ロストロギアの少女   作:幽々やよい

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お久しぶりです。(一年以上経ってしまいましたが…)

少しずつ投稿を再開していこうと思います。


第14話 人形と秘めた心なの

 なのは、ユーノ、フェイト、アルフがそれぞれ駆動炉と最下層に向かった頃、アリシアのポットがある部屋には、他のジュエルシードと共に宙に浮かび、魔力を発し続けるソーフィヤの姿、そしてポットの近くで息を荒げながらも立つプレシアの姿があった。

 

 

「はぁ…はぁ…ゴホッ!」

 

 

 吐血しそうになるのを何とか抑え、意識をジュエルシードへと再び向ける。

 他の要因もあるが、長時間膨大な魔力の発動を維持し続けるのは、プレシアの体に大きな負担を与えていた。

 

 

(何としても、ここで倒れるわけにはいかない…!全てを失ってでも、私はアリシアを…!)

 

 

 そう意思を再度固めたところで、プレシアは周囲に人の気配を感じた。

 

 

 時の庭園の多くも崩れてしまっているものの、未だ部屋等はギリギリ形が残っている。また、虚数空間を避けて移動することも、まだギリギリ可能な状態である。どこか周囲に、誰かがいても不思議ではない。

 

 

 極力ポットを視界から外さないようにして周囲を見渡すと、少し離れたところに妖精のような羽根を展開したリンディが魔法を発動して立っていた。

 

 

『プレシア・テスタロッサ。これで終わりです。次元震は私が抑えています。』

 

 

 目をつぶったまま、リンディはプレシアへと告げる。

 

 

『駆動炉もじきに封印。貴女の場所には、執務官が向かっています。貴女が求めている失われし都、アルハザード。その地に納められていると言われる秘術。それらはあくまで伝説上の物に過ぎません。』

 

 

 リンディは淡々と告げる。

 それに対して、プレシアも口を開く。

 

 

「…それは違うわ。アルハザードは、通常では辿り着けない、次元の狭間に存在する…。コホッ、ジュエルシードの力を暴走させてこの地の時間・空間の概念を破壊することで、その地への希望の道筋が拓かれる…!」

 

 

『随分と分の悪い賭けですね。そうまでして、貴女は何を望むの?貴女と娘、アリシアが失った時間を取り戻すの?』

 

 

「…そうよ、私は取り戻すの。あの事件で失われた、私とアリシアの過去と未来(あした)を…!」

 

 

 プレシアはポットの脇に移動し、ポットにすがるようにもたれかかる。

 心なしか、ジュエルシードの発する光が少し治まったように見える。

 

 

「あの事故もそう、こんな筈じゃなかった…!絶対に取り戻す、どんなものを失い、切り捨てても…!」

 

 

 そうプレシアが叫んだ直後、閃光が走り周囲に散在していた瓦礫の一部が吹き飛ぶ。

 

 

「いつだって、世界は「こんな筈じゃなかった」ばっかりだよ…!ずっとずっと昔から、みんな「こんな筈じゃなかった」ばかりで生きているんだ…!」

 

 

 瓦礫の破壊痕から現れたクロノが、プレシアに叫ぶ。その表情にはどこか寂しい、辛い雰囲気を感じる事が出来た。

 クロノの叫びに、プレシアも何か感じたのか次の句を紡げない。それに呼応してか、ジュエルシードもかなり光が弱まっていた。

 

 

「現実に流されるか、変えようと抗うか、それは個人の自由だ!だけど、その為に他人を巻き込んでいい権利は誰にもない!」

 

 

 クロノが更に続ける。

 僅かな静寂が辺りを包み、その間に部屋にフェイトとアルフが辿り着く。

 直後、口元を手で抑えながら、プレシアが吐血した。

 

 

「…!ゴホッ!ゴホッ!」

 

 

「!母さん!」

 

 

 プレシアが吐血する様子を目撃したフェイトが、プレシアへと駆け寄ろうとする。しかし、プレシアは視線だけでフェイトを制止させる。

 

 

「…何をしに来たの。戻りなさい…。貴女に用は無いわ…!」

 

 

 鋭い視線でフェイトを見る。

 その威圧に身体を引きそうになるが、それを耐えて一歩進み、プレシアへと語りかける。

 

 

「…貴女に、伝えたいことがあって来ました。」

 

 

