【完結】1人の男として、兄として。そして___   作:千倉

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タイトルが最終回っぽいですがまだ最終回じゃあありませんよ!もうちょこっとだけ続きます!

それではどうぞ!


別れは笑顔で

 

「これは・・・俺のオリジナルだ。お前にもきっと対抗出来る。」

 

クトゥルフとノアが激突する。

ノアは左腕の指一本一本をブレードに変化させ、右腕と両足には魔術による物理的な物とエンブで特殊な効果を付与するような強化をしていた。右腕と両足をまとめて1つのエンブで強化するのでは無く一箇所ずつ、3つのエンブで強化していた。

体力、精神力の消費を度外視した戦い方だったがその力は凄まじかった。

触手の槌がまとめて飛んで来るが右足を振り払っただけの風圧と黒炎で一瞬でそれらが焼き払われる。

クトゥルフは腕を伸ばしノアを捉えようとする。しかしヘカトンケイルサイズの腕を難なく躱すと左腕を振り下ろす。こちらも直撃していないにも関わらずブレードから飛び出した衝撃波で両方の腕を両断する。

即座に修復されるがその時間も惜しんだのかとうとう本格的に魔術を使い始める。

口に当たる部分に魔術で生成した黒い雷を押し固めたかのような球状の物質を生成し、放つ。

すると羽織っていたマントをたなびかせ自分を包み込む。雷が直撃して周りに巨大な爆弾を落としたかのような波が広がり、荒野と化す。

土ボコリで辺り一帯の視界は完全にシャットアウトされる。そして、それが晴れるとクトゥルフの眼前には白色の塊が浮いていた。

塊はその外皮に当たる部分を広げる。すると中から何も応えていない様子のノアが出てくる。

 

「そんな物かタコ野郎!!」

 

分かりやすい挑発を言い放つノア。それを理解したのか分からないが体中から新しく触手を伸ばし、さらに腕のサイズを膨張させ、鉤爪も5本に増量する。

心なしかその元々かなりの体躯がさらに大きく見えた。

 

強化された体を駆使して彼を全力で排除しに掛かる。

触手の槍には雷、炎、氷を纏わせ、槌は暴風を付与する。

先程とは比べ物にならない量が襲いかかる。

 

「うおおおおおおおおぉぉぉ!!!」

 

咆哮し、それらを全力で迎え撃つ。

肢体をフルに駆使して触手と腕をいなし彼も反撃する。

本体に何発も攻撃が入り、大きく体を抉っていく。

しかし黙ってやられている訳もなく触手もドンドンとノアの体にヒットさせる。その度に火傷や凍傷に襲われるがそれでも攻撃の手を緩めずに続ける。

だが、槌が直撃し、それに付属した暴風により大きく吹き飛ばされる。幸いマントである程度は防いだがそれでも衝撃は凄まじく辺りの空気が振動する。

 

「クソ・・・あれがウゼェ_______どうにかしねぇとやりにくいな・・・」

 

軽く吐血しつつ、その血を腕で拭うと憎たらしげに呟く。

 

「それに_____時間が無い。不味いな・・・そろそろ限界だぞ・・・」

 

既に限界を迎えていた体がそれでも尚酷使され、悲鳴をあげる。彼自身何が体を動かしているのか分からなかった。

しかし、戦い続ける。

目的があるから、守りたい物があるから。

そんな意思が自分を突き動かしているのか_______そう彼は感じる。だが、今はそれどころでは無いとそれを一旦頭の片隅に追いやると目の前の怪物に全意識を向ける。

 

クトゥルフはまたも球状の“何か”を再び生成していた。

それは先程の雷とは比較にならない程の規模。

それが何で出来ているかは一切不明だったが放たれたら防げはするだろうがかなり離れた距離にいるがそれでもアリエラ達が無事とは限らない。さらに今、彼女達はノアのカイキで一切Dとしての能力が使えない。もしもDの能力で防げる威力まで落ちていたとしてもどうする事も出来ない。

そう直感が告げたのを感じるとノアは全速力で彼女達の元へと向かった。

 

〜*〜

 

(な、何なんだろう・・・この嫌な感じは・・・ノアくん_______大丈夫なのかい?)

