった対応を見せるのかを研究されている感じで、カズヤとしてはあまり面白くない。

 

(猪突猛進になった浩樹君をいなしながらって考えてたんだけどな……。いい具合に冷静だ。佳奈ちゃんの存在もあるだろうけど……なんだろ? なんか負けてることを楽しんでる感じだ)

 

 変な子だなとそんな風に思いながら、カズヤは何度目かのビルの屋上を蹴る。

 先程からカズヤは、上昇と下降、それに飛行と走りを組み合わせながらの回避行動を取っていた。走るのは魔力温存の為。単純移動だけなら魔力を消費しない飛行も、加速し続ければ消費する。カズヤの魔力量は中の上程。それに対して浩樹はかなり多い。自分は佳奈の射撃を避けながらの蛇行移動に対し、浩樹は直線軌道で真っ直ぐ飛んで来るのだ。魔力を必要以上に消費して、直ぐ追いつかれることはなくても一分以内には捕まる、カズヤはそう読んでいた。

 

(逃げに徹していれば当たらない。とはいえ、このペースの攻撃が高坂兄妹の全力とも思えないし、エキシビジョンマッチって言うなら、このまま逃げの一手っていうのも、あれだよな)

 

 なら、本気出される前に、少しばかり攻め手に回ってみることにする。

近くのビルに降り立ち、振り返った。真っ直ぐ追ってくるのは、当然のことながら浩樹。その後方には佳奈。こちらが足を止めたのを見るやいなや、数メートル上空に滞空して、二丁に増やしたキュートジェミニを真っ直ぐ向けてきた。ツーハンドでのあの精密射撃には、カズヤとしても舌を巻く。

 

「はぁああああ!」

 

 カズヤが振り返った直後に、浩樹が一気に加速した。スキルカード無し。技を持ってしての瞬間加速は、一瞬の元、浩樹とカズヤの距離をほぼゼロにした。しかしカズヤに大した驚きはない。一度見たから、冷静に。

 突き出された左手を、右へと躱す。回避自体は折込済みだったのか、浩樹に焦った様子を見受けられなかったカズヤは、右手を人差し指と親指だけを立てた鉄砲のような形にすると、浩樹――ではなく、佳奈の方へと突きつける。

 

Bung(バン)

 

 回避したカズヤを追うように突き出された浩樹の右拳を全力でバックすることで更に躱しながら、作り出した五発の魔力弾を、一息のもとに佳奈の方へと発射した。

 

(これは防がれる)

 

 カズヤがそう考えるが早いか、佳奈はサジッタのカズヤを、全て空中で撃ち落としてみせた。予想通り。

 鉄砲の形にしていた右手を握り拳に変え、再度突撃してきた浩樹へ、大振り気味のテレフォンパンチを放つ。その攻撃を、屈みながら避けることによって、懐へと入ってくる浩樹。予想通り。

 ほぼゼロ距離。浩樹の間合いですら無いこの状況で、浩樹は拳を振るう。相棒足るデバイスに包まれた右拳だ。予想通り。

 

 全てが全て。予想通りだった。

 

「スキルカード発動」

 

 宣言を終えるのと浩樹の拳が空を切るのは同時だった。

 

「アクセルムーブ」

「――ッ! 佳奈! 後ろだ!」

「うぇ!?」

 

 佳奈が慌てて振り返ろうとするも、それより早くカズヤが新たに放った魔力弾十発が、佳奈の背中に直撃し、炸裂する方が早かった。

 

「カフッ」

 

 衝撃に呻き、落下する佳奈。舌打ちする間もなく浩樹が走り、落下を初めた佳奈の体を受け止めた。

 その直後――新たな魔力弾が、高坂兄妹を襲撃し、カズヤが突撃した時よりも多い粉塵が舞い上がるのだった。

 

 

***

 

 

「圧倒! 高坂兄妹チームが押していたと思っていましたが、文字通り一瞬にして攻守が逆転! 瞬く間に制圧して見せました!」

 

「デバイス使ってれば、とどめまで行けたと思うんだけどなー」

 

「そう言われてみると、カズヤ選手はまだデバイスを使っていませんね」

 

「ハンデだと思うよ? スキルカードも幾らか使用制限かけてるんじゃないかな?」

 

「成程」

 

「まあ、元々カズヤの魔力弾の威力なんてたかが知れてるし、その上で制限もかけてるんだから。案外あの二人、まだ戦えるんじゃないかな?」

 

 

***

 

 

 散々言ってるなぁと、カズヤが苦笑するその下方。

 