 フェイトの言葉に、プレシアを除く場にいる全員が息を飲む。フェイトにはやはり迷いがあるのか一度躊躇して顔をそむけそうになる。

 しかし、意を決してプレシアに向き直り、話を続ける。

 

 

「…私は貴女の望むアリシア・テスタロッサではありません。アリシアの複製体(クローン)…いえ、ただの人形なのかもしれません。」

 

 

「だけど、私は。フェイト・テスタロッサは、貴女に生み出され、育ててもらった。私は、貴女の娘です。」

 

 

 フェイトは、確固たる意思をもってプレシアに告げる。

 その意思を持った目を見たプレシアの表情が少しぶれる。しかし、直ぐに先程までの表情に戻り、フェイトに言葉を返す。

 

 

「…それで?私に貴女を娘と思えというのかしら?」

 

 

「…貴女が望むならば。私は、貴女をあらゆる者からも守ります。私が貴女の娘だからじゃない。貴女が、私の母さんだから。」

 

 

 そう言って、フェイトは左手を前に差し出す。

 

 

「…だから、母さん。一緒に…」

 

 

 フェイトから伸ばされた手を、プレシアは一瞥する。

 しかし、すぐに目を閉じ顔を下に向け、何かを振り払うように首を振って呟いた。

 

 

「…ふ、くだらな「そんなことはないわ。」い…!?」

 

 

 唐突に挟まれた聞いたことの無い声にプレシアは驚いて目を開き、すぐに周囲を見渡す。

 すると、先程までジュエルシードと共に宙に浮いていたソーフィヤが、プレシアの側で肩で息をしながら立っていた。

 

 

「ソーフィヤ!大丈夫なのか!?」

 

 

「クロノ…取りあえずは。話は一旦後でね。」

 

 

 驚き無事を確認するクロノに、ソーフィヤは軽く言葉を返す。そしてすぐにプレシアへと向き直った。

 

 

「貴女は…!さっきまで気絶してた筈…!」

 

 

「悪いけど、最初から意識はあったわ。まあ、強い魔力の流れのせいで、ほとんど何も出来なかったけど…。何故か分からないけど、魔力の流れが弱まったから、こうして話すことが出来たの。」

 

 

「最初から…?なら、話は聞いていた筈よ。貴女ごときに止められるつもりは、毛頭無いわ。」

 

 

「それが、アリシアが望まないことだとしても?」

 

 

「…!待ちなさい。アリシア、ですって?」

 

 

 聞き逃せない言葉を聞き、プレシアは表情を固くする。まるで本人から聞いたかのような口振りに、不信感と苛立ちが募る。

 

 

「死んでしまったアリシアと貴女が、話せるわけがないでしょう?何故そんな事が分かると言えるのかしら?」

 

 

「…申し訳ないけれど、前提条件が違います。アリシアは、厳密には死んでいません(・・・・・・・・・・・)。」

 

 

「!?死んでないですって!?正気なのかしら!?」

 

 

「ちょっと待て!アリシア・テスタロッサは、駆動炉事故の際に死亡が確認されている!」

 

 

「アリシアが…?」

 

 

「おい、そりゃどういうことだい!?」

 

 

 ソーフィヤの発言に、三者三様の反応を見せる。それもその筈、アリシア・テスタロッサは、事件の際に爆発に巻き込まれ死亡が既に確認されており、それが記録にも残されている。

 それが死んでいない、と言われても、すぐに納得することは出来ないだろう。

 だが、あえてそれを口にした。そうするだけの理由があるのだろうとリンディは考え、ソーフィヤに問いかけた。

 

 

「ソーフィヤ、貴女も過去の事件を調べていたらしいですし、アリシア・テスタロッサの件も知っていると思います。どうして彼女が厳密には死んでいないのか、理由を教えてもらえますか?」

 

 

「わかりました。ではまず、基本情報として、ジュエルシードから確認します。時間も無さそうなので、手短にですが。」

 

 

 そう言ってからソーフィヤは一度息を整え、プレシアの方を向きつつ全員に説明を始めた。

 

 

「ジュエルシードは、機能を大きく分けると①生命反応や感情反応、魔力反応の感知、②魔力を用いた動作の実行、この2つに分けられます。」

 

