前半は前原sideです。
「あっ!前原君!明日新体操部、見に来てくれない?」
確かあれは…中1の夏だったと思う。
クラスの女子に、そんな頼みを受けた。
フツーに可愛い女子だったと記憶している。
名前は…確か『ミナ』ちゃん。
たまたま次の日は部活が早くに終わる日だった。
「新体操」というものに興味もあったし、当時チャラ男じゃないにしろ『女の子の誘いを断ること』は正直頭の片隅にもなかった。(多分姉貴たちの影響)
だから部活が終わった後、何気なく…本当に何気なく新体操部の部屋にふらっと立ち寄った。
どうやら大会が近かったようで、何人も練習をしている人がいた。
団体で練習している人。個人で練習している人。
…少し見ただけで、個人でやっている人は入って間もない一年生(つまり同級生)が多いことがわかった。
(へー新体操って言っても以外といろんな道具使ってんだな。リボンだけだと思ってた)
少し挨拶したら帰ろうか…そう考えて、『ミナ』ちゃんを探した。
と、その時。
ちょうど目線の先で、今にも演技をしそうな、リボンを持っていた女の子がいた。
個人みたいだったから、多分同級生だろう。
次の瞬間、
その女の子が、リボンを空中に投げた。
それも演技の一部なのだろう。
その女の子は、一回周ってさっき投げたリボンに手を伸ばした。
しかし、すんでのところで落ちてしまう。
その女の子はその時、悔しそうな表情を浮かべた。
その時、俺が思っていたのは「あー惜しい……」とかではなく…
「…すげぇ!」
思ったことが思わず声に出てしまった。
女の子が気づいてこっちを向くほどに。
でも俺はそんなことも御構い無しに、言葉を続けた。
「すげぇ綺麗だった!新体操って初めて見たけど、こんなに綺麗なんだな‼︎」
今考えてみると、その子はかなりびっくりした表情を浮かべていたように思う。
その後、『ミナ』ちゃんに連れられ、こう言われた。
「そうだ!前原君さ…この日曜日って予定ある?」
「ん?特にないけど?」
「そうなんだ!よかった!だったら日曜日の大会見に来てくれないかなぁ…?」
日曜日か…と思った。
正直一週間に一度の休みだ。
本当なら家でダラダラしてたいのだが…
多分あの子も出るよな…
そんな思いから、
「うんいいよ」
そんな言葉が口から出てきた。
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そして迎えた大会の日。
どうやら一年でも新体操を入学前からやっている子も多かったようで、椚ヶ丘からと個人での入賞が多かった。
そして個人の部で優勝したのは…『ミナ』ちゃんだった。
表彰式のあと、『ミナ』ちゃんは俺の方に駆け寄ってきた。
「ねぇ!前原君‼︎見てた?」
「うん?ああ、見てたよ」
「ほんと!うれしい‼︎」
そんなことを話していると、あの女の子と目があった。
その子は…その子のことはずっと見ていたが、残念ながら入賞の出来なかった。
失敗はしていなかったと思うんだけどな…
そんだけ新体操って厳しいのか…と思っていたところだった。
すると、その子がこちらに歩いてきて…
そしてこう言った。
「前原君。
………………ミナちゃんをよろしくね」
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「そんでそのあと『ミナ』ちゃんに告られて、断りづらくなったから付き合うようになった…って感じだよ。なんかある?」
自分の初恋話を終えた前原は、そんな質問をした。
それに、岡島が言う。
「その子の名前は?」
「知らない…ってか聞くの忘れてた」
「おいおい……で、どんな子だったんだよ?」
「ええと…団子頭だったな。まぁ、新体操してるからだろうけど」
「顔は?」
「んーと…結構可愛かったと…」
「へぇ」
「っていうか、そこまで印象残ってんだったら普通、学校であった時に気づくだろ」
そんなことを言った吉田に、前原が答えた。
「それが会わなかったんだよ。それから。あとで新体操部行ったんだけど、その時やめててさ…」
「ふーん」
そんな中、
「要は誤解されたってことでしょ?その子に『誤解だ』って言えばよかったって思うの俺だけ?」
そんな質問をしたのは…
「…じゃあ逆にカルマはできるのかよ…」
「俺はできるよ。っていうかするね」
「絶対に嘘だ。思ってるより難しいぞ。その状況でいうの」
「っていうかさ、純粋に聞いたらいいんじゃない?知ってそうな人に」
「ん?…やぁ、俺知ってそうな子、誰も知らないし…」
「いるじゃん一人。新体操部とつながりありそうで、知り合い多そうな奴」
「は?誰だよ?」
「待って〜今から電話する」
(カルマが番号知ってるってことは、絶対にうちのクラスの子だな…)
それに気づいたのは何人いるのか。
そして、カルマは「ある人物」に電話をかけた。
「あ、もしもし?
