【完結】1人の男として、兄として。そして___   作:千倉

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dグレ17巻のクラウド元帥と15巻のルルベルがエロいと思ったのは私だけでは無い気がする。
はい!今回で1巻の話は終わりです。そして次はギャグ回です。
因みに文字数が1番多くなってしまいました・・・・


決着

「深月・・・・ちょっと戻ってきてくれ。俺も出し惜しみはしない。」

『・・・分かりました。今行きます。』

 

そう言うと数十秒で深月は戻ってきて何事かと問いかける。そして悠は左手を差し出す。

 

「何でしょうか?兄さん。」

「さっき言ったろ。出し惜しみはしないって。3年前のアレをやる。だけどアレをやるには俺1人のダークマターじゃ全く足りない。だからダークマターを借りる必要があるんだ。」

「それが条件でしたか・・・・。3年前は私が近くにいたから、あんな巨大な物質変換ができたんですか_____」

 

深月は納得した様子で頷く。

 

「リヴァイアサンには通用しないんじゃ_____ありませんでしたか?」

「多分な。だけどこのまま諦めるよりは何倍もいい。」

 

悠は深月の目を見て、問いかける。

そしてその顔に感化されたのか_____

 

「ずるいですね・・・・兄さんは。あの時とおなじ、奇跡を起こした時の顔をされたら・・・信じるしかありませんよ。」

「ありがとう、深月。」

 

彼は礼を言い、目を閉じる。頭の中の設計図のうち、3年前に使った物を取り出す。_____正確には設計図の類いでは無く、材質から用途、あらゆるものが記された“データ”。最も先鋭された力、兵器のデータ。それが緑のユグドラシルとの取引で手に入れたもの。あの時にヘカトンケイルを塵にしたものだ。

悠がネルガルなどを架空武装を介さず生成できるのは訓練の成果などでは無い。彼の頭にそれらの正確なデータが刻まれているからだ。

だが、ユグドラシルから流れ込んできた情報は余りにも膨大で、彼の頭に入りきらずそれどころか、彼自身の人格をも失いそうになった程だ。そしてユグドラシルとの接続を途中で切断したが、それでも遅すぎたのだ。情報は彼の脳から幾つかの彼を構成しているパーツを失わせてしまった。

恐怖という“感情”の欠如、部分的な記憶喪失。

ミッドガルに入った日、深月は彼にかつての友人や両親に連絡を薦めた。だが、それを断ったのは記憶が抜け落ちているのが深月に気づかれてしまうから。

そうなってしまったら更に深月は心に余裕が無くなる。篠宮都を手にかけたこと。そして、今回の自分が殺そうとした人間に命を救われたこと。そこに自分のせいで兄の記憶を失わせてしまった事が知られれば、間違いなく深月の心は耐えきれなくなる。

だから彼は絶対にボロを出さないと決めた。幸い、彼女との思い出は残っている。この事も更にその決意を強固にしていた。

そして兵器の構築が始まる。

 

「対竜兵装_____マルドゥーク!!」

 

自分の生成量を遥かに超えるため、脳にかなりの負担がかかる。だがそれでも生成を続ける。そして深月のダークマターにより巨大な砲身が形成される。

このマルドゥークは現代の兵器では無い。遥か過去に栄えたが、現代よりもずっと発展した科学を持つ文明。

今回のリヴァイアサン迎撃に使われたゲイボルグや高エネルギーレーザーはこれらの文明の技術が使われたものである。

しかし、このマルドゥークだけは幾ら研究を重ねようと、再現する事は出来なかった。

 

リヴァイアサンに攻撃を続けていたイリス、ノアが唖然とした表情でこちらを見つめる。

10数メートルにも及ぶ巨大な砲身。幾ら深月のダークマターを持ってしても完全な再現は出来ず、最低限必要な部分が形成されていた。なので、回路やパイプが剥き出しになっており、また冷却機能も付いていない。それ故1発撃てばそれで終わり。

さらには物質変換により疲労が溜まり、全身が重く目が霞む。

制御系は意識とリンクしており、悠がリヴァイアサンを睨むと砲身が微かに動き、照準が調整される。

 

「_____!兄さん、待ってください!攻撃が弾かれないようにこれからリヴァイアサンの斥力場を誘導します!」

 

ノアやイリスと同じように呆然としていた深月だが我に返り、無線で竜伐隊に呼びかける。

 

「総員!対象から距離を取れ!B5、B6は上空から最大生成量で対象に物質投下!対象の処理容量を圧迫せよ!

B1は右、B2は左に展開、非実弾攻撃で対象をねらえ!」

『了解』

『ん』

『分かりましたわ!』

『・・・了解。』

 

無線機から三者三様の返信が聞こえる。すると上空からは巨大な岩と氷の塊が出現し、落ちていく。だが2つは斥力場に受け止められ空中で生成する。

次に右からは極太のレーザー、左からは電撃が放たれる。しかし、それも当然だが空間湾曲で逸らされる。だが、深月はその2つの奇跡を見つめ彼に告げる。

 

「今なら真正面に撃てば弾かれる事はありません。撃ってください!」

「あぁ_____ファイアァッ!!」

 

腹の底から絞り出し、叫ぶ。

ゴウンッ!!!

