暇なときにご覧いただければ幸いです。
今日は休日。いつもならだらけれるが今回は違う。何せ弁慶と買い物の約束をしたのだから。
「はぁ、もうそろそろだよな……」
女の子と買い物ってのは初めてだな。俺がこれ迄に出会った女は時間が無かったか、そういうのに興味が無かったからな。
「それよりこれ、いつ渡すかな……」
俺の手には3つの箱が有った。
1つは弁慶に、後は源と葉桜先輩だ。弁慶だけと言うのはどうかと思ったからな……
馴染んだ気配を感じて箱をしまった。もう一度確認するが何故か気配が多かった。
そちらを見るとクローン組(与一を除いて)がいた。
待ち合わせ場所に俺がいるのを確認し弁慶たちがこちらに来た。
「弁慶、聞いてないぞ」
「ああ、めんご。それとも私とだけが良かった?」
「まぁ、別に買い物だし人数が増えようが関係無いがな」
「連れないなぁ~」
「も、もしかして……義経は迷惑だったか?」
……なんて良い子なんだ。それに身長差でいつも上目使いをしてくるのは反則だろ。
「や、全然迷惑じゃないぞ。寧ろ弁慶よりも何十倍もましなまである」
「ほ、本当か!?」
さっきの涙目から一転、素晴らしい笑顔を放ってきた。
うわぁ、眩しいよぉ~。まぁガブリエル様の方が素晴らしいがな。
「比企谷くん、今日はよろしくね!」
この人は元気だな。
しかしこの人は何を隠されているんだ?無理矢理封じ込められている感じがするが……検討は付いている。
全く、クローンってだけで教会の一部の奴等から狙われるのに公にするなよ!……ミカエル様が護ってやれとか言うんだろうな。
「はい、先輩」
「じゃあ、行くかね」
「そうだな」
弁慶の言葉に同意し歩き始めた。
ーーーーーーーーーー
「そう言えば与一は来なかったのか?」
クローン組で行動するなら一人足りないと思い聞いてみた。
「与一は修業するって張り切ってたよ」
弁慶が何処か珍しいという声音で答えてくれた。
「ふぅ~ん」
あれの修業をしているんだろうな…無理しなければ良いが……
「八幡が何か教えたの?」
「分かったか……そうだぞ、俺の技を教えている」
「やっぱり……与一が八幡以外に真剣になることなんてほとんどないんだよねぇ~」
「そんなものかねぇ」
「そんなものだよ」
あれこれ話しているが何処に行くのか聞いていなかった。
「なぁ、何処に向かっているんだ?」
「それは着いてからのお楽しみ♪」
「……買うのは俺じゃ無いんだが」
「八幡が奢ってくれないの?」
イラッと来ました、今の発言。俺は財布じゃねぇっつうの!!
「俺は財布じゃねぇ」
「そう言っても、よく買ってくれるじゃん」
「……はぁ、分かったよ」
ーーーーーーーーーー
それからは大変だった。別に買い物自体は大変では無かった。
だが下着コーナーで弁慶が無理矢理同行させたのだからな。あの女性定員の視線が痛かったし辛かった。源は無理矢理は良くないと弁慶を止めてくれていた。勿論、葉桜先輩もだ。その甲斐虚しく連れていかれたのだ。
まぁ、いかがわしいことはしてないからギリギリセイフだな。
「弁慶、勘弁してくれ」
今は近くのカフェで休憩をしている。そして俺は精神的ダメージにより台の上で上半身をうつ伏せにダウンしている。
「八幡の態度が面白かったな~」
弁慶がからかう声音で俺の頭を撫でながら話し掛ける。
「あ、あの!」
突如話しかけられた方を向くと、そこには二人の少女がいた。年は俺と同じくらいか?
「何か用か?」
「この前、助けてくれてありがとうございます!」
「……この前?」
「八幡の知り合い?」
俺は二人の顔をよく見たが全然思い出せなかった。でも何処かで会ったという事は思い出せた。
「……見たことは有るんだが……すまん、思い出せん」
二人は同時に、少し残念そうにする。
「…思い出せなくてすまんな」
「え!いや、謝らないでください!あの時、路地裏は暗かったし……」
路地裏?……あ~、思い出した。
「あの時の3人組か?」
「はい!そうです!」
……う~ん、何か違和感あると思ったら敬語だからか。
「別に敬語じゃなくて良いぞ」
「……うん、分かったわ」
「それより名前聞いて良いか?」
「私は小笠原千花。此方は折本かおりだよ」
「よろしくね!」
どっちもバリバリの女子高生って感じだな。
「ああ、適当にな。それよ……!」
「どうしたの?」
俺が途中で言葉を切った事に小笠原が心配して声を掛けてくれた。
「……いや、何でもないぞ。それより弁慶、席を移動してくれ」
元々、俺のとなりに弁慶で俺の対面は葉桜先輩だったが、渋々弁慶が席を移動してくれて、俺の対面に弁慶、隣に小笠原、その隣に折本が座った。
ちょうど移動した位に注文していた飲み物が到着した。その時に彼女たちも注文した。
「買い物の途中で俺を見付けたのか?」
「……比企谷くんを見付けるために来たのよ」
一瞬止まったが、恥ずかしそうに小笠原が答えてくれた。
そんなにお礼がしたかったのか?
