ロストロギアの少女   作:幽々やよい

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やっと復元出来ました……。
一ヶ月以上遅れてしまいましたが、投下します。


第10話 海の上の決戦なの

 翌早朝、なのはは海鳴市を海鳴公園のある方向に走っていた。二人で戦うならあの場所しかないだろうと考えて、まっすぐに向かっている。なのはの肩にはユーノがフェレットの姿で乗っており、(きた)る戦闘に向けて意識を集中させていた。

 

 

 しばらく街中を走っていると、塀の上からアルフが合流してくる。そしてそのすぐ後に、ソーフィヤが曲がり角から合流してきた。アルフは兎も角、ソーフィヤはもっと海鳴公園に近い場所で合流すると思っていたので、なのは達は少し驚く。走りながらソーフィヤに訳を聞いてみると、

 

 

「近くに転移したら、流石にフェイトも警戒するでしょ。事情を知らない私達以外が転移してきた可能性も考えると思うし。だから敢えて少し離れたこの辺りに転移したのよ。」

 

 

 と言った。なのはとフェイトの戦いを意識して、この場に転移したらしい。

 

 

 朝日が空を紫に染め地上に射す頃、なのは達は公園へと着く。そしてかつて戦った場所へと移動した。

 目的の場所についた四人の内ユーノとアルフは人の姿になり、その場でフェイトが現れるのを待つ。少しして、背後に新たな気配を感じ振り返ると、後ろにあった電灯の上にフェイトが立っていた。

 

 

 フェイトは一度全員を見渡すと、見知らぬ人物(ソーフィヤ)がいることに気付き、視線を止める。その視線に気が付いたソーフィヤは、フェイトに対して声をかけた。

 

 

「初めまして、フェイト・テスタロッサ。私はソーフィヤ。貴女となのはの戦いに手出しはしないから、気にしなくていいわ。」

 

 

「……そう。」

 

 

 フェイトはソーフィヤの言葉に反応を返し、視線を動かす。フェイトが再び全体を俯瞰するようになった時、アルフがフェイトへと叫んだ。

 

 

「フェイト、もうやめようよ!このままじゃ、フェイトが不幸になってしまうよ!」

 

 

 アルフの心からの叫びが、周囲に響く。しかし、フェイトは目を閉じて俯き首を横に振る。

 

 

「それでも、私は、あの人の娘だから……。」

 

 

「フェイト……。」

 

 

 フェイトの溢した言葉に、アルフは名前を呟くことしか出来ない。すると、二人の様子をを見ていたなのはが、フェイトに対して話し出した。

 

 

「ただ捨てればいいってわけじゃないよね……。でも、逃げればいいってわけじゃ、もっとない。」

 

 

 なのはは一歩前に出て、フェイトに近付く。そして、フェイトの目を見つめて、更に言葉を続けた。

 

 

「切っ掛けは、きっとジュエルシード。だから、賭けよう。お互いが持ってる、全てのジュエルシードを!」

 

 

 なのはは杖を前にかざし、その中から今まで集めたジュエルシードを全て展開する。その様子を少し後ろで見ていたソーフィヤも、額にシリアルナンバーを浮かべて一歩前に出た。

 フェイトも、それに合わせて自らが持つジュエルシードを周囲に展開する。

 

 

「それからだよ……。全部、それから。私達の全ては、まだ始まってもいない。だから、本当の自分を始めるために、始めよう。……最初で最後の、本気の勝負!」

 

 

「……っ!」

 

 

 なのはは杖を構え、魔法陣を展開する。フェイトもそれに合わせ、戦闘準備を整える。

 そして、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 ソーフィヤは、ユーノ、アルフと共に、なのはとフェイトの戦いを見ていた。二人の戦いの場は現在海上へと移り、桃色と黄色の魔力弾が空を飛び交っている。

 

 

(あの二人、やっぱりすごい……。)

 

 

 ソーフィヤは二人の戦いを見て、そのように感じていた。なのはが魔力弾を放てば、フェイトはシールドを作って防ぎ反撃する。その反撃に対して、なのはもシールドを作って防ぐ。その様な一進一退の攻防が、二人の間で紡がれていた。

 

 

(あれが、強い力を持つ者達の戦い……。)

 

 

 目の前で繰り広げられているのは、圧倒的実力者達の戦い。実際には、実力以外の意思の力もかなり強いのだろう。ソーフィヤは、改めて二人が持つ力の強さを感じ取り、自らとの差を認識する。

 

 

 戦況は今だ変わらず、互いに引かぬ攻防が繰り広げられている。なのはもフェイトも一歩も引かず、均衡が全く崩れない。

 

 

 二人が打ち合うこと数合。ここで、戦況に変化が現れた。

 

 

