The story of a certain ARCS   作:緑ノ狐

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【登場人物】

≪アデルカ・ジルバーク≫ 16・男・ヒューマン
ある事情によりエルシィと一緒に道場に住んでいる。小さい頃の記憶がなく、一番古い記憶では既に道場にいた。道場師範であるユリオンを師と仰いでいる。剣術の腕はユリオン曰く粗削りだが、素質はあるそうだ。

≪エルシィ・ジルバーク≫ 16・女・ヒューマン
ある事情によりアデルカと一緒に道場に住んでいる。以前は有名な商家の娘だったが、アデルカに気を使い昔のことは話に出さないようにしている。一時期アデルカと共に剣術や体術を学ぼうとしたものの、自分には合っていないとやめてしまったところにユリオンが魔法書を持ってきて薦めてくれたのを勉強し自らの魔法の素質に気付いた。

≪ユリオン・ジルバーク≫ 25・男・ヒューマン
ジルバーク道場の師範+エルシィとアデルカの保護者。剣術の腕は確かでアデルカには負けたことがない。しかし道場を開いている周りに人がいないため、弟子はアデルカ一人。アデルカとエルシィを引き取ったのは彼だが、その理由を明かすのはまた別のお話で。


第一話 Come talk about Let's start this "story"

 『父さん!父さん!!』

 

 

・・・

 

 

 『お前が背負うことはない・・・お前は何も悪くないのだから』

 

 

また・・・

 

 

 

 『嫌だ!僕もここに残る!父さんを置いてなんて行けない!!』

 

 

また・・・この夢か・・・

 

 

 『ふっ・・・お前は優しい子だな。その優しさで多くの人々をこれから助けてやれ。』

 

 『待って!待ってよ父さん!』

 

 『忘れるな。お前のその手は、己で未来を掴むためにあることを。』

 

 

その大きな背中が遠くへ離れていく

 

 

 『父さん!父さああああああん!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・はぁ」

 

窓から差し込む光に照らされ目が覚める。

 

最近同じ夢をよく見る。誰かの過去を覗き見ているような夢を。

 

夢の中の自分は小さな少年の中にいるように感じる。その口から出る言葉は自らの意志とは関係なく出るものだが。

 

少年の目から見えるのは父親であろう男、大量の黒い影と崩壊した町、それを燃やし尽くさんばかりに包む業火だけ。

 

夢で見るのはあの場面だけで、何故そんなことになっているのか、その後少年がどうなったのか、そういうことは全くわからない。

 

 

 「なんであんなに同じ夢見るんだろう・・・予知夢じゃあるまいし・・・」

 

 

そんなことについて考えていると突然ドアを開ける音とその衝撃による部屋の揺れが俺を襲った。

 

 

 「アデル!早く起き・・・ってなんだ、起きてるじゃないの」

 

 「いやさっき起きたところだけど・・・あのさぁエル」

 

 

俺はおそらく何度も言ったであろう言葉を目の前の幼馴染にぶつける。

 

 

 「そんなに大声出さなくても起きるよ・・・それに毎日そんなにすごい音させてたらドア壊すよ」

 

 「大丈夫よ!あたしが今までドアを壊したことなんてあった?ないでしょ?」

 

 「いや二週間前に壊したばっかりで」

 

 「ないでしょ」

 

 「・・・はい」

 

 

真顔で問いかけてくるあたり恐ろしい。

 

 

 「とにかく、もう朝ごはんできてるから。ユリオンさんもう食べ終わって準備してるわよ」

 

 「師匠は相変わらず朝早いなぁ」

 

 「あんたが遅いだけよバカ」

 

 

朝から忙しい奴の暴言をスルーしながら朝飯を食べに廊下を進むと横から声をかけられる。

 

 

 「お、起きたかアデルカ。今日の稽古、飯食った後すぐやるか?」

 

 「いいね。それならすぐ飯食ってくるよ」

 

 「あんまり急いで食うとまたエルシィに怒られるぞ」

 

 

ハッハッハと高笑いをあげながら道場へ向かうタンクトップの大男。

 

あれが俺の師匠でありこのジルバーク道場の師範だ。見た目はそのまま田んぼに行って土を耕しても違和感がない濃いおっさんだが剣は強い。

 

 

