ロストロギアの少女   作:幽々やよい

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原作メンバーと関わらせていきます。


無印
第1話 その娘は不思議な少女なの?


 海鳴市に住む小学3年生の少女、高町なのはは、フェレット姿のユーノ・スクライアと共に、先刻彼女が住む海鳴市で起こった魔力爆発の地点にかなり急いで向かっていた。

 

 

「ねぇユーノくん、こっちの方向で合ってるよね!?」

 

 

「うん、さっきの魔力波はこっちの方から来てたはずだ!」

 

 

 なのはとユーノが焦りながら魔力爆発の場所に向かっている事そもそもの発端は、少々前に時を遡る。

 

 

 彼女達は今、時空管理局の次元航行船アースラに乗り込み、その船員達と協力しながら海鳴り市に散らばったロストロギア、ジュエルシードの発見・回収をしている。そして今日もいつも通り、アースラ艦内でジュエルシードの反応が出るのを待っていた。しかし先程突然魔力警報装置が作動し、アースラにもそれに関連すると思われる魔力波がぶつかってきた。それに驚いたなのはとユーノの二人は魔力波の来た方角を測定、そしてアースラから一時出てその現場へと向かっていた。

 

 

 その魔力爆発の規模が小さかったりしたのなら、急いで向かうにしてもここまで焦った様子にはならなかっただろう。しかし、この魔力爆発は『規模』と『考えられる原因』という二つの点において問題があった。

 

 

 まずは『規模』だ。恐らく魔力爆発が起こった場所とアースラがある場所は、とてつもない程の距離がある。そんな距離をものともしないほど、魔力波はその力を保ったままなのは達の元へと届いた。魔力波であったため周囲の環境に影響を及ぼさなかったものの、この魔力爆発が実際の爆発であったと考えると看過できないだろう。

 

 

 次に『考えられる原因』。なのはとユーノは、原因についてある共通の考えがあった。それは、今回のこの魔力爆発が、自分達が集めているジュエルシードによるものなのではないかという事。

 普通に魔力を用いたのであればほとんど出ることはない、膨大な魔力があの魔力爆発による魔力波から感じ取れた。それほどの膨大な魔力を出せるものは、ジュエルシードしかない。だから、この件の原因はジュエルシードの可能性が極めて高いとなのは達は考えていた。

 

 

 そして、原因が恐らくジュエルシードと考えられるからこそ、なのはとユーノは現場に向かって急いでいたのだ。

 

 

「あの魔力爆発はかなり大きな魔力波を放出していた。それこそ、遠く離れた場所にいた僕たちが気付けるレベルに。」

 

 

「それほど強い魔力波に、フェイトちゃんが気付かない筈がない。更にその原因がジュエルシードなら、即座に行動に移さないわけがない。そういうことだよね?ユーノくん。」

 

 

「うん。どちらにしろ今回は早く向かった方が良さそうだね。」

 

 

「そうだね!じゃあ、ちょっとスピードを上げるね!」

 

 

「お、お手柔らかに……。」

 

 

 爆発現場へと更にスピードを上げて向かうなのは達。現場も近くなってきた辺りで、アースラのクロノ達から通信が入ってくる。開いたモニターには、通信士のエイミィと神妙な面持ちのクロノが映っていた。

 

 

『なのはちゃん、こちらアースラのエイミィ!』

 

 

「エイミィさん!」

 

 

『なのは、ユーノ、今どの辺りだ?』

 

 

「魔力爆発現場の近く!」

 

 

「今これから入ろうとしてたところだよ。」

 

 

『そうか。』

 

 

 クロノは一旦モニターから視線を外し、何かを見るそぶりを見せる。その後すぐに戻ってきて、先程までと相変わらず神妙な面持ちで話始めた。

 

 

『なのは、ユーノ、現場に向かいながらでいいから聞いてくれ。今回の爆発の原因は恐らくジュエルシードだ。』

 

 

「やっぱり!?」

 

 

「クロノ、本当か!?」

 

 

『ああ。爆発前の周辺の魔力値の上昇傾向や、魔力爆発時に放出された魔力波動が、過去発動したジュエルシードの例にかなり近かった。ほぼ間違いなくジュエルシードだろう。』

 

 

 自分達の考えが合っていたことに、少しばかり2人は驚いた。やはり原因はジュエルシードだったか、と心の中で呟く。

 そんな二人をよそに、クロノは話を続ける。

 

