思ったよりリアルが忙しいんです、だから許して下さいいいぃぃぃ!!!
はいwすいませんでした。さて今回ですが5000字超えですので頑張ってください。
ヘカトンケイル襲撃から2週間程経ったある日、戦闘で重傷を負ったノアの病室。ここには悠、イリス、リーザがいた。ちなみにノアは自分ではもう回復したと言っており、傷口も痕ははっきりと残ってはいるが何の支障もない様にしていた。実際何も無いのだが医者からあそこまでの重傷がたったの2週間程度で完治するはずがない。という事で念のため未だ病室生活を送っているのである。
そして備え付けのテレビから最優先して放送されるドラゴンとそれが起こす竜災についてのニュースが流れてきた。
内容はバジリスクが海を渡り始めたとの事。しかしバジリスクの体の構造上海を渡るのは難しいと考えられていたが、誰もが予想しなかった方法で海を渡り始める。
それは海を塩に変えてそこを歩いて移動しているのだ。冷ゆでもなければ冗談でも無い。映像やニュースキャスター、テロップでも本当にバジリスクが海を塩に変えて移動していると告げた。
「嘘だろ・・・・?」
「へー、これってやばくね?」
唐突にテレビを見ていた3人の後ろからベッドで寝ていたはずのノアが他人事のように言葉を漏らしていた。
「お兄ちゃん!ちゃんとベッドで寝てないといけないよ!」
「そうですわよ!貴方はまだ怪我人なのですから安静にしなさい!」
「え、ちょ、ちょっと待って。そんな乱暴にしないで!」
イリスとリーザの2人が心配しているような言葉を発し、ノアを強引にベッドに押しもどす。
「はぁ・・・もう大丈夫って言ってんのに・・・」
強引にベッドに押しもどされたノアは憂鬱そうにため息混じりのつぶやきを漏らす。
「というかお前ら、こうなったらどうせ集会でもあるだろ。行かなくて良いのか?ここからは“かなり距離がある”と思うが?」
「「「あっ・・・・・」」」
「分かってなかったのかよ・・・」
「い、いや?俺はちゃんと考えてたぞ?ただちょっとこの事で頭がいっぱいになってただけで・・・」
「同じ事だ。」
「わ、私もだよ?ちょっと朝ごはん食べたいな〜なんて思ってて・・・」
「関係無い。」
「わ、わたくしははそろそろその話を切り出そうとしていたところですわよ?」
「言わなかったら何も意味が無い。」
「「「すいませんでした・・・・」」」
そう言い、そそくさと3人は病室を後にする。ノアが言っていたかなりの距離があるというのは、彼はもちろん治療の為にここにいるのだが実質はこれを口実にノアの左腕を調べるためである。
結果は何の成果も得られなかった、というのが正しいだろう。調べたところ、ノアの左腕は神経は通ってはいるが血も通っておらず皮膚や肉の部分はこの世界には存在しないような未知の物質である事が分かった。ノアは物質変換で大概の物は作られるがこれだけは幾ら再現しようとも出来なかった。
そしてリーザ、ティアが目撃したノアの変貌は2人が何も話さなかったのか一切触れられなかった。
あんな羽が生え、鉤爪や触手もある姿を正直に話しても、信じてはもらえない、またはノアが実験材料にされる。そう判断したリーザはティアにあの事は話さないよう伝えておいた。
こういった理由からノアは治療という名目で隔離されていた。そんな状況に悪態をつきながらノアはまた狭い病室で1日を過ごした。
〜*〜
ノアの言う通りにグラウンドにて全校集会が行われた。内容としては今朝に4人が聞いたニュースと同じような内容といつもの深月による激励だった。だがむしろ大事なのはその後に行われたホームルームだった。
集会の後で誰も仕切る人がおらずガヤガヤとしている教室。そんな所に仕事が終わったのか深月が入ってくる。
「みなさん、席について下さい。まだホームルームは終わっていませんので少しお知らせをさせて頂きます。
今作戦では我々ブリュンヒルデ教室が中心になる予定です。おそらくほぼ全員が選抜されるだろうという事で一足早く作戦の概要を説明しておきます。」
ほぼ全員という事に悠がすこし疑問を覚えた顔をするが口を挟まずに深月の話を聞く。
