この素晴らしい世界に道連れを!   作:ユアシアン

2 / 9
つみれがこの世界に来たのはカズマとアクアの1~2時間前くらいです。


1話 冒険を始めるには 1

【駆け出し冒険者の街-アクセル】

 

 

 

「うわぁ………………うわあああああああああああ!! すごいすごい! 本当に異世界だ!」

 

 目の前に広がる光景に、私は思わず興奮して声を出してしまいました。

 そこは、まさにファンタジーの世界にありそうな街並み。 ゲームではよく見る石畳の街道に、石造りの建物の数々。 視界に映る人は中世時代のヨーロッパにありそうな服を着ていて、さらにその服を着ている人も全員が全員人間というわけではありませんでした。

 あの耳の長い綺麗な金髪の女性は間違いなくエルフだよね? 小柄で褐色の肌を持ったあの人はドワーフかな? あ、剣や杖を持った冒険者っぽい人達もいる! うわああああああああ!! この目にかかれるなんて幸せだよぉ!

 これこそファンタジーの世界! と言わんばかりの光景に、興奮を抑えろというほうが無理なものでした。

 ですが……

 

「アクア様…………私の格好はそのままにして送ったのね…………」

 

 肝心の私の服装はと言うと、元の世界で着ていた半袖のセーラー服のままでした。

 わーファンタジー感台無し……こんなの許されるのは夢の国までだよ…………まぁしょうがないけど。 とりあえず、まずはどうしようかな? やっぱり酒場とか冒険者ギルド的なところに行ったほうがいいかな?

 ギルドというのは、ぶっちゃけて言ってしまえばこの世界で言うインフォメーションセンターみたいなものです。 冒険をするにあたって、様々な事をレクチャーしてくれる事でしょう。

 でも場所わからないしなぁ……案内板とかどっかにないかな? あ、でも探すより人に聞くほうが早いか。

 そんなわけで、私は偶然通りかかったなんだかベテランな冒険者の雰囲気を漂わせている、厳ついおじさんに話しかける事に。

 

「あ、すみません! あの…………――――――――はっ!?」

 

 そのおじさんに声を掛けた瞬間、私は固まりました。

 別におじさんの顔が怖かったからではありません。 いや怖い顔なんですけどね。 そうではなく、あることに気づいたのです。

 

 

 

 私、この世界の言葉知らない……

 

 

 

 …………………………………………………………………。

 

 

 

 ど、どうしよう!? この世界は一体何語で喋るの!? 私何語で喋ればいいの!? 異世界語!? あ、そりゃそうか……いやそうじゃなくてええええええっとぉ!!

 

「おう、どうした嬢ちゃん?」

「え…………」

 

 強面のおじさんが発した言葉に、別の意味で固まってしまいます。

 すごく日本語だ! いやその方がありがたいんだけど!

 

「ん……? 妙な格好をしているな。 それにここいらじゃ見かけねぇ顔だが……」

 

 いやでも、うーん……、これは逆に私が異世界の言葉を理解していると考えた方が良いのかなあ?

 

「? 何だ? 用がねえなら俺は行くぞ」

「あーーーー! 待って待ってください! えっとですね、実は私冒険者になりたくって、冒険者ギルド的なところを探しているんですけど……」

「何? 嬢ちゃんがか? …………ほぅ、面白え。 丁度俺もギルドの酒場に行こうとしていたところだ。 案内してやるから着いて来な」

「あ、ありがとうございます!」

 

 案内してくれると言ってくれたおじさんに、私はお礼を言いながらついて行きます。

 人は見かけによらないとはよく言ったもので、そのおじさんはとても良い人でした。 見た目は正直に言ってしまえばファンタジーと言うよりは世紀末の物語に出てきそうな荒くれ者っぽい風貌なのですが、道中でもとても気さくな感じに話してくれて、この街のいろんなことを教えてくれました。 

 ここが駆け出し冒険者の街であり、名前が『アクセル』と言う事。 この街周辺のモンスターは狩り尽くされているという事。 やはり最初は仲間を集めることから始めたほうが良いという事。 途中「嬢ちゃんはどこから来たんだ?」なんて言われた時はどうしようかなと思いましたが、「遠くにある小さな村です」と、嘘のような嘘じゃないような感じの答えを返しました。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 さてさて、そんな風におしゃべりをしながら歩く事数分。 私達が着いたのは、いかにも冒険者ギルドっぽいところでした。

