The story of a certain ARCS 作:緑ノ狐
≪アデルカ・ジルバーク≫ 16・男・ヒューマン
ある事情によりエルシィと一緒に道場に住んでいる。小さい頃の記憶がなく、一番古い記憶では既に道場にいた。道場師範であるユリオンを師と仰いでいる。剣術の腕はユリオン曰く粗削りだが、素質はあるそうだ。
≪エルシィ・ジルバーク≫ 16・女・ヒューマン
ある事情によりアデルカと一緒に道場に住んでいる。以前は有名な商家の娘だったが、アデルカに気を使い昔のことは話に出さないようにしている。一時期アデルカと共に剣術や体術を学ぼうとしたものの、自分には合っていないとやめてしまったところにユリオンが魔法書を持ってきて薦めてくれたのを勉強し自らの魔法の素質に気付いた。
≪ユリオン・ジルバーク≫ 25・男・ヒューマン
ジルバーク道場の師範+エルシィとアデルカの保護者。剣術の腕は確かでアデルカには負けたことがない。しかし道場を開いている周りに人がいないため、弟子はアデルカ一人。アデルカとエルシィを引き取ったのは彼だが、その理由はまだ明かされていない。
「・・・」
目の前のそれの浮き沈みを気にしながら俺は何を考えるでもなくただぼーっとしていた。
「・・・この調子だと夕飯のおかずはサラダだな・・・」
エルのがっかり顔と師匠のハッハッハという高笑いを想像しながらそれでも続ける。
今日は食材調達のため稽古は中止。それぞれで食べるものを探しに行っている。
エルは山へ野菜や果実を採りに、俺は川へ魚を釣りに来ていた。
いつもなら師匠が都に行って肉を買ってきてくれるのだが、今日は用事があると言って隣国のヒノクニへ行ってしまった。
よって今日もし俺が釣果がない場合、ご飯のお供となるおかずが無くなってしまうのだ。
「あー・・・・・・お?」
一瞬だったが浮きが沈み、持っている竿に重みがかかった。
「ここで釣らなきゃ絶対エルに何か言われる・・・」
さっき竿にかかった重みは川魚にしては大きいものの重みであるように感じた。
たとえ一匹でも、大きいものが釣れれば文句はあるまい。
「・・・!この重み・・・さっきのだ!」
今度は逃がさないように一気に引き上げる。
「よいっしょおおおおおおお!」
決まった。見事な一本釣りだ。今日の夕飯は川魚の塩焼きにしよう。
「・・・あれ?」
釣った魚の大きさを見ようと後ろを振り返ると、釣ったそれは魚ではなかった。
というか見た限り食べられるものですらなかった。
「なんだこの青い・・・棒?にしては太いな・・・」
その棒のようなものを観察していると、あることに気付く。
「・・・?何か書いてあるな・・・崩れてて読みづらい・・・A・・・R・・・K・・・S・・・アークス?」
アークズかもしれないし、もしくは何かの頭文字かもしれない。
見慣れない文字列に困惑しながら釣りを続けようとした時だった。
「!?なんだ!?爆発・・・!?」
ドゴオという轟音の後に振り返ると森の奥で煙が上がっていた。
「あっちの方角って・・・クソッ!!」
何かあったには違いないが、それでもすごく嫌な予感がした。
心臓が物凄い勢いで脈を打つ。それでも走る足を止めるわけにはいかなかった。
「はッ・・・はッ・・・クソ・・・なんなんだよ・・・何が起きてるんだよ・・・!」
「師匠・・・エル・・・!」
シルラントに戻った俺は目を疑った。
そこは既に自分が住んでいた町ではなかった。
建物は崩れ、草や花は燃え、町は黒い魔物によって破壊されていた。
「なんだ・・・これ・・・」
これが夢ならどれだけよかったことか。しかし、目の前の光景の凄惨さがそれが現実であることを俺に示しているようだった。
「・・・!エル!・・・師匠!」
そこには町の人を逃がすために黒い魔物を引き付けながら戦うエルと師匠がいた。
「2人とも!大丈夫か!?」
「アデル!よかった・・・無事だったのね・・・!」
「エル・・・あの黒いのはなんなんだ・・・?」
それを聞こうとした時、黒い魔物の攻撃を受け流しながら師匠が叫んだ。
「アデルカ!エルシィを連れて町の人と一緒に逃げろ!!」
「いや、俺も一緒に戦うよ!」
「そうよ!ユリオンさんだけじゃ無理だわ!」
エルシィの魔法の援護があってギリギリのように見えた。ここで1人になったら・・・
「馬鹿野郎!町の人が逃げた先にもこいつらがいたらどうする!お前らのどっちかが1人でやれる相手じゃねえ!」
「でも!師匠が!」
「俺を誰だと思ってやがる!こんなところでくたばりはしねえよ!」
どう考えたって強がりなのはわかっていた。それでもそこで師匠の言葉に反抗できる言葉を、俺は持っていなかった。
「・・・行こう、エル」
「あんた本気で言ってるの!?このままだと師匠が・・・」
「わかってるよ!!・・・わかってる・・・でも・・・」
「アデル・・・」
俺だってここに残りたい。そう言いたかった。でも俺じゃ明らかに足手まといなのは今の師匠を見てわかっていた。
「わかったわ。町の人たちを安全な場所まで誘導して、すぐに戻りましょう。」
俺は小さく頷くしかなかった。
「ユリオンさん!町の人たちを避難させたらすぐ戻ります!それまでなんとか持ちこたえてください!」
「持ちこたえるだ?馬鹿言え!帰ってきたらもうこいつら全員動かなくなってるわ!」
