1日目のプログラムが終わり、消灯まで後1時間弱。
その時、男子大部屋は…
「「「「「………………………」」」」」
ある種の沈黙に包まれていた。
そして、
「「「「「…………よし。
王様だーれだ‼︎」」」」」
「よっしぁあ!俺だ‼︎
じゃあ2番と10番はクラスで一番気になる子言え‼︎」(by前原)
「うっ…茅野…」(←2番 渚)
「…俺は速水…」(←10番 千葉)
「…まぁ、予想通りだな」
ここまで見ていたらわかるだろう。
これは王様ゲームである。
こうなったのは、大体10分ほど前に遡る…
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「みんな王様ゲームやろうぜ!」
「…なんでだ?前原?」
それは前原の一言から始まった。
そんな言葉に、磯貝が尋ねる。
それに前原は、
「一年ずっと一緒にいたこのメンツがまた一緒に部屋で一夜を過ごす!そしたら盛り上がるしかねぇだろ!」
「…で、なんで王様ゲーム?」
「ここには女子がいない…だからそんな変な命令はできない…だがしかぁし!」
ここで前原が床をバンバンと叩いた。
………前原ってこんなキャラだったっけ…?
そんなみんなの疑問をよそに、前原は言葉を続けた。
「女子がいないからこそできる話もあるだろう⁉︎だったらこの機会にしようと思わないか?」
そんな前原の言葉に、岡島が答えた。
「いいじゃんか。おもしろそーだし」
「だろ⁉︎岡島‼︎」
…まぁ、王様ゲームくらいなら…女子もいないし。
「んー…じゃあ俺も」
「俺も」
「僕も…しよっかな?」
「…みんながやるんだったら俺も」
岡島の声を皮切りに、みんなもやる、と言い始めた。
そして…今に至るわけだが…
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「「「「「王様だーれだ‼︎」」」」」
「あ、僕だ」
(((((やっとまともなのが来た‼︎)))))
言わずもがな、渚である。そして命令は…
「えっと…じゃあ12番の人は、一階の購買まで行ってなんかみんなでつまめるもの買ってきて」
「あっ、そっち系?」
「あー…分かった。買ってくるわ。」(←12番 木村)
「いや、木村かよ⁉︎」
ここでなんで木村が来るんだ…とみんなが嘆いてる間に木村が帰ってきた…って
「はえーな、おい!」
「いや、なんでだよ⁉︎」
と、そこへ…
「みんな〜業務連ら…ん?なんかおもしろそうなのやってんじゃん」
カルマである。
「お、カルマおかえり」
「え?何?王様ゲーム?」
「そうだけど…お前もするか?」
「あったりまえじゃん」
…この時点でほとんどみんなが
(((((…わぁ…カルマか…)))))
嫌ぁな予感はしていたのだ…
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「王様だーれだ!」
「あっ、俺だ」(byカルマ)
(((((ゲッ‼︎)))))
「んーじゃあ2番と5番と10番と12番の人はこのサンドイッチどーぞー」
…なんでそんなに準備よくサンドイッチがあるのか不思議だが、何しろ王様の命令は絶対だ。
2番と5番と10番と12番だった4人……渚、岡島、寺坂、前原はそのサンドイッチに手を伸ばした。
と、そこでカルマが口を開く。
「ちなみにこの中の一つに佳奈が作ったやつあるから〜」
……………………………………………
ピタっと4人の動きが止まった。
そんな微妙な空気の中、渚が口を開く。
「ええと…カルマ?気のせいかな?今『この中に一つ柊さんが作ったサンドイッチがある』って聞こえたんだけど…」
「うーん、残念だけど気のせいじゃないね」
………………………………うん
((((どれだ⁉︎どれが柊(さん)が作ったやつだ⁉︎))))
(((((よかった!番号当たらなくて‼︎)))))
思い思いに、みんなはその状況を見ていた。
それの様子を、カルマは楽しそうに眺めている。
「いやぁ。みんな必死だね〜」
「まぁ、生死かかってるしな…」
「生死って…」
確認だけど、これ王様ゲームだよな……と番号が当たらなかったみんなは思った。
「よし。俺はこれに決めた」
そう言って、寺坂は一つのサンドイッチを手に取った。
それを皮切りに、岡島、渚、前原と順にサンドイッチを取っていった。
「よーし。じゃあ『せーの』で行こうか」
「OK。じゃ、せーの」
その声で、四人は手にしたサンドイッチを口にした。
瞬間。トイレに走るものが一人。
