【完結】1人の男として、兄として。そして___   作:千倉

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なるべく速く投稿するといったな_____あれは嘘だ。
すいません!いろいろ調べてたらあっという間に時間が過ぎていてですね・・・・

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erumesさん、あつぼーさん、ありがとうございます!

誤字、または呼ばれてねぇぞこの野郎という方がおりましたらコメントお願いします。


悪夢

樹海へと落下していくノア。

それを見つけると一瞬の躊躇いも無くアリエラが全速力で空気を生成し、飛んで行こうとする。

しかし、少し進んだ時点でノアが生成した空気防壁に弾かれてしまう。

 

「来る・・・な、死ぬぞっ・・・!」

 

掠れた声だったが彼からの警告を聞き、アリエラは一瞬だけ動きを止める。しかし次の瞬間からはノアの空気防壁を同じ生成量での空気で相殺、再び彼を追い始めた。

彼女は突然信じられ無いものを目にする。

ノアの漆黒で硬質的な左腕が輪郭を揺らげ、少しだが確実に膨張したのだ。

 

(!?左腕が_____膨らんだ?もしかして・・・この前ノアくんが話してた具現体が復活するって事なのか!?)

 

あの夜_____告白したあの日にノアが話していた事を思い出し、戦慄する。このままだと彼は死ぬ、そう感じたからだ。

 

〜*〜

 

静かな夜の浜辺、互いの想いを打ち明けた2人は共に座っていた。何も言わなかったがこれで良いと思っていた。しかし、何やら難しい顔をしていたノアが話を切り出す。

 

「アリエラ・・・ちょっと良いか?」

「どうしたんだい、改まって?」

 

あまり見た事の無いノアの真剣な表情に何事だろうと彼女はこれから彼が話す事に耳を傾ける。

 

「キーリに襲撃された日・・・覚えてるか?後、俺がリヴァイアサンに左腕を落とされた事も。」

「う、うん・・・覚えてるよ。それが_____どうかしたの?」

「キーリは俺が撃退したって事にはなっているが正直なところ_____その時の記憶が・・・無いんだ。」

「え__________」

 

彼から告げられた言葉に動揺を隠せないアリエラ。しかしこのまま話さないと辛くなると判断したのか構わず彼は話を続ける。

 

「リヴァイアサンの時もあの力が使えるようになったのは・・・無意識なんかじゃあ無いんだ。俺の中の怪物_____そいつから贈られた物だ。それにこの左腕も多分・・・復活する為の媒体だ。それで、学園長から聞いたところによると俺は・・・具現体と言われる存在らしい。」

「そ、それならキミは_____!」

「ああ、今の俺は・・・人外の化物だ。卑怯_____だよな、互いに好きって言った後にこうやって嫌われるような事を言うんだから。」

 

今にも消えてしまいそうな儚く薄い笑みを浮かべるノア。

しかし、彼の手をアリエラが必死に離れないように、消えてしまわないように掴む。

 

「・・・アリエラ?どうしたんだ、急に。」

 

彼は少しだけ涙で潤んだ目をゆっくりとアリエラに向ける。彼女の表情は夜と下を向いていて何も分からない。

だがゆっくりと話し出す。

 

「・・・それ以上そっちに_____暗い場所に行かないでよ・・・消えようとしないで。ボクは何があろうと_____ノア・フレイアくんが大好きなんだから。人外の化物なんかじゃあ無いよ?ボク達と同じDで人間なんだ。それにキミは言ったよね、自分を無下にするなって。今のキミはまさしく自分を無下にしている。だからそんな事_______言わないでよ・・・・!」

 

必死に絞り出した彼女の涙混じりの声。それを聞き、何かに気がついたのか涙を流しつつも先程とは打って変わった頼もしい微笑みを浮かべる。

 

「ほら・・・こうやって涙を流せるんだ。キミは_______人間だよ。」

「!・・・ありがとうっ・・・ありがとうっ・・・!!」

 

必死に嚙み殺してきた恐怖と自分への嫌悪感がアリエラの一言で一気に解放される。礼の言葉を嗚咽のせいで途切れ途切れになるが彼女にしっかりと伝える。そんな彼を身長差もあってかぎこちなくアリエラは抱擁する。

流れ出てくる涙も止められずただ、彼女の暖かさを感じながら、彼も彼女と同じように泣いていた_______

 

〜*〜

 

うっすらとした意識だったが空気生成により何とか落下死だけは避けられたノア。しかし、少なからずの衝撃はありそれで立てなくなっていた。

アリエラがノアの元へと辿り着いた時には膨張を続けていた左腕は既に5メートル程の大きさまでに膨れ上がり、もはや原型を留めていなかった。

 

そこでとうとう彼の意識は耐えきれなく、途切れてしまう。

 

