原作の流れに沿って肉付けしつつ極端に破綻しないという方向性で何卒・・・!!
この話、ヘロヘロさん一回も出てこないんです、嘘みたいでしょ。
全10階層からなるユグドラシル屈指のギルド拠点であるナザリック地下大墳墓、その最奥に鎮座する玉座の間
地下にありながらも広く高く作られた部屋は精緻な作りこみを施した金細工に彩られ、壁に掲げられたギルドメンバーのシンボルを施した41の旗と共に雄大な景観を作り出している。
この玉座は計算しつくされた照明の配置により神殿の如き荘厳さ、そして静謐さを悠久ともいえる時間携えて
「どういうことだ!!」
破られたのだ―――
声を上げた主こそこのナザリック地下大墳墓の所有ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』のギルドマスター、モモンガその人である。
そのモモンガの心中は混乱を極めていた
(なんだ!?一体何が起きている?コンソール画面やGMコールは効かなくなっているし各種情報も表示されなくなっている。体は―――動く。ギルド武器を掴んでいる感覚も物凄くリアルだ。目は―――扉の彫刻や模様の隅々まで確認できるし「如何なさいましたか、モモンガ様?」声も聞こえるな?アルベド、いい声してるな流石だぜタブラさん。「失礼いたします。」近づいてくる動きももの凄いリアルじゃないか流石だぜタブラさん。しかしチチでけーな流石だぜタブラさ「何かございましたか?」顔ちけーな流石だぜタブ・・・タブラさん?)
「・・ぅぉっ!?」
吐息のかかる距離まで近づいてきたアルベドを他人事の様な視点で眺めていたモモンガはアルベドの芳しい匂いにつられる様に思考の渦から引き戻され、ゲームではありえないその行動と自分の感覚の変貌に思わず驚愕の声を上げそうになる。
が、同時に自らの感情が青白い光と共に沈静化され抑圧されていくのを感じた。
(感情が沈静化されている?これは・・・アンデッド化による感情の均衡化?つまり・・・これゲームじゃなく現実になってる・・・?この乳でかくていい匂いするアルベドも現実?しかし顔近いな。さささ触ってみちゃったりなんかしていいのか―――)
もう一度青白く光ったモモンガは固唾を飲んでこちらの挙動に注視してる皆から目を逸らす。
その先にある空になったヘロヘロの玉座を見つめ、静かにそして厳かに言葉を発した。
「・・・アルベド。控えよ。私は動く許可を出した覚えはない」
偉大なる主のオーラがひときわ強くなるとともに発せられた命令
「っ申し訳ございませんモモンガ様!!」
その言葉に飛び退くように後ろに下がり臣下の礼を取り直し顔を伏せるアルベド
その顔には恐怖と失態による焦りが張り付いており、それを見たセバスやプレアデスの間にも緊張が張り詰める
(今はアルベドや他の臣下達の忠誠が本物かどうかわからないじゃないか。敵になる可能性だってある。だが何よりも優先すべきはヘロヘロさんの安否だ。その為には確度が低いからといって慎重になってばかりはいられない。せっかく帰ってきてくれた仲間をこんな形で失うわけにはいかない―――)
何よりも大切なギルド仲間の為に―――
モモンガは安全よりもリスクを獲る事にしたのだ
覚悟を決め先程より更に強いオーラを放つ
まずは情報だ。
それも確度の高い情報を一つでも多く手に入れなければならない。
そう考えてから臣下達の様子を窺うと
アルベドは先程から見せていた震えをより激しくしている。
俺に怒られて自分の行動を後悔してるのか?それとも後悔してるフリで俺を油断させていきなり
クソッ、下を向いたら深い谷間がより見えるじゃないか。しかもプルプルさせやがって、俺を油断させるつもりなんだろそうなんだろ―――保留
プレアデスは―――俺の絶望のオーラⅢに耐えるので一杯一杯な感じだな。
ん、何だ?金髪縦ロールだけは全然応えてないな。種族スキルか何かなのか?なんでこっちを睨み付けてるんだ?
反逆か?反逆するのか?舐めるなよ喰らえ絶望のオーラⅤ!・・・効いてないじゃん!横の団子頭の子なんか顔から蟲が飛び出してるのに!何なのあの金髪の子。目が光ってないのに目が燃えてるよ怖えよ、クソッ!
いざとなったら背中から時計盤出して地獄見せてやるからな!!魔法使えるのかまだ分かんないのまでばれてんじゃないだろうな畜生!―――保留
最後にセバス―――アレ?あんまり変わってないな。やっぱレベル100NPCはこの程度じゃ応えないよな。
・・・というかアルベドに対して怒ってないか?