ソーフィヤ(わたし)は、霊的存在…は可能性の話ですが、少なくとも残留思念をNo.1のジュエルシード(わたし)が感知して、ジュエルシードを母体に創造されました。つまり、ジュエルシードは霊的存在を認識できるようなのです。事実、私がこのポットの部屋で目を覚ましたとき、霊体として存在していたアリシアを見つけました。」

 

 

「この部屋にアリシアの霊が?」

 

 

「はい。無論、普通は認識出来ないと思います。私がジュエルシードという特殊な存在だから、認識出来たのでしょう。」

 

 

「そんな事が…」

 

 

 アリシアの霊がこの部屋に残っていた。当事者としてはあまりにも衝撃的な内容に、プレシアは驚きを隠せないでいた。

 

 

「私は、アリシアに会った時に、多くの話を聞きました。26年前の事故の事、フェイトの事、そして…プレシア、貴女が全てをなげうってでも、大切な(フェイト)を失っても、アリシアを蘇生させようとしていること。」

 

 

「!母さん…!」

 

 

 自分の事を本当は娘として見てくれていた。アリシア(の言葉を代弁したソーフィヤ)の言葉からそれを感じとり、フェイトの中に喜びが生まれる。しかし、それと同時に、何故自分に対してあそこまで厳しい言動を浴びせたのか。フェイトとアルフが同じ疑問を抱くと、その答えはすぐに示された。

 

 

「…それに、多分アリシアは知らなかったんだと思うけど、貴女は病気か何かにかかってるんじゃないですか?さっきの吐血もそうだし、この場にいる誰よりも、生命反応が弱い…。」

 

 

「「!!」」

 

 

「…ええ、私は病に身を犯されているわ。もう残りの時間も長くない…。けれど、どうしてもこれだけは、アリシアを生き返らせる事だけは私がやらなきゃいけない。その意思で、ここまで来たの。」

 

 

「…なるほど。そうなると、フェイトさんを自分では守れなくなってしまう。だから、何かしら理由をつけて自分から引き離し、何か起きても自分とは関係ないと彼女を守れるようにしたのね。」

 

 

「だとしても、少し無茶すぎる。フェイトと出会ったのがなのはだったから良かったけど、場合によっては彼女がもっと危険な目に合ってたかもしれない!」

 

 

「あの事件のせいで頼れる知り合いは無いに等しかったし、私の使い魔は昔に死んでしまっていた。無茶無謀と言われても、私にはこれしか選択肢が無かったのよ!分かったような口を聞くのは止めなさい…!」

 

 

「う…。申し訳ない。流石に配慮が足りなかった。」

 

 

(母さん…リニス…)

 

 

 プレシアとリンディ、クロノが言葉の応酬を行う中、フェイトはプレシアとその使い魔、リニスの事を思い出していた。

 クローンであるフェイトにも優しく接してくれたリニス。その彼女が亡くなってしまっている今、プレシアを失えばフェイトは一緒にいるアルフを除けば孤独になってしまう。

 

 

 そうならないよう、例えとても辛く自分に当たってでも、誰かと繋げようとしてくれていた。その思いを知り、フェイトは更に嬉しさを感じていた。

 

 

(やり方は問題大有りだけど、あのババァもフェイトを思って辛く当たってたのか…。やったことは許せない。でも言ってくれりゃもっと違う解決法もあったろうに…!)

 

 

 アルフは、自分達に何も伝えず、一人でどうにかしようとして、フェイトにかなり強く当たっていたプレシアに対して怒りを感じていた。

 もし話してくれていれば、ここまでとはいかなくても、もう少しフェイトが抱え込まないですむ事も出来たのではないか。そう思いながら、隣にいるフェイトをアルフは見る。あまり表情には出ていないが、それでもフェイトが少し喜んでいるのをアルフは感じ取れた。

 

 

(あたしはあくまでフェイトの使い魔で、当事者じゃない。どんな風になっても、フェイトに従うだけさ。)

 

 

 あくまで当事者はプレシアとフェイト。どのような結末になろうと、自分はフェイトに従っていこうと、アルフは決意を新たにした。

 

 

 

 

 ──────────────────

 

 

 

「…えーと、かなり話がぶれてしまったんですが。時間も無いので、話を戻していいですか?」

 

 

 ソーフィヤは近くにいるプレシアへと話しかける。

 

 

「ああ、そうだったわね…。続けなさい。」

 

 