大気が歪むような低く重い砲声が響き、蒼白い光の弾丸が放たれる。アレは爆発に触れたものを原子レベルで分解する兵器。ヘカトンケイルは不死の特性でこれを食らった後に数百キロ離れた場所で復活したが、その威力は折り紙付きだ。

弾丸はリヴァイアサンに向かって放たれる。_____しかし、着弾直前に斥力場で進路が左下に逸らされた。だが次の瞬間、蒼の閃光がはしる。もし着弾しなくてもリヴァイアサンの近くで爆発するように悠がエネルギーを調整しておいたのだ。

蒼い光がリヴァイアサンを飲み込む。アリエラ、レンが作った氷塊と岩塊も飲み込まれる。光に触れた海面は蒸発し、おびただしい量の水蒸気が発生する。

 

(頼む!_____効いてくれ!)

 

光に飲み込まれたリヴァイアサンがそのまま消滅することを全員が祈る。

ウォォォォォォォォォォォ_______________!

しかし光の中から響いてきたリヴァイアサンの怒りの咆哮を聴き、届かなかったことを悟る。

だが効果は無いわけではなかった。リヴァイアサンの左半身は外殻が吹き飛ばされ、筋肉が露わになっていた。

それでも移動や運動に支障は無いらしく、怪物は体をしならせて空を泳ぎ、最終防衛ライン_____イリスやノア達の元へ迫る。迎撃にレーザーが撃ち込まれるが、意にも介さず真っ直ぐに向かってくる。

悠の奥の手であったマルドゥークは発射時の熱で溶け落ち、ただの鉄屑になっていた。リヴァイアサンも多少なりのダメージは受けているが、倒すまでには何十発、何時間もかかる。そして今はそんな時間も体力も無い。

 

「やはり・・・無理だったんですね。」

 

深月が絶望を孕んだ声で呟く。その表情はまだ諦めていない、などといった希望もなくただ現実を理解し、受け入れ諦めていた。そんな深月と同じように誰もが諦めていた時__________

 

「来ないで・・・・来ないでよ!あたしは、あんたなんて・・・・・大っ嫌いなんだから!」

 

イリスの叫びが全員の耳に響いた。こんな状況の中1人諦めずに攻撃を続ける。諦めず、抗い続け、戦っている。

 

「そうだよな・・・・妹が頑張ってんのにお兄ちゃんが頑張らねぇなんて笑えねぇからな!!」

「聖銀よ、弾けろ!弾けろっ!!弾けろぉぉぉぉぉっ!!!」

「ダーククラウン__________フルバーストォォォォォ!!」

 

ミスリルの爆発がリヴァイアサンの体を抉り、ノアのエネルギー塊が突き刺さろうと、リヴァイアサンは止まらない。斥力場を体の内側に展開し、致命傷を避けているからだ。

必死に抵抗する2人の姿と叫びに悠は3年前の深月を重ねる。どくん、と心の奥が脈打った。

 

「あぁ・・・・・やっぱり放っておけないな。」

 

彼は苦笑を浮かべ深月の手を離す。

 

「兄さん・・・・・?」

 

不安そうに見つめる深月。

 

「深月、俺はどんな事があっても・・・お前の兄貴だ。」

 

その言葉を自分自身に刻み込むように深月へと告げた。

 

「一体・・・何を言っているんですか?当たり前じゃ無いですか。」

「そうだな、当たり前だ。だから、・・・・・きっと忘れない。決して。」

 

三年前に失った恐怖、そんなものは無いはずなのに体が震える。悠は深月に微笑み、イリスとノアに駆け寄った。

 

「・・・・モノノベ?」

「悠・・・・?どうした?」

 

2人は必死に繰り返していた攻撃をやめ、イリスは涙の溜まった目を、ノアはいつもより真剣な目を向ける。

 

「お前達の力を貸してほしい。」

「モノノベはまだ、殺さないの?」

「あぁ、約束は“本当にどうしようもなくなった時”だろ?」

「今がその時じゃあ無いと。そう言うのか?」

「違う。俺はまだやれるだけの事を、やってないからな!」

 

イリスの左手、ノアの右手を握る悠。そして最終防衛ライン上空にいるリヴァイアサンを睨む。

3年前に使ったラインを探す。自分やみんなを守るために、一度は切った経路を求める。

 

(取引を始めよう、ユグドラシル。“俺たち”は今度こそ、ドラゴンを倒す!)

