素直に追いかけて ボールを追いかけて 作:スターダイヤモンド
~グラウンド~
テクテクテク…
キャ~、ミュ~ズヨ‼
ホノカチャ~ン‼
ワイワイ
ガヤガヤ
穂乃果「うひゃ~、結構、人、集まってるね~」
海未「どうやら他校の生徒もいるようですが…」
ことり「ホントにライブみたいになってきたね…」
絵里「それはそうなんだけど…ちょっと私たちのステージみたいで、ソフトボール部が気の毒じゃない?」
希「これじゃ、完全にアウェイやもんね」
テクテクテク…
コウサカサン!
穂乃果「?…あ、ソフトボール部のキャプテンの…」
一条「一条よ」
穂乃果「ごめんなさい、人の名前を覚えるの苦手で」アハハハ…
一条「さすが、今、ノリにノッてるスクールアイドルね。まさか、こんなことをしてくるとは」
希「いや、ウチらも予想外のことなんや。堪忍な」
一条「東條さん…。いや、こっちこそ。最初は練習試合がキャンセルになったから、打撃練習の守備要員くらいのつもりで声掛けたんだけど」
絵里「力になれるか、どうかはわからないけど…でも、私たちも、遊びで来たわけじゃないから」
一条「ふふふ…そのユニフォーム姿を見ればわかるわよ。高坂さんも絢瀬さんも、ありがとう」
穂乃果「一条さん…」
一条「じゃあ、私たちは一塁側だから」
テクテクテク…
花陽「…なんか、絢瀬さんとか、東條さんとか、高坂さんとか…苗字で呼ばれるのって新鮮だね」
希「一条さんは同じ3年やけど、一緒のクラスになったことはないからね」
花陽「そっかぁ、3年生は3クラスあるから、そういうこともあるんだね」
凛「お~い!そろそろ、キャッチボールを始めるにぁ~」
穂乃果「うん、わかった~」
~試合開始~
穂乃果「さぁ、行くよ!」
絵里「待って、今日は凛が監督なんだから、凛からにしない?」
希「そうやね!」
凛「…うん、それじゃ…(スゥ…ハァ…スゥ…)…イチッ!」
にこ「ニッ!」
海未「サン!」
絵里「ヨン!」
希「ゴッ!」
穂乃果「ロク!」
花陽「ナナ!」
ことり「ハチ!」
真姫「キュー!」
凛「μ's、ソフトボール対決、スタート!!」
一同「オーッ!!」
《さぁ、これより、音ノ木坂学院ソフトボール部vsアイドル研究部 スクールアイドルμ'sの試合が始まります!実況は私、ヒデコがμ'sのベンチからお送りします》
絵里(この娘たち、何でも出来るのね…)
《1回の表、先攻はアイドル研究部。トップバッターは『μ'sが誇るスピードスター!星空 凛!』》
にこ「なに?そのフレーズ…」コソッ
花陽「凛ちゃんが考えて、教えたみたい」コソッ
にこ「なら、当然あたしは『宇宙一のアイドル』よね?」
花陽「さ…さぁ?…あ、にこちゃんは、ネクストバッターズサークルに行ってないと」
にこ「あぁ、そうね…じゃ、行ってくるわ」
《星空選手、左バッターボックスに入ります》
一同(あれ?左?)
花陽「凛ちゃん、実は、右投げ左打ちなんです」
絵里「そういえば、凛の打ってるとこ見たことなかったわね」
海未「練習じゃ、コーチングに徹していましたから」
プレイボール!
《さぁ、ピッチャーは一条選手。プレートに足を揃えて…投げました!高め!…外れて、ボール…》
ことり「やっぱり速いね…」
真姫「た、たいしたことないわよ…」
絵里「女子のトップ選手の投球は、160㎞/hくらいの体感速度だそうよ」
穂乃果「速っ!」
絵里「でも、まぁ、一条さんはトップ選手じゃないから…」
花陽(絵里ちゃん、結構酷いことをサラッと言ってる…)アハハハ
《続いて2球目、投げた!》
コン!
テンテンテン…
《あっ!セーフティバント!三塁線…サード 、五木選手取った…が…投げられない!1塁、余裕でセーフ!》
一同「やったぁ~塁に出た!」
穂乃果「凛ちゃん、ナイス!」
五木(…なんて脚なの!事前情報を元に前目で守っていたのに…)
花陽「凛ちゃんは、この俊足を活かす為に、左打ちに転向したんだよ!」
海未「納得です」
にこ「さあ、次はあたしね番ね!」
《先頭バッターが出て、盛り上がるμ's。続くバッターは『必殺 微笑みの仕事人、矢澤 にこ』》
一同(プッ)
絵里(…仕事人って…)
希(…かっこいいやん…)
《さぁ、先頭バッターが出ました。どう攻めるかμ's》
凛(…)パッパッパッ
にこ(2球目までは、待て…か)
一条(…盗塁するつもり?でも、野球と違ってリードは出来ないわよ)
《矢澤選手に対し…1球目…投げた!…ボール!…初球は外し気味。キャッチャーの二本松選手、塁上の星空選手を警戒しています》
にこ(もう1球…)
《続いて2球目、投げ…ランナー走った!2塁送球!タッチは…セーフ!投球はストライク、しかしノーアウトランナー2塁、μ's、いきなりスコアリングポジションにランナーを進めました》
二本松(ホントに速い!…なんでこんな娘が、アイドル研究部なのよ!…まぁ、このランナーを返さなきゃいいだけの話なんだけど。一条、ここは余計なことは考えず、バッター勝負よ)
一条(コクッ)
にこ「さて、次はにこが目立つ番よ」ニコッ
《ノーアウトランナー2塁、カウント1-1、投球3球目…大きく腕を回して…投げた!》
コン!
