素直に追いかけて ボールを追いかけて   作:スターダイヤモンド

6 / 16



※ヒデコは、フミコとミカが撮影している映像を、PCで見ながら実況してます。









勇気を下さい!

 

 

 

《ワンアウト、ランナー満塁のチャンスにバッターボックスは6番の高坂選手》

 

 

 

一条(μ'sのリーダーのお出ましね)

 

二本松(チームのムードメーカー的存在。実力は未知数だけど…調子に乗せちゃいけない相手)

 

一条(さて…どう、攻める?)

 

二本松(まず、外で1球、様子を見よう)

 

 

 

《ソフト部バッテリー、慎重なサイン交換。ピッチャー頷いた…モーションに入る…投げた!》

 

 

 

ブン

 

 

 

《ストライク!空振り!外角のボール球、まったくバットが届いていません》

 

 

 

二本松(もう1球!)

 

一条(コクッ)

 

 

 

《さぁ、次はすんなりサインが決まったか?2球目…投げた!》

 

 

 

ブン

 

 

 

《ストライ~ク!初球と同じところを、同じように振ってしまいました。これで2ストライク…追い込まれました、高坂選手》

 

 

 

海未「穂~乃~果~!!」

 

穂乃果「ん?」

 

海未(ブン、ブン、ダメ、ダメ…)

 

穂乃果(そっか…つい、自分で決めてやろう…って…ね…)

 

 

 

《高坂選手、1回、打席を外します…》

 

 

 

穂乃果(スゥ…ハァ…)ペチペチ

 

 

 

《ほっぺを叩いて気合いを入れ直した高坂選手、打席に戻ります。ソフト部バッテリー、改めてサイン交換…ピッチャー頷いた。第3球を…投げた!…これはボール!3球同じところにきましたが、今度は手を出しませんでした》

 

 

穂乃果(うしろに繋ごう)

 

 

 

《次の球!…内角高めにきましたが、これはボール…2ボール2ストライク、平行カウントになりました。》

 

 

 

穂乃果(ボールを良く見て…)

 

 

 

《こうなってくると、ソフト部バッテリーも苦しい。なにせ、ランナーは満塁、フルカウントにはしたくないところ。早いテンポで、押してくる。ピッチャー…投げた!》

 

 

 

カッ

 

 

 

《内角低め、かろうじてカットした。ボールは逆方向のファールゾーンへ》

 

 

 

穂乃果(よし、当たる!ついていける!)

 

 

 

《外角3球のあと、内角に2球…。次はどこにくるか?…投げた!》

 

 

 

ガッ

バシッ

 

 

 

《高めの釣り球にバットを合わせましたが、ボールは審判のマスクを弾いて後方へ…これもファール。カウント変わらず2ボール2ストライク。高坂選手、粘ります》

 

 

 

二本松(一筋縄じゃいかないのね…でも…こっちも、素人相手にやられる訳にはいかないのよ)

 

一条(えっ?あれを投げるの?早くないか?)

 

二本松(出し惜しみしてる場合じゃないでしょ!)

 

一条(わかったわよ…)

 

 

 

《投球は7球目を数えます。ピッチャー、モーションに入る…投げた!》

 

 

 

!!

 

 

 

穂乃果(スローボール!?…スイングが…止まら…ない…バットの先でもいいから当たって!!)

 

 

 

カツン

 

 

 

穂乃果(当たった!)

 

 

 

《打った!打球はピッチャーの足元を抜け、二遊間を転がっていく。センター前ヒット!今、3塁ランナーの園田選手がホームイン。μ's追加点、2対0!高坂選手は塁上で大きくガッツポーズ!》

 

 

 

ことり「海未ちゃん、お帰り!!」

 

海未「穂乃果は、最後までよくボールを見てました。体勢を崩されながらも、気持ちで喰らい付いていった感じでしたね。たいしたものです」

 

凛「さすがμ'sのリーダーにゃ!」

 

海未(まったくです。普段はあんなに頼りないのに…あなたって人は…)

 

凛「次はかよちん、頼んだにゃ!」

 

花陽「…うん、行ってくる」

 

 

 

《ワンアウト、ランナー満塁は変わらず。μ's、次のバッターは…『ライスを愛す、ナイスな乙女!小泉花陽!』》

 

 

 

ことり「ラップみたい」

 

にこ「…ってか、ソフトとは全然関係ないじゃない」

 

 

 

テクテクテク…

 

 

 

花陽(こんな大事な場面で回ってちゃったよぅ…誰か助けてぇ…)

 

凛(かよちんなら、打てるにゃ~。自信を持つにゃ)ニッ

 

花陽(凛ちゃん…)

 

 

 

《小泉選手、緊張しているのか、非常に固くなっているのが、後ろからでもわかります》

 

 

 

二本松(今のは仕方ない、飛んだコースが悪かった。だが、ここを抑えれば問題ない…。大丈夫、この娘は打ち取れる)

 

 

 

《下位打線とはいえ、まだワンアウト。このまま追加点なるか?バッターボックスは、小泉選手。一方、マウンド上は一条選手。初回にまさかの2失点。心の内はいかに?》

 

 

 

花陽(ピッチャーの人、動揺してる?そうだよね…向こうだって苦しいよね…。むしろ私より苦しいよね。それなのに、私は何を恐れてるんだろう?…変わらない…これじゃ何も変わらない。私の悪い癖…なんでも、すぐに怖がること。…捨てなきゃ…すぐに怖がる癖なんて…神様!凛ちゃん!みんな!どうか私に、勇気を下さい。結果を恐れずスイングできる勇気を!お願いします)

 

 

 

《一条選手、プレートに足を揃えて、周りを見やります。…おっと、小泉選手…身体の正面でバットを立てて、大きくゆったりとした構えになった》

 

 

 

二本松(!!…雰囲気が変わった!?…ま、待て!)