ハッハッハといつもの高笑いをあげる師匠の背中はとても大きかった。
「絶対・・・戻ってくるからな!!師匠!!」
「はぁ・・・はぁ・・・ここなら・・・」
「なんとか凌げそうね・・・」
俺とエルは町の北にあるもうずっと使われていない神殿に町の人たちを避難させた。
あの黒いやつらの得体は知れないが神聖なこの場所なら守ってくれるかもしれないというのと、ほとんど人が寄り付かないという理由で連れてきた。
「ここは大丈夫そうだな。だったら早く師匠のところに・・・」
「待って!もしここにやつらが来たら誰が町の人たちを守るの?」
「そんなこと言ったって師匠が!!」
「ユリオンさんは町の人たちを助けろって言ったのよ!ここで町の人たちを置いてユリオンさんのところに戻ったところであの人がそれを認めると思う!?」
「じゃあエルは師匠を見殺しにするって言うのか!!!」
その気はなかったがつい大声を出してしまったせいで周りまで静まり返ってしまった。
「ごめん・・・でも俺やっぱり師匠のところに・・・」
その時だった。
二度と聞きたくはなかったあの異様な雄叫びが神殿に響く。
「この鳴き声は・・・あの黒いやつら!?」
「クソ!もう嗅ぎ付けたのか!」
「あ!待って!アデル!」
神殿の前はおよそ10くらいの黒い魔物がいた。
「この数なら・・・やってやる!」
剣を握りしめ魔物の群れへ突っ込む。
「援護するわ!凍りつきなさい!アイスバーン!!」
エルが魔法で魔物の足を凍らせる。
「はあああああああ!!」
キン!!
魔物の体を切った感覚はしなかった。その硬い身体は持っていた剣で斬れるようなものではなかった。
「アデル!危ない!」
俺に襲い掛かろうとした黒い魔物をエルが炎魔法で怯ませる。
そのエルの死角から魔物が切りかかろうとしているのが見えた。
「エル!!後ろだ!!」
「え・・・」
ズバッ!!
俺の目に映ったのは黒い影と赤い鮮血
その時、何かが切れる音がした。
「エルに・・・触るなああああああああああああああああ!!!!」
策なんてなかった。ただエルを守りたかった。
奴らに斬りかかる俺の手が光る。
その手にはあの棒のようなものが握られ、先端が分かれて青い光の剣となっていた。
「うおおおおおおおおおおおおお!!!」
エルを攻撃した黒い魔物を縦に切り裂く。
そして横薙ぎで囲んでいた魔物を一閃。
周りには黒い魔物はもういなかった。
「エル!大丈夫か!エル!!」
「アデル・・・平気よ・・・腕をちょっと切られただけだもの・・・」
「ちょっとってお前・・・血が・・・」
「それより・・・その剣・・・」
エルと俺が持っていた青い剣を見つめる。
「その剣なら・・・あいつらを倒せるんでしょ?」
「あ、ああ・・・俺もよくわからないが・・・」
「だったら、ユリオンさんを助けてあげて・・・」
「でもエルが!」
「もう・・・あたしは大丈夫って言ったでしょ。こんなのすぐ治るわよ」
「エル・・・」
また俺は、人に強がりをさせてしまった。
「ほら、早く!」
「・・・わかった。絶対・・・師匠と一緒に戻る。」
「ええ・・・約束ね」
「ああ、約束だ」
絶対にまた3人で笑顔で顔を合わせてみせる。
その覚悟を胸に俺は町へと走り出した。
第二話 完
???「今回の任務は?」
???「アークスの調査対象外である惑星エフィノアへ向かい、ダーカーおよび惑星にいるであろうダークファルスを撃退することです」
???「また無茶な任務だねぇ・・・六芒全員連れてきてもよかったんじゃないのかい?」
???「確かに。老体に無茶はさせるものではないな」
???「仕方ありません。他の六芒は任務や調査で今すぐには戻ってこられない状況にありますからね」
???「まあ乗りかかった船ってやつだ。仕方ないさ。またジグに修理頼まなきゃならないのが少し面倒だけどね」
???「またジグがため息ついてるところが目に浮かぶな」
???「ははは・・・おっと、そろそろ惑星エフィノアに到着しますよ」
???「んじゃ、いっちょ行きますか。悪を成敗しに・・・ね」
某推理アクションゲームで例えるならば、第一話が(非)日常編、第二話が非日常編というところでしょうか。今回からやっとpso2が関わってきました。一応前回の最後から片足突っ込んでる状態ではありましたが・・・なにはともあれやっと本筋に入ります。次回はあのアークス達も登場します。お楽しみに。
ここからはまた細かい設定を書かせていただきます。
【王都クレセンテ】
技術都市とも呼ばれており、科学的な技術は他の国よりも発展している。かつて3人が住んでいた町でもありこの都のあるクレセンテ王国はエフィノアを代表する三つの国の一つとなっている。
【ヒノクニ国】
技術的には3つの国の中で一番劣るが、自然が豊かで他の二つの国に食料を輸出したりしている。ケイトという都があり景観は和風なもの。3国の中で唯一王国ではなく国民で選出した大統領を国の代表者としている。
【シューティスタ王国】
技術的にはクレセンテの次に高く、鉱石などの資源が豊かな国。数十年前までは国ではなく、それぞれ資源が取れる場所に町を作り領としていたが、各領の領主が同盟を組み国となった。王国と言っても家で継いでいるわけではなく、鉱山ギルドの幹部から現王が次期王を任命して継がれていく。