 

「ほわ〜〜〜〜! すごいすごい! 本当に冒険者ギルドだ!」

「おいおいそんなにはしゃぐことねぇだろう。 まぁ、これから冒険者になるって手間、血が疼くってやつなのかねえ」

 はしゃぐ私を見て、おじさんは苦笑いを含めながらも、「解るぜその気持ち」というように頷いていました。

 おじさんの言う通り、私はウズウズして堪りません! ギルドといえば冒険のスタート地点! まさに私の冒険はこれからだという奴です! アレ? これ終わる奴だっけ? ……まいっか!

 石造りの階段の進み、おじさんはギルド門を開き、紳士に私を迎え入れ、

 

「ようこそ地獄の入口へ! この命知らずめ! 冒険者登録のカウンターは入って右の所にある。張り切って行ってきな!」

 

 ホント、盛り上げ上手で良い人だなぁと、私はクスリと笑いました。

 

 

 

 ギルドの中は、おじさんの言っていたように酒場にもなっていてあちこちの席で鎧を着た屈強な男性や、魔女っ娘っぽい女の子、盗賊みたいに軽装な男の子など、様々な冒険者達がたむろしていました。

 私は案内してくれたおじさんに、「ありがとうございました! 何かお礼を……」と言ったところ、「気にすんじゃねぇ。 お礼がしたいんだったら、アンタの冒険話を今度聞かせてくれよ」と言って酒場の方へ行きました。

 本当に良い人だったな……おじさんじゃなかったら好きになってたかも♪

 何て事をちょっと思いつつ、私はおじさんの背中に頭を下げてからカウンターの方へ行きます。

 そこは映画の券買コーナーにちょっとだけ似た受付窓口が4つ並んでいて、私はその中でも一番話しやすそうな雰囲気のあるお姉さんの受付に並びました。

 そして待つ事数分。

 

「次の方どうぞー」

 

 ついに私の番になりました。 お姉さんは慣れた営業スマイルで私を迎えてくれます。

 

「はい、本日はどうなさいましたか?」 

「おっぱい大きいですね」

「は?」

「あ、いや、ごめんなさいなんでもないです」

 

 やっばい間違えました。

 だってこのゆるふわ金髪のお姉さん、すっごくおっぱい大きいんだもん! しかもボーンと出しちゃってまぁ!

 なんでしょう。 私も真平らという程小さくはないので、コンプレックスには思いませんが……微妙に敗北感を感じます。 とういかここまで大きいと、悔しさよりもまず肩こりを心配しちゃいますよね。 あと触ってみたいです。

 おっといけない。 そんなことより、

 

「えっと、私、冒険者になりたいんです! でもこういうのちょっと初めて……どうしたらなれますか?」

「冒険者登録ですね。 かしこまりました。 では、登録手数料が掛かりますが大丈夫ですか?」

「登録手数料…………?」

 

 あー、なるほど会員登録料みたいなものか。 そうだよね。 こういうの登録するのって普通そういうのいるよね。

 いくらファンタジーの世界でもそういうところは現実的なんだなぁとちょっと心の中で苦笑いしました。

 あ、でも、

 

「あの……それって幾ら位になりますか? 手持ちってそんなに無いんですけど」

「あら、そうなんですか? えっと、登録料は1000エリスになりますが、大丈夫ですか?」

「あ、よかった。 そのくらいなら有ります!」

 

 私はアクア様からもらった小袋を取り出し、数枚の銀貨をトレーに乗せます。 確かこれで丁度だったはず。

 一応このギルドに来るまでの道中、お金の基準を確かめる為に、出店でりんごを一つ買ってみたのですが、その時は120エリスでした。 憶測ですが、1エリスは日本での1円と換算してそうほぼ問題無さそうですね。 あ、ちなみにそのりんごはとても甘くて美味しかったです! 無農薬っていいね!