「おい、佳奈。大丈夫か?」

「う、うん。何とか。浩樹は?」

「直撃の瞬間にビルの屋上ぶっ壊して落下した。何発か食らったが、まあ、セイクリッドの防御力舐めるなってところだな」

「そっか。良かった」

 

 土埃を払いながら、浩樹が立ち上がり、後を追って佳奈も立つ。

 スクリーンを表示し、新たに作り出した弾丸をキュートジェミニへ装填しながら、「さて」と佳奈。

 

「さて、どうしようか? 残り3:30。無事とは言え、ダメージは受けたし、下手したら、次のアタックで私達二人共、もあり得るけど」

「参謀にお任せで」

「その参謀の作戦のせいで、この状況なんだよ。浩樹ももっと考えなさい」

「うーん……フリーで行こうぜ?」

 

 言った直後、残念な子を見る目を向けられ、浩樹は即土下座を決める。この後、間違いなく攻撃力ならぬ口撃力高めの妹様の罵倒が届くのだろうと、浩樹が内心ビクビクするが、体感時間で十秒ほど待っても、罵倒は届かなかった。

 恐る恐る頭を上げると、顎に手を当てている佳奈。考え事をしていると、見れば分かった。

 

「佳奈さん?」

「……有りかも」

「はい?」

「だから、フリーで行こうぜ、よ」

「なんのこってっしゃろ?」

「下手に連携しても読まれるってことは分かった。さっきのだって、私を打ち落とせば浩樹がサポートに来るって分かったから、容赦無く二撃目を叩き込んできたと思うし」

「つまり?」

「私の作戦に浩樹が合わせるんじゃなくて、浩樹の動きに私が合わせる。ようは作戦無し」

 

 言い切る佳奈に、浩樹はしばし無言。しかし、徐々に佳奈の発言を理解したのだろう。口角を釣り上げて、凶暴な笑みを浮かべた。

 

「いいんだな?」

「その代わり。ちゃーんとやってよね?」

「任せろ」

 

 グルグルと右腕を回しながら、浩樹は屋上まで吹き抜けとなった天井を見上げる。

 

「残り時間いっぱいに使って、ここ数年の鬱憤。全部あの人にぶつけるといいよ」

「ああ」

 

 

***

 

 

 ぷくっと頬を膨らませながら、アリサはT&Hへと向かっていた。一緒に向かうのは、親友であるなのはとすずか。それに知り合ったばかりだが、やはり友人のフェイト・テスタロッサの三名。

 本当は此処にもう二人ほど追加される筈なのだが、何の因果かその二人。高坂佳奈と浩樹の兄妹は、四人を置いて先に行ってしまっていた。まあ、なんとなく置いていかれた理由の想像はついているのだが、やはりアリサとしては面白くない。特に佳奈に関しては、常日頃から何かもう、熱烈な好意を一方的に向けられているだけに、なんか浩樹に取られた気分なのだ。あの二人は兄妹なのに。

 

「佳奈ちゃん居なくて寂しい?」

「寂しいとか寂しくないとかじゃなくて……。なんというか物足りな――って、何言わせるのよすずか!」

「寂しいかどうか、聞いただけだよ?」

「う、うぅ……」

 

 明らかに自爆である。唸るしかできないアリサを前に、すずかはクスクスと笑う。

 

「アリサちゃん、なんだかんだで佳奈ちゃんのこと大好きだもんね」

「……佳奈だけじゃなくて、すずかもなのはも好きよ。友達として」

「佳奈ちゃんは特別だったりしない?」

「しないわよ」

 

 多分、だが。

 

「それよりも、私達を置いていくなんて酷いと思わない?」

「大方、浩樹君が先に行っちゃって、佳奈ちゃんは追いかけた感じじゃないかな?」

「どうせ最後には仲良くおてて繋いでるわよ。あの二人」

「仲良しだもんね。ちょっと羨ましいくらい」

「なら、私達も仲良くおてて繋いでいく?」

「アリサちゃんがいいなら、私はいいよ?」

「……ごめん、勘弁して」

 

 少し考えてみて、恥ずかしくなった。少なくともそういうのは、高坂兄妹なり後ろの二人やるべきだろう。

 そう思い、視線を動かす。すずかの視線も、釣られて動いた。視線の先には、アリサとすずかの視線になど全く気が付かず、二人きりの世界に入っているなのはとフェイトの姿。

 詳しい事情は見ていないから知らないが、聞いているから触りは知っている。あの赤い服の乱入者、ヴィータの襲撃により自分とすずかが落とされ、佳奈が浩樹に抑えられている時、なのはは一人で戦い、一撃与えたものの負けそうになり、そこに颯爽と現れたのがフェイトだったと。

