ハイスクールD×D 『本物』を求めた赤龍帝   作:silver time

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お久しぶりです。
ようやく出来たので投稿を






黒猫のなく頃に

――人間というものは変わらない

 

それの姿形がどのように変わろうとも、その本質だけは決して変わらない

 

人間は変われない、変わらないのではなく変われない

 

仮に変わるとするなら、それはきっとソレの在り方に関わるほどだろう

 

それでも人は変われない

同じ過ちを繰り返す。

 

それは俺達(・・)にも言えることだ。

強大な力を手にしても、所詮は同じ人間だ

 

何かを傷つけ、争い、殺し合う

それ以外の使い方など知らない。

俺達(・・)が生まれ持ったソレも、それ以外に使えるわけがない、だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――オマエモコッチヘオチテコイ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――あぁ、最悪の目覚めだ。

覚悟はしてたが想像以上に酷いな。

 

歴代赤龍帝の残留思念、それに意識を沈めていたが予想以上にキツイ

気を緩めた途端に向こうに持ってかれる。

別に真理の扉を開いて体を持ってかれる訳じゃないが、なんというか俺が俺自身じゃ無くなるような、そんな気味の悪い感覚。

 

『どうだった?アイツらは』

 

「…想像以上にキツイな」

 

とりあえず起きるか。この嫌な気分を取っ払いたい。

 

「……あれ?そういやあいつらは?」

 

『ティアマットの奴ならそこら辺を散歩してるぞ。エミヤの奴は知らん』

 

どこに行ったんだよ……

エミヤの方はホントにどこに行ったんだ

 

「ただいま。あ、起きたみたいね」

 

「ああ、今起きたところだ。最悪の目覚めだったが」

 

「……そう、やっぱりアレを見たのね」

 

「心配するな、簡単にのまれるほど浅はかな人生は歩んでないからな」

 

「別に心配はしてないわよ」

 

さて、起きたところで早速修行と

 

「すまない、今戻った」

 

「エミヤ、あんたどこ行ってたのよ」

 

「近くに町があったらしくてな、少し情報収集をしていた」

 

「情報収集?」

 

「なに、気にすることは無い。私個人の問題だ。それよりも興味深い話を聞いたのでな」

 

「何よ、その興味深い話って」

 

「このあたりにはぐれ悪魔が逃げ込んで来たという話を聞いた。元々は猫又の妖怪、猫魈と言ったか。その猫魈の少女が例のはぐれ悪魔らしい」

 

そう言いエミヤは一枚の紙切れを八幡に渡す

 

「……SS級はぐれ悪魔 黒歌

討伐依頼書……?」

 

そこには、その少女の名前と報酬金が書かれていた

 

「討伐依頼書ねぇ…なんか、とてもそんな悪い事しそうな子には見えないんだけど」

 

「それには私も同意だ。それに、その依頼をした者も怪しいものでな」

 

「怪しい?」

 

「何でも、その黒歌と言う少女が殺した元主の親なのだが……この辺りを治めている貴族のようだが、何かと黒い噂が絶えないようだ」

 

「黒い噂ねえ……」

 

「その黒歌って子、酷い目に遭わされてきたから逃げたんじゃないの?」

 

「ほぼそれで正解だろうな」

 

「ただ、眷属となった悪魔が主を殺す事はかなり重い罪のようでな、依頼が公式に受理されてしまった以上は――」

 

 

そこまで言いかけ、エミヤの意識が別の方へと向けられる

 

「エミヤ?」

 

「……何か来たか?」

 

「ああ、そのようだ」

 

エミヤは簡単にそう返し、感知式の結界に反応した方角を見据えていた

 

「何人だ?」

 

「――一人、二人、五人ほどか。一人を四人が追いかけているように見える」

 

「……行ってみるか」

 

 

八幡は修行を中止し、反応があった方角へと向かう。

 

嫌な予感と、フラグが立ったか?と言う懸念を抱えて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔物の住まう森の最南端、一つの黒い影が森の中を疾走し、四つの影がそれを追いかけるように追従している

 

件のSS級はぐれ悪魔の黒歌と、黒歌を殺すように領主に命じられた部下だった

 

「しつこいにゃ!いつまで追ってくるにゃ!」

 

「お前を捕まえるまでだよ!」

 

「いつまで逃げられるかな〜?」

 