先程から険しい雰囲気をアルベドに向けていたのは感じていたが今は更に凄まじい圧力をかけているのが分かるな。一言声をかければアルベドに対しても厳しく接してくれそうだしプレアデスのまとめ役である
そうして皆を見まわしながら考える事約1分。
今までで最も脳を回転させたモモンガに突然、天啓に導かれたように素晴らしいアイディアが閃く。
これだ、これしかない。
だがそうなると―――段取りは――――――その前に――――――――――
そうして全ての算段をはじき出し、モモンガは覚悟を決めて沈黙を破り口火を切る。
「セバス」
「ハッッ!」
呼びかけに即座に応じるセバス。その態度は完璧で確信に満ちたものだ
やはりセバスは大丈夫そうだ。アルベドが絶望に満ちた顔してるのは予定通りだとしてなんで金髪は驚愕してんだ。ポジション的にあり得ないだろう呼ばれるのは。やっぱ怖いなあの子
「セバスよ。ナザリック地下大墳墓を出て、周辺地理を捜索せよ。その際、知的生物を見つけた場合は交渉してこの場へと連れてくるのだ。極力友好的にな。そして・・・・煩わしいな。アルベドよ!!」
セバスへの命令を中断して先程から俯いて震えているアルベドに怒号を飛ばす
「ハッッ!!お、御見苦しい様をお見せし、も、申し訳ございません!!守護者統括でありながらモモンガ様の御目汚しとなりし事、誠に!誠に!!―――」
頭を地面に擦り付け懇願するように謝罪の言葉を吐くアルベド。その様子を見たモモンガは玉座から立ち上がりゆっくりとアルベドへと近づきその肩に手を置く。
ビクリとアルベドが震えるが自らの体を触る偉大なる主人の手は決して荒々しいものではなかった
「よい。良いのだ、アルベドよ。お前の全てを許そう。私を想っての事と分かっている。だがお前は守護者統括でありこのナザリック地下大墳墓全ての臣下達を纏める責を持つ者であろう?いつまでもその様に情けない様を周りに見せるでない。」
「モ、モモンガ様ぁ・・・。ウゥッ・・・ン。お恥ずかしい様を見せました事、慚愧の念に堪えがたいものです。が、頂きました恩赦に報いるべく与えられた責務を全う致します。」
「うむ、期待しているぞ。・・・む、そういえば
「とんでもございません。この程度の痛み、ダメージに入りませんし偉大なる主人から与えられるものであるのならば喜んで享受致します。」
「ふむ、頼もしいものだ・・・。さぁ立つのだ。手を貸そう。スキルは切ったから遠慮するな。」
「まぁ、有難うございます。それでは・・・。」
そういってモモンガが差し出した手を取りアルベドは立ち上がる。
その姿に先程までの弱さは微塵もなく、立ち居振る舞いも守護者統括にふさわしいものへと戻っている
その様を安心したように見守るセバスとプレアデス達。
特にセバスからは先程までの剣呑な気配も消え失せ、統括として又ナザリック地下大墳墓の仲間として扱う空気が漂っている
その様を満足そうに見たモモンガはゆっくりと玉座の方へと振り向く。
その顔には笑顔が張り付いている
(・・・スキルによるダメージは与えられているな。オンオフも意識したら出来るしフレンドリーファイアは間違いなく解除されている。しかも接触禁止のペナルティも一切ない。肩を触りながら内側まで手を動かしたが何らお咎めも無い。間違いなくこれは現実だ。そしてNPC達も自我を持った個人なのも間違いないが設定はどうやら忠実に引き継いでいる様だ。ならばいくらでもやりようはある)
確信した情報を手に、玉座に座りなおしたモモンガは予定の次の行程へと歩みを進めるために偉大なる主人としての態度を意識的に出しながら声を上げる。
「先に指示を出そう。アルベドよ。」
「ハッ!」
「今すぐにお前の姉、二グレドの元へと出向きヘロヘロさんの居場所を探索する様に命じるのだ。その際、ナザリック各階層守護者に各自の守護階層の探索を併せて命じるのだ。〈
「かしこまりましたモモンガ様。姉にナザリック内の探索しにくい箇所を担当してもらう許可を頂けますでしょうか?」
「許す。まずはこのナザリック地下大墳墓内にヘロヘロさんがいるかどうかを確定させる事が最も大切な事と知れ」
「心得ました、モモンガ様」
「結果が分かり次第、私に知らせよ。頼んだぞ。お前は代わりがきかぬ重要な人材だ。その事を心に留め、勤めに励むのだ」