 そりゃまあ、惚れてもおかしくないかなぁ、とは思う。なのはに関して言えば、それこそ産まれてすぐの頃から仲の良かった浩樹といきなり距離が空いてしまい、元々――本人は気がついていないかもしれないが――佳奈はあまりなのはの事を好いていないから、なのはなりに虚無感があったのだろう。いや、あえて言うなら、白馬の王子様願望とでも言うのか。自分より強く、守ってくれる相手に、なのはは飢えていた。幼少時代の話は聞いていたから、なんとなくその気持ちは分かる。

 だからこそ、白羽の矢が立ったのがフェイトなのだろうと、アリサは考える。自分が困っていたところに颯爽と現れて、助けられた。幼い頃、一人家にいたなのはを佳奈よりも優先し続けた浩樹のように。いきなり距離が空いてしまい、守ってくれなくなった浩樹の代わりに。

 

「……」

「……ねぇ、アリサちゃん?」

「なに?」

「あんまり難しく考えなくていいんじゃない?」

「どう言う意味よ?」

「今を楽しめばいいと思うよ? 折角浩樹君とも仲直り出来たんだもん。今から遊びに行くんだし、楽しまなきゃ損だよ」

 

 すずかの言葉に、アリサは少し唇を尖らせる。もしかしたら、自分達の関係の崩壊にも繋がってしまうかもしれないのに。

 ……ただ、まあ。

 

「それもそうね」

 

 納得する。変わってしまうかもしれないが、何も今すぐ変わってしまうわけでもない。

 

「やめやめ! 今から遊びに行くのに、なんでこんなにグダグダ考えないといけないのよ!」

「そうそう。それでこそアリサちゃん」

「……なんか馬鹿にされてる気がするわね」

「気のせい、気のせい」

 

 いやでも、うーん?

 首を傾げたアリサの視線の先。漸く見えてきたホビーショップT&H。

 間違いなく居るであろう高坂兄妹をとりあえずとっちめて、それから皆で遊ぼう。

 

 そう思いながらアリサは三人とともにT&Hに入り、エレベーターに乗って五階へ向かう。

 ゆっくりと数十秒掛かって昇った先。開いた扉のその奥で。

 異様なほどの歓声が、アリサ達を襲った。

 

「な、なによ一体!?」

「何かの……イベント?」

「そんなはずないよ。今日は、イベントの話なんて無かったし」

 

 アリサが驚き、すずかが疑問を呈する。そんなすずかの疑問にはフェイトが答えながら、しかしこの歓声が一体何事か。心当たりは全くなく、フェイトもまた、首を傾げる。

 そんな中、恐る恐るといった様子で、「あ、あれ……」と呟きながら、なのはがある一点を指差した。

 その指先の先を追って、アリサとすずか、フェイトの三人の視線が動く。

向かった先はスクリーン。どうやらエキシビジョンマッチのようで、スクリーンの中では絶賛ファイト中だったわけだが、その戦っている三人の内の二人は、あろうことか、アリサとすずかとなのはの知り合いであった。知り合いというか、友人であった。浩樹と佳奈であった。

 

「何やってんのあの二人!?」

「何って、ブレイブデュエル?」

「そんなのは分かってるわよ! なんでエキシビジョンマッチなんてやってるのかって話!」

「それは……さあ?」

 

 首を傾げたなのはにデコピンの一発を決め、事情を知ってそうなフェイトへとアリサは目を向けたが、向けられたフェイトは、驚いた様子でスクリーンを見つめていた。

 

「なんで、あの人が……」

 

 フェイトの呟きは、どう考えても浩樹と佳奈へ向けられたものではなく。だからアリサは、再びスクリーンの方へと向いた。

 高坂兄妹と熱戦を繰り広げる青年。十七歳くらいかと、アリサなりに当たりを付ける。

 彼はその両腕に何も持ってはおらず、浩樹の攻撃を否し、佳奈の攻撃をシールドで防いだり回避しながら、着々と浩樹と佳奈へとダメージを与えていた。

 やってることは特別不思議ではない。昨日フレイムアイズに聞いたブレイブデュエルの基本の内の二つ。『シュート』と『シールド』をミスも魔力ロスほぼゼロ。完璧と言っていいまでに昇華させているのだ。絶対防御を誇りながら、的確に隙をつく。それはある意味、『ディフェンダー』の完成系。

 

「フェイト。誰よ、あの凄いの」

 

 思わず口に出たアリサの疑問に、やはり無意識に口に出た様子で、フェイトは答える。

 

「チーム『ダークマテリアルズ』の一角。『千変の機動要塞』カズヤ・ザ・フォートレス。私がロケテストの時に、終ぞ一度も勝てなかった相手だよ」

 

 そんなフェイトの言葉を聞き、なのはとアリサ、すずかの三人は、より一層スクリーンへと見入るのだった。

 

 

***

 

 

「ハッハァ!」

 

 残り二分半を切ったところで、楽しそうに笑う浩樹が、このバトル何度目かの加速を行った。

試合開始直後は出来なかった筈の、足場のない空中での歩法による瞬間加速。そのさまは、ビデオの早回しどころかコマ送り。文字通り、次の瞬間に詰められた距離を前に、カズヤもまた、楽しそうに笑った。

 

(本気出しちまうじゃねぇか!)

