【完結】1人の男として、兄として。そして___   作:千倉

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悪夢は終わらない

「さて、と・・・やりますか!」

 

そう気合を入れると、クトゥルフのいる方向へと体を向ける。本体の姿は視認出来なかったが今にでも放たれようとしている魔術ははっきりと視認出来た。

 

「スゲェなありゃ。マジでこの辺り一帯吹き飛ぶぞ・・・・!

まあいいか・・・良くないな。しっかし、これは使いたく無かったんだけどな・・・自分で創っといて何だけど。

 

 

 

_____禁忌《九火蒼刀》・・・発動。高まれ蒼刀。我の命を対価として力を捧げよ。」

 

 

 

これまでに聞いた事のない低く暗い声で詠唱をする。

すると彼の胸に服を着ていても分かるくらいの発光している9枚の花弁を模した様な痣が刻まれる。

更に右腕に5個、左腕に4個の穴が空いたかと思うとそこから一本ずつ蒼色の金属ともおぼつかないユラユラと揺らめく太さが日本刀程度の糸が出てくる。

 

 

(この九火蒼刀、代償はかなりの物だがその分見返りは大きい。今俺が保有しているアリエラ達Dの能力を10倍以上に引き出し、蒼刀は絶対的な力を持つ。)

「アリエラ、力を借りるぜ!

セラス・アテナ!!プラスレンのダークマターを追加!そして_______カテス!!」

 

彼がその技の名前を叫ぶと目の前に雪の結晶を思わせる様な形の防壁が展開される。

元々巨大なその防壁はレンのダークマターでドンドンと膨らんでいく。さらにはユグドラシルのレールガンからアリエラ達を守った魔術を掛ける。

準備が整ったその瞬間、見計らったかのごとくクトゥルフの魔術が放たれた。

それは上空に飛んでいき、見えない程に収束したかと思われた。しかし直後に破裂すると核爆弾が落ちた時の様な爆発を数倍にしたかの様な衝撃が迫ってくる。

その衝撃と接した部分のあらゆる物は原型を留められず消滅する。

そして、セラス・アテナと激突する。

とても頑丈な防壁故に貫通はしずに力は拮抗しているかの様に見えた。しかし衝撃からかドンドンと後ろへと追いやられていく。彼も両腕を伸ばして踏ん張ると必死に押し戻した。

そして数十秒後には衝撃が嘘の様にパッタリと消滅する。

次の瞬間クトゥルフが何をしたのかは一切不明だがノアの目の前に出現する。

彼は一瞬どうやって来たかと思考を巡らせたが自分が暴走した時のうっすらとした記憶を頼りに自分も同じような速度で移動をしていた事に気がつき、同じ事をしたのだと納得すると思考を切り替え目の前のクトゥルフに集中した。

 

「それじゃ、今度は俺が攻めさせてもらうぜ。」

 

ノアが軽く告げる。

右腕を上に掲げるとその手の平には4つのダークマターが生成される。

それらは立体的な動きをしつつ上空に飛んでいく。

ドンドンと膨らんでいき、最終的に10メートル程の大きさまで膨張した所で彼は物質変換を行う。

4つの内2つはフィリルが得意な非実弾の雷、炎の球に変換される。しかもそれをベースに雷の球にはティアの能力を使い増幅させる。炎の球はキーリの能力で威力を増幅させる。

残り2つの内1つはアリエラのミスリル生成能力を基盤にしてレンのダークマターを使い、巨大化させるとそこにイリスのダークマターを混ぜ何時でも起爆出来る様にする。

最後の1つは深月の反物質をリーザのレーザーで包み込み、亜光速で発射する仕掛けを施した。

それらを悠のアンチグラビティで空中に留める。

そして放つ。

迎撃する為か触手を向けるクトゥルフ。しかし触手が彼の腕から伸びた蒼刀で細切れにされる。

いつもならば直ぐさま再生するはずだったが一向に起こらない。

 

(この蒼刀は斬りつけた物をそれぞれ別の次元へと飛ばす。見た所クトゥルフの再生が行われる条件は体の一部が欠損し、力を失った場合にそれを補う様にその部分が再生される。だけどこれで斬られたら2度と手の届かない別の次元へと飛ばされる。そこでは力を失った訳では無いが実質的には使えなくなる。従ってもうウザったらしい再生はもう無い。)

 

そう考えているうちに4つの球が直撃する。

炎と雷は体を燃やし、ミスリルの爆弾は抉る。そこに亜光速で放たれた反物質が直撃する。

凄まじい爆発による土煙で完全に視界がシャットアウトされる。しかし、全員分の力を使い大量の風を生成し、煙を晴れさせる。

するとそこに立っていたのは体の半分か消失したクトゥルフ。血の様な物は出ていないが地面には巨大な臓器と思しき物体が転がっていた。

しかしそれでも生きているらしく再び再生される

 

