多くの人にこの作品を読んで頂けて、嬉しいです。
これからも皆様に読んで頂けるような作品にしていきたいと思います。
それはともかく、投稿が遅くなって申し訳ない。
今日は珍しく魔法訓練がないソーフィヤは、自身にあてがわれていて普段利用している部屋ではなくアースラ内にある簡単な休憩スペースのような所にいた。その場所には彼女だけでなく高町なのはやユーノ・スクライアもおり、一時の休息をとっていた。
この三人が同じスペースにいることは、特別な事ではない。普段ソーフィヤの魔法訓練等の際に指導官と生徒という立場で関わっていたり、なのは達が休憩を取るときに一緒に休憩をとったりと、結構長く共にいる事が多かった。今回もその例の一つに漏れず、各々が椅子に座り休息をとっていた。
そんな状態の中、ソーフィヤはふとある事を思い出す。それは前々からなのはに聞こうと思っていたが、中々タイミングが見つからず訊ね損ねていた疑問であった。偶然この状況で思い出したソーフィヤは、向かいに座っていたなのはにその事を訊ねてみた。
「ねえ、なのは。実は前々から聞きたかった事があるの。」
「んう?何かな?」
なのはは少し考え事をしていた頭を切り替え、ソーフィヤに顔を向ける。なのはの隣に座っていたユーノも、同じくソーフィヤの方を向く。二人が自分の方を見たことを確認してから、ソーフィヤは話始める。
「なのはって、何でこの事件に関わろうと思ったの?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「関わる事になった要因は聞いたよ。だけど、何でこの事件に関わろうっていう気持ちになったのか、それが分からなかったの。」
「……。」
なのはは言葉を返さず、少し悩む素振りを見せる。ちょっとしてから「ソーフィヤちゃんになら、話して大丈夫かな」と呟き、顔を再びソーフィヤの方に向け話始めた。
「……最初はね、私もそんなに深くは考えてなかったの。ユーノ君を助けたのは私で、ユーノ君が追っていたジュエルシードを封印できる力を持っていたのも私。だから手伝おうって考えていたの。」
なのはは、自分がどういう考えでジュエルシードを封印し始めたのかを話す。自分がこういう考えでジュエルシードを封印するために動いていた、と述べた上で、「でもね」と呟く。
「私は、ある大きな失敗をした。その時に、私の受動的だった考えのままじゃいけない、自分が封印できる力を持っているんだから、私が皆を守っていけるようにしなきゃいけないって思ったの。」
「そして、私と一緒でジュエルシードを集めてる女の子、フェイトちゃんと会ってから、私の考えは更に変わった。自分が皆を危険から守るためにジュエルシードを集めてた私に対して、フェイトちゃんはその想いの強さも、背負っているものの重さも違った。私よりも、ジュエルシード収集に対する信念が強かった。」
なのはの語りが止まる。どのように言葉を紡ぐべきなのか、それを真剣に考える。暫くして、なのはは再び話始める。
「それから、私には更にある想いが出来た。まだこの想いは自分でもよくわかって無いけど……。でも、何よりも叶えたい想いだっていうことはわかる。その想いを叶えるために、私は今回の事件に関わってるの。」
なのはは、何時に無く真剣な表情で自分の想いを語る。それを見て話を聞いた上で、ソーフィヤは理解が出来なかった。何でそこまでなのはは強い想いを持つことが出来るのか、その想いを叶えようと積極的になれるのか、が。ジュエルシードに創られた存在であるソーフィヤには、聞いただけでは理解が追い付かなかった。
「何で、そんなに、その想いを叶えるために動くことが出来るの?私には、分からない……。」
「……それがどうしても叶えたい想いだから。何がなんでもフェイトちゃんと対話をする。それが私が本当に望むことだから、動くことが出来るの。」
なのはは真っ直ぐに、素直に話す。なのはの隣にいたユーノは、なのはの言葉をまだ上手く理解できていないソーフィヤに対して語りかける。
「ソーフィヤ、なのはは『何をしたくて』『どう動きたいのか』がはっきりしてるから、ここまで積極的に動けるんだ。僕だって、『海鳴市に落ちてしまったジュエルシードを回収するため』に『管理局に協力する事で少しでもなのはの手助けをしたい』から、動くことが出来てるんだ。」
そのような事を言った上で、ソーフィヤに対してユーノは更に続ける。
「今回の事件は、ソーフィヤも少なからず関わってきてしまう。ソーフィヤ、君はその中でどうしたい?」
