ロストロギアの少女   作:幽々やよい

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お久しぶりです。

携帯の故障とデータの紛失、職場の異動と引越しが重なり、かなり執筆が遅くなってしまいました。




第19話 図る事件と予感なの

 

 

 

 

 第97管理外世界『地球』からミッドチルダへと戻る、艦船アースラの一室。

 リンディは自室の椅子に腰掛けながら、友人に通信をしていた。

 

 

『お疲れ様、リンディ。そっちの案件は終わったようね。』

 

 

「ええ。一人も欠けることなく、無事事件は解決。後数日でミッドチルダに到着する予定よ。」

 

 

 リンディは、目の前に展開されたモニターを通して、友人であるレティと会話する。

 

 

『それは良かったわ。とはいえ、結構大変な案件だったみたいね。』

 

 

「そうなのよ。メールで内容を送ったから粗方知ってるとは思うけど、ロストロギアを扱って被害ゼロは、本当に奇跡ね…。いつ事故が起こってもおかしくない状況だったから。」

 

 

『よくやったと思うわよ、本当。それに、問題解決だけじゃなくて、嘱託魔導師候補も見つけたんでしょう?』

 

 

「ソーフィヤ達の事ね。ええ、まだ可能性の段階だけれど、前向きに検討してるみたい。」

 

 

 リンディは端末を操作し、ソーフィヤとアリシア、フェイトの3人の画像をレティに送信する。

 レティは届いたファイルを開き、初めて3人の姿を確認する。

 

 

『へぇ、この子達が…。この青い髪の娘が、ソーフィヤね。貴女が養子にしようとしてるっていう。』

 

 

「まだ考えてるだけだし、彼女にも話していないけどね。」

 

 

『あら、まだ話してなかったのね。にしても、この子達が候補ねぇ…。皆、推定で少なくても魔導師ランクA以上はあるんでしょう?フェイト・テスタロッサに至ってはAAA級。武装局員の平均がBだから、皆かなりの力を持ってる事になるわね。』

 

 

「それだけじゃ、実力を完全には測れないけどね。でも、潜在的な資質はかなりのものだと思うわ。」

 

 

『それで、今日の話って、この子達に関わる話かしら?』

 

 

「それもあるわ。まあ、話は裁判の件が中心になるんだけど。」

 

 

 リンディは、クロノとともに裁判に向けて作成していた資料を、レティに送信する。

 レティは複数の資料に一通り目を通し、事件内容及び関連事項について確認する。

 

 

「これが今回の事件の流れと最終状況、及び関連書類よ。人的被害は、負傷者は多数発生したけど死亡者は0。物的被害としては、プレシアが本拠としていた居城の全壊と、それに付随して周辺空間の乱れが発生した感じかしら。」

 

 

『回収物としては、完全状態でのジュエルシード21個。事件の主犯と協力者として二人を確保、事故関係者として一人を保護。そして…』

 

 

「ええ。重要参考人及び遺失物<ロストロギア>適合者として、ソーフィヤを保護した形ね。」

 

 

『裁判としては、プレシア・テスタロッサ、フェイト・テスタロッサの刑事裁判と、フェイト、アリシアの親権関係の手続きが一つ。それと、ジュエルシード及び遺失物(ロストロギア)適合者のソーフィヤについて、取り扱いと処遇を決める裁判が一つね。』

 

 

「どちらも情状酌量やこちらに有利な状況を作れるように道筋は考えているけど、まだ証拠が十分では無いのよね。クロノに収集を進めてもらってはいるんだけど。」

 

 

『必要あれば、こちらから数名人員を割くわよ。使える手が増えれば、その分武器にできる情報も増えるし。』

 

 

「そうね。クロノに聞いてみて、必要ならすぐに連絡するわ。」

 

 

『分かったわ。でも今回は特に、情報が揃っていたとしても、気を抜かないようにしないといけないわね。』

 

 

「実質、26年前の駆動炉事件の再審だものね。間違いなく邪魔は入るはずよ。」

 

 

 そう言ってリンディは別のファイルを開き、中のデータを共有する。

 開かれた画像データには、一人の白衣を着た男が写っている。誠実に見える外見とは裏腹に、男の顔はどこか陰気を感じさせるような笑みを浮かべており、何かしらを腹に抱えていることが見てとれる。

 

 

『アバント・オベローン…。26年前の事件当時、研究主任補佐だった男ね…。』

 

 

「現在では、中央技術開発局の第2局長。黒い噂も絶えないけど、力と権力を持ってる人間ではあるわ。」

 

 

『不老技術を完成させたから26年前からほとんど容姿が変わらないとか、管理局の裏と繋がっているとか…。あとは、違法研究をしてるとかかしら。眉唾物もあるけど、本当だったら危険な噂が多いわよね。』

 

 

「そうね。ただ、片や自分が過去に関連した案件、片や強大な力を持つロストロギア案件。間違いなく手は回してくるわ。」

 

 

 リンディとレティは、アバントが確実に働きかけてくるだろうとほぼ確信していた。

 アバントに関する噂は数多あるが、その多くは強い力、希少な力に関連するものである。ソーフィヤに関連するジュエルシードは希少なロストロギアであり、尚且つ膨大な魔力とそれをある程度意図的に放出できる強い力を持つ。

 

 

 それだけではない。まだ外部には公表してないが、もしソーフィヤがジュエルシードから生み出された生命体であるとの情報が広まれば、希少素体として奴は間違いなくソーフィヤを狙うだろう。

 

 

 そして自らの権力を失墜させる可能性があるプレシアに対しても、手を出さない選択肢は考えられない。

 