 

 

 

《さぁ、小泉選手への初球…投げた!》

 

 

 

二本松(お願い、見逃して!!)

 

 

 

カキ~ン!

 

 

 

《…打った!左中間!これは大きい、大きい、入るか?入るか?…あぁ、フェンス直撃!今、3塁ランナーに続いて、2塁ランナーもホームイン!1塁ランナーは3塁へ、打ったバッターも2塁へ…小泉選手やりました、なんと2点タイムリーツーベース!!これで4対0!μ's、初回からビッグイニングです!!》

 

 

 

凛「すごいにゃ、かよちん!!大好きにゃ~」

 

真姫「花陽…」

 

にこ「やるじゃない!」

 

 

 

花陽(凛ちゃん、打てたよ。結果を恐れずにスイング出来たよ。…μ'sに入って、少しは成長できたかな…?)

 

 

 

絵里「頼もしい後輩がまたひとり増えたわね」

 

希「そやね…」ウルウル

 

絵里「泣いてる?」

 

希「試合は始まったばっかりやん。まだ、泣かへんよ…」

 

 

 

《あ~っと、ソフト部、ここで堪らずタイムです。キャッチャーがマウンドに駆け寄ります。内野陣も集まります》

 

 

 

一条「すまん…下位打線だと甘く見て、あまりに簡単に入り過ぎてしまった」

 

二本松「いや、私こそ、一旦タイムを取るべきだった」

 

五木「もっと、バック信頼して。一人相撲になってるよ」

 

一条「…そうだな、すまん…」

 

二本松「さぁ、仕切り直しだ!」

 

内野陣(コクッ)

 

 

 

《マウンドに集まっていた選手の輪が解けました。内野は依然、バックホーム体制。なんとしても、次の1点は阻止したいところ。迎えるバッターは『魅惑のヒーリングボイス、南ことり!』》

 

 

 

にこ「もはや、何でもアリね」

 

 

 

《さぁ、試合再開!μ'sのチャンスは続きます。バッター、南選手…》

 

 

チュン

チュン

チュン

 

 

 

《3球スイングも、バットにまったく当たらず、空振り三振!ピッチャーの一条選手、今日初めての三振を取りました》

 

 

 

トボトボトボ…

 

 

 

ことり「ごめんね…まったく当たらなかった…」チュンチュン

 

にこ「振って返ってきただけ、良しとするわ」

 

絵里「振らなきゃ当たらないもね」

 

希「次は…」

 

 

 

《続くバッターは『女 殿馬、西木野 真姫!』》

 

 

 

希(ブフッ!…殿馬って…)

 

穂乃果「とんま?」

 

希「と・の・ま!『ドカベン』に出てくる『ピアノが得意』なキャラクターやん…知らないん?」

 

穂乃果「あぁ、ドカベンって聴いたことある」

 

希(まさか『秘打・白鳥の湖』とか、したりするん?…なんて、するわけないやん!)

 

穂乃果(希ちゃん?)

 

 

 

《2アウトになり、内野の守備位置が戻ります。バッター、西木野選手に対し、初球…》

 

 

 

スカッ

 

 

 

《ストライク!これは、全くタイミングが合っていない》

 

 

 

真姫(やっぱりボールが速い。もっと始動を早くする必要があるわね…)

 

 

 

《テンポ良く、2球目!》

 

 

 

スカッ

 

 

 

真姫(あ~もう!頭ではわかってるのに、身体がついていかない)

 

 

 

《追いこまれた西木野選手。一旦、打席を外します》

 

 

 

真姫(まだ遅い…。あ…そういえば昨日の夜、バットは短く持てって、凛に言われたっけ…)

 

 

 

《西木野選手、打席に戻ってプレー再開です。2ストライクからの投球3球目!》

 

 

 

真姫(イチ、ニッ)ブン!

 

 

 

《ストライ~ク、バッターアウト!西木野選手、ここは、三振に倒れました》

 

 

 

真姫(…そうは、甘くないね…)

 

 

 

二本松(…タイミングは合っていた…)

 

 

 

《最後は二者連続三振にとなりましたが、μ's、打者一巡の猛攻で、この回、一挙4得点。まずは幸先の良いスタートを切りました》

 

 

 

凛「みんな、次は守備につくにぁ~!」

 

ことり「ことりは、こっちの方が心配です…」

 

凛「大丈夫!ちゃんと凛がバックアップするにゃ!」

 

花陽「にこちゃん、頼みます」

 

にこ「当たり前じゃない、アタシを誰だと思ってるの?」

 

穂乃果「斉藤さんでしょ!?」

 

にこ「ペッ!ペッ!ぺェ~!…って、さすがに、このネタは古くない?」

 

穂乃果「ははは…」

 

真姫「ちょっと、何の話?」イミワカンナイ

 

にこ「何でもないわよ」

 

海未「さぁ、守備につきますよ!」

 

穂乃果「気合い入れて、頑張ろう!」

 

 

 

 

 

~つづく~

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。