【完結】1人の男として、兄として。そして___   作:千倉

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クトゥルフvsノアでほぼほぼ形成されております。
ですので他のキャラの出番が無いに等しいですがご了承ください。
それではどうぞ!




激闘

クトゥルフと戦う深月達。

しかし、途中で悠が連続した対竜兵装の生成による疲労と肩口の貫通している傷、足の大部分を覆うような裂傷からの失血で動けなくなっていた。

その彼を守る形で防衛戦をしていた。

リーザ、フィリル、レンの3人で触手の相手をしていた時よりも頭数が4人_____深月、イリス、ティア、キーリが加わってもかなり厳しい状況に変わりは無かった。

リーザ達は既に分かっていたが、クトゥルフの触手はユグドラシルの枝よりも耐久度が高く、その為か一撃一撃をほぼ全力の力を出さないと勝てない程だった。

しかも、それが連続して襲い掛かって来るのだ。

全員の生成量も限界に近く、疲労もピークに達してきた。7人の胸中に絶望が渦巻く。このまま自分達は死ぬのか、と。悠も自分が何もできない悔しさから奥歯を噛み締める。

 

(すまない・・・ノア、俺たちは耐えられそうに無い・・・)

 

悠の心が折れかける。するとそれを感じたかのように一本の触手が6人の間を縫うように迫ってくる。

ノアの魔術による防壁も少し前に被弾した時にバギンと言う音ともに消え去ってしまった。

 

 

今度こそ触手が悠を貫こうとする。

 

 

 

だが、またもそれは失敗に終わる。

突如として彼の眼前に差し出された右手。その手には札のような物も握られており、触手を鷲掴みにしたと思ったら次には黒色の炎がその札から上がり、触手を焼き切った。

 

「ようやく・・・来たか・・・何やってた?」

「悪いな悠。_____ちょっと死にかけててな!_____アリエラ、頼むぞ!」

「うん!任せて!」

 

アリエラに呼びかけるノア。それに応えるとアリエラはノアが使う“ヘキジを展開”した。

ここへ来るまでの間、せめて何も出来なくてもノアの足手まといにはなりたく無いと彼女が自分の意思を伝えると彼はこの術を教えた。彼なりに彼女の命を守る盾になるという意志を汲み取った選択だった。

 

「ア、アリエラさん・・・これは?」

「悪いね深月。でもね、ボク達じゃああの怪物_____クトゥルフには勝てない。キミも分かってるだろう?

そして勝てるとしたらノアくんしかない。だから、彼の足手まといにはなりたく無い、それにボクが自分の嫌いな弱い人になる事が嫌だったから。せめてノアくんの役に立とうとして、選んだ策がこれなんだ。分かって_____くれるかい?」

「確かに・・・悔しいですが、あのままでは私達は負けてました。彼に勝てる勝算があるのなら・・・それに全部賭けますよ。」

「ありがとう、所で・・・そこで寝てる物部クンの応急処置の1つでもしてあげたらどうだい?見たところ彼、死にかけてるみたいだけど。」

「あ、そうだった!大丈夫!?モノノベ!」

 

慌てて悠に駆け寄るイリス、すると失血で真っ白になった顔を見ると慌てて止血をしようとする。

ティアもそれに協力して何とかこれ以上血が失われる事態だけは回避した。

そこにキーリも割り込んでくる。

 

「ちょっとあなた達、退いてなさい。流石に足の傷は手に負えないけど肩の傷くらいなら・・・」

 

肩口の傷に手をかざすとそこにダークマターが生成され、それが悠の傷口に入ると彼の生体と同じものに変換される。すると、みるみる肩の傷は塞がっていきやがて、跡形も無くなった。

 

「これでいい加減起きないかしら?ユウ、起きなさいよ。」

 

キーリが呼びかけつつ、彼の頬をペチペチと叩くと相変わらず失血で真っ白になった顔だったが何とか意識が戻ったのか小さな呼吸音にも似た声を漏らす。

 

「うっ・・・・」

「お兄ちゃん!!」

「モノノベ!!」

 