 

「プレシアの名誉回復のためにも、ソーフィヤの身に危険が及ばないようにするためにも、全力で事に当たらなきゃいけないわね。」

 

 

『ええ。それじゃ、もっと話を詰めましょうか。』

 

 

 リンディとレティは、今後の動きについてより詳細に打ち合わせを進める。

 現状アースラ側が取り得る手段とそれを補助する動きの確認。各手法を用いた際に派遣できる補助人員と、人数の確認。想定しうるアバントの人脈と捜査妨害の手法、裁判での立ち回りと最悪の判決の考察。

 

 

 二人は真剣な表情で、現状揃えておくべき情報を次々にまとめていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数十分後。現段階で詰められる全ての話を終えた所で、リンディはふとあることを思い出した。

 

 

「…そうだ、一つ聞きたいと思ってたことがあったんだったわ。」

 

 

『聞きたいこと?何かしら?』

 

 

「さっき貴女に送った資料の最後の方にあるんだけど、一つ調べてほしいことがあったのよ。」

 

 

『最後の方?…この魔力爆発のこと?』

 

 

「ええ。この爆発、資料に書いてあるように、何もないところで突如魔力の膨張が発生して引き起こされたのよ。ただ、魔力膨張が発生した原因になるものも、遠因になりそうなものもなくて…。」

 

 

『…成る程。管理局のデータベースに類似事例が無いか知りたい、ってことね。すぐに調べるわ。』

 

 

 レティはデスクに向かいなおし、全次元世界で発生した事故・事件案件から絞り込みを始める。

 細かい条件付けで検索すること15分。近い事例の案件が揃った。

 

 

『今データベースにある案件の中では、この15件ね。事件中に謎の爆発が発生してる点で関連性があるのは。一番直近は、9年前の第188管理外世界での爆発事故みたいね。』

 

 

「超長期王権の崩壊時、違法実験の最中…やっぱり、今回の件と完全に一致してるものは無いのね…。」

 

 

 リンディは複数の案件を見ながら、そう言葉をこぼす。

 見たところ、謎の爆発が発生している以外では共通点が無いようにも見えた。

 

 

『…いや、完全一致は無いけれど、傾向の一致はありそうよ。』

 

 

 レティは、先程リンディが見ていた2つの案件を並べ、説明を始める。

 

 

『この2つの案件、関連が無いように見えるけど、事故が発生する前にそれまでその地域にいなかった人物が事件の中心に深く関わってる。』

 

 

 2つの事件において、それぞれ普段見たことの無い人物が事件の直前に現れていた。

 

 

 前者においては、地方で小地域の領主として民から慕われていた為政者が。

 後者においては、突如姿を見かけるようになり、意味不明な事を並べ立て奇妙な行動を行っていた珍しい服の男が。

 いずれも中心人物として、事件に深く関わっていた。生死はともかくとして。

 

 

「…確かにそうね。それに、改めて見てみると人だけじゃなくて、他にも傾向がありそう。」

 

 

 人以外にも注目して改めて内容を確認してみると、リンディ達は人物以外にもいくつか傾向があることを見つけた。

 

 

 いままで確認されていなかった人物が現れている事。

 不可能と言われた革命や実験(合法違法問わず)の成功など、奇跡ともいえる出来事が実現している事。

 この2点の内の一方、もしくは両方が、全ての案件に共通していた。

 

 

「共通点は無いと思ってたけど、意外と事件間の共通点があったのね…。となると、私達の案件も…。」

 

 

『間違いなく、関連性はあるでしょうね。情報も判別可能な程度には揃ってるし、相対的に見て違うとは言い切れないわ。』

 

 

 リンディは、過去の案件と比較しつつ、今回の爆発事故について確認する。

 

 

 今回の爆発の前には、魔力的素質を有し遅かれ早かれ事件に関わっていた可能性のあるなのはの他に、完全なるイレギュラーであるソーフィヤが現れていた。

 また、ソーフィヤはアリシアが死亡していない事を証明し、死者蘇生を状態回復に変える事でアリシアを目覚めさせたという、誰も失うこと無く事態を解決した奇跡をあの場にいた全員と体現している。

 

 

 避けようもない。今回の事件は、一切の相違無く条件を満たしていた。

 

 

「…今回の事故も、今までの事件の流れに沿うもので間違いなさそうね。否定する要素が無いわ。」

 

 

『だとすると、心配事が一つ増えたわね…。』

 

 

「ええ、そうね…。」

 

 

 二人には、共通してある懸念があった。

 それは、あの爆発事故がどの段階で(・・・・・)発生したかという事。

 

 

 過去の事例では、関連事項が完全に終わってから爆発事故が発生したものと、関連事項の進行中に爆発事故が発生したものの二種類があった。

 もし時の庭園での爆発が前者の場合であればまだ良い。

 だがもし後者だった場合、なのは・フェイト・アリシア・ソーフィヤに関連する騒動は、まだ終わっていないということになる。

 

 

(私達の杞憂であれば良いけれど…。もし何か起こった時の為に、準備をしておいた方が良いかもしれないわね…。)

(何かが起きてからでは遅い。現段階で対処できる内容は、更に詰めていかないと…。)

 

 

 起きてほしくはないが、有事の際の為。

 リンディとレティは改めて事態の緊急性及び危険度を認識し、未然に防止する方策を整え対処していこうと決意した。

 

 

 

 

 

 




年末年始は仕事の都合で忙しい為、一月下旬ごろまでには投稿したいなぁ…。

執筆頑張らねば…
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