「マジかよ・・・何だその生命力は。」

 

呆れた声で呟く。

それほどにクトゥルフの生命力は圧倒的で強大だったのた。

 

そして再び戦闘が再開される。

これまでに無い程の機敏な動きで襲いかかるクトゥルフ。

その速度は常人の目には追える様な速度では無かった。

それらを何とかいなしつつ反撃していくノア。

しかしここでクトゥルフの触手が復活する。

いや、復活したと言うよりも新たに生やしたのだ。

 

「なっ_______腕をいなすだけでも精一杯なんだけどな・・・」

 

ここでクトゥルフが右腕を使い勢いよく殴りかかる。

それを間一髪、ギリギリ範囲外まで飛ぶと蒼刀を束ね1つのブレードにして反撃しようとする。

しかし、それは叶わなかった。

ドスッという音とともに視界が半分ブラックアウトする。

頬の皮膚に生暖かい液体が伝って落ちていくのを感じる。そこで彼が見つけたのはクトゥルフの握られた拳から放たれた触手の槍。それが彼に向かって一直線に伸びていた。

 

「う、ぐっ・・・ああああああああああああっ!!!」

 

悲痛な叫びが響く。

左目を潰されたと自覚した途端とてつも無い痛みが襲いかかり、脳はそれを忠実に体へと伝える。幸い傷は脳にまでは達していなかった。しかし片目を潰されたのはかなり手痛いものだった。

もう勢いに任せ束ねた蒼刀を斬りつける。

まるで紙を斬るかの様に拳の状態から元に戻った鉤爪の一本を斬り落とす。

 

「はあっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

ようやく少し落ち着いたのか肩で息をしつつも何とか体勢を立て直す。

だが四方八方から触手とそれに紛れクトゥルフの魔力塊が飛んでくる。

それをトンデモない速さで処理していく。が、左目が見えていないからか、右半身も少なからず被弾しているが左半身への被弾が多い。それに伴いドンドンと胸の花弁が1枚、また1枚と光を失い消えていき3枚が消えてしまう。左目が潰された際にも1枚消えており、残り5枚しか無かった。

 

(クソッ!対価で常に消費してる俺の命がもう半分散ったか。このままだとジリ貧だ・・・・)

 

と、考えていると魔力塊が彼の左腕に直撃する。

当たった瞬間で左腕は弾け、霧散する。

 

「チィッ!カイキ_________昇華!」

 

すると左腕が再生する。前のものよりも大きく、指の部分を変質させたブレードも長さ、斬れ味共に上がっていた。そしてまたも蒼刀が穴から飛び出てくる。しかしまた花弁が1枚消えてしまう。

勢いを増すクトゥルフの攻撃。ノアもドンドン傷ついていき満身創痍だがクトゥルフもまた胴体の4割が消失し、腕も右腕だけは肘に当たる部分から下は完璧に破壊された。

もしかしたらこのままなら_______そう考えた瞬間彼は信じられない光景を目にする。

胴体の消失した部分からは6基の大砲のような筒が生えてきて、右腕からはウネウネと禍々しく動く巨大な槍が生えてきた。

 

「嘘・・・だろ?」

 

絶望が彼の胸中を覆い尽くす。

この怪物がまるで手品のタネ明かしの様に次々と披露する圧倒的な力。それに対して自分は必死に立ち向かってきたが勝てるか分からなくなってきた。魔術のせいで彼の命も殆どが無くなっている。

しかし_______

 

 

 

「・・・禁忌《九火蒼刀》極限化。更に命を喰らい極限まで昇華せよ。」

 

 

 

彼の右目には三角形のようなマークが現れる。髪は銀色から蒼色へと変化する。腕から伸びていた9本の蒼刀も長さが数倍へと伸び、太さも人1人分程にまでなる。

しかし1枚の花弁が消えてもう1枚も今まさに消えそうな程に明滅する。それに伴い体は淡く発光しだし、とてつも無い脱力感を覚える。体は限界をとうに超えており、もはや気力で動かしている様なものだったがそれすらも限界か来そうになっていた。しかし彼が術を強化し、まだ戦おうとしたのは諦めていなかったからだ。

確かにクトゥルフの能力に彼は絶望した。しかし自分は勝って守らなければならない者達がいる。その使命感から尽きようとしている気力を振り絞って立ち向かう。

その姿は何とも儚く、悲しげだったが何処か暖かみがあった_______




ありがとうございました!

ノアもクトゥルフもチート過ぎますなこりゃw
今回は戦闘メインで書いていて面白かったです。私、バトル系のアニメや漫画が大好きなので。

お知らせですが今回から最終回まで前書きは無しにしたいと思います。理由としては前書きで変な気持ちになりそのまま本編に入って欲しく無いのでw

昨日は更新できずすいませんでした!
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