_____再接続、承認_____

 

微かに聞こえた無機質なユグドラシルの声を頼りに、意識の糸をそこに繋げた。

切断された情報転送が再開する。そしてその中からこの状況を変えられる兵器を探す。

頭が軋む。3年前にも味わった莫大な情報が意識を食い荒らす感覚。

今度は何を失うかも分からない。何が記憶から消え去り、忘れるかも分からない。彼が彼のままで居られるのかも分からない。

 

(それでも、可能性はここにしかない!)

「ぐっ・・・・・・」

 

一際巨大なデータが流れ込む。頭が爆発しそうな感覚に襲われる。しかし悠はその中に求めていた物を見つける。それは、マルドゥークのデータを補完するもの。あのマルドゥークはそれの一部でしかなかった事を悟る。それと同時に悠に限界が訪れ、意識が霞む。

 

(マルドゥークは_____まだ、完全じゃなかったのか・・・・っ!!切断!)

 

気を失う直前で接続を切り離す。全ては入りきらなかったがこれも必要な部分だけは確保した。そして何を失ったのか、それは分からないが、今必要な事を確認するために自問自答する。

 

(隣にいるのはイリス、ノア。俺はこの2人を守るためにこうして戦っている。少し離れた場所にいるのは深月。俺の本当の妹だ。“思い出せないほど”昔から一緒に過ごし、育った。3年前に別れ、ここ、ミッドガルで再開した。

そして宙に浮かんでいるのは白のリヴァイアサン。俺たちが倒すべき敵。

大丈夫だ。必要なことは覚えている。戦う理由を見失ってはいない!)

 

そしてユグドラシルと取引した物の名前を告げる。

 

「マルドゥーク主砲、バベル!!」

 

2人から流れ込んでいるダークマターが再び巨大な砲塔を形成する。だが先ほどとは形が違う。砲身が途中で二股に別れ、内側にはレンズのような機器が埋め込まれている。残りの体力から考えて、失敗すれば後は無い。

ウォォォォォォォォォ_____・・・・!

自らに向けられた兵器を見て今度は低く吠える。

 

「今度こそ、届かせるっ!__________っ__________ファイアッ!!」

 

砲身から放たれたのは闇を圧縮したかのような黒の奔流。そこが知れない闇の帯は大きく膨らみ、リヴァイアサンの体をまたも飲み込む。

黒の奔流の正体は物質ではなく光をも吞み込む空間の断層である。バベルは空間を裂いて射線上のあらゆるものを押しつぶす重力兵器だ。しかし、一瞬で対象を飲み込み、閉じる闇の帯は閉じず開いたまま。

ォォォォォォォォォォォォォォォ__________ン。

リヴァイアサンが鳴いている。斥力場でバベルの重力に対抗しているのだ。

出力が足りない。過剰な負荷により、砲塔のあちこちで小さく爆発が起こる。

 

(分かっていた__________。これでも倒せないのは。これでドラゴンが倒せたのならこれを作った文明は滅びていないだろう。だが、倒すのは、俺の一撃では無い。)

 

「深月!!撃てっ!!」

「っ!はい!!_____ブリューナグ!!」

「ちょっと待ってくれ!」

「ノアさん!?」

「俺が、道を作る!」

 

ノアがエネルギー塊を一点に放出する。するとリヴァイアサンに突き刺さり、穴が出来る。

 

「_____!ありがとうございます!

終の矢__________ラスト・クオーク!」

 

虹色に輝く弓から放たれる反物質の弓矢。悠はバベルの重力とリヴァイアサンの斥力場を拮抗させそこに反物質を撃ち込むのを狙ったのだ。

 

「総員_____放てっ!!」

 

深月の合図と同時に竜伐隊、ノアのダーククラウンから攻撃が放たれる。正面から反物質の弓矢とエネルギー塊で串刺しにされ、上下左右から竜伐隊の攻撃が貫く。

 

「もう少しだ!イリス!!ノア!!」

「うんっ!」

「オーケー!!」

 

既に満身創痍の筈のノア、イリスから更にダークマターが送られてくる。そして悠はオーバーヒート覚悟でバベルの出力をあげる。

すると反物質の力で膨らんでいた体が今度は逆に収縮し始める。リヴァイアサンの断末魔も空間の断層に引き込まれ、消えていった。

バベルが小さな爆発を起こし崩壊したのを横目に空を覆い尽くしていたリヴァイアサンが消え、青空が広がっていた。

 

〜*〜

 

海のど真ん中の上空、ちょうどリヴァイアサンと竜伐隊が戦っていた場所から少し離れた場所に1人の女性がいた。身長は160cm程で、黒のドレスを纏い、深月程の黒のロングヘアーをしている。

 

「へぇ・・・。今回はそっち側に生まれたのね、“具現体”は。」




ありがとうございました!
今回はちょっとした伏線をばら撒いてみました。因みに最後に出てきた女性は皆さん大好きキーリさんですよ!

追記
この前500UAを超えたなど言っておりましたが今は800UA間近と一気に増えてきました。こんな紙ssを読んで頂きありがとうございます!
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