 少し距離を離した状態で二人が互いに睨み合っていたが、突如フェイトが杖を縦に構え出した。なのはは、これからフェイトが放とうとしている技が危険であることを本能的に察知し、回避行動をとろうとする。しかし、フェイトが事前に発動させていたバインドにかかってしまい、その場に完全に縛られてしまった。

 

 

「アルカス、クルタス、エイギアス……」

 

 

 少し離れた場所にいる自分達の所まで、フェイトの呪文詠唱が聞こえてくる。その内の最初の3語を聞いて、アルフは驚き二人の戦いに手出しは割り込もうと飛び出しかける。ソーフィヤは彼女の腕を引っ張り、何とか乱入を阻止した。

 

 

「ちょっと!二人が戦ってるんだから、手出ししちゃ不味いでしょ!」

 

 

「だけどあれは本当に危険なんだ!下手すると、なのはも落とされちまう!」

 

 

 アルフがソーフィヤの言葉に反論する。その内容を聞いたユーノは驚き、なのはを助けるために魔法を発動しようとする。

 

 

「なのは!今助ける!」

 

 

「だめーっ!」

 

 

 ユーノの言葉に、なのはが叫ぶ。ユーノは恐らくこの返答を予想していなかったのだろう。驚きの表情を浮かべた。

 

 

「これは私とフェイトちゃんの戦い!皆手出ししないで!」

 

 

「なのは……。」

 

 

 なのはの言葉に、二人は何も返答できない。そして、なのはが再び意識を全てフェイトに向けるのとほぼ同時に、フェイトの攻撃準備が完了した。

 

 

「……バルエル・ザルエル・ブラウゼル。フォトンランサー・ファランクスシフト!撃ち砕け、ファイアー!」

 

 

 フェイトの側に作られたスフィアから、膨大な数のフォトンランサーが撃ち出される。それらは一斉になのはに向かって放たれ、着弾する。

 

 

「なのは!」

 

 

 なのはは、着弾時に発生した煙に包まれる。3人は、心配そうになのはの方を見つめる。しばらくして煙が晴れると、若干のダメージは負っているものの今だ立っているなのはが現れた。

 

 

「撃ち終わると、バインドっていうのは解けちゃうんだね……。行くよ、フェイトちゃん。今度はこっちの番だよ!」

 

 

 お返しだというばかりに、なのははレイジングハートの形態を変化させ杖を構える。すると、変形したレイジングハートの先に環状魔法陣が現れ、魔力弾が生成され始めた。

 

 

(!これはマズイ!)

 

 

 直感的になのはが撃とうとしている砲撃が危険だと判断したフェイトは、左手に魔力弾を生成し迎撃準備を整える。

 そんなフェイトを余所に、なのはは攻撃準備を終え叫んだ。

 

 

「やあっ!」

 

 

 《Divine Buster.》

 

 

 魔力の奔流が、フェイトに向かって放たれる。何とかそれを打ち消そうとフェイトも魔力弾を飛ばし応戦するが、その力の強さに魔力弾は一瞬で掻き消されてしまう。フェイトはすぐさま左手にシールドを作り、何とか持ちこたえようとした。

 

 

 強い力に押されそうになりながらも、フェイトはシールドを出し続けて耐える。少しして奔流は治まり、バリアジャケットが大きく破損してしまったがフェイトは何とか耐え抜いた。大きく体力を消費したフェイトは、膝に手をつき息を荒げる。その時、上空から桃色の光がフェイトへと降り注いできた。

 

 

 上空ではなのはが魔法陣を発動させ、杖を天へ掲げていた。

 

 

「受けてみて、ディバインバスターのバリエーション!」

 

 

 《Starlight Breaker.》

 

 

 デバイスが宣言すると共に、なのはの前に一際大きな魔法陣が現れる。その中心部には、周辺に散らされていた魔力が集まってきている。その魔力弾はどんどん大きくなっていき、仕舞いにはフォトンランサーよりも圧倒的に大きな魔力弾になっていった。

 

 

「!……っ!バインド!?」

 

 

 フェイトはこの砲撃を避けようと動こうとするが、いつの間にか発動されていたバインドに縛られ、身動きがとれなくなってしまっていた。

 

 

「……っ!っ!」

 

 

 何とかしてバインドから抜け出そうとするが、全く微動だにしない。その間になのはは魔力の集束を終え、杖をフェイトに向けて構え直した。

 

 

「これが私の全力全開!スターライトーッブレイカー!」

 

 

 桃色の魔力線が空に描かれた直後、ディバインバスターとは比べ物にならないレベルの魔力の奔流が、フェイトを襲う。バインドによって動けないフェイトは、スターライトブレイカーの直撃を喰らってしまう。超強力な魔力砲撃が、フェイトを超え海にも降り注いでいた。