「バジリスクは瞳から放つ赤色の閃光で、見つめた物を石や塵、塩へと変えてしまいます。射程は5000メートル近くあり、直接相対する事は出来ません。視線を遮るものが必要となります。けれど海上では遮蔽物は皆無。そこでミッドガルはバジリスクを近海の無人島へ誘導、その島ごとバジリスクを吹き飛ばす作戦が有効と判断しました。」
その話の中でアリエラが何か疑問を持ったのか挙手し質問する。
「バジリスクを誘導するって、どうするんだい?」
「ティアさんをその島へ一時的に移送します。そうすればバジリスクから見初められているティアさんを求めて向かって来てくれるでしょう。もちろんティアさんは退避させますが。」
「ふうん、それなら何とかなりそうだね。」
「・・・島がバジリスクに見られた時点で消し飛ぶ可能性はないの?」
「これまでのデータによりますと、バジリスクは進行の邪魔になる木々などを塵にする事はあっても、地形を変えたりはしてはいません。というより、バジリスクの閃光を浴びても大地に変化はあまりなかった、と表現する方が正しいですが。」
このような質疑応答が続き最終的には悠が置いていかれるかもしれないという話に発展したがその後の悠が作り出したアンチグラビティの生成を検査される事になった。
〜*〜
地下の演習場、ここで悠のアンチグラビティの検査が始められていた。ノア達が特訓で使っていた殺風景な第3演習場とは違い、壁には様々な精密機械が埋め込まれている。そして天井近くには大きなガラス窓があり、その中では白衣を着た女性が忙しなく動いており、データを解析するモニター室だと悠は想像する。
そして一通りの検査が終わり、彼は壁に背を預け座り込む。
「もう限界だな・・・・」
「ご苦労だった、物部悠。協力に感謝する。」
疲れ果てている悠を労いつつ篠宮先生は手にした端末の画面に視線を落とす。
「竜伐隊の件は・・・・どうなりましたか?」
「結論を急ぐな。まだデータの分析が終わっていない。
だが私個人としては連れて行って損は無いとは感じているよ。あの斥力場は物理防壁に頼らない防御手段となり得るからな。」
その後深月と少し話を交わしていると気になる話題へとたどり着く。
「な、なあ深月。何で俺はアンチグラビティが使えるようになったんだろうな?」
「さ、さあ?兄さんに分からないのなら私に分かるわけが無いじゃないですか。ただ・・・私の時と同じなのかもしれませんね。」
「深月の時と?」
どういうことかが理解できず問い返すと別の声が割って入る。
「____ドラゴンの能力を模倣したのは、そなたが初めてではないという事だ。」
「学園長にマイカさん・・・それに、」
「ノアさん!?何で此処に・・・・」
「私がもう問題は無いと判断し、連れてきたのだ。それに、聞きたい事もあったしの。」
「聞きたい事?」
「気にするな。所でおぬし、先ほどの様子だとDがミスリルや反物質をつくれるようになったキッカケも知らぬようだな。」
「キッカケ・・・ですか?確かに聞いた事はないですけど。」
「そもそもミスリルや反物質も、最初は誰1人として作る事が出来なかったのだ。だが、紫のクラーケンと交戦したDの中にクラーケンの反物質弾を真似る者がおったのだ。」
「それって・・・」
此処まで聞くと先の同じという発言に合点がいったのか悠は深月を見る。
「ああ、そなたの妹の事だ。」
「深月、本当か?」
「ええ、私はクラーケンの反物質弾を本当に何となくで真似る事が出来てしまったんです。」
「つまりは悠、そなたがアンチグラビティの能力が使えるようになったのも、リヴァイアサンとの交戦か討伐した事がトリガーとなった可能性は高い。
まぁどうしてそんな事になるのかという根本の理由は全く、分からんがな。因みに、このノアは別物だが。」
「そこが肝心なのでは・・・それにノアが別物って・・・」
「そう言うな。いずれ分かるさ。それに前例があるだけ安心は出来よう。特別であると驕ることも、異端であると怯えることもせずに済む。」
「まあ、確かに・・・」
そう言い学園長はマイカと一緒に帰ろうとする。だが歩いている途中足を止め、語りかけてくる。
因みにノアは明日から復帰となった。
「今、思い至ったがそもそもD全員がヴリトラの能力を盗みとった人間だと言えるではないか。くくっ、ドラゴン共からすれば、人間は自分たちの“特権”を次々と取り上げる、恐るべき略奪者かもしれんな。