 

アリエラがそう感じた直後、風が吹いたかと思うとノアが現れた。

 

「え!?何でノアくんがこんな所に・・・」

「悪いかよ・・・こんな所に来て。」

「い、いや!そうじゃなくて_______」

 

そう言った瞬間にここにまでクトゥルフの魔術の影響か空気の震えが伝わり大地が鳴動する。

 

「っと・・・本格的に時間が無いな。」

「な、何ですかこれは!?」

「そうですわ!詳しく説明して下さい!」

「ん!」

 

深月、リーザ、レンから詰め寄られ彼は事情を話し始める。

 

「えっとな、クトゥルフが何かヤバイの撃とうとしててこれはその影響だ。」

「こんな時に大雑把過ぎだよお兄ちゃん!」

「しょうがないだろ。俺は事実を分かりやすく説明してんのに。」

「だってホントに簡潔すぎるよ!」

「・・・もうちょっと詳しくお願いできる?」

「はぁ・・・分かったよ。俺が戦ってたらあいつも埒があかないと判断したのか得体の知れない魔術でこの辺り一帯をそのまま消滅させようとしてる。それで戻ってきたんだよ。後・・・キーリはどうした?」

「キーリは何かやり残した事があると言って何処かに行ったよ。それよりも、理由は分かったけど・・・結局、何をしに来たんだい?」

「え?・・・言ったろ、今のお前らはDの能力は使えないからもしもの為に備えて_______」

「違うよね。」

 

言葉の途中だったがアリエラが遮る。

そしてそのまま彼が戻ってきた理由の核心を求める。

 

「その顔は何か決心した顔だ。それとも_____恋人を騙せるとでも思ったのかい?」

「つくづく察しが良くて怖いな・・・まぁ、当たりだ。俺が戻ってきたのは守る為じゃない。」

 

一息置いて彼は告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前らを_________逃がす為だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

その一言で全員が固まる。

あまりにも遠回しで唐突な別れを告げられたからだ。

しばらく固まっていた一同だったが悠がようやく口を開く。

 

「・・・どういう事だ?俺たちを逃がすって。」

「そのままの意味だ。恐らくあれが放たれたら俺は無事だとしてもお前らまで庇うことはできない。それ位に強力なんだよ。だから逃がすんだ。」

「ふざけるな!俺は何も出来ない・・・だけど_______ここで終わりなら、お前やみんなと最後を共にする。」

「________なら!俺が全員が助かるような方法を提案してるのにお前のそのワガママで他の奴らが死んでもいいってのか!?お前らを助けたいっていう俺の意思は_______どうなってもいいっていうのかよ・・・・っ!!」

 

必死に口論を続ける2人。しかし、そうしている間にもドンドンと終わりは近づいてくる。

 

「結局・・・あなた達はどうしたいんですか?」

 

深月が仲裁に入る。

すると、口論を一旦止める。

 

「俺は・・・お前らを逃して助けたい。」

「俺はこのまま一緒に居たい。」

「_______なら、私はノアさんに賛同します。」

「なっ・・・何で・・・」

 

深月から告げられた意外な答えに硬直する悠。

そこにアリエラも加わる。

 

「そうだよ物部クン、このままボク達が助かればノアくんとこれからもいられる。そうじゃないかい?」

「アリエラ・・・お前が1番_______別れたくないんじゃないのか?」

「_____っ!キミは酷いな・・・ボク、必死に我慢してたのに言っちゃうなんて・・・おかげで・・・辛くなっちゃうじゃないか・・・・」

 

少しの皮肉を込めた口調で言うアリエラ。しかし目には少しだけだが涙が溜まっている。

 