テンテン…
《あ、またもバント!ピッチャー前に転がる…3塁はムリ、1塁に送ってアウト!送りバント成功!これでワンアウト、ランナー3塁》
テクテクテクテク
海未「にこ、ナイスバントです」
にこ「わかってるわね?お膳立てはしたわよ」
海未「はい…」
テクテクテクテク
花陽「にこちゃん、ナイスバント!」
希「さすが、微笑みの仕事人…」ニマッ
にこ「なにそれ?」
希「てっきり、打ちにいくかと思ったんやけど、送りバントとはね…」
絵里「にこも、変わったわね…推んで自分を犠牲をするなんて」
にこ「別に…普通よ、普通!」
希「照れなくてもいいやん」ムフッ
にこ「て、照れてなんかいないわよ!」
真姫(…)
《さぁ、μ's、クリーンアップを迎えます。3番は『強肩巧打の弓道士、園田 海未』》
穂乃果「弓道士?」
希「弓道と球道を掛けてるんやね」
穂乃果「凛ちゃん、意外と頭いいんだね?」
希「ウチも、凛ちゃんの意外な一面を知ったわ」
《ソフト部バッテリー、どう攻める?》
二本松(確かこの娘は弓道部の…身体能力は高いとのことだけど…)
一条(外は合わせられる確率が高い…内角で勝負か)
《μ'sはチャンス。本家に対して、得点できるか…1球目!内角一杯、ストライク!》
海未(厳しいとこを突いてきましたね…あのコースはストライクですか…)
《初球ストライクのあとの2球目、投げた!ストライク!同じコース、同じ高さ。園田選手、ちょっと手が出ないか?》
海未(…)
《追い込んだソフト部バッテリー。3球勝負でくるか?早いテンポで次の投球…投げた!》
海未(外!?)
カキン!
一条(!!)
二本松(!!)
《打った!一塁線、鋭い当たり!右に切れてファール…)
海未(!!…仕留め損ないましたか…)
一条(やはり反応が鋭い…)
二本松(…やっぱり…)
一条(インハイで勝負!)
《次の投球…投げた!》
ボコッ
《打った!詰まった打球は…ショートの…頭の…上!落ちた、落ちた!詰まりながらもレフト前!3塁ランナー、ホーム…イン!μ's先制!打ったバッターは1塁でストップ。やりました、園田選手、先制のタイムリーヒットです!》
穂乃果「海未ちゃん!ナイスバッティング!!」
ことり「さすが海未ちゃんだね!」
海未(詰まりましたか…)
にこ「なんだか難しい顔してるわね」
希「今のバッティングに納得してないんやない?」
ことり「海未ちゃんらしいね」ポリポリ
《続くバッターは、4番『唸る豪腕 シベリア超特急、絢瀬 絵里』》
希(シベ超?)
一条(絢瀬 絵里…才色兼備で文武両道の生徒会長…。個人的に絶対打たれたくない相手)
二本松(絢瀬 絵里…さすがに隙がないわね。どこに構えても打たれそうな気がする…。どうする?)
一条(際どいとこをついて、最悪歩かせても…)
二本松(でも、ランナー溜めて、東條は…)
《ソフト部バッテリー、サインが合わないか?間合いが長くなってます》
一条(まだ、初回…。素人にビビってどうするのよ!)
二本松(わかったわ、勝負ね!)
《ようやく、サインが決まったか?一条選手、首を縦に振った。さぁ…投げた!》
カキン!
一条(!!)
二本松(!!)
《打った!左中間!ライナーで真っ二つ!1塁ランナーは…3塁ストップ、打ったバッターは、2塁へ。スタンディングダブル、ツーベースヒット!》
希(さすが、えりち!…やね)
穂乃果「凄い当たりだったね!」
にこ「当たりが良すぎて、海未が返ってこれなかった…」
一条(これだけの才能がありながら、なんで今更スクールアイドルなのよ…)
二本松(うちにくれば即戦力なのに…)
《一気呵成、ここで大量点を奪えるか?ワンアウト、ランナー2塁3塁。迎えるバッターは『目配り 気配り μ'sの要(かなめ) 東條 希』》
希(カードじゃ、ウチの活躍はなかったんやけどなぁ)
《あぁ、ソフト部バッテリー…キャッチャー立ち上がりました。敬遠です》
二本松(絢瀬と生徒会コンビの東條…。妙な関西弁と怪しいタロット占いで、我々のペースを乱す、捉えどころのない奴)
一条(打順は5番だけど、パワーは絢瀬より上。ここは、万が一にも打たれちゃいけない場面)
希(そういうことか…。これじゃ打てんへんね…)
ブー
ブー
《観客からはブーイングが起きていますが…結局、歩かされてフォアボール…。ワンアウト、ランナー満塁になりました》
穂乃果(うわ~…凄い場面で回って来ちゃったよ…)
ことり「こういうとこが、穂乃果ちゃんらしいね」
海未「はい…」(ただ、こういう場面でやらかすのも穂乃果です…)
《両チームにとって、早くも大きな山場を迎えました。ワンアウト、ランナー満塁。バッターはμ'sのリーダー『ミラクルガール、高坂 穂乃果』。さぁ、今日も奇跡を起こせるのか?》
ことり「穂乃果ちゃ~ん!」
穂乃果「?」
ことり「ファイトだよ!」ニコッ
穂乃果「うん!」
ブン
ブン
《2回、3回と素振りをして、バッターボックスに向かいます。内野は、ホームゲッツーを狙って前進守備。最小失点で凌げるか、本家ソフト部。追加点なるかμ's、勝負の軍配はどちらに?》
~つづく~