「…………………寺坂。ご愁傷様………」
(((よかった!本当に‼︎)))
そんなことを考えつつ、岡島が
「っていうか…不味いの来ること覚悟で行ったからさ……このサンドイッチうめぇ…」
その言葉に、他の二人も無言で頷く。
そして、渚がカルマに質問を投げかける。
「…ちなみに誰が作ったの?」
「ん?俺」
「カルマかよ…」
「いいじゃん佳奈の料理食べるよりは」
「そうだな(断言)」
※ちなみにそれから寺坂は、しばらくトイレから出てくることはなかったようです。
「王様だーれだ!」
「よっっっっしぁ‼︎俺の時代が来たぞ!俺の時代が‼︎」(by岡島)
「岡島、うるさい」
「いいだろーが!よし、じゃあ5番は好きな奴の名前言え‼︎」
「いない。次」(←5番 カルマ)
「なんだ、カル…って嘘つけぇ‼︎」
そんな岡島に、カルマは訝しい表情を見せた。
「はぁ?嘘じゃないけど?」
「ふふん。俺はわかってるぞ、カルマ。
お前、柊のこと好きだろ?」
「あっ、それ俺も気になってた」
そんな岡島と前原の言葉に、カルマは
「…どこをどうやったらそんなバカみたいな考えが出てくるか気になるよね〜…なんならもう一回サンドイッチ食べる?次は佳奈特製のやつ」
「「…あっ、うん…スミマセン…」」
男子全員が、絶対にこの二人をいじってはいけないと悟った瞬間である。
「王様だーれだ‼︎」
「あっ。俺だ」(byカルマ)
(((((またかよ‼︎)))))
実質3連続である。
そんなことを御構い無しに、カルマは命令を続けた。
「はい、じゃあ13番の人は、初恋のエピソード言って」
「初恋か〜」
ここに来て、王様ゲームの王道が来た。
と、そこへ…
「なぁ、カルマ。俺ちょっとトイレ行ってくるわ」
前原である。
そんな前原の言葉にカルマは、
「ん、どーぞー。
って言うと思う?」
今にも部屋から出ようとしていた前原は、ピタっと足を止めた。
それを確認して、カルマが言葉を続ける。
「ねぇ、前原。トイレは行っていいから、その前に番号見せよっか?」
………………………………………
一瞬の沈黙のあと、前原は全力疾走で部屋から出て行った。
それを見たカルマは、
「木村」
「オーケー」
のちに渚が語るには、この時のカルマはみんなにとっては不幸の前兆でしかない
〜数分後〜
「はい、確保」
「さっすが木村。仕事が早い」
「あんまり広い旅館じゃないしな」
「お前らぁ!」
そんな様子の前原に、カルマが話しかける。
「はい、じゃあ前原。どーぞ」
「いや…別に俺13番じゃねぇし…」
「だったら逃げる必要ないよね?」
「…今まで初恋とかしたことないし…」
「初恋がまだの人間があんなに全力疾走で逃げたりしない」
「お…覚えてねぇんだよ!いつが初恋だったかとか…ほら、俺自分で言うのもなんだけどチャラ男だし?」
「繰り返して言うよ?
初恋覚えてないと、普通あんなに全力疾走で逃げない」
完全論破である。いや……この場合は自爆したという表現の方が正しいか…?
「ほら、早く言って」
「却下断る」
「王様の命令はー?」
「絶対じゃねぇぞ!フランス革命だって、王様の命令に逆らったからできたことで…」
「それは現実こっちはゲーム」
「ゲームが現実よりシビアであってたまるか‼︎」
「そもそもこれ始めたの前原なんだよね?言い出しっぺが何ゲームに逆らってんの?」
「別に…何がダメなんだよ!」
「ダメに決まってるでしょ?はい、早く言って」
「断固断る」
「へぇ〜そっかそっか。じゃあ…」
そういったかと思うと、カルマは別の人に視線を変えた。
「磯貝、教えて」
「了解。えっと、確か中1の時だっけ?」
「ちょ…磯貝⁉︎」
まさか磯貝までもが乗ってくるとは思わなかったのだろう。
そんな焦りの声が聞こえてきた。
「へぇ〜詳しく」
「確か振られたんだっけ?その女の子から」
「待て!俺は振られてねぇ!」
「でも実質振られたようなもんだろ。だって目の前でさ…」
「だー‼︎わかった‼︎自分で言うから、磯貝ちょっと黙れ‼︎」
そんな前原の言葉に、
「磯貝。ナイス」
カルマは磯貝に親指を立てていた。
【あとがき】
《お題:柊のサンドイッチについて》
渚「…ちなみにさ、カルマ。さっきの柊さんのサンドイッチ、どこで…?」
カルマ「ん?さっきした爆弾ゲームの罰ゲーム」
寺坂「待て、コラ‼︎意味分かんねぇ‼︎」
カルマ「さっきの罰ゲームで、佳奈にはサンドイッチ作ること、殺せんせーには材料買ってくることを言ったんだよね〜」
前原「考えることがエグいな、おい…」
次回は前原の初恋談ですかね?