体のあちこちに傷が付き、着ている和服は血で滲んでいる。もう既に満身創痍に近い状態だった。それでも必死に足掻く。

もう1度妹に会うために

 

しかし

 

 

「いい加減くたばれ!」

 

追っ手の一人が放った魔力弾が黒歌の足元にヒットし

 

「ッ!?」

 

そのままバランスを崩した黒歌は地面を転がり、木の幹へと激突した。背中から木に激突したため肺の中の空気が一気に押し出される

 

「もう逃げらんねえぞ?」

 

追っ手の男達卑下た笑みを浮べながらゆっくりと歩いてくる

黒歌の体に視線を走らせ、良からぬことを考えているのが丸わかりな顔をしていた

 

「手間掛けさせやがって」

 

「折角だから少しばかり遊んでいこうぜ」

 

「かなりの上玉だからな、楽しませてもらおうか」

 

揃いも揃って気味の悪い笑い声を発し、黒歌へと近づいていく

 

(……ごめんね、白音。もう会えないかもしれないにゃ)

 

グレモリーに保護された妹へと心の中で謝罪する。

状況を打破する術もなく、舌なめずりをする肉食動物に逃げ場を塞がれた草食動物のように、黒歌が助かる道は無かった

 

 

男達が黒歌へとその手を伸ばそうとした刹那

 

 

 

 

 

 

男達と黒歌の間にいくつもの剣が道を塞ぐように突き刺さった

 

 

 

 

 

「ちょっと待って貰おうか?」

 

 

「誰だ!?」

 

 

追っ手の一人がそう声を荒げると、黒歌の背にある巨木の上から降りてくる三つの人影があった

 

赤い外套を纏った白い髪の男と、

現代的な衣服を着た青い髪の女性と、

よれよれの黒いコートを着た腐った目をした少年がいた

 

 

その追っ手の男達と黒歌は知る由もないが、

 

英霊、天魔の業龍、赤龍帝といった割ととんでもない面子ばかりだ

 

「この子、あの紙切れに書いてあった…」

 

「……黒歌か」

 

一瞬、助かったと考えたが、自分はもう既にはぐれ悪魔として知れ渡っているのだ。

 

自分を助けに来た訳では無いと再び諦めようとしていた

 

「今からお楽しみだって言うのに……邪魔しようってんならお前らにも痛い目見てもらうぞ?」

 

「そいつははぐれ悪魔だぞ?そいつを助けようとするならお前らも同罪だ」

 

「生憎だが、私には貴様らが反撃する術を持たない女性に襲いかかる暴漢のようにしか見えないのだがな?」

 

両者の睨み合いが続く中、

倒れている黒歌は八幡達の方へと手を伸ばし

 

「たす……けて…」

 

か細い声でそう言った。

黒歌は一度諦めたが、少なからずある最後の可能性に掛け、助けを求めた。

客観的な第三者からすれば、SS級という危険認定をくらった危険人物に助けを求められたとしてもその手を掴もうとはしないだろう

 

だが、ここに少なくとも、その必死の思いで紡がれた助けを求める声に答えるものが二人いたのだ

 

「……アーチャー、こんな風に助けを求められたら、お前ならどうする?」

 

「そうだな、少なくとも私はそれに応えるまでだ。例えその娘が犯罪者として記録されているとしても。そう言うマスターはどうなんだね?」

 

「俺も同意見」

 

そう言いつつ、エミヤはその手に使い慣れた白黒の夫婦剣を投影し、八幡も赤龍帝の籠手を左手に具現化させる

 

「お前らやる気か?」

 

「ああ。詳しいことはそこの猫女から後で聞く。行けるな?アーチャー」

 

「無論だ。真実はどうであれ、私はマスターの意志に従う。それに、私としてもあれは看過できん」

 

「上等だ!四人勝てるわけないだろ!」

 

男達は一斉に襲いかかり、

 

「丁度いい。どれだけ強くなったか試したかった所だ。サンドバック役ご苦労さん」

 

 

八幡とエミヤが男達と激突したところで、

黒歌の意識は途絶えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

匂い

 

 

久しく嗅いでいなかった料理の匂い

 

 

濃厚な脂をもった肉が焼ける香ばしい匂い

 

 

パチパチと聞こえてくる音

 

 

 

黒歌はいつぶりに感じた懐かしい感覚と共に目を覚ました。

 

