素直に追いかけて ボールを追いかけて   作:スターダイヤモンド

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アイドルの仕事

 

 

 

 

凛「♪リンリンリリン リンリンリリンリン リンリンリリン リ~リ凛ちゃん!…っと」

#恋のダイヤル6700より

 

 

 

《4回の表、μ'sの攻撃は、打順トップに戻って、星空選手。バットをぐるぐる回して、軽快にスキップしながら、打席に向かいます》

 

 

 

凛「行っくにぁ~!!」

 

 

 

《ワンアウト、ランナー3塁1塁、一打同点のチャンス!犠牲フライでも1点という場面》

 

 

 

絵里(…3塁ランナーが、凛だったらね…)

 

 

 

二本松(バッター、脚、速い。ゲッツー、無理。内野、捕ったらバックホーム)パッパッパッ

 

 

 

《キャッチャーの二本松選手が、守備陣に指示を送ります。内野は前進守備。外野も浅め》

 

 

 

凛(野球なら、この場面、スクイズも考えたいところ…。だけどソフトボールは、ピッチャーの手からボールが離れるまでは『離塁』禁止…。かよちんが、どれだけ頑張って走ってくれても、さすがに無理があるにゃ…)

 

 

 

《星空選手、スキップから一転、厳しい表情で左バッターボックスに入ります》

 

 

 

凛「さぁ!思いっきりくるにゃ~!」

 

一条「何を…1年生のクセに生意気にゃ~!」

 

 

 

 

 

 

一同(にゃ~!?)

 

 

 

五木(つられてる)ブフッ

 

二本松「熱くなるな、落ち着け!」

 

一条「!!…あ、あぁ…私としたことが…」

 

 

 

《一条選手、一旦プレートから足を外し、大きく深呼吸をしました。額の汗を拭います。左右を見回して、守備位置を確認。セカンド、ショートは極端な前進守備》

 

 

 

真姫(…あ!?…)

 

 

 

《ロジンに手をやり、ボールをグラブに収めます。ワンアウト、ランナー3塁1塁。風は…今は逆風、向かい風。バッターは俊足の星空選手…ピッチャー、モーションに入る…投げた!投球はボール…》

 

 

 

スタスタスタ…

 

 

 

二本松(!!)

四ノ宮(!!)

六車(!!)

 

 

 

凛(!!)

 

 

 

《あっと1塁ランナー走ってる!キャッチャー2塁に送…球できない…ベースカバーに誰も入っていませんでした…これは西木野選手、冷静。前進守備の隙を衝いた見事なディレイドスチールです》

 

 

 

穂乃果「真姫ちゃん、やるねぇ!」

 

ことり「うん!」

 

海未「でも…」

 

穂乃果「でも…?」

 

絵里「そうとも言えないかも…」

 

 

 

《さぁ、μ's…今度は一打逆転のチャンス…ですが…ソフトボール部キャッチャー、二本松選手、立ち上がりましたね…あぁ、敬遠です、敬遠…》

 

 

 

海未「こうなりますね…」

 

 

 

《ここは1塁が空いたところで、満塁策を取る。会場からは、ブーイングが聞こえます》

 

 

 

凛「にゃ~!凛と勝負にゃ~!!」

 

二本松「またの機会にな…」

 

 

 

《星空選手、結局歩かされました…これでワンアウト、ランナー満塁》

 

 

 

凛「この話の主役は凛じゃなかったのかにゃ?」

 

 

 

《ソフトボール部は、初回にも、5番の東條選手を歩かせての満塁策をとりましたが、その時には6番高坂選手にセンター前タイムリー、7番小泉選手には左中間を破られる2点タイムリーツーベースヒットを打たれ、都合3点を失っています》

 

 

 

にこ(な、なんで、こんな大事な場面でアタシなのよ…)ガクガク

 

ことり「にこちゃん、大丈夫?足、震えてるよ」

 

にこ「だ、大丈夫!…な、訳ないでしょ!いまだかつて、こんな状況に、出くわしたことがないんだから…」

 

ことり「そうだよね…」

 

にこ「緊張するなっていう方が…」

 

穂乃果「らしくないねぇ…」

 

にこ「わからない?ここで恥を更そうものなら、一生立ち直れないくらいのダメージを負うのよ!」

 

ことり「そこまでは、さすがに…」

 

にこ「アイドルとして致命傷…」

 

 

 

ワシワシワシ…

 

ウヒャヒャ…

 

 

 

にこ「ちょ、ちょっと…なに…ウヒャヒャ!…する…の…ウヒャ…よ!!」ハァ…ハァ…

 

希「どうや?少しはリラックス出来たやろ?」

 

にこ「打席行く前に、死んでるとこだったわ!」

 

希「やっぱ、そうでなきゃ。弱気なにこっちなんて…似合わんよ…」

 

にこ「希…」

 

希「ええやん、ダメでも。全力でぶつかっていけば、誰も文句は言わんやろ?」

 

にこ「…」

 

希「アイドルっていうのは、笑顔を見せるのが仕事やない…笑顔にさせるのが仕事…や、なかったっけ?」

 

にこ「…」

 

希「行ってらっしゃい…、打って、走って、にこっちの全力プレーで、全国のファンを笑顔にするんよ」

 

にこ「希…」ウルッ

 

希(コクッ)

 

にこ「…ふん!まだまだ、甘いわね。『全国のファンを…』じゃなくて『全宇宙のファンを…』でしょ」ニヤ

 

希「…そやね…」ニコッ

 

にこ「打ったらイチゴミルクおごりなさいよ!!」

 

 

 

スタスタスタ…

 

 

 

ことり「にこちゃん、バット!」

 

 

 

スタスタスタ…

ガシッ

スタスタスタ…

 

 

 

希(作者もしつこいねぇ)w

 

 

 

 

 

~つづく~

 


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