 

 

 砲撃が終わり、空ではなのはが肩で息をしながら立っている。そして、攻撃をもろに食らったフェイトは、そのまま海へと墜ちていった。

 

 

「フェイト!」

 

 

「フェイトちゃん!」

 

 

 海へ堕ちたフェイトを見て、アルフが叫ぶ。同じくなのはも叫び、海へと飛び込んでフェイトを助け出した。その光景を見て、フェイトを心配していたユーノとアルフの二人は、胸を撫で下ろす。

 

 

「……。」

 

 

 そんな状況下で、ソーフィヤは呆然としていた。呆気にとられていた。

 今まで練習相手をしてもらっていた人物が、非殺傷設定じゃなければ死ぬレベルの砲撃を撃ったのだ。今までなのはの全力を引き出さなくてよかったと、ソーフィヤはほっと息をついた。

 

 

 そして同時に、ソーフィヤは改めて二人の持つ力について知った。強い意思が力を呼び起こし、その力を用いて自らの意思を叶えようとするということを、この戦いを観たことで理解することが出来た。

 

 

(いつか絶対に、あの二人の高みにまで……!)

 

 

 ソーフィヤはこの戦いで決意を新たにし、これから先進んで行こうと考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 海の上では、戦いに負けたフェイトが、なのはに自らの持つジュエルシードを渡そうとバルディッシュからジュエルシードを展開させていた。地上にいる3人も、この二人の様子を真剣に見ていた。アースラでも同じく、この二人をモニター越しに見ていた。皆が方法は違えど一様に、この二人に意識を集中させていた。だから、周囲の環境の変化(・・・・・)に気が付くことが出来なかった。

 

 

 フェイトがなのはにジュエルシードを渡そうとした瞬間、突如空が曇り始め電気を帯びた雲が現れ始める。この突然の変化に、フェイトがただ一人気付き空を見る。

 

 

「母さん……?」

 

 

 フェイトは自分の母の魔力を空から感じ取り、一人疑問を感じる。この感じには覚えがあった。そう、初めてなのはと共闘したあの時。海竜の時の……。

 そこまで考えた時、空が一際強く光る。そして次の瞬間、フェイトに強力な電撃が落とされた。

 

 

「う゛あぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

「「フェイト!?」ちゃん!?」

 

 

 突然フェイトに降ってきた雷に、なのはとアルフは完全に意識を引かれてしまう。アルフの側にいたユーノとソーフィヤも、声には出さないものの驚愕の表情を浮かべている。全員が完全に意識を引かれてしまっていた。だから、空から落ちてくるもう一本の雷に、誰も反応することが出来なかった。

 

 

「……っ!?こっちにも!?」

 

 

 《Protection.》

 

 

「なっ!?シールド!」

 

 

 ソーフィヤが数瞬雷に気が付き、シールドを張る。ユーノもそれに少し遅れてシールドを張った。しかし、このユーノのシールドが少し遅れたことが、完全に命取りになった。ソーフィヤはシールドを張れるものの、まだ戦いの中で実際に使ったことは無い。謂わば、まだ素人同然の魔法である。ましてや、大魔導師から見たら、只の紙切れ同然だ。

 

 

 ユーノが少し遅れて張ったものの、ユーノが張る前にその内側に来てしまった雷は防ぐことが出来ない。その内側にあるのは、紙同然の防御。雷はいとも簡単にソーフィヤのシールドを砕き、3人に当たった。結果、ソーフィヤは至近距離で被弾し気絶、残る二人も余波で吹き飛ばされ更に電撃により身体が麻痺し、まともに動けなくなってしまった。

 

 

「みんな!」

 

 

 なのはは、地上にいる皆の所に向かおうとする。しかし、同じく雷に被弾したフェイトを抱えて浮いているため、身体をまともに動かすことが出来ない。

 

 

 現場にいる誰もが動けない中、ソーフィヤの身体がふわりと浮かび上がり、雲の渦に向かって吸い寄せられていく。そして、展開されたままだったフェイトのジュエルシードと共に、雲の中へと消えていってしまう。

 

 

「ソーフィヤちゃん……。」

 

 

 なのはの力の無い声が、ただ虚空に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




しばらく執筆出来ない環境にいたので、なかなか復元出来なかった……。遅れて申し訳なかったです。

第11話はまだ復元中なので、もう少しかかると思います。

ソーフィヤが公園から離れたところに転移した理由としては、これから戦う場所に見知らぬ敵という別の危険性があったら流石のフェイトも姿を現さないんじゃないかと思い、こうしました。

それは兎も角として、「Vivid Strike!!」始まりましたね。個人的にミウラが好きなので、ミウラの大人モード出て来て少し嬉しかったです。いつかはvivid編も書きたいなぁ……。
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