「……私は……。」
ソーフィヤは考える。自分が、今回の件の中でどのようにしたいのか。ソーフィヤが悩んでいる
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次元航行艦アースラの管制室、そこにはアースラの船員であるリンディとクロノ、エイミィ等アースラの全船員が集まっていた。
何故この場にアースラに乗っている全員が集められたのか。それはモニターに映されている金髪の少女、フェイト・テスタロッサが行っている行為に対して、アースラの艦長であるリンディから緊急連絡が発せられたからである。
艦内で休養をとっている時に緊急警報を聞いたなのはとユーノ、ソーフィヤが管制室に到着すると、その管制室のモニターには海鳴市近辺の海の中に向かって魔法を発動し続けているフェイトの様子が映し出されていた。なのはは、フェイトが今置かれている立場をすぐに理解し、艦長であるリンディに許可をとろうとする。
「あの、私至急現場に!」
「その必要は無いよ。」
クロノはなのはの言葉を途中で遮り、なのはにとって信じられない言葉を述べる。
「彼女は放っておいてもその内自滅する。もし自滅しなかったとしても、その時には大分弱っているだろう。弱っているところを捕縛するだけだ。」
「そんな……!」
なのははクロノの言っていることがまるで信じられず、驚きを隠すことが出来ない。そんな中、ソーフィヤはモニターに映っている少女を見ていた。
暴走したジュエルシードを前に、デバイスであろう黒い杖と共に戦う少女。その目には、強い意思が宿って見える。
その目を見て、ソーフィヤはなのはを連想していた。強い意思の篭った目、それはなのはが先程自らの想いを語っていた時にしていた目と同じだった。
(私は、どうしたいの?)
フェイトが戦う姿を見て、ソーフィヤは深く考える。思考の渦の中へと入っていき、自分の想いを探す。
(私も何かなのは達に協力したい。でも、私は力を持ってない。「力」だとなのは達を手伝うことが出来ない。……!なら……!)
深い思考の渦の中、ソーフィヤは一筋の光を見つけ出す。その表情は、先程のなのはやモニターに映るフェイトのように、強い想いを持った表情になっていた。
ソーフィヤはなのはの方に振り返る。なのははユーノと真剣な表情で向かい合い、何か話しているようにも見える。少しすると、なのはは急に走りだし、ユーノの後ろにある転送装置に向かって行く。転送装置の中に入ったなのはは、艦長のリンディにあることを宣言した。
「ごめんなさい!高町なのは、命令を無視して現場に急行します!」
「いくよ、なのは!あの子の結界の中に転送!」
ユーノの詠唱と共に、転送装置が光を発し始める。一際強く輝くと、そこにはもうなのはの姿は無かった。そんな光景を見て、クロノはユーノに怒りの声をあげる。
「君たち、どういうことだ!?何故勝手に現場に……!」
「ちょっと待って、クロノ。」
目の前から突然聞こえたユーノ以外の声に、クロノは驚く。ハッとして前を向き直すと、そこにはさっきまでモニターの前にいたはずのソーフィヤがいつの間にかユーノの前に立っていた。
驚いているクロノをよそに、ユーノの前に立ったソーフィヤは顔を半分だけ振り向かせ、念話を通してユーノに話しかける。
〈ユーノ、ここは私がクロノに対応するから、なのはの所に行ってあげて。〉
〈いいのか?ソーフィヤ。〉
〈大丈夫。何とかする。〉
〈じゃあ……頼んだ!〉
念話を終えたユーノは転送装置へ駆け出し、装置を作動させてなのはの元へと跳ぶ。その光景を見ていたクロノは、少し怒気を孕んだ表情でソーフィヤに訊ねた。
「どういうつもりなんだ?ソーフィヤ。」
「あれだけ強い想いを瞳に持つなのは達を、私は止められないから。」
「……?どういうことだ?」
ソーフィヤの言葉の真意が掴めず、クロノは目をしかめる。そんなクロノへ、ソーフィヤは更に言葉を続ける。
「今回の事件はジュエルシードに依るもの、言ってしまえば私が原因みたいなもの。そんな赤の他人が引き起こしたものを、なのは達はその被害を防ごうと必死に動いてくれてる。」
ソーフィヤは一旦言葉を止め、瞼を閉じる。そして、再び言葉を紡ぎ出す。
「クロノやエイミィにも、勿論感謝してる。でも、なのは達とは少し違う。私はそんな風に動いてくれてるなのは達に、何か協力したいと思ったの。でも私は貸せる程の力を持ってない。だから、どうすればいいか考えて、私は一種の答えを見つけたわ。力が無いなら、それ以外で協力すればいいって。」