ノア、おぬしもだ。」
学園長は愉快に笑い話を続ける。
「遠慮など要らぬ。バジリスクからも何か奪える物があれば奪ってくるがいい。そなた達はドラゴンの獲物ではなく、狩る側の者なのだから________」
一風変わった鼓舞を送り、去っていく学園長。その小柄な体には似合わぬ迫力がそこにはあった。
そして時々出てくる、学園長の言葉にあったノアの事で悠と深月はノアに質問攻めをする。それをうまく煙に巻きながら、彼は学園長との話を思い出した。
〜*〜
学園長室(仮)。ここにはノアとマイカ、そして治療を受けていた彼を連れ出した張本人、シャルロットがいた。
シャルロットは机に座り、ノアはその正面、マイカは机の横にいた。
『さて、おぬしを連れ出したのはもう治療は必要無いと判断したから、そして________聞きたい事があるからだ。』
『何となく察しはつきますが何でしょう?』
『それでは単刀直入に聞くぞ。ノア・フレイア、おぬしの中には“何”がおる?』
『詳しくは分かりません・・・ですけど分かってる事は、"コレ”はドラゴンなんかよりよっぽど危険だという事です。ですよね?』
『私にも分かってる事は少ないがその考えは正しい。
そしておぬし、リーザという者から聞いたが先のヘカトンケイル襲撃に伴いこのミッドガルに侵入したキーリ・スルト・ムスプルヘイムとの交戦で何をした?』
『リーザの奴・・・話したのか・・・』
『安心せい。あの娘は私にだけ話した。それにおぬしには何もしないという条件付きでな。感謝するがいい。』
『リーザに、ですけどね。
____正直キーリと戦っていた時の事は殆ど記憶にありません。あまりに実力に差がありすぎて、このザマですよ。』
『しょうがあるまい。かなり奴は手強い。恐らくモノノベユウの全力を尽くしてもそれなりには手こずるであろう。』
『あの悠が・・・ですか?』
『あぁ、それだけの手練れという事だ。それで、本題に戻るがリーザから聞いた情報によると、おぬしはキーリの一撃で倒れた後、急に意識が戻ってもいないのに体が動き出し、そればかりか変貌したとの事だ。』
『そう・・・だったんですか・・・それで、その後どうなったんですか?』
『その後はそれはそれは悲惨だったそうだ。一気に形勢逆転、キーリは重傷を負い逃走したらしい。
それでおぬしのその左腕、そして今回の変貌だが________おぬしは“具現体”と呼ばれる者だ。』
『具現体・・・ですか。』
『そうだ。具現体とはこの世ならざる者達、我々が普通に生活していれば知られる事の無い怪物達だ。そして具現体にはその怪物が宿る。といっても正確にはその“意思”だがな。その怪物は宿主に力や知識を与える。』
『え、それは普通にいい事では________』
『さっき申しただろう。怪物はこの世ならざる者達、そんな得体の知れない物に普通の宿主は耐えられない。そして精神が限界に達した瞬間。そこを狙い体を乗っ取り宿主本人となり変わるのだ。
さらにはいずれ自分本来の姿で復活するためにな。』
自分の中にそんな得体の知れない物がいる事を知り、ノアは心底恐怖する。その怪物に負けた時自分はどうなるのだろうかと。そして周りのイリスや悠達に害は無いかと。
そんなノアの心理も把握しているだろうがシャルロットは話を続ける。
『ノア、おぬしの中には普通の具現体とは違う、“大物”が潜んでおる。普通ならば復活されても然程問題では無いのだがおぬしの物は違う。復活されたら手のつけようが無い、そのまま人類を、地球を気まぐれで滅ぼしてしまえるような物だ。しかもおぬし、その左腕といい今回の暴走といいかなり出てきておるな。』
『どうすれば・・・抑えられますか?』
『分からぬ。だがその力にはあまり頼らぬ事だ。おぬしがその力を使うたびにおぬしの正気はすり減らされいずれ復活してしまう。
決して・・・・怪物に屈するなよ。』
『自信はありませんが・・・分かってはいますよ。』
『ならば良い。』
こうしてノアは自分の危険性をシャルロットから説明され改めて理解した。
ありがとうございました!
今回はこれまで何回か出てきた具現体の説明でしたがいかがでしたでしょうか?
後、ギャグ回は先延ばしにして3巻の分もまとめてやってしまいたいと思います。
それではまた次回!