 「っと・・・さっさと食っちまうか」

 

 

その後食べ慣れたエルの朝飯をいつもより早く食べ終わった俺はすぐに道場へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 「はあああああああ!!」

 

 「甘い!もっと脇をしめろ!」

 

 「がッ!くっそ・・・!これなら、どうだ!!」

 

 「うおッ!」

 

 

俺の木刀が師匠の頬をかすめる。

 

 

 「悪くないが・・・遅い!!」

 

 

師匠の木刀が俺の持っていた木刀を弾き飛ばし、俺はバランスを崩され倒されてしまった。

 

 

 「ってえ!」ドサッ

 

 「ぐ・・・まいりました・・・と言うとでも思ったか!」

 

 

崩れた体勢から足払いを繰り出す。

 

が、ものの見事にかわされてしまった。

 

 

 「その手はもう何度も見たぞ!」

 

 「ならこれでどうだ!!」

 

 

俺はおよそ武道では使わないであろう技を師匠に向けてぶつけようとする。

 

それはどんなに強いものであろうとも当たれば一撃必殺で倒せる最強の技。

 

 

 

そう、目つぶしだ。

 

 

 「くらええええええええ!!」

 

 「お前師匠に向けて稽古中になんて技出しやがる!」

 

 「元はと言えばあんたに習った技だ!うおおおおおおおお!!」

 

 「あれは喧嘩で使えと言ったんだ!この馬鹿弟子があああああああ!!」

 

 「おおおおおわあああああああああ!!」

 

 

何の迷いもなく師匠の目を潰そうとした俺の手をがっちり掴まれ、俺の景色はぐるりと回った。

 

 

 「ぐはっ!」

 

 

そしてそのまま綺麗な一本背負いで地面に叩き付けられた。

 

 

 「ま、まいり・・・」ガクッ

 

 「やべぇ・・・やりすぎたか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が目を覚ました頃にはもう夕方になっていた。

 

 

 「背中いてぇ~・・・腹減ったな」

 

 

稽古を始めたのが朝飯の直後、稽古中に気絶してから今まで寝ていたので昼飯も食べていない。

 

 

 「台所に何かあったかな・・・」

 

 

道場から台所に向かおうとしてドアを開けた瞬間その前にいたエルと目が合った。

 

 

 「あら、おはようアデル。目が覚めたのね」

 

 「ああ。なあ、腹減ったんだけど何かないかな?」

 

 「そう言うと思っておにぎり作っておいたわ。あたしもお腹すいたし、台所で食べましょ。」

 

 「いいのか?夕飯前に食べちゃって・・・」

 

 「なによ。なんか文句あるわけ?」

 

 「いや、文句っていうか・・・太」

 

 「それ以上言ったらあんたのおにぎりだけ消し炭にするわよ」

 

 「ゆ、夕飯食べられなくなるんじゃない?」 

 

 「いいのよ。食べなきゃ大きくなるものもならないでしょ」

 

 「うん・・・そうだね・・・」

 

 「ちょっと!そんな悲しそうな顔でどこ見てんのよ!身長よ身長!」

 

 「えっでも足りな」

 

 「太古から伝わりし万象を焼き尽くす紅蓮の焔よ・・・」

 

 「ごめん!ごめんて!!謝るから詠唱止めて!!」

 

 

この後めちゃくちゃおにぎり食べた。

 

第一話 完 

 

 

 

 

 

 

???「あれ?あそこの惑星、妙にフォトンが多いね」

 

???「本当だ。妙に多いね」

 

???「僕たちで食べちゃおうか?」

 

???「私たちで食べちゃおうか?」

 

???「「じゃあ、行こうか」」




後書きでは細かな設定を。

3人が住んでいるのはまだオラクルの調査対象ではない惑星エフィノア。エフィノアはヒューマンが栄えた惑星でオラクルとは違う独自の文明を持っている。6年前までは3人とも技術的に栄えていた王都クレセンテにいたが、事情によりユリオンの実家がある花の町シルラントに住んでいる。

現状ではこの3人はアークスやオラクルの存在は知らない。しかしダーカーについては文献に記されていてアデルカとエルシィは想像上の存在だと思っているが、ユリオンは実際にいることを知っている。なお真実は話さないでいる。


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