「それでは。先程言ったように、私は霊体のアリシアと会話しました。その時の会話で、彼女から違和感のある発言をされたんです。『何か液体に包まれてる感覚がある』って。」

 

 

 ソーフィヤの発言にクロノが首を傾げる。

 

 

「感覚?霊体に感覚なんてあるのか?」

 

 

「アリシアはそう言ってたけど、本来はどうか分からないわ。まあ、ある程度原因は分かってるけど。」

 

 

 クロノとソーフィヤがそう話す横で、プレシアは考え込みながらポツポツと呟いていた。

 

 

「霊に感覚ですって…?感覚器官が無い以上、そんな事ありえないわ。それに、液体なんてここの庭以外には…っ!?まさか、この液体ポット!?」

 

 

「そうです。恐らくアリシアは、このポットの中にある身体の感覚を受信していたんだと思います。」

 

 

 ソーフィヤはそう言うと、視線をプレシアからアリシアの方へと向ける。

 

 

「プレシア・テスタロッサによってジュエルシードが発動させられた時、私は循環する魔力を出来るだけ抑えながら、感知能力を使ってアリシアの身体を探ってみました。そうしたら、あることが分かったんです。」

「アリシアの身体から、とても微弱な生命反応が発せられていること。それと、強力な魔力反応があることが分かりました。」

 

 

「強力な魔力反応ですって!?アリシアはそんなに魔力値の高いリンカーコアは持っていない筈!」

 

 

「ですが、これは事実です。実際、彼女からは周囲にいた武装局員さんよりも、かなり高い魔力反応を感知してます。そうなった原因は分からないですけど…。ですが、それによって身体に弊害も出ていました。」

 

 

「弊害…?それは一体…」

 

 

「強い魔力に身体が順応出来ていないのか、アリシアの体内で魔力が暴走しているんです。そのせいで身体に強い負担がかかって、生命活動を阻害してしまっています。心臓が止まっているのにかなり近い状態になってしまってるんです。」

 

 

「それで、アリシアは死亡したと判断されたって事かしら…?」

 

 

「はい、恐らくは。もしそのままの状態で長い間外に晒されていれば、彼女はそのまま亡くなっていたと思います。ですが、プレシア・テスタロッサのある行動でその危機を回避しました。」

 

 

 ソーフィヤはそう言うと、若干覚束ない足取りながらもポットに近づいていく。

 

 

「プレシア・テスタロッサが、恐らくアリシアの身体がボロボロになってしまわないように入れていたポット。これに入られていた事で、生死の狭間、ギリギリの状態のまま保存されていたんです。」

 

 

「!つまり、今アリシア(あの娘)は…!」

 

 

「生死の狭間をさ迷っている状態です。つまり、ここでアリシアを救える可能性がまだ残ってます。」

 

 

「ソーフィヤ、それは…!」

 

 

「アリシアは死んでいないから死者の蘇生には当たらないし、身体をあるべき状態に治療(・・)するだけ。それに、アリシアにもお願いされたの。プレシアを助けてあげてほしいって。リンディさん、クロノ、許してもらえませんか?」

 

 

 ソーフィヤは二人のいる方を見る。その目には、何があっても自分の思いを曲げないという強い意思が宿っていた。

 恐らく、自分達がどう答えたとしても、ソーフィヤはプレシアに協力してアリシアを助けるだろう。二人は、ソーフィヤの眼差しからそう感じ取った。

 

 

「…私達がどう言おうと、今の貴女は意思を曲げないでしょうね。分かりました。対処は後で考えましょう。その代わり、貴女を含めた全員に危険を及ぼすと判断したら、私達が止めます。」

 

 

「!はい!ありがとうございます!」

 

 

 若干諦めの入った声で、リンディはソーフィヤに今回の件について許可を出した。それに対して笑顔で感謝を伝えるソーフィヤに、クロノは問いかける。

 

 

「ここまで言ったんだ。勿論、方法は考えているんだろうな?」

 

 

「うん、勿論。 」

 

 

 ソーフィヤはそう言うと、光を放たず周囲に浮いたままになっていたジュエルシードを1ヶ所に移動させる。

 

 

「多分想像していると思うけれど、21個全部のジュエルシードを使ってアリシアの霊体を身体に戻します。ただ、私とジュエルシードだけでは出来ません。プレシアとフェイトの協力が必要です。」

 

 

「え、私…?」

 

 