「かっ、
「お、おう・・・」
決定的な誤解を与えた気がするが気のせいだろう。
与えた命令を実行する為に玉座の間から去ろうと足早に歩いていくアルベドを見てモモンガは思い出した事を伝える。
「待てアルベド。(姉に会う時の注意事項を)忘れてないだろうな。
そういって赤ん坊を抱く仕草とシルエットを見せるモモンガ
「(私達の)
「お、おう・・・・・」
致命傷を自ら作る詰めの甘さこそナザリック地下大墳墓の主たる証である
スキップしそうな動きで出て行ったアルベドを見て感じる妙な寒気に首をひねりながらもアインズは次の指示を飛ばす
「後にして済まないなセバスよ。」
「とんでもございません。偉大なる主人、モモンガ様の的確な指示を拝見させていただきました事、誠に幸運というほかございません。」
「ありがとうセバス。さて、先程の続きだがセバスにはナザリック外の調査と知的生物の友好的招待だ。条件は可能な限りのもう。探索範囲は周辺一キロだ。」
「畏まりて御座いますモモンガ様。直ちに行動を開始いたし――」
「待て。探索範囲だがナザリック地下大墳墓内にヘロヘロさんがいなかった場合、二グレドに命じて外の探索も始める。その場合は緊急時を除いて外の調査範囲を広げ、探索を続行してもらう。」
「全ては御心のままに」
「うむ。万が一戦闘や危険が及んだ場合はセバスの判断で対処しろ。そして・・・一人だけプレアデスを連れていきその者に情報を持たせて引き返させるのだ。二グレドも万能ではない。セバスが探索してないところを担当させていた場合はこちら側の対応が遅れるだろうからな。そして恐らくだがヘロヘロさんはナザリック外の可能性の方が高・・・い」
「なんと・・・。そこまで見当がついておられたのですねモモンガ様。流石は我らが主でございます。」
「よせ。私はお前たち臣下が有能な事を信じているのだ。ナザリック内の大半の場所にヘロヘロさんがいたなら誰かしらから報告があってもいいはずだからな。だからこそこの任務は継続性が高く重要度も高い。信じているぞセバスよ」
「おぉ・・・!かしこまりましたモモンガ様。必ずやご期待に沿えるよう行動致します。して、連れていくプレアデスは如何致しましょう。」
「うむ、そうだな―――」
金髪がすっごい目で見てる。さっきのヘロヘロさんが恐らく外辺りから一段と目力が上がってもう何でもできそうです
「そ、そうだなセバスよ。セバスが任務への適性、変化する状況への対応力、自身との相性などを考えた場合に誰を優先するのだ?」
「・・・そう、で御座いますね。皆優秀かつ信頼のおける部下であるとの自負がございますが任務への適性を考えた場合、ルプスレギナかソリュシャン、もしくはエントマ辺りが宜しいのではないかと存じ上げます。」
「ふむ、理由を聞こうか(名前ソリュシャンか、そうだったそうだった。その時だけ目が元に戻ったもんな。そのままの君でいて)」
「はい。まず最有力のルプスレギナですがクレリックのクラスレベルを修めており回復魔法を使用できる事から、私や自身の継戦能力が高いと考えます。又、
次にソリュシャンですがルプスレギナ程ではありませんがアサシンとして気配を消す術に長けております。また種族が
ただ最後になりますエントマが符術師であり蟲使いであるので使役する蟲によって劇的に探索範囲を広げる事が出来ます。派手になってしまうので情報を持ち帰る点に難があると考えますがヘロヘロ様の探索においては最も適しているか―――」
「うむ、よく分かったぞセバス。見事な説明だ。(メッチャ見てんじゃんセバスの背中、怖えよ!アサシンなのにこんなに明るくてみんなが見てる前で暗殺しそうだよこの子!!横のエントマもチラチラソリュシャンの方見てるし。ルプスレギナはなんで笑ってるんだ?自分が選ばれたらソリュシャンに妬まれるんだぞ?もしかしてSなのか?それとも馬鹿なのか?)」
「ハッ、長々とした説明で恐縮でございます!」
「うむ、プレアデスよ。あとは私とセバスで話し合って誰を連れていくかを決めようと思う。」
その言葉にプレアデスの空気が変わる。皆表には出さないようにしているが意識している。金髪縦ロールを。本人は素知らぬ顔をしてるのが腹立たしい