ソーフィヤは、再び瞼を開ける。先程とは違い、強い意思のこもった、真っ直ぐな視線をクロノに向ける。
「私は、『なのは達が動きやすいような環境を整える』。これが私の想いで、私の意思。だから、私はここに立ってるの。」
ソーフィヤは、自分が持っている思いを告げる。クロノはそれを聞いた上で、改めて口を開く。
「確かに自分の意思があるかもしれない。だけど、今回の事件は失敗するととんでもない被害を与える事になってしまう。なら、より確実性を求めた方がいい。」
「確かに、クロノ達の言ってることは、確実性の上ではなのは達を個別に行かせるよりも可能性が高いかも知れない。でも、それだって失敗する可能性はあるし、少女、フェイト・テスタロッサの件は解決しない可能性が高いわ。」
「だが、第三者への被害が出る可能性もある。尚更確実性のある方法を取るべきだ!」
「今必要なのは、確実性じゃない。今のこの両者手詰まりの現状を脱却させる、打開性が必要なの。事態を打開しない限り、事件解決の進展は有り得ないわ。」
ソーフィヤとクロノは、互いに目を細め視線をぶつけ合う。クロノは何故ソーフィヤがなのは達の肩を持つのか疑問に思い、ソーフィヤへと問いかける。
「何故そこまで彼女達を信じるんだ?」
「強い意思を持っているからよ。私は意思から産まれた存在。強い意思が何かを生み出せる事は、私自身がよく知ってる。だから、なのは達を信じてるのよ。」
『意思は確実に何かを生み出す』。ソーフィヤはそれを実体験で知っているからこそ、なのは達を信用していた。儚さを醸し出すような笑顔で話をするソーフィヤを見て、クロノは呆気にとられてしまった。
ソーフィヤ達が一連の話を一先ず終えた時、それまで黙って話を聞いていたリンディがソーフィヤに話しかけた。
「ソーフィヤ、貴女が言いたい事はよくわかったわ。だけど、私達も時空管理局に所属している立場から、迂闊には動くことが出来ないの。ここで無理して出撃した結果、私達に何か返ってくるのかしら?」
リンディの管理局局員としては最もな言葉を聞いた上で、ソーフィヤはリンディに返答する。
「この出撃で得られるものは無い可能性もあります。なら、
「それが本当に私達の利益になるのかしら?」
「ロストロギアを完全な状態で一つ得ることが出来ますが?」
リンディは一瞬考える素振りを見せ、悩む表情を浮かべる。すぐにリンディは表情を元に戻し、真剣な面持ちでソーフィヤを見つめ、結論を告げる。
「わかりました。では、その見返りを以て今回の無断出撃は不問とします。だけれど、保護責任者として、3人纏めて指導するわ。流石に危険行為だから。」
「……!わかりました。」
リンディの言葉を聞き、何とかやり過ごすことが出来たとソーフィヤは心の中で息を吐く。
モニターを見ると、どうやら6個のジュエルシード全てを封印できたらしい。静けさを取り戻した海の上空に浮かぶ4人の姿が見える。少しはなのは達に協力出来たと、ソーフィヤは内心喜んだ。
すると突然、ジュエルシードを封印して穏やかな雰囲気になっていたアースラ船員に水を差すように、警告音が流れ出し画面に『ALERT』と書かれた赤い画面が幾つも表示される。何事かとざわめき出す船員に、原因をつかんだエイミィが叫ぶ。
「本艦に対して次元跳躍攻撃!着弾まで後6秒!?」
「もしかしたらジュエルシードのある方にも攻撃されるかもしれない!クロノ、なのはちゃん達の所へ行って!」
「了解です!」
クロノは転送装置に駆け込み、なのは達の居るところへと転移する。その直後、モニターの中で、フェイトが雷に撃たれる映像が表示された。その光景を見て、全員が驚く。
(どういうこと!?なのは達は雷の魔法は使えないし、フェイト・テスタロッサが自身に放つ事はあり得ない。つまり、あれは第三者からの攻撃……!?)
ソーフィヤが驚愕の中このようなことを考えていると、エイミィから全船員に警告が入る。
「次元跳躍攻撃、着弾します!」
次の瞬間、アースラに多数の雷が直撃する。アースラ全体が大きく揺れ、雷によって一時的に艦内の機能がダウンしてしまう。数十秒後に雷は止み、艦内の機能も復旧する。しかし、船員は突然の事態にまだ状況を理解できていない様子であった。
この攻撃から、ソーフィヤはある事を直感する。この事件は、ただジュエルシードを集めるだけでは終わらない。非常に複雑な事件になっているだろう事を……。
一時的に間違えて次話を投稿してしまっていました。
7話を読んでしまった人は、いきなり展開が飛んで申し訳ないです。