これを読む上でまぁまぁ必要な話は以前書いた「設定の時間」に載っています。そちらもぜひ!
第28話 新しい時間
4月。
それは新しいことが始まる季節。
そしてまた…
元E組のみんなが高校生となる月…。
今日は4月2日。
「梅宮高校」のオリエンテーリングの日だ。
同時にクラス発表もあるらしい。
部屋の番号もクラス分けで変わるそうで、まして三年間クラス替えはない。
クラスは入試の順位が良かった者からC組、B組、A組だそうだ。
元E組のみんなだけでなくその年のほとんどの入学者が、自分が何組になるのか期待に胸を膨らませていた。
渚はその日、椚ヶ丘から30分かかる梅宮駅に着いた。
改札を出ると…
「あっ、渚‼︎こっちこっち‼︎」
おなじみの4班のメンバーが全員そろっていた。
入試の時に一回行っただけだったので、「不安だから」とカルマにまた案内を頼んだのだ。
卒業式ぶりの再会に、みんな(特に女子たち)は、とてもはしゃいでいた。
とそこで、渚が口を開いた。
「あれっ、茅野髪…」
そう…茅野は梅宮高校を「雪村 あかり」として受けたので、黒い髪になっていたのだ。
「戻したんだ〜」
と説明する茅野を見て、カルマが渚に…
「『かわいいね。』って言わないの?」
「…カルマってやっぱりゲスいね…」
「さぁ?でも言わないと伝わらないよ?」
「う…」
そんな渚たちの姿を見て、茅野はもちろん女子3人は不思議そうにこっちを見ている。
覚悟を決めた渚は茅野の方へと歩いて行き…
「茅野、その髪かわいいね」
それを聞いた茅野は、真っ赤な顔をしながら…
「う…うん!ありがと…」
(((…これは長くなるなぁ)))
そんな渚と茅野の姿を見たカルマと杉野と神崎は同時に思った。
「っそういえば!渚も髪切ったんだね‼︎」
「あー…まぁね」
そう…渚も中学卒業と同時に髪を切ったのだ。
ただ…
「…なんか…あんまり変わってないな」
「う…」
「髪が長いから女子っぽく見えてたんじゃなくて、もともとの顔が女子っぽいのか…」
「…カルマ君、杉野やめたげて。多分渚それ結構気にしてるから」
そんな話をしながら、渚たちは梅宮高校についた。
入り口のところで各自封筒を渡される。
…どうやらその中にクラスが書かれているようだ。
ただ、「指示があるまで中を見るな」ということだったため、みんなカバンの中にそれをしまった。
オリエンテーリングまでまだ時間があるので、みんな講堂で待っていた。そこでもまた元E組みのみんなに会ってはしゃいだり。
「あと30分で始まります。トイレなどは早めに済ませてください」
「あー、トイレか」
そんなアナウンスが流れ、渚がそう呟いた。
「カルマ、トイレってどこか分かる?」
「あー、確か事務室の近くが一番近かったと思うよー」
「ええと、事務室ってどこだっけ?」
そんなわけで、渚はトイレに行ったのだが…
「…そーいやなんでカルマってあんなにこの学校のこと詳しいんだろ…」
そう思いつつ、トイレをすませて講堂に帰ろうとした。
が…
「…どこ?ここ…」
講堂に戻ろうとしたのはいいが……全く知らない場所に行った。
簡単に言えば迷った。
この際だから断っておくが、渚は方向音痴ではない。
ただこの学校の仕組みが複雑なだけである。
「カルマも連れて来れば良かった…」
そう思い、カルマにヘルプを求めようとした。
すると…
「あれ?新入生?」
そんな声がして振り返ると、違う学校の制服を着た女子がいた。
多分彼女も新入生なのだろう。
「なんでここにいるの?講堂集合だと思うけど…」
「あぁ…迷っちゃって…」
「あー、結構複雑だもんね。この学校」
「ええと…何でここに?」
「私は理事長室に用があって」
…何で新入生なのに理事長室?
そう思ったけど…なんか野暮な気がしたのでやめといた。
…あれ?なんか大事なこと忘れているような…
「あ!講堂!」
やばいっ…と慌てていた渚に…
「講堂なら向こうの突き当たりの階段登ったとこだよ」
「…ん?」
「こっちの階段からは講堂行けないんだよ。…まぁ普通知らないよね」
(何で知ってるの⁉︎君もカルマも‼︎)
でもあと15分くらいしかないので、急いで行かないと結構やばい。
「ええと、君は行かなくていいの?」
「私はトイレに行くから…」
「うん、わかった!ごめん、ありがと‼︎また会った時ちゃんとお礼するね‼︎」
そう言って渚は走り去った。
「…すぐに会えるんだけどな…」
そう呟いたその女の子の言葉は、誰も聞いていなかった。