イリスとレンの声が重なる。

余程心配だったのか声が重なった事など気にする素振りも見せず彼に呼びかける。

未だに弱りきっている事に変わりは無いがなんとか死ぬのは免れたようだと2人は安堵する。

その様子を見ていた深月やリーザ達も彼は大丈夫だと察して喜んでいた_______

 

〜*〜

 

アリエラのヘキジの外側、そこではノアとクトゥルフが対峙していた。

両者睨み合って動こうとはしなかった。この状況、幾らノアが自分と同じ魔術が使えるとはいえ、使える回数には一応限界があるノアとほぼほぼ無制限なクトゥルフ、そんな事もあり優勢のクトゥルフが先に仕掛ける。

やはり触手を使った単調な攻撃。しかし、触手は先程ノアが触手を焼き切った時の様な黒色の炎を纏っている。

 

「ちょっとアレンジしたらいけると思ったか・・・?」

「サーガ。」

 

触手を氷漬けにするノア。そこに岩を生成し、ぶつける。そうして触手を粉々に砕いた。

 

「ハルパー・・・・ゲン。」

 

短く告げると架空武装を生成するノア。いつも通りの大鎌の形をした全体は漆黒だが刀身だけは淡く怪しい緑色に輝いていた。それだけでは終わらずドンドンとダークマターを送り込みサイズを10メートル程にまで大きくすると、それを具現化して更に魔術で強化した。

それを魔術の効果で現れた糸で右腕と繋ぎあわせる。

 

「叩っ斬る!」

 

そう叫ぶと右腕とリンクしている具現化されたハルパーをクトゥルフに振り下ろす。触手によるガードは無駄だと感じたのか右腕を出して防ごうとする。

しかし、差し出された右腕をハルパーはいとも容易く真っ二つに両断する。

切り落とされた体と繋がっていない側の腕は重力を従い落下していく。

ズウウゥゥゥゥン_________!!

それだけで地面を揺らがせるクトゥルフの半分の大きさの右腕。しかしそれは瞬く間に霧散したと思うとクトゥルフの右腕も同様に煙が噴き出したかと思うともう再生していた。

 

「これは・・・面倒だな。こいつ、どうすれば死ぬんだ?・・・・っと!オラァ!!」

 

再生した直後は思う様に動かせないのか再び触手の攻撃を繰り出してくる。

しかしそれらをヘキジで全て止めたかと思うと一睨みで爆破させた。この術は発動条件はシンプルだったがその分威力はなかった。それ故に触手の先端部分を消滅させただけでその程度はすぐ再生される。

しかし、それは彼が1番分かっており素早い動きで横に回り込む。触手もノアに追いつこうと進路を変えて飛んでくるがその時にはもうハルパーで一刀両断された。

 

「クッソ、キリが無いぞ・・・どうしたものか・・・」

 

何とか体に攻撃を入れようとするがおぞましい程の量の触手に阻まれ一向に決定打が決まらない。

すると、クトゥルフも学習したのかこれまで使ってきた槍状の細く数が多い触手から槌の様な太く数を減らし質を高める戦法にしてきた。

その槌がまとめて振り下ろされる。ヘキジを使い直撃は避けたが風圧と衝撃で大きく後ろに吹き飛ばされる。

 

「_________っ!!・・・あ、危なかった・・・・」

 

何とか吹き飛ばされた直後に空気を生成し、数十メートル吹き飛んだ所で留まる。

ここで彼は異変に気付く。足りないのだ。10本程あった槌は8本しか無かった。慌ててその行き先を探す。すると見つけたのはクトゥルフの足元の穴。細かく、目を凝らさなければ見えない程だったが無数に空いていた。

 

「まさか・・・・」

 

嫌な未来を想像してしまうノア。

その瞬間それは現実となる。彼の周りから触手が地面を貫通して襲いかかってきた。

 

「ヤバッ_______エンブ!!」

 

四方八方に札を展開しそこから黒色の炎を放つ。これまでの物よりも圧倒的な火力を発揮し周囲を触手と共に丸焼けにする。

それが終わった途端に彼は一瞬体にとてつも無い疲労感を覚え、体勢を崩す。

そんな隙を見逃すはずも無く槌が容赦無く飛んでくる。

 