気づけば知らない洞窟の中。目の前には焚き火と枝に括り付けられた肉が焼かれている

 

「……此処、は?」

 

黒歌はまだ目覚めきっていない目で辺りを見回す。

 

洞窟、光る鉱石が至るところからむき出しになり、洞窟の中を幻想的に魅せている洞窟の中にいた

 

辺りを見終えたところで自分の体に視線を移すと、体の彼方此方には包帯が巻かれ、未まだに残っている傷が少しばかり痛々しいがほぼ問題無かった

 

「……助かったのにゃ?」

 

 

思わず、現状を確認するために独り言を呟く

 

「具合はどうだ?」

 

横から突然声をかけられ、その場から飛び退きながら声のした方へと向き直ると、さきほど見たよれよれの黒いコートを着た腐った目の少年がいた

 

「……」

 

「そこまで警戒しなくても……いや、仕方ないか」

 

腐った目の少年、比企谷八幡はそう言いながら焚き火で焼かれている肉の焼き加減をみていた

 

「……たすけてくれたのかにゃ?」

 

「それ以外に何がある?」

 

何を当たり前の事をと言ったふうに返し、焼けた肉を回収していく

 

「此処はいったい……」

 

「俺達が使ってる修行場。元々はティアの住処だったが」

 

「……あいつらは?」

 

「あー……生かしとくとめんどくさいからぶっ殺した。ちゃんと弔ってはやったが」

 

流し気味にとんでもない事をカミングアウトしたがスルーしておく

 

「名前は?」

 

「今聞くのか……比企谷八幡、今代の赤龍帝」

 

「赤龍帝……」

 

これまた流れ作業のようにサラッととんでもないカミングアウトをしたがあの追っ手四人を容易く倒せた事に納得していた

 

そしてもう一つ

 

「あと二人いなかったかにゃ?」

 

意識を失う直前に見たあと二人の姿が見えないのだ

 

あたりを見回しても姿は見えず

 

「私がどうかしたかね?」

 

「うにゃあっ!?」

 

すぐ後ろから聞こえた男性の声に驚き、またもやその場から飛び退く。後ろには例の二人のうちの一人、エミヤが皿に盛られている森で採れた植物のサラダや天ぷらのようなものを手に持ち立っていた

そこへティアが龍の姿で洞窟へと戻り

 

 

「りゅ、龍!?どうなってるにゃ!?」

 

プチパニックを起こし慌てふためく猫又の少女を尻目にエミヤは夕食の準備を進めていく

 

「……結構元気そうね」

 

「夕食も難なく食べれそうだな」

 

「そうでなくては折角用意した料理が無駄になる」

 

ティアは人間態に姿を変え、焚き火の近くに座り込む

 

「ほら、アンタも座りなさいよ」

 

「えっ、えっと……」

 

「折角だから飯でも食っていけ。まだ満足に動けないだろ」

 

「君も食べていくといい。と言っても、もう君の分も用意してあるのでな」

 

「…じゃあ、いただくにゃ」

 

半ば状況に押され了承してしまう黒歌だが

ここ最近はまともな食事にありつけなかった彼女にとって天恵にも等しかった

 

目の前の皿に置かれた焼き加減バッチリの肉を手に取り行儀など知った事ではないとばかりにかぶりつく

 

「……これはもう少し多く作っておくべきだったか?」

 

「余っ程お腹空いていたのね……」

 

エミヤはかつて共に暮らした腹ペコ王と黒歌を重ね苦笑いを浮かべ、ティアもその食べっぷりに押されつつも自分の分へと手を伸ばしていく

 

「……だいぶ賑やかになったな」

 

最初はティアと二人だったこの特訓も、召喚した英霊のエミヤが加わり、一時の縁だろう黒歌が加わった。

この関係がはたして八幡の求める本物かどうか、それはまだわからない。

 

ただはっきりと言えることは、

少なくとも今この瞬間は、彼にとってもっとも心地の良かったあの場所とても良くに似ていたのだ

 

 

(あの時、違う行動をしていればこんな風までとは言わないが、似た未来もあったんだろうか)

 

それは後悔だろうか、あの時こうしていればと少なからず思っただろう。

 

 

だがそんなもの関係ない。

 

彼はもう引き返さない。

 

引き返せないのでは無く、引き返さない。

 

 

進み続けると、そう決めたから。

 

たとえ間違っていると、歪んていると言われても

 

 

 

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