岡野?」
「ちょっ⁉︎カルマ!!!?」
「実はさ〜ちょっと今岡野に聞きたいことあるんだけど、」
「カルマ!マジでやめろ‼︎今すぐやめろ‼︎」
「あーごめん。ちょっと待ってて」
そして、
「磯貝、木村。ちょっとそこのうるさい人抑えててくれる?」
「「りょーかい」」
「なんでだよ⁉︎」
そんな前原の声虚しく、カルマはそのまま話を続けた。
「やぁ〜ごめんごめん。でさ、ちょっと岡野に聞きたいことあるんだけどさ、実はこっちで王様ゲームやってて、俺が王様になったわけ。
それで『初恋のエピソード言って』って言ったんだけどさ、当たったのが前原で、あいつ『覚えてない』って言ってさ」
(((((あ…前原死んだな…)))))
まぁ、確かに本当のことは話せないけどさ…と、みんなは思う。
とりあえずドンマイ、前原。
「それで命令変えたの。『じゃあお前の初めての彼女のエピソード言って』って。そしたら話してくれたんだけど、なんか二人がくっつくの手伝ってくれた女の子がいたらしくって。『その女の子と仲良くね』みたいに?で後日お礼言いたくて後でその子の部活行ったけど、もうやめちゃってたみたいで。
ちなみに新体操部だったらしいんだけどさ、なんかその子について知らない?元体操部として」
そのあと、少しカルマは黙った。
そして…
「ふーん。そうなんだ。やぁ、ごめんねー。こんなこと聞いて。
…うん、じゃあまた明日ね〜」
そしてカルマは電話を切り、
「わからないってさ」
「あっ…そうか…」
そう言って、前原は少しほっとした表情を浮かべた。
そんな中、カルマが口を開く。
「…前原はさ、初恋の女の子わかったら、その子のこと好きになるの?」
「……は?」
意味わかんね…という表情を浮かべる前原に、カルマは「早く答えて」と促す。
「やぁ、別に…俺的にはもう終わった話だし、『また会えたらいいな〜』くらいにしか思ってねぇよ」
「ふーん、そっか」
まっ、とカルマはつぶやく。
「それ以上の詮索はやめとくよ。金欠タコのノートのページ減っちゃうし」
……………………ん?
その瞬間、みんなは一斉に襖の方に振り向いた。
そこでみんなが見たのは…
静かに襖を閉める…殺せんせーの姿だった…
………
そんな短い沈黙のあと、
「おい、みんな。ちょっと殺りに行くぞ」
「いや…被害者前原だけだろ?」
だったらなぁ…と呟くみんなに、カルマが言う。
「ちなみにさ、
俺がこの部屋入る前からあのせんせーいたから」
………うん。
「突っ込みたいことはいろいろあるが、とりあえず今はあのタコ追うぞ‼︎」
「あっ!こんなとこにいた!」
「こっちにいたぞ!殺れ‼︎」
「ニュア⁉︎はさみ打ちに⁉︎」
「……結局は暗殺になるんだね…」
「…うん…だね」
そんな様子を見た渚と茅野が呟いた。
「いや〜っていうかまだ1日目だけど楽しかった〜今から明日のカレー作り楽しみだもん」
「うん、そうだね」
「佳奈にはちゃんと別のことしてもらうしね」
そんなカルマの言葉に、渚が問いかける。
「…違うことって?」
「ん?それは明日のお楽しみで」
「怖いよ⁉︎さっきのサンドイッチもあったし‼︎」
「あぁ、そこは大丈夫。みんなには多分被害ないから」
「その多分ちょっと怖いかな!?」
しっかし、とカルマはつぶやいた。
「なんだかんだ言って、やっぱり楽しいよね。気兼ねなくいろんなことできるしさ」
「…何でだろうね。カルマが言うと、別の意味に聞こえる…」
「ん?気のせいじゃない?」
「あー…うん。そう…」
(絶対に違う…)
という思いは心の中にとどめた。
「まぁ、なんだかんだ言って、またみんなで一緒に旅行?みたいなの出来てるわけだしさ。このメンバーで旅行とか、フツーに楽しいじゃん?」
「うん、そうだね」
そんな空気の中、みんなの野外活動1日目は幕を閉じたのだった…
【あとがき】
前原「で、なんでカルマは殺せんせーいるってわかってて言わなかったんだよ?」
カルマ「ん?…ああ!あれ嘘だよ」
一同「なんでそんな意味不明な嘘ついたんだよ⁉︎」
野外活動編はおそらく次で終わりだと思います。
一泊二日なんでね。
ちなみにものすごいネタ回ですね。
感想を書いて頂いたらモチベ上がります。
ぜひよろしくお願いします!!