瞬間、これまでノアが抑えつけてきたのかまるでリミッターが外れたかのように先程とは比べ物にならないような速度で膨張していく。

周りの天気は一転して、快晴から土砂降りの雨にいつなってもおかしく無いような曇天になる。

左腕がどんどんと膨張し、形を作っていく。それは、ノアの中に潜んでいた怪物。彼はこれまでに使ってきた魔術の所為で精神を蝕まれ、今回のレールガンが直撃した事による物理的なダメージで弱り切っていた。そこを怪物が見逃す訳もなく復活しようとしていた。

左腕が5000メートルはあるユグドラシル程とはいかなかったが十二分に大きい、山のようなサイズまで膨張するとそこで成長が止まる。

そして、どんどんと体の様々な部分が球状のグロテスクな肉塊から現れる。

何処となく人間を模したような手足、ただしサイズは大きいなどという言葉では表現できないような物だった。手足の先には3本ずつ鉤爪が生えてくる。それは立っているだけで周りの地面を抉り、地形を変化させる。

そして背中に当たる部分からコウモリのような禍々しい翼が出現する。翼は忙しなく動いており、その一振りで小さな乱気流を発生させる。

次に頭の部分からはタコのような頭部に全てを恨んでいるような緋色の目、顎と口周りからは無数の触手が蠢いている。全身はうっすらと濡れたゴムのような触感の外皮に覆われており、体から垂れた謎の液体は周りの樹木に触れるとそれを一瞬で腐敗させてしまい、その怪物一帯は荒野となっていた。

そして、完全に復活する。太古にこの地球に降臨していた邪神であり、太平洋に沈んでいるとされるルルイエの中で眠りについているとされていたノアの中に潜んでいた怪物_________クトゥルフが復活する。

 

ユグドラシルがその存在を認識し、レールガンを放つ。クトゥルフの外皮にある程度は突き刺さり、ダメージがあるようには見えた。しかし、次の瞬間には煙のような物が傷口から噴出し、その煙が消える頃にはその傷は跡形も無くなっていた。

そしてクトゥルフがユグドラシルの方向へと向き直る。

クトゥルフが腕を軽く一振りするとユグドラシルの幹は裂け、枝も全てが削ぎ落とされる。

本当に恐ろしかったのは次の瞬間だった。クトゥルフに破壊された樹木は黒色の塵となり地面に落ちていく。そして彼らの経験上またすぐに再生するだろうと思われた。しかし幾ら待とうとも幹どころか細かな枝も再生するような様子は無かった。

クトゥルフはその鉤爪で切りつけた部分を強制的に死なせる。付けられた傷は2度と癒える事は無い。

そしてユグドラシルの体をさらに細切れにしていく。

悠の頭の中にユグドラシルの無機質な声が薄っすらと生存する為の物が響く、だがティアの電磁障壁によりすぐさまシャットアウトされる。

 

ユグドラシルが、完璧に死んだ。クトゥルフに破壊し尽くされたのだ。

 

「な、何なんだ・・・あの怪物_____ユグドラシルを破壊してたが・・・」

「分かりませんわ・・・しかし、今の状況は最悪の一言で表せますわね・・・」

「へぇ_____ようやく出てきたのね。良く耐えたとは思うだけどね・・・あの宿主は。」

「キーリさん・・・?何か知っているのですか?」

「そうね、この際だからあなた達に教えてあげましょうか。あの怪物と具現体について。

まずあの怪物はクトゥルフ_______人間なんていつでも滅せるような邪神の一角。そしてクトゥルフが復活した理由は宿主・・・ノアって言うのかしら?彼が限界を迎えたから。必死に抑え込んでいた彼が弱り切ったのを機に復活したのよ。」

「そんな・・・クトゥルフって・・・物語の中だけじゃ無かったの?」

 

フィリルが何やらこれまで読んだ本でついた知識でクトゥルフに関する物があったのか驚きを露わにする。

 

「残念ながら_______居るのよ。この現実にね。ただしあなた達にからは目のつかないような影の世界でだけどね。

普通に生きていれば決して交わる事は無い、平行線の様なものなのよ。人間の世界とそれら神話生物の世界は。

だけどごく稀にどちらかが何らかの形でその世界に入りこんでしまう事があるの。今がその良い例ね。」

 

キーリから淡々と告げられた事実、それに対し悠達は何故そんなものが存在しているのかという疑問と、目の前の悪夢に対しての恐怖心しか覚えなかった_______

 

〜*〜

 

「ノアくん・・・っ!目を_______開けてよ・・・ノアくんっ!!」

 

左腕が無くなり、体から生きている感じを一切感じさせないノア。心臓は今にも止まりそうな程に弱々しくしか動いていない。そんなノアにアリエラは涙を流しながら必死に呼びかける。しかし、やはりと言っていいのか彼からの返事は一切返ってこなかった_________




ありがとうございました!
クトゥルフがチートすぎね?と思われる方がいらっしゃると思いますが私自身はこれ位でちょうどいいと思うんですけど、どうですかね?
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