 お姉さんは私から必要な額を受け取り、しっかりと確認してから、

 

「はい! 1000エリス丁度ですね。 ありがとうごさまいます。 それでは、まず『冒険者』についての最初に簡単なご説明をさせて頂きますね」

「はい! お願いします!」

 

 私は止まぬ興奮をそのままに、お姉さんの説明を一生懸命に聞きました。

 お姉さんの説明をかいつまんで言うと、冒険者と言うのは、まず一般的なイメージ通り、街の外のモンスターの討伐、それ以外に素材の採取や実験のお手伝いなんかもする、言ってしまえば何でも屋に近い職業だそうです。  まぁ冒険者の中でも職業は色々あるようですが、とりあえずそういった仕事――――クエストをして生計を立てて食べてっている人たちの総称が『冒険者』のようですね。

 そして次に、お姉さんは免許証くらいの大きさのカードを私に差し出しました。

 これは『冒険者カード』と言うものだそうで、自分が冒険者である事の身分証明書であると同時に、自分のレベルやステータス、スキル等を表示するものだそうです。 それ以外にも、現状の経験値、モンスターの討伐数、レベルアップした際に手にはいるスキルを覚えるためのポイントとかも表示されるそうです。

 ちなみに経験値はモンスターを討伐する以外に、食べ物とかでも得られるんだそうな。

 なるほど、これはかなりゲームっぽいですね。 ちょっとメタな感じはありますけど、これはこれでとても面白そうです!

 お姉さんは一息ついて、

 

「これで説明は以上となります。 なにか質問はありますか?」

「ん~、今は特に無いかな……? 大丈夫です」

「かしこまりました。 それでは、こちらの登録用紙に、お名前、年齢、性別、身長、体重、簡単な容姿の特徴などをお書きください」

 

 ふむふむ……住所とかは要らないのかな? まぁ書いてくださいなんて言われたら困るので良かったんですけど。 なんだか区役所見たいだなぁ。

 なんてファンタジーの世界にいるのに無駄に現実的なことを考えながら、必要事項を記入していきます。

 ちなみに、これも道中に解った事なのですが、私はどうやらこの世界の文字を既に理解できているようです。 ここに来る途中に書かれたお店の看板の文字も理解できたし、なんていうか、頭の中で勝手に日本語訳されているみたいな感じですね。 筆記も今書いている通り、頭の中では『日比田つみれ』と書いているつもりなのに、私はこの世界にあわせた文字で書いています。 文字の見た目としてはローマ字と韓国文字を足して2で割った感じですね。 韓国文字あんまりわからないけど。

 えーっと、年齢16歳、性別女、身長161、体重●●、容姿……茶髪のセミロングにパッチリまつげっと……こんな感じかな?

 必要事項を書いた用紙を、お姉さんに渡します。

 

「はい、ありがとうございます。 それでは、こちらの機械の下にカードを置いて、手を翳して下さい。 それで貴女のステータスがこのカードに刻まれます」

 

 私はお姉さんに言われたように、窓口の横にある地球儀に歯車の装飾を加えたような機械の下にカードを置いて手を翳します。 すると、機械の大部分を占めている淡く青い光の灯っている球体のパーツの下部分から、ブィンとレーザーみたいなのがカードに照射されました。 それがカードの中を縦横無尽に駆け巡り、カードに文字が刻まれていきます。

 

「わぁ! すごいすごい! 何これ!? ファンタジーっぽいけどちょっとハイテック!」

「ふふっ」

「あ、ごめんなさい、ちょっと興奮しちゃって……」

 

 いけない。 思わず人前で興奮してしまいました。

 隣でお姉さんがクスクスと笑っているのを見て、顔が熱くなってしまいます。

 うぅ……恥ずかしい…………。

 

「いいえ! 此方こそ笑っちゃってごめんなさい。 ただ、冒険者登録でこんなに楽しそうにする人は珍しくって。 あぁでも前に一人、貴女ほどではないですけど、珍しい剣を持った方が結構ワクワクした感じでしたね。 それでも、貴女ほどではなかったんですけど」

「わざわざ2回も私ほどじゃないって言わないでくださいよぉ……」

「うふふ。 ごめんなさい。 あ、終わりましたね」

 

 お姉さんと私がお話している間に、カードの書き込みが終わったようです。 お姉さんが機械からカードを手にとって確認します。

 さてさて、私のステータスはどんなものなのでしょうか?