 

『ジュエルシードということは間違いなく彼女も動くだろう。』

 

 

「フェイトちゃん……。」

 

 

『彼女達に先手を打たれる前に、こちらが動かなければならない。なのはとユーノには悪いが、そのまま現場に向かってほしい。』

 

 

「わかった!」

 

 

『何か緊急事態等が起こったら、すぐに連絡を入れてくれ。こちらもすぐ動けるようにしておく。』

 

 

「了解!」

 

 

『では、失礼する。』

 

 

 アースラとの通信が切れる。改めて自分達の行うことを確認した二人は、魔力爆発現場へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 爆発現場付近に降り立った二人は、その場に渦巻く魔力の奔流に驚愕していた。

 

 

「何だこの魔力の流れは……!尋常じゃないレベルだ!」

 

 

「流石に、ちょっと魔力が濃くて、酔っちゃいそうなの……。」

 

 

 強い魔力の流れに耐えつつ、二人は魔力爆発現場の周辺を見て回る。どうやら、かなり強い爆発の割には、影響は少なかったみたいだ。

 

 

「周辺を見る限り、このお寺や周りの森には影響はほとんど及んでないみたいだね。」

 

 

「うん。あの魔力爆発は本当に周辺を巻き込むような爆発じゃなくて、純粋に魔力の塊だけが爆発したみたいだ。」

 

 

「でも、ジュエルシードが見つからないの……。ジュエルシードがあるっていう感覚はするんだけど……。」

 

 

「もしかしたら、見つかりにくいところに移動してしまったのかもしれない。もう少し周辺を探してみよう。」

 

 

「うん、そうだね。ユーノくん。」

 

 

 反応だけがあるジュエルシードを探すため、廃寺の周辺を更に探索する。しかしなかなか見つからず、とりあえず寺の正面に出てみようと本殿の角を曲がる。すると、その曲がった先でなのははあるものを見つける。

 

 

「……あれ?」

 

 

「……?」

 

 

 突然現れたあるものが、なのはの声に反応して振り向いてくる。なのはの目の前に表れたのは、自分と同い年くらいの女の子だった。

 

 

 少女は周囲から完全に浮いていて、そこに明確に存在しているという存在感の強さと共に、どこかふっと風が吹いたら消えてしまいそうな儚さ、朧気さを感じる、掴み所のよくわからない不思議な雰囲気を持っていた。

 

 

 外見もかなり特徴的だ。座ってはいるもののわかる、腰よりも長く髪は澄んだ蒼。目は真紅で、幼めの顔立ちながらも、髪を含めた顔全体が綺麗に整っている。

 そして彼女の肌はうっすら白めで……とその時。

 

 

 なのはは気づいてしまった。

 

 

 目の前に座っている少女が、その身に、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 そう気が付いたなのはの行動は速かった。左肩に乗っていたフェレット姿のユーノを右手でつかみ、胸の前に持ってくる。そして、

 

 

「ゆ、ゆゆ、ゆゆゆゆゆユーノくんは見ちゃだめなのっ!」

 

 

 ドスッ

 

 

「ぎゃああああああ!」

 

 

 ユーノの目を目潰しで見えなくさせる。さっきのタイミングでは、ユーノは偶然考え事をしていたため少女のことを見ていない。この目潰しは完全なるとばっちりであった。

 

 

 地面でのたうち回っているユーノをよそに、なのはは寺の正面に座っている少女に駆け寄り、とりあえず何か聞き出せないか声をかけてみる。

 

 

「えーっと……、貴女は誰かな?」

 

 

「……?」

 

 

 少女には質問の意味がよくわからないらしい。なのはの質問には返答せず、その場で首を(かし)げる。流石に何も返答がないとこちらも少し困るので、なのはは一応更に声かけをしてみる。

 

 

「何も言って貰えないと、こっちも少し困っちゃうんだけど……。」

 

 

「……みゃ。」

 

 

「……??」

 

 

 問いかけに対して返ってきたのは、意味がよくわからない言葉だった。その返答に、なのはは少し困惑してしまった。

 

 

(「みゃ」って何だろう……。何も聞き出せてないけど、この爆発現場にいたんだからとりあえず保護した方がいいよね?)