「アリエラさん、ここで泣いてはいけませんわよ?」

「そうなの!それが良いの!それにアリエラは笑ってる方が良いの!」

「リーザ、ティア・・・そうだよね。」

「それじゃあ・・・良いか?」

「_______お願いするよ、ノアくん。」

「・・・方舟」

 

その言葉でノアからエーテルの様な金色の粒子が放たれる。その粒子は収束し、船の形を形成する。

 

「これに乗れば・・・安全な所に逃げられる。_______乗ってくれ。」

 

促すノア。それに従い一同は方舟へと向かう。

 

「死んだら・・・許しませんわよ?それに、アリエラさんを悲しませる様な事も。」

「ああ、分かってるさ。」

 

 

 

「・・・死なないで。これだけは約束して。」

「絶対に帰ってくる。約束だ。」

 

 

 

「ん」

「そうか・・・それで十分だな。」

差し出されたレンの小指に自分の小指を絡ませ約束する。

 

 

 

「ノア、怖いとこもあったけど、やっぱり一緒にいて楽しかったの!だから頑張ってなの!あんな化け物に負けちゃダメなの!」

「ありがとな、ティア。俺も楽しかったよ。」

 

 

 

「こんなはっきりしないまま別れるのもアレだから・・・そのなんだ・・・これで仲直りだ。」

「ああ、悪かったな。熱くなっちゃって。」

「こちらこそ、お互い様だ。・・・頑張れよ。」

「任せろよ。俺はやる時にはやるからな。」

 

 

 

「お兄ちゃん・・・」

「イリス・・・」

「正直、別れるのは嫌だよ・・・・。せっかく再会出来たのにまた、こうやって別れるなんて嫌だよぉ・・・」

「大丈夫だ。きっと・・・また会える。それに、俺たちは兄妹なんだ。互いの事は良く分かってるだろう?」

「うん・・・そうだよね!それじゃあお兄ちゃん!またね!」

「ああ、またな。イリス。」

 

「こんな時って・・・どうすれば良いのかな?」

「そうだな・・・笑えよ。“別れは笑顔で”。っていう奴だ。俺はこんなに辛気臭いのは嫌だし。後、泣くなってリーザから言われてたけど・・・今は2人きりなんだ。我慢するなよ。」

「うん・・・笑って送り出すよ・・・だから、ちょっとだけ_______抱きしめてよ。」

「分かった。」

そう言い優しく彼女を抱きしめる。

すると、彼女は大声で泣き始める。しかししばらくすると顔を上げ彼女は_______満面の笑みを彼に向けた。

静かに微笑み返し方舟へと送り出す。

彼にも別れたくはない気持ちが当然ながらあった。

だが、自分が言った“別れは笑顔で”という事を思い出し、快く彼女を送り出した。

そして全員が乗ったのを確認すると彼は告げる。

 

 

 

 

 

「_______方舟、出発。」

 

 

 

 

 

 

方舟が浮かび上がったかと思うと次の瞬間には凄まじい速度で走り出し彼方へと飛んでいった。

 

(これで・・・良かったんだ。これで。それに・・・みんなと約束したんだ。勝つしかないよな_______!

あれ?何でだ・・・どうして・・・悲しいなんて感情が出てくる・・・?_______そうか、1番別れたく無かったのは・・・俺、だったのか。ふっ・・・情けない話だ。人前では平然と見栄を張り、中ではこんなに悲しんでるなんてな・・・・それだけあいつらの存在が俺の中で大きくなってたって事か・・・)

 

 

 

 

自分の中のモヤモヤとした気持ちに決着をつけ、彼は決戦に向かって行ったのだった_______

 

 




ありがとうございました!
1日に2本投稿はもうやりたくありませんねw

さて、本編ですがアリエラ達が方舟に乗る時、敢えて殆ど会話文にしたんですがどうでしたかね?
ご意見もらえると嬉しいです!
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