 

「えーっと、ヒビタ・ツミレさんですね。 ふんふん…………うーん、全体的にそこそこと言った感じでしょうか。 低くは無いですね。 あ、でも魔力と知力は平均クラスを上回ってますね。 これは結構凄い事ですよ!」

 

 そこそこ…………基準がいまいち解らないのですが、悲観するほどのものではないと言う事ですかね? というか、知力はちょっと高目と言うのは少し嬉しいです。 日ごろの勉強の賜物でしょうか。 これでも成績は上の方なのです! それに魔力も高いとなると、あれですかね? これは魔法使い系の職業に就くのが良いんじゃないでしょうか。 だって魔法使ってみたいですし!

 私が心の中で盛り上がっている中、お姉さんは「あれ?」と小首を傾げました。

 

「スキルが既に備わってる…………? しかも二つ…………でも、なんでしょう、見た事無いスキルですね。 これは…………」

 

 お? それってもしや……

 

「もしかして、『バイリンガル』と『魅了』の事ですか?」

「あ、はい。 あれ、何かご存知なんですか?」

 

 あーやっぱりそれかぁ。 うーん、女神様から貰ったチートだなんて言い辛いしなぁ……………………あ、そだ!

 

「えっとですね……実は私、動物と会話が出来るんです!そのせいなのか、動物にもよく懐かれる体質で……生まれた時からそうだったみたいなんですけど、もしかしてそれが実はスキルだった~とか、ですかね?」

 

 良くもまぁこんな作り話をポンポンと言えたなと自分で感心しますが、どうでしょう。 誤魔化せたかな?

 ちょっと不安になりましたが、むしろお姉さんはぱぁっと顔を輝かせていました。

 

「ということは……ユニークスキルですね! 職業で習得するのでも、種族特有に持っているのでもなく、個人で生まれつき持っているという幻の……! 私、ここに勤めてから数年経ちますけど、こんなのは初めて見ました! 感激です!」

 

 子供の様に喜んで身体とおっぱいを揺らすお姉さん。

 どうやら誤魔化せたようです。 よかったぁ……。 しかしなるほど、ユニークスキルという扱いになるんですね。 確かにそれならかなり納得いきます。 生まれつきというのもまぁあながち間違いではないですし。

 

「となると、このスキルを見るに、猛獣以外にもモンスターの使役が出来る『ビーストテイマー』というはどうでしょう? 中々お目にかかれないレア職業で需要も高いですし、レベルアップしていけば、召喚魔法だって使えるほどの強力な後衛職です!」

 

 ビーストテイマー…………面白そうですね! モンスターをただ操る事ができるだけじゃなく、召喚して戦う事も出来るとは! 召喚魔法だってモチロン魔法。 そして私のチートスキルも存分に活用できる。 これはもう、決まりですね!

 

「解りました! じゃあ、ビーストテイマーでお願いします!」

「かしこまりました! では、ビーストテイマーとして登録させて頂きます! 冒険者ギルドへようこそヒビタ・ツミレ様。 スタッフ一同、今後の活躍を期待しています!」

 

 お姉さんは私の情報が刻まれたカードを私に手渡し、そしてまたにっこりと微笑んで、私を新たな冒険者として迎えてくれました。

 さぁ、キャラメイキングは終わりました。 次は仲間集めと行きましょう!

 

 

 

 




いつも読んでくださりありがとうございます。ユアシアンです。

そんなわけで今回から本格始動となりますが、
とりあえず今回で職業が決まりました!

なんとなくビーストテイマー的な職業があるみたいなことを『仮面』のほうで見たような気がするのですが、
明言されていないので現状この名前で通していこうと思います。

もしかしたら『なんでアクアからお金もらってるの?』と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、アクアはアクアでカズマに『金あるか?』と聞かれた際『あんな状況でいきなりつれてこられて持ってるわけ無いでしょ?』と言うセリフから察して、普段なら用意してあげているのかという考えで持たせました。

ちなみに、次回の投稿の際にプロローグを一つに纏めるので、
更新しても総話数が変わっていないとは思いますが、ちゃんと新規投稿されているのでご安心ください。

それでは、皆様の感想、評価、質問、アドバイス等を心からお待ちしております。もし気に入って下さればお気に入り登録していただけると喜びます。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。