 

 レヴィでもやらない、初心者特有のリスク管理無しの特攻戦術。それがここまで功を制しているのだから、なんというか、笑うしかない。突き出された左拳を弾き、ポッカリと開けたカズヤの上体目掛けて突き出された右拳はシールドで受け止め、そのまま掴む。

 そして攻撃直後の硬直を狙い、待機させておいたシュートバレットを全弾放つ。目ざとく浩樹は反応するも、悲しきかな、ここで出たのはアバターのスペックの差。単純腕力の差である。浩樹が逃げようと腕を引いてもビクともせず、離せコノヤロウという意思を込めて再び放った左拳もカズヤに捕まれる。

 

「浩樹、伏せて!」

「腕掴まれてんだよ!」

 

 ズガガガンと響く発砲音六連発。五発の弾丸が何度目かになるサジッタのシュートバレットの迎撃を行い、残りの一発が浩樹越しにカズヤへと迫る。

 それに気がつく浩樹は腕を掴まれたまま、僅かに体を引いた。勢いをつけて、逆上がりを行う要領でサジッタと自分の体の間を通すようにして、自らの天地を逆転させる。そのまま強引に腕を振り払い、いざ逃げようとしたところで、がっしりと襟元を掴まれた。

そのまま引き落とされ、佳奈の銃弾の射線上へと体を持ってこられる。ダメ押しとばかりに背中を押され――佳奈の放った弾丸が浩樹へ当たり、炸裂設定だったその弾丸は瞬く間に爆発した。

 

「――ッ」

 

 衝撃に息を飲む浩樹へサジッタは容赦無く追い討ちをかける。

弾数十発、直線弾設定、待機時間無し――

 

「Bung!」

 

 射撃。放たれた十発の弾丸が浩樹へと炸裂した。

 爆煙が包み、余り間を置かず浩樹が佳奈の方へと飛んでくる。ちょっと慌てながら、佳奈はそれを受け止め、浩樹越しに爆煙の向こうのカズヤヘ、キュートジェミニを突きつけた。

 

「浩樹、大丈夫?」

「あー……うん。ギリギリ生きてる」

「私が一人で相手するから、休んでてもいいよ?」

「冗談だろ。速攻墜とされるぞ、お前」

「むっ。そんなこと無いですー。いいから休んでて」

 

 グイッと浩樹を押しのけ、佳奈はキュートジェミニを操作。消していたグリップ下部の刃を出現させる。

 気づけば、僅かに手が震えていた。武者震えなのか、恐怖なのか、疲れなのか。いや、案外怒りなのかもと、佳奈は思う。

 不甲斐ない自分。自分の立てた作戦は尽く覆され、挙句浩樹を誤射した、足を引っ張るしか出来ない自分。案外、自分の居ない方が、半身はもっと戦えるのではとすら思えるほどだ。黒と白に塗り分けられたこの二丁のデバイスも、本当は一丁の方がいいのかもしれないし、銃だけの方がいいのかもしれない。

 

「……佳奈?」

「何? 浩樹」

「……いや、なんでもない」

 

 短く答えて、浩樹は佳奈の頭に手を乗せた。

 

「任せた」

 

 理解できずにキョトンとして、それから嬉しそうに佳奈の顔が歪む。

 

「任された」

 

 離れる浩樹を背中で感じ、佳奈は意識を集中する。

 既に爆煙は晴れていて、サジッタが現れていた。真っ直ぐ向けられた視線は、佳奈の一挙一動を逃すまいとしているようで、自然と体が緊張する。

 

「こんなことなら、もうちょっと真面目に武術やってても良かったなー」

 

 ぼそりと言って、佳奈は笑う。浩樹と同じ獰猛な笑みをその顔に浮かべ、佳奈はキュートジェミニをカズヤに向けた。

 

「行きますよ、カズヤさん」

「Come on」

 

 残り1:50。そろそろ大詰めに差し掛かりそうな頃合であった。

 

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