「ふん!!」
「いっつ!」
俺は小笠原の方を見ながら考えていると前に座っている弁慶に足の脛を蹴られた。
「大丈夫?」
「八幡は大丈夫だよ」
「……何で弁慶が答えるんだよ」
少し涙目になりながら抗議する。
……はぁ、こんな事になっているのは十中八九あそこで見ている先輩方だな。
「誰かに教えてもらってここに辿り着いたのか?」
「うん。よくわかったね」
ほら、その証言が今とれたよ。店の外で此処が見える場所に覗きこんでいる3人の女がいる。最初は気付かなかったが、一定距離に居た事が仇となり俺は見付けれた。
「何となくな」
どうしてやろうか……
そんなことを考えていると電話が掛かってきた。
「誰…だ!?」
着信先を見ると、ミカエル様だった。
「ちょっとすまん」
俺は断りをいれ店の入り口に向かう。
「はい、もしもし」
『八幡ですか?』
「そうです」
『元気にしてますか?』
「はい、心配要りません」
『それは良かった。それより八幡、貴方は悪魔に断りも入れずに勝手に入り、コカビエルを打倒しましたね?』
「……申し訳ありません」
『いえ、その事は寧ろよくやったと誉めます。しかしその件で三大勢力が会談をおこなう予定になりました』
「はぁ、つまり自分も出れば良いと?」
『はい、お願いできますか?』
「お受けします」
『八幡ならそう言ってくれると思っていました。日にちは後日お伝えしますね』
「お願いします」
『それでは』
電話が切れた後、俺は弁慶たちの所に戻った。
「すまんな」
「別に良いよ。皆で話してたからね」
弁慶達は何を話してたんだろうか?
「……それよりこの後どうするんだ?」
「アタシ達は帰るね」
「そうか、じゃあな」
「うん、またね」
小笠原と折本は俺たちと別れた後、俺も帰ろうとしたが、弁慶に呼び止められた。
「義経が用事が有るって」
「何だ、源?」
「……義経と決闘をしてほしいのだ」
何で俺とだ?剣士同士なら黛とか居るだろうに……
「主は自分の実力が知りたいんだって」
弁慶が代わりに言ってくれた。
「…嫌だ、面倒……分かったよ。だからそんな顔するな」
俺が断ろうとしたが源がとても悲しそうな顔をするから断るものも断れなくなった。
「場所を変えるぞ」
ーーーーーーーーーー
「此処なら別に構わないだろ」
移動した先は河原である。しばしば決闘場所に選ばれる場所だ。
「じゃあ、私が合図を掛けるね」
「お願いします」
葉桜先輩が合図を掛けてくれるそうだな。
「二人とも準備は良い?」
「うっす」
「はい!」
源は抜刀し集中し始めた。
「それでは……始め!!」
葉桜先輩の合図で源が突っ込んできた。上から下に俺の真っ正面に真っ直ぐな一撃を繰り出してくる。
俺はそれを後ろに退き、難なく逃れる。
しかし源の攻撃は続き、追い打ちをかけてくる。それも俺は避け続けていく。
「はぁっ!!」
源の気合が入った一撃を避け、俺は距離をとる。
「……そのままじゃ、一撃も当たらないぞ?」
「……ふぅ」
どうやらここから本気のようだな。
「はっ!!」
さっきより速くなったスピードで斬り込んでくる。
「……?…おっと」
俺は一瞬だけ妙な視線を感じ、探ろうとしたが今は止めておくことにした。
気合が入ったと言っても、俺には全然届かない。
「…こんなこと、本当にやる意味が有るのか?」
不思議に思い源に聞いた。
「……義経は君のように強くなりたいと思ったんだ。だから……どれだけ離れてるか確認したかったんだ」
……こんな風に憧れるのは初めての感覚だな。そして俺に一歩でも近付くように戦いを挑んでくるか……難儀な性格をしているな。
「そうか……なら俺から餞別をくれてやるよ」
ー極限無想・仙人モードー
俺の雰囲気が変わったことに気付き、源はより一層、集中力を高め構え直す。
「よく感じろ。これが俺とお前の差だ」
「……」
構えている源の正面に瞬歩で移動して右腕を硬化させる。
「一閃」
源が気付いたときには既に攻撃が腹に当たっていた。
「うっ……」
前のめりになり倒れそうなところを俺が支える。
「源なら俺に追い付けるさ。たぶん」
「……八幡」
「ん?ああ、はい」
弁慶に源を手渡した。
「これで良いのか?」
「うん、ありがとう」
「まぁ、今回だけだぞ……ん?」
会話している中、此方に物凄い闘気を放っている人間が来ていた。
「今度は何だよ?」
すると闘気が殺気に変わり、俺の真上から拳が飛んできた。それを弁慶を抱えて避けた。そこには砂埃がたち、人影が見えた。
「全く、この川神は問題の宝物庫だな」
「ははっ!もう我慢出来ないぞ!」
砂埃の中から川神百代が出てきた。
次は武神とのショボい戦闘シーンです。