 

 

 聞き込みの成果は無かったが、このまま聞き続けても埒があかないとなのはは考え、アースラにいるクロノ達に報告することにした。

 

 

「ユーノくん、ユーノくーん!」

 

 

「……はっ!なのは、僕は一体……?」

 

 

「そんなことはどうでもいいから、クロノくん達に連絡をとってほしいの!現場で女の子を見つけたから!」

 

 

「本当に!?わかった、今連絡してみるよ。」

 

 

 ユーノは持っていた端末を操作し、アースラへと連絡を繋げる。二人の前に現れたモニターには、先程と同じくクロノとエイミィが映っていた。

 

 

『こちらアースラのエイミィです!二人とも、何かあった?』

 

 

「エイミィさん、魔力爆発の現場で女の子を見つけたの!」

 

 

『女の子!?何でそんなところに!?』

 

 

「聞いても返事がないからわからないの……。でも、とりあえず保護した方が良いかなと思って。」

 

 

『クロノくん、大丈夫?』

 

 

 エイミィの問いかけに、クロノは一瞬考える。そしてすぐに顔をあげ、こう答えた。

 

 

『ああ、一旦保護しておこう。現場にいたということは、先程の魔力爆発に関連性があるかもしれない。責任はこちらで負う。』

 

 

「わかったの!」

 

 

「じゃあ、後で転送ポートを頼むよ。」

 

 

『ああ。エイミィ、頼んだ。』

 

 

『了解!』

 

 

 ここで話の流れが一旦途切れる。このタイミングで、エイミィはふと気になっていたことを二人に対して訊ねた。

 

 

『そういえば、ジュエルシードは見つかった?』

 

 

「それが……、その……。」

 

 

『?』

 

 

 いつもとは違うなのはの歯切れの悪さに、クロノとエイミィは疑問を感じる。そのことについて、なのはと一緒にいたユーノがフォローする。

 

 

「この辺りの魔力の流れが強すぎて、どのあたりにジュエルシードがあるかがわからなくなってしまっているんだ。」

 

 

「現場周辺は汲まなく探したんだけど、見つからなかったの。」

 

 

『そういうことか。なら、その流れが解消されるのを待つしかないな。』

 

 

『じゃあとりあえず転送ポートを出すから、アースラに移ってきて。』

 

 

「「はい!」」

 

 

 なのはは先程から座り続けている少女の元に行き、少女を所謂お姫様だっこと呼ばれる抱き方で抱えあげる。抱え上げ終わるのとほぼ同時に、ユーノとなのはの足元に、アースラへの転送用の魔方陣が現れる。その魔方陣の上に乗った二人は、魔方陣が強く光るのと共にアースラへと転送される。魔方陣が消えたあと、その場に三人の姿は無くなっており、ただ強い魔力の流れが起こっている場所だけになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 三人がアースラへと転送されてから少しして、黄色い髪の少女とその使い魔の女性の二人組が廃寺の場所へと訪れていた。

 彼女たちは、先程この場所から発せられた強い魔力反応とジュエルシード反応を辿って、この場所まで来ていた。

 

 

「さっきジュエルシードの反応があったのはこの場所だけど……。」

 

 

「うーん……、こりゃあダメだね。あの爆発のせいで、この寺の周辺に強い魔力の奔流が出来ちまってる。こん中からジュエルシードを見つけ出すのは、困難すぎる。下手すりゃ魔力に当てられちまうよ。」

 

 

「……。」

 

 

 黄色い髪の少女、フェイト・テスタロッサは、ここに来る前に使用したように、再びこの周辺にジュエルシードの探査魔法をかける。しかし、やはりこの強い魔力の流れの中では上手く反応が現れず、探し出すのは困難極まりなかった。

 

 

「……ダメだね。他の魔力反応に邪魔されて、ジュエルシードの反応が見えない。今回は諦めた方がいいかも。」

 

 

「そうだねぇ、無理に探し出そうとして無駄な労を消費するよりはましだしねぇ。」

 

 

「そうだね。今回は諦めて、次の反応を探そうか。」

 

 

「了解。」

 

 

 やはり強い魔力の奔流にジュエルシードの探索を諦めた二人は、自分達が拠点としている場所に戻って行った。

 

 

 

 

 

 




なのは達と出会いました。本編介入はもう少しかかります。
名前は次話でわかります。
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