「だ、だが!私は皆の意見を尊重したいとも考えている。姉妹達で話し合ってそれにセバスが納得する理由があればその者を連れて行っても構わないと考えている。いくつか指示をせねばならない事があるのでプレアデスは外で待機しながら話し合うがいい。」
「かしこまりましたモモンガ様。それではプレアデス、外で待機しております。」
副リーダーの眼鏡をかけた夜会巻きのメイドが代表して声を発し、それに皆が併せて礼をする。見事な動きだ。一部の乱れもない
そのまま外に皆で出ていき扉を閉め
「ねぇ、エントマ?話があるんだけど」
「な、なぁにぃ?ソリュシャンちゃ―――」
バタン
・・・・・。
・・・・・・・。
「・・・セバスよ。一応聞きたいのだがもし私の推すメイドとプレアデスの中の話し合いで出た者が違った場合どうするのだ?」
「聞かれるまでも御座いません。勿論モモンガ様の決定された者を帯同させます。その事に不満を持つ様な愚かな者はこのナザリック地下大墳墓において一人もおりません。」
だよなぁ、そう言うよな設定に忠実なんだとしたら。
コレは俺がソリュシャン以外を選んだ場合はとんでもなくめんどくさい事になりそうだな。
幸い候補に挙がってたしヘロヘロさんを探す熱意は凄そうだし彼女にしといたほうが無難だろうな
こんな所で綻びを作ってる場合じゃないし内部調査が終わったら二グレドの探索に併せて他の者も捜索に出せすのだから。重要な役割ではあるが先遣隊としてなら問題ないだろう
「ではセバスよ。帯同させるのはソリュシャンで良いのではないか。確かに突出してはいないかもしれないが先程からヘロヘロさんを探そうという意欲と熱意がヒシヒシと感じられて頼もしく思ったぞ。」
「なんと・・・!部下達の熱意まで汲み取って頂けますとは流石は慈悲深き我らが主でございます。」
「う、うむ・・・。ではそのように取り計らってくれ。この任務は重要だ。くれぐれも間違いが無いよう頼んだぞ」
「ハッ!!」
一礼と共に玉座の間を出ていくセバスの後姿を見ながらモモンガは「俺が主だよな?俺の意思で決めたんだよな?何か精神操作とか喰らってないよな?」とひとりごちるのだった
◇
玉座の間、そこを出た所でセバスは感動に打ち震えていた―――
あれこそ正しく我らの為に最後までこの地に残りし偉大なる主人、モモンガ様。
至高の41人の御一人であられるヘロヘロ様の安否が分からず、また現在のナザリック地下大墳墓において異常が発生してると思われる中、的確かつ入念な指示と見事な人心掌握術。
それでいて臣下に対する慈悲深き配慮を忘れず、各個の意見を軽んじられない素晴らしき御方
あの御方の元で働ける喜びを噛みしめ今から行う任務を完璧に、より完全に行う事を誓いながら廊下へと足を向ける
と、そこにはかの御方に選ばれた幸運なる部下の姿が見える
「おや、ソリュシャン。貴方だけがココにいるのですか?他の者達は?」
「はい、セバス様。皆話し合いの最中に必要事項だから、と各自の場所へと
「あぁ、善き知らせですよソリュシャン。貴方のヘロヘロ様への熱意は能力を超えた所で働くやもしれんとの事。この大役、完璧に果たすべく全力を尽くすのですよ?それがモモンガ様やヘロヘロ様、ひいてはこのナザリック地下大墳墓に益となる事なのですから。」
「まぁ!本当でございますか!!嘘のようです。私が選ばれるなんて・・・この上ない誉れですわ。セバス様、私ソリュシャン・イプシロンは偉大なる御方であるモモンガ様の期待に応えるべく全力でセバス様のサポート、そしてヘロヘロ様の御身の為に身命を賭して働く事を誓います。」
「宜しい。では参りましょう。他の者に連絡する時間も惜しいです。貴方から
「畏まりました」
そう言って礼を取り下を向いたソリュシャンの顔は明るい。そうニチャッという音がしそうな笑顔だ
「あぁ、そうそう。ソリュシャン」
「ハイ?」
「アインズ・ウール・ゴウンの臣下たる者、どの様な時もスマートさと華麗さ、そして清廉である事を忘れてはいけません。何処で付いたのかはわかりませんが顔に血が着いてますよ。任務の前に身だしなみを急いで整えなさい。」
「これは失礼致しましたセバス様。直ちに」
ぷれあですはみんななかよしです。
流石だぜタブラさn