「マズッ___________!!」

 

そう思った瞬間には彼の体は槌に思い切り殴られ目にも止まらぬ速度で吹き飛ぶ。

吹き飛んだ先にはアリエラのヘキジがあり、そこに叩きつけられる。

 

「あっ・・・がっ・・・・」

 

ノアが激突した瞬間、ヘキジに大量のヒビが入り危うく消滅しそうになる。

そのままズルズルと彼は滑る様に落ちていく。

 

「ノアくん!」

 

アリエラの悲痛な叫びが聞こえる。

それを聞き、何とか満身創痍になりつつも立ち上がるノア。しかし、口からは大量の血を吐き、具現化したハルパーも霧散してしまう。だが、何とか満身創痍ながらも立ち上がるノア。

叫び、再びクトゥルフに向かい突進していく。

 

「おおおおおおおおおお!!」

 

だが先程までの様な動きにキレは無くアッサリとまた吹き飛ばされる。

血が目に入ったのか片目を塞いでいる。

また、1度目に吹き飛ばされた時よりも大量の血を吐き出している事から内臓へのダメージも計り知れない。

何とか魔術でクトゥルフを拘束する。

その間に彼は打開策を必死に考える。

 

(クソ・・・こうなったらアレ使うしか無いか・・・でも・・・)

「ノアくん。」

 

優しげなアリエラの声を聞き、ゆっくりと後ろを振り向くノア。そこには覚悟を決めた逞しい表情をした仲間達がいた。そして彼は思い出す。

 

(あぁ・・・・そうだった・・・・俺は、何を心配してたんだ・・・こいつらは・・・きっと協力してくれる。

仲間だから・・・・)

 

そして彼もまた覚悟を決め、話を切り出す。

 

「こういうタイミングで言う、ありきたりな言葉だが・・・・頼む、俺に力を貸してくれ。」

「「「「「「「「もちろん!」」」」」」」

 

彼女達は何の躊躇いも無く返事をする。キーリだけはこういうのは柄では無いと言わんばかりに腕組みをして見ていたが彼女も協力してくれる。

その姿に涙が溢れそうになるのを堪えつつ、彼はその術を展開する。

 

「それじゃ行くぞ_______カイキ。」

 

そう静かに告げ肩口までしか無い左腕を差し出す。

するとそこから淡い青色をした糸が出てくる。

その糸は優しく8人を包む。

糸を介して光がノアの元へと集まっていく。すると、竜紋が光り、糸に吸い取られる。また、不思議な事にドンドンと彼女達が戦いで負った傷も消えていく。

ノアに7つの光が集まる。

それが一個ずつ体に入っていくたび彼の体にはその者が負った傷と竜紋が刻まれていく。悠の足の裂傷が、左手の竜紋が。深月達の負った無数の切り傷が、竜紋が。

そしてアリエラの魔術を使った事による精神の汚染、竜紋も彼の体の一部になる。

 

 

 

 

 

だんだんと大きくなった光が彼を包む。

しかし、それは少しづつ収縮していき消えていく。

 

 

 

 

 

 

出てきたのは先程、彼女達を包んだ糸で形成された様な左腕を携え、純白のマントを着たノアだった。それに加え、彼の足元には心なしか虹色のオーラが漂っている様に見えた。

全員分の負傷を彼1人で受け負っている所為でキズだらけだったがそれを気にしている様子は無かった。

すると、彼女達に向き直り短く告げる。

 

「行ってくる。必ず、生きて帰ってくる。」

「うん・・・!」

 

その一言にアリエラが頷くと一同はノアを送り出す。

そうして彼は飛び立った。ただ大切な物を守る。それだけの事だが彼にとっては世界よりも大事なある種使命の様なものだった。

 




ありがとうございました!
ホントノアもクトゥルフもチートだなこりゃ・・・w(←お前が書いたんだろ。)

さて、完結まで後少し!どうぞ最後までよろしくお願いします!
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