「プレシア・テスタロッサが必要なのは分かるが…」

 

 

「何でフェイトが必要になるんだい?」

 

 

 フェイト、クロノ、アルフが疑問の声をあげる。

 

 

「フェイトには、プレシアとは別にやってもらうことがあるから。プレシアには、ジュエルシードを発動させる為に『アリシアが元の身体に戻る』事を願ってもらう。だけど、これだけじゃ問題解決にはならないの。」

 

 

「どうしてだい?元の身体に戻ったら、それで大丈夫なんじゃないのかい?」

 

 

「確かに、普通だったらそれで大丈夫。だけど、さっきアリシアの身体の状態を教えたでしょ?つまり…」

 

 

「そうか。つまり、ただ戻しただけだと、結局振り出しに戻るか、最悪の場合今度こそ手遅れになってしまう可能性があるんだな。」

 

 

 ソーフィヤは首肯する。クロノは最悪の場合、と言っていたが、ソーフィヤは今回はほぼ間違いなく後者の現象に至ると考えていた。

 アリシアがあの駆動炉事故の後に霊体として存在できたのは、ほぼ0に近い奇跡が起こったからだ。そのレベルの奇跡が、二度も起こるとは考えられない。

 だからこそ、それを打開する策が必要なのだった。

 

 

「だから、外部から魔力を当てて体内の流れを正常化し、身体にかかっている負荷を取り除く。これをフェイトに協力してほしいの。」

 

 

「私がその役目を…?」

 

 

「うん。フェイトの身体はアリシアが元になっているから、一番効率的にアリシアに魔力を送れるはず。だけど、魔力の流れが正常化するまでは、フェイトにも魔力を流す反動である程度負担がかかってしまう…。それでも、協力してくれる?」

 

 

 フェイトは、ソーフィヤの問いかけに考える。

 ソーフィヤがフェイトにお願いしようとしているのは、今回の策の中の重要な部分、根幹の一つに当たるもの。フェイトの行動が上手くいくかどうかで、策の成功が左右される、最も重要な部分だ。

 

 正直な話、自信がない。ここまで責任がある事を、自分一人では背負いきれないかもしれない。

 でも、それでも。もし、自分がプレシアとアリシアの助けになれるのならば。

 

 

「…わかった。上手くいくかは分からないけど、出来るだけやってみる。」

 

 

「…フェイト…!」

 

 

「ありがとう、フェイト。そうしたら、なのは達が残りのジュエルシードを持ってくる前に、準備を終わらせましょう。少しでも可能性を、アリシアを元に戻します!」

 

 

「分かったわ。私は、まだ周囲に残ってる次元震が影響を起こさないよう、この状態を維持し続けるわ。」

 

 

「じゃあ僕は、何かあったときのために避難できる準備を整えておこう。アルフ、協力してくれるか?」

 

 

「あたしも本当はフェイトの近くにいたいけど…でも、今あたしに出来ることはない。手伝わせてもらうよ。」

 

 

「助かる。エイミィ、モニタリングしながら帰還用の魔法陣の準備をしてくれ。有事の際にすぐに動けるように、周囲の状態はこちらで整える。」

 

 

『了解!あ、なのはちゃん達ももうすぐ着くよ!』

 

 

「分かった。まずは、なのは達にも説明しないとだな…。」

 

 

 そう呟きながら、クロノはソーフィヤ達のいる方を見る。

 ソーフィヤはプレシア、フェイトと、今回の策について綿密な打ち合わせをしている。

 思えば、ソーフィヤが来てから、かなり色々なことが流れよく進んできた気がする。いや、もしかしたらソーフィヤがいなくても、似たような流れで進んできたのかもしれない。

 だが、ソーフィヤが居ることで、他の世界と異なる選択肢を進んできた可能性はある。そのソーフィヤが今、一つの奇跡を起こそうと皆を巻き込んで動いている。

 

 

(お前がみんなを説得してここまでやってのけたんだ。絶対に成功させるぞ、ソーフィヤ。)

 

 

 クロノは意思を持った眼でソーフィヤを見つめる。少しの間ソーフィヤを見た後、一度目を閉じ、改めて自分の作業に戻っていった。




只今無印編以外は残弾0のため、今後書き貯めしつつの執筆になります。

遅筆で申し訳ないですが、